サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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最終話 サイコロ男と毒女

  side しのぶ

 

 無惨との最終決戦、もといパチンコグランドオープンの翌日のこと。私たちは最後の柱合会議に出席していた。

 

「今日は来てくれてありがとう。行冥、天元、義勇、カナエ、実弥、しのぶ、サイコロステーキ、杏寿郎、無一郎、小芭内、蜜璃。」

 

 お館様は今までの病気が嘘のように治り、とても元気な姿になっていた。鬼舞辻を倒したことが関係しているのだろうか。正直私でも分からない。 

 

「まさか全員揃って鬼舞辻を倒せるとは思わなかったよ。本当にありがとう。」

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

「お頭をお上げくださいませ、お館様!」

 

 そして、鬼殺隊の長ともあろうお方が私たちに頭を下げてくださった。本当に素晴らしいお方だ。流石のサイコロステーキも、この様子を見たら態度を改めるだろう。

 

「で、退職金はいくら貰えます?」

 

 そんな事はなかった。本当にコイツは………っ!

 

「アンタ、ちょっとは敬うとかしなさいよ‼︎最後なんだしさ‼︎」

「誠意というのは礼儀じゃなくて金だろ?」

「なわけあるか‼︎本当に申し訳ございません、お館様‼︎」

「いいんだよ。サイコロステーキには本当にお世話になったからねぇ。」

「そうでしょうそうでしょう‼︎」

「アンタは調子に乗るな‼︎」

 

 まるで目の前の人間を札束としか思ってないかのような態度。本当に最初から最後まで失礼な奴だな。そういうところは全く成長しなかった。お館様もこんな奴に退職金なんか渡さなくていいのに。

 

「ほれ、これがサイコロステーキの分の退職金だよ。」

 

 そんな事を思っていると、お館様がサイコロステーキの退職金を封筒に入れて渡してきた…………私に。

 

「「えっ?」」

「しのぶは奥さんなんだから、彼のお金も管理してあげてね。」

 

 なるほど、そういうことか!それなら納得!どうせコイツに渡しても、無駄遣いされるだけだしね‼︎

 

「分かりました♪」

「ちょっと待って下さいよ‼︎それは俺の金でしょう⁉︎」

「アンタの金は私の金よ♪」

「テメェふざけんな‼︎返せぇぇぇぇぇ‼︎」

「いい加減諦めろォ、サイコロステーキ。」

「貴様はどうせすぐ博打に溶かして捕まるだろう?ならばこれは合理的な采配だ。」

「確かに。」

「夫婦で仲良く財布を一つ………嗚呼、尊い………」

「派手に子育てにでも使いな‼︎」

「自分のために使うより有意義だろう‼︎‼︎」

「「2人とも仲良く、ね!」」

「…………」

「皆さんも見守ってないで取り返して下さいよぉぉぉぉぉぉ‼︎」

「ドンマイ♪」

「しのぶ、お前だけは許さねえぞ‼︎」

 

 まあ、お小遣いとして全額渡すからいいよね。博打には使わせないけど。合法化したらいいけど、非合法なら捕まるし。犯罪はやっぱりいけないよね、うん!

 

 

 

 

 

 最後の柱合会議後、私たちは蝶屋敷へと戻ってきた。

 

「しのぶ、お金ちょうだい♪」

「博打に使わないならいいよ?」

「なんでそういう縛りを課す?お前は俺をいじめたいのか?」

「別にそういうわけじゃないよ。ただ博打は犯罪だからな〜♪」

「法律如きで俺を縛れると思うなよ?」

「縛られろ‼︎」

 

 そこではカナヲたちが炭治郎君たちと談笑しながら待っていた。

 

「「「「「おかえりなさい!」」」」」

「ただいま帰ったわ!」

「世界一カッコいい男が帰ってきたぜ。」

「ごめんね、皆。最後までサイコロステーキがこんな感じで。」

「「「慣れました!」」」

「ごめんね。」

 

 カナヲとアオイ。拾った時は本当に弱っていたけど、ここまで回復した上に、立派になるとは………。成長したね。なんだか涙が出てきそうだ…………

 

