side しのぶ
サイコロステーキが賭博罪により逮捕。お館様が留置所まで行き、賠償金を払ったことで帰ってきたものの………
「いや〜、やっちまったぜ〜!しばらく給料無しはキツいな〜。」
「は?やっちまったぜ、じゃないでしょ?」
「仕方ねえだろ、しのぶ。負けたバカが通報しやがったんだよ‼︎ったく、博打の心構えってもんがねえのかって話だよな‼︎法律でも禁止しやがってよぉ。いい加減にしろってんだ!お前も分かるだろ⁉︎」
本人は全く反省していなかった。それどころか、他人のせいにする始末。まるで自分が天災にでも遭ったかのような口ぶりだ。その有様に、私は堪忍袋の緒が切れた。
「しつこい。」
「は?」
「アンタたち博打打ちは本当にしつこい。飽き飽きする。心底うんざりした。口を開けば下振れ、運が悪かった、次は勝てるなどバカの一つ覚え。アンタは生きているんだからそれで充分でしょ?お金が無くなったからなんだって言うの?自分は幸運だったと思い、博打のない生活を続ければ済むこと。」
「お前は何を言ってるんだ?」
「博打で負けるのは大災に遭ったと同じだと思え?バカ言わないで。するなってことでしょ。なにも難しく考える必要はない。法律で禁止されてるんだから、それをしなければいいだけのこと。失った金が戻ってくることはないの。いつまでのそんな事にこだわってないで、日銭を稼いで静かに暮らせばいいでしょ?ほとんどの人間がそうしている。でも何故アンタたち博打打ちはそうしない?」
「…………」
「理由は一つ。博打打ちは異常者の集まりだからよ。異常者の相手は疲れた。いい加減にしてほしいのは私の方よ。」
「しのぶ…………」
言ってやった。言ってやったぞ。ここまで言われたら反省するかな?
「しつこい。お前は本当にしつこい。飽き飽きする。心底うんざりだ。口を開けば仕事しろだの博打するなだの………」
そんなことはなかった。決して反省しない。コイツはそういう男だった。
「サイコロステーキ、」
「あ?」
「アンタは存在してはいけない生き物よ。」
「はぁ⁉︎お前ふざけんなよ‼︎」
「博打やるなら養わないから。」
「やめてくれ‼︎それだけは困る‼︎俺は働きたくないんだ‼︎頼むしのぶ様、どうか俺を社会の荒波に連れて行かないでくれ‼︎お願いだぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「じゃあ博打やらないこと。いい?」
「分かり………ました………」
ということで、私はサイコロステーキの博打を禁止した。警察のお世話になったら流石にダメだよね。
数日後、私たちはいよいよ柱稽古の日を迎えた。前の柱を終えた隊士たちが、次々と蝶屋敷へやってきた。
「テーテテテーテテテー♪テテテテー♪テテテテー♪(JRA競馬のファンファーレ)」
「「「…………?」」」
「ということで、花柱・胡蝶カナエさんの稽古では競馬ならぬ競人を開催します‼︎命ならぬ金を賭けて大決闘だ!」
そして、サイコロステーキは相変わらず反省していなかった。
「アンタ、何してんのよ⁉︎金を賭けるなって言わなかったっけ⁉︎」
「しのぶ、俺が賭けるわけじゃねえから大丈夫だろ。」
「バカ、このアホ‼︎人にもやらせるな‼︎」
「ちなみに俺の財布の中身が勝手に動いてしまう怪奇現象が発生する恐れがあるが、気にすんな。」
「アンタやる気でしょ‼︎」
賭博場は開いてもダメなの知らない⁉︎もう一回刑務所に入れた方がいいんじゃないかな⁉︎全く、このバカは………っ‼︎
「みんな〜、頑張って走ったらこの新婚さんのご飯が食べられるわよ〜♪」
「「「なにっ⁉︎」」」
「しのぶさんのご飯………か。」
「俺いつも以上に速く走れそうだ。」
「徒競走の倉橋とは俺のことだ!」
ちなみに隊員たちは姉さんに騙されていた。いや、嘘は言ってないんだけど。ご飯作るのはサイコロステーキね。まあその美味しさにすぐ虜になると思うけど。あと姉さん、私たち結婚してないから。勘違いしないで。
短距離走を走る隊員たちを横目に、私は薬の開発に勤しんでいた。すると、外から変な会話が聞こえてきた。
「ねえ、おかしくない?」
「うん、私もおかしいと思う。」
「蝶屋敷なのにねぇ。」
女子隊員たちだ。蝶屋敷なのに蝶々がいないって話?それとも男がいるって話?でもサイコロステーキは前からいるし、今更変に思うことじゃないような………
「「「あの変な男にナンパされないなんて。」」」
そこ⁉︎いつもナンパされてたってこと⁉︎そんなもの蝶屋敷あるあるにしてもらっちゃ困るわよ‼︎全く、アイツが誰にでも声かけるから………っ‼︎
「私老けたのかな………?」
「いや、そんなことないでしょ。」
「それともあの男が柱じゃなくなったから?」
「入隊したての頃からああらしいよ。」
「噂では結婚したとかいう話らしいけど………」
「「嘘でしょ、あの男が⁉︎」」
サイコロステーキが結婚。どうせまた姉さんが変な噂を流したのだろう。本当にやめてほしい。私は養うとは言ったけど、結婚するだなんて一言も…………あれ?これって結婚するって意味じゃ………?
