サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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第二十六話 珠世さんこんばんは

  side しのぶ

 

 新・上弦の弐が勝手に死んだ後、私たちは珠世という鬼の住む屋敷を訪れた。といっても、家の前で戦ってたので、すぐの到着だったわけだけど。

 

「ごめんくださ〜い!」

「女くださ〜い!」

「アンタは黙ってて‼︎」

 

 隣のバカはさておき、一体どんな鬼が出てくるのか………

 

「なんだお前ら………事後か?」*1

 

 とんでもない失礼な鬼だった。

 

「「違う‼︎///」」

「嘘つけ。男女2人、顔赤い、息切れしてる。確信犯だろ、この淫乱共め‼︎珠世様に近づくな‼︎」

「さっきそこで鬼と戦ってたんだよ‼︎近くにいたから分かるだろ‼︎」

「戦ってた………?勝手に死んだだけでは?」

「それは…………否定出来ねえ。」

「だろ?じゃあ来るな。帰れ‼︎」

「うるせえ、このアホンダラ‼︎」

「なんだと⁉︎」

 

 どうやらこの男の鬼は珠世さんに仕える部下みたいだ。主人のことを思うのは分かるんだけど、そんなにゴミを見る目で見られても困る。初対面に恐ろしいくらい失礼だし。コイツもサイコロステーキと似たような類かな?

 

 そんな事を思っていると、

 

「愈史郎、失礼ですよ。客人に向かって。」

「これはこれは失礼しました、珠世様。」

 

 どうやら珠世さん本人が来たようだ。部下の愈史郎とは打って変わって穏やかな雰囲気の女性で、とてもしっかりしているように見える。雰囲気的にはあまね様に似ているか。とりあえず、第一印象は安心だけど………

 

「いえいえ!それにしてもお美しい方ですね!私は鬼殺隊の賽柱・賽子厚切焼肉(サイコロステーキ)と申します!どうですか、珠世さん?この俺との結婚は?」

 

 しまった。不安材料が身内にいたの忘れてた。

 

「アンタ、失礼よ!珠世さんに向かって。」

「は?俺のどこが失礼なんだ、しのぶ?」

「ごめんなさい、珠世さん。彼は頭が足りないもので………」

「うるせえ‼︎脳みそギチギチだぞ俺は‼︎」

 

 なんでお館様はコイツを連れて来るように言ったの⁉︎絶対やらかすんだからダメじゃん‼︎特に女性なら尚更‼︎家に置いてきた方がよかったのは間違いない‼︎

 

「大丈夫ですよ。それに私、既婚者ですから。」

「なん…………だと⁉︎」

「珠世様、それは本当でしょうか…………?」

「なんでお前も知らねえんだよ⁉︎」

「あれ、愈史郎には言ってませんでしたっけ?」

「はい…………」

「はははははは‼︎ざまあみろってんだ‼︎」

「うるせえ、この糞野郎‼︎帰れ‼︎」

「安心してください。ちゃんと帰らせますので。」

「嫌だ‼︎目の保養だけでもさせてくれ‼︎」

 

 マジでコイツうるさいんだけど。このままじゃ埒があかないから、強引に話を切って進めよう。

 

「コレは置いといて、仕事の話でもしますか。」

「そうですね。こんなところで立ち話でもなんですし、奥の部屋にご案内します。」

「「ありがとうございます。」」

「珠世様、コイツらやっぱり帰らせた方が………」

「愈史郎。」

「はい、なんでもありません‼︎」

 

 ということで、私たちは奥の部屋へと案内された。

 

 

 

 

 案内されたのは、2人で暮らすには少し大きめの部屋だった。壁には本棚が立てられており、私も知ってる薬学や医学の本がずらりと並んでいた。どれも良書ばかり。中には私がまだ持ってない最新の西洋医学・薬学の本まである。その隣には、実験器具がいくつか置いてあった。私の実験室でも見るような器具だらけ。本気で医薬学をやってるからこそ分かる。この人は少なくともヤブではないだろう、と。

 

「それで、話というのはなんでしょう?」

「実はかくかくしかじかでして〜。」

「なるほど………鬼を人間に戻す薬ですか。それは興味深いですね。」

「それの協力を、鬼のことをよく知り、かつとても可愛らしい貴女に頼みたいんですよ〜♪」

「もっと普通に頼みなさいよ‼︎」

「私は年増ですよ………?」

「いや、まともに反応しなくていいんですよ?」

「珠世様の美しさが分かるのは素晴らしい。だが下心は認められない。出ていけ‼︎」

「話終わったら出ていくんで、それまで待ってもらえます?」

 

 ただ、どういう鬼なのかは分からない。お館様の勘があるとはいえ、油断はできない。引き続き警戒しないと。

 

「私は確かに鬼舞辻無惨が憎く、殺したいと思っております。ですが私は鬼。鬼殺隊に味方してよいのですか?」

 

 そんなことを思っていると、珠世さんが凄いことを言った。鬼舞辻無惨の名前だ。しかも言ったのに死なない。これはどういうこと?