「師範、泣かないでください……!」

「大丈夫ですか⁉︎」

「いや、その………感動してるだけだから………」

「サイコロステーキ、しのぶを慰める番よ!心も身体も!」

「一言余計ですよ、カナエさん⁉︎///」

 

 鬼殺隊を辞めた後は、この病院を民間用に転用する。だから皆とお別れするわけじゃないけど、一緒にいる時間は短くなる。アオイとカナヲはここで働きながら、2人とも炭治郎君の家で善逸君や伊之助君たちと暮らすから。すみ・きよ・なほも結婚相手が見つかったので引越すし、姉さんも不死川さんの家で暮らしながら通うことになるし。みんながそれぞれの人生を歩み始めるのだ。

 

「そういや愈史郎、お前はどうするんだ?」

「俺か?俺は引きこもって珠世様の絵を描き続けるが………」

「それはいい………いいんだが、ついでにで病院で働かないか?俺の顔を見ていれば寂しさも紛れるだろ?」

「お前が一番要らねえよ‼︎」

「なんだと⁉︎」

 

 そんな中、唯一私とずっと一緒に暮らすことになるサイコロステーキ。なんだかんだ色んな人を気遣ってくれる。これで博打好きな性格が無ければ良かったんだけどな。まあ、それも個性だから仕方ないか。鬼舞辻すら狂わせるほどの血の持ち主だもんね。

 

 

 

 

 

 しばらく準備やらでドタバタした後、とうとう皆が引越してしまい、2人きりで過ごす最初の夜がやってきた。

 

「なんだか寂しくなったね。」

「だな。2人だけだと、随分と広いな。」

「そうね………」

 

 この静けさ、刀鍛冶の里でのことを思い出す。あの時も2人同じ部屋で泊まったな。今日からはそれがずっと続く。そう思うと、なんだか不思議な気持ちになった。

 

「しのぶ、そういや名前なんだけどさ………」

「名前?」

「胡蝶ステーキとサイコロしのぶ、どっちがいいと思う?」

「なにその芸人みたいな名前。」

「結婚したらどっちの苗字にするか、だよ。」

 

 そういや考えてなかった。でも、答えは決まってるな。私たちの思い出は、この蝶屋敷で作られたものだから………

 

「ならアンタが良ければ………胡蝶でいいかな?」

「いいぜ‼︎よろしくな‼︎」

「うん!」

 

 やはりこっちだろう。それに、彼は実家にあまりいい思い出がないし。いい思い出がある胡蝶の方が本人にとっても嬉しいかな?

 

「それからよ、夫婦の役割分担の話なんだが………」

「ん?役割分担?」

「お前が金を稼ぐ係で俺が金を使う係な。」

「そんなの認められるかぁ‼︎」

「間違えた、俺は金を賭ける係な。」

「もっとダメでしょ‼︎」

 

 にしても、相変わらず博打する気マンマンね。確か八之森さんとパチンコ屋を共同経営するって言ってたけど、客としても普通に行きそうよね。しかも三店方式という変な手法で法律の目を掻い潜るらしい。カナヲも副業で絡む*1とのこと。まあ私としては、捕まらなければ打たせてもいいかな。別に好きなものを規制したいわけじゃないし。

 

「でもまあ、法律に引っかからなければやってもいいよ。」

「ありがとう。その言葉を待ってたぜ!」

「ホント好きよね。」

「お前と同じくらいにな///」

「えっ…………///」

 

 ちょっと‼︎急に言うのやめてよ‼︎ドキッとするじゃん‼︎今までそんな直接的に言われたことなかったから、緊張しちゃうって‼︎ああ、もう、言っちゃえ〜‼︎

 

「わ、私も好き………///」

「そうか………///」

「これからも、よろしくね………///」

「こちらこそ、よろしくな………///」

 

 最終選抜で会った、木に火をつけた馬鹿な男。まさかその男と結婚するなんて。あの時は思ってもいなかった。博打が大好きなサイコロ男と、薬づくりが得意な毒女。こんな数奇な2人でどんな家庭を作っていくのか、それが楽しみに感じた日だった。

*1
パチ屋が八之森さん、景品交換所がサイコロステーキ、問屋がカナヲ




これにて「サイコロ男と毒女」は完結です!2人の物語は如何だったでしょうか⁉︎今まで読んでくださり、ありがとうございました‼︎
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