「あぁぁぁぁぁぁ⁉︎///」
「「「しのぶさん⁉︎」」」
「あっ、ごめんなさい‼︎なんでもないです‼︎///」
「「「は、はい…………」」」
ヤバいヤバいヤバい‼︎だからアイツ最近全然ナンパしてなかったの⁉︎嘘でしょ‼︎というか、鬼舞辻倒した後も料理作ってって………私酔った勢いでなんてこと言っちゃってるの⁉︎あぁぁぁぁぁやらかしたぁぁぁぁ‼︎
「しのぶ、ちょっといいか?」
しかも本人が来ちゃったし‼︎なんでずっとそんな平然としていられるのよ⁉︎隊員たちに噂されてるんだよ⁉︎結婚するって事になってんのよ⁉︎普通もっと緊張するじゃない⁉︎
「な、何よ⁉︎///」
「お金貸してくれ。ちょっと増やしてくる。」
「ダメ。」
「くそぉぉぉぉぉ‼︎しれっと言う作戦がぁぁぁぁぁぁ‼︎」
コイツはそんな私を落ち着かせてくれた。どんだけやりたいのよ。
その日の夜、私たちの元に不死川さんが訪れた。
「よぉしのぶ*1。サイコロステーキはいるかァ?」
姉さんじゃないんだと思いつつ、私は答える。
「サイコロステーキならそこにいますよ。お〜い、サイコロステーキ!」
「なんだ、しのぶ………ってスケベ川さん⁉︎どうしてここに⁉︎」
「テメェぶち殺すぞォ‼︎」
相変わらず先輩に失礼な態度。博打打ち相手にはちゃんとした態度出来るんだから、他の人にもやればいいのに。
それにしても、なんで不死川さんは来たのだろう?
「それはさておき……サイコロステーキ、テメェは元柱だろォ?上弦だって何体も葬ってる。」
「はい、そうですが………」
「そうやって成果を沢山あげてきたテメェと稽古しようと思ってなァ。」
「お断りします‼︎」
なるほど、それなら納得。博打のことを反省してもらうためにも、ここで一発不死川さんに叩いてもらうか。
「不死川さん、どうぞ!思いっきりやっちゃってください!」
「おい、ふざけんなよしのぶ‼︎俺は安全に生きたい人間なんだぞ⁉︎」
「そういやテメェ捕まったらしいなァ。これはお仕置きが必要かァ………?」
「要らない!要らないですから!大人しくカナエさんと夜の稽古して下さい‼︎」
「おいテメェ‼︎カナエは関係無えだろ‼︎」
「不死川さん、コイツ上弦の弐を葬った型を持ってます!ですから、稽古の相手に相応しいかと!」
「おお、いいじゃねえかァ!」
「伍ノ目は人間に使ったら絶対死ぬから‼︎当たるかどうかも運任せだし‼︎稽古でやる意味無ねえって‼︎」
そういや、賽の呼吸を最近全然見てないな。壱ノ目・双六、弐ノ目・丁半、参ノ目・
「ちなみにサイコロって6まで目があるよね?」
「そりゃそうだろ。何今更そんな事言ってんだ?」
「ならさ、賽の呼吸も陸ノ目まであるの?」
「………あるぞ。今から見せようか?」
「ありがと。」
「少し離れてろよ。あっ、不死川さんは近くで喰らってください。」
「なんでだよ⁉︎」
あるんだ。6って言うからには、5よりすごいんだろうなぁ。5であの威力だから、6とかどうなっちゃうんだろう。そういや、なんで言い淀んだのかな?
「賽の呼吸 陸ノ目
そう言ってサイコロステーキは、なんかめちゃくちゃ手を動かして刀を振った。それはまるで、みじん切りだった。小さく、しょぼく、ダサく、まるで何も思い浮かばなかったから適当に考えたかのようだった。
「それ絶対今考えたでしょ。」
「ち、違えよ‼︎こ、これはサイコロの出目でな………」
「不死川さん、刀に描かれたサイコロって回ってました?」
「いや、全然。」
「ちょっとぉぉぉぉぉ‼︎言わないでくださいよ⁉︎」
「何も思いつかなかったから適当に考えたんだねw無い頭を振り絞って。すごいすごいw」
「うるせえぇぇぇぇぇ!」
あー面白い!この醜態を見たら、博打で金溶かすのは少しだけ許せそうだ。いや、絶対許せないな。そんな事を思った日だった。
side 無惨
ようやく見つけた…………産屋敷の家‼︎
「デカしたぞ、脇毛鬼‼︎」
「私めはすね毛鬼でございます。」
「うるさい‼︎」
変態鬼が毛を伸ばして探知してくれた。頭はおかしいが、感謝しないとな。
さて、産屋敷め…………どうやって殺そうか‼︎
いよいよ次は無惨戦です!GWだから更新早くなるかも!お楽しみに!