side しのぶ
ある日の休日。私はいつものように、家で勉強に励んでいた。
「この確率の問題、難しいな………」
私は難関大学の薬学部志望。だから難しい数学の問題も解かなきゃいけない。困ったな。数学、あんまり得意じゃないんだよな………
「しのぶ〜!そんな貴女に、先生を用意したわよ。」
「姉さん?」
そんな事を思っていると、カナエ姉さんが部屋に入ってきた。先生?まさか不死川先生?確かに姉さんと仲良いけど、そんな家に遊びに来るほどだっけ?まあいっか。そう思い、私は振り向くと………
「パチンコ算か?ならこのサイコロステーキにお任せあれ!」
そこにはバカがいた。
「姉さん、要らないから捨ててきて。」
「しのぶ、そんな事言わないの!将来の旦那さんでしょ?」
「違う‼︎誰がこんなのと結婚するか‼︎」
「そりゃカナエさんとかカナヲとかアオイとか………」
「そんなわけないでしょ‼︎」
「カナエ姉さん………痴話喧嘩ですか?」
「おはよ〜、カナヲ!そうよ!」
「「違う‼︎///」」
いい先生がいると思って期待した私がバカだった。いつも姉さんやカナヲはこうやって私を揶揄ってくるんだから‼︎コイツはただ歳が同じだけの腐れ縁‼︎本当に何も無いし‼︎
「しのぶ、あんまりキツい言い方しないの。今日からお隣さんになるのよ?」
何も………無いし………?
「えっ?」
「そうだな。隣に引っ越してきたぜ!」
「はぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
嘘でしょ⁉︎コイツがお隣さん⁉︎マジで⁉︎
「あれ?隣ってアオイの家ですよね?逆隣は病院だし………」
まさか、アオイと同棲始めたの⁉︎それか病院に採用⁉︎コイツに限ってどっちもあり得ない‼︎なんならアオイは好きな人いるし‼︎本当にどういうこと⁉︎
「そうだよ姉さん。変な冗談はやめて………」
「しのぶの隣に物置にしてた空き部屋、あったわよね?」
えっ………?は………?嘘でしょ………?まさか同じ屋根の下の、隣の部屋…………?
「は?同棲ってこと………?」
「そういうことだよ。俺はカナエさんやカナヲと隣が良かったんだけどな。おじさんやおばさん*1がここしか空いてないって。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
嘘でしょ⁉︎なんでコイツと一緒に住まなきゃいけないのよ⁉︎しかも隣の部屋に⁉︎嫌なんだけど⁉︎本当に最悪‼︎
「結婚、おめでとうございます!」
「違う‼︎本当に意味分かんないんだけど⁉︎」
「俺の家、父親が不倫して出て行ってな。母親もギャンブルで負けて借金作りまくったんだ。それで債務整理とか言って捨てられた。」
「それをお父さんとお母さんが拾ったのよ。」
「嘘でしょ⁉︎めちゃくちゃじゃん‼︎」
「俺もそう思う。」
しかも理由が酷い‼︎確かにコイツの両親が最悪なのは知ってたけど‼︎父親もずっと不倫してたし、母親はギャンブルで負けて借金しまくってたし‼︎でも、ここまでだとは思ってなかったよ‼︎
「サイコロステーキ先輩、ごめんなさい。そんな辛いことがあったなんて……」
「大丈夫だぜ、カナヲ。全然気にしてねえよ!それに、お前と一緒に住めて良かったと思ってるぜ!」
「それはしのぶ姉さんに言ってあげてください!」
「言わなくていいからね⁉︎」
「しのぶは要らん‼︎隣の定食屋にいるアオイと交換だ‼︎」
「アンタ窓から捨てるわよ‼︎」
そんな状況なのに、あまりにも太々しすぎるサイコロステーキ。普通悲しむなり不安になるなりするだろうに。むしろ母さんや姉さんやカナヲと一緒に住めて、アオイともお隣さんになれて良かったと思ってそうだし‼︎
「おっ、しのぶとサイコロステーキ、早速痴話喧嘩してるのか。」
「お父さんとの若い頃を思い出すわ♪」
「父さん、母さん‼︎コイツ追い出して‼︎」
「はぁ⁉︎ふざけんなよ⁉︎お前、俺の『美少女と一つ屋根の下、イチャイチャ生活』を邪魔するのか⁉︎」
「アンタは変なタイトルつけんな‼︎」
「それでは聴いてください。」
「メンデルスゾーン作曲、結婚行進曲!」
「「2人は変な歌を歌わないで(ください)‼︎///」」
ということで、私はサイコロステーキと同棲する羽目になってしまったのだった…………
・胡蝶家 周辺の敷地
北側 鎹内科クリニック
東側 定食屋あおぞら (アオイの実家)
西側 鎹内科クリニック駐車場
南側 道路
・胡蝶家 フロアマップ
1階 胡蝶調剤薬局(しのぶの両親がやってる薬局)
2階 居間、キッチン、風呂、洗面所、しのぶの両親の部屋
3階 子供部屋×4(西から順に、サイコロステーキ、しのぶ、カナエ、カナヲ)
ちなみにカナヲの部屋から、隣の家のアオイの部屋が見れる