 

「珠世さん、なんで死んでないのですか?」

「鬼舞辻の名前を言ったのに‼︎」

「それは鬼舞辻の呪いを解いたからです。あの臆病者は自分のことが知られたくないので、呼んだら自死する呪いをかけてました。」

「自分で解いた⁉︎それは凄いですね‼︎」

「たまたまなんですけどね。」

 

 自力で呪いを解いた。確かにそんな鬼は今までいなかったはず。にわかには信じがたい事実。だけど、珠世さんは今こうして目の前で生き続けている。だから信じざるを得ないのだ。

 

「ちなみに、俺にかけられた不運な呪いは解けますか?最近博打が調子悪くて………」

「それは呪いじゃない‼︎」

「それは………無理ですね。」

「嘘…………だろ⁉︎」

 

 アンタのは呪いじゃなくて頭の病気。いいから脱線しないで‼︎

 

「話を戻しますが、私たちはあなた方が鬼でも構わないと思っております。」

「ええ?良いのですか?」

「人を食わない鬼を実験的に飼ってるんで、大丈夫っす!」

「人を食わない鬼………?まさか愈史郎以外に?」

「いますよ!」

 

 本題に戻ると、鬼と協力するのは、特別な鬼ならばいいと思っている。禰豆子さん然り、鬼舞辻無惨に敵対しているという絶対的な証拠が必要だが、それもさっきの名前呼びで大丈夫だろう。

 

「めちゃくちゃ可愛い女の子でね、今度俺の嫁になるんですよ!」

「適当なことを言うんじゃないわよ‼︎」

「お嫁さんがいるのに求婚を………?」

「一夫多妻制ですよ!俺だからこそ許される‼︎」

「ええ…………」

「珠世様、こんな屑野郎の味方になってはいけません‼︎」

「安心してください。彼はあなた方と関わらせないようにしますので。」

「なんでだよしのぶ⁉︎まさか嫉妬してるのか⁉︎」

「はぁ⁉︎してるわけないでしょ⁉︎誰がアンタなんかに‼︎///」

「おっ、図星かな?ごめんね〜、モテ男で〜♪」

 

 マジで………っ!コイツ………っ‼︎なんなの………っ⁉︎

 

「珠世さん、愈史郎さん、一緒にこの女の敵を殺す薬を作りませんか?」

「わかった。協力しよう。」

「えっと………その………仲間割れは良くないと思いますよ………?」

「珠世さんの言うとおりです‼︎このカッコいい俺と手を組まないとか、人生大負け確定です‼︎」

「黙れ。もういい。アンタは喋るな。」

「酷い‼︎」

 

 全く、酷いのはどっちだって話よ。あとでお館様に言って給料抜きにしてもらおう。そうでもしないと反省しないだろうし。

 

「冗談はさておき、珠世さん、よろしくお願いします。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」

「それじゃあまた会いましょね〜♪珠世さん♪あっ、愈史郎は無しで!」

「死ね、貴様‼︎」

「あぁん⁉︎お前が死ねや‼︎」

「コイツは私が処分しておきますので。それではまた。」

「痛たたた‼︎おいこらしのぶ‼︎耳を引っ張るな‼︎ちぎれるぅぅぅぅ‼︎」

「頼んだぞ。」

「お、お気をつけて………」

 

 ということで、私たちは珠世さんと共同研究をすることになったのだった。そして、私たちは家を後にした。

 

 家を出た瞬間………

 

「「消えた⁉︎」」

 

 さっきまであったはずの珠世さんの家が消えた。どういうこと⁉︎

 

「ま、まあいいや。帰るぞ。」

「うん。」

 

 あとでお館様にでも聞いてみよう。

 

 

 

 

 

 帰り道、私はサイコロステーキを説教していた。

 

「全くアンタは‼︎すぐに女性にちょっかい出すんだから‼︎破談になったらどうするつもりだったの⁉︎」

「そうなるわけないだろ。だって俺はカッコいいんだから。」

「いくら顔が良くてもダメなものはダメ‼︎いい、分かった⁉︎」

「分かんない♪」

「分かれ‼︎」

 

 本当に、この自信はどこから来るのやら………。いつか痛い目に遭えばいいのに。そんなことを思いながら、もう6年が経ってしまった。これから先もコイツは一生後悔することはないと思うと、思わず頭を抱えてしまう。

 

「話は変わるけどさ、お前に提案があるんだ。」

「提案?」

 

 そんな事を思っていると、サイコロステーキから変なことを言われた。提案?一体何を言うつもりなんだろう…………?

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちさ、柱辞めないか?」

 

 それはなんと、とんでもないことだった。

*1
珠世の家が隠れてない理由は、事前にお館様から来ると伝えられてたので、愈史郎の血鬼術を解除していたからです。そのため普通の家みたいな雰囲気になってます。




珠世さんの肉体年齢19は嘘では?35くらいに見えるんですが……
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