サイコロ男と毒女   作:スピリタス3世

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第八話 巨大城での死闘 後編

  side しのぶ

 

 さて、この琵琶鬼をどうやって殺そうか………

 

「賽の呼吸 壱ノ目 双六‼︎」

「………」ベベン!

「なっ⁉︎」

 

 サイコロステーキが突っ込んだ瞬間、琵琶の音が鳴った。そしてその刹那、突如空中に現れた襖の中にサイコロステーキは飛び込んでいき………

 

「あれ………?」

 

 何故か私の後ろに転がり落ちてきた。前に動いていたはずなのに。まるで瞬間移動したかの如く、物理的にあり得ない動きだった。

 

「空間転移系の血鬼術ね。」

「それだけだと思いますか?」

「えっ?」ベベン!

 

 次は………隣から壁が迫り出してきた‼︎襖の瞬間移動以外もできるのか!とりあえず、壁ごと壊すのは突き技じゃ無理‼︎だから早く逃げないと‼︎

 

「危なっ!」

「危うく落とされるところだったぜ………」

 

 サイコロステーキも無事逃げられた模様。だが相手は思ったより強敵だ。私たちは一応柱とはいえ、騙し討ちで下弦の伍を倒しただけ。だから真っ向勝負では他の下弦どころか、十二鬼月手前の鬼にも勝てる気がしない。そして、この鬼は恐らく十二鬼月手前くらいの実力。さて、どうしよう………

 

「城を手足のように動かすんだな。お前の血鬼術か?」

「見れば分かるでしょう。」

 

 今は昼。だから前みたいに日光に晒して倒したいが、城が広すぎて端に到達できない。そもそも血鬼術で端の概念があるかも分からない。更には完全に閉じ込められていて、外からの援軍も呼ぶことができない。これは結構まずい状況だな……

 

「なるほどな………しのぶ、しょんべんするからこっち見んなよ‼︎」

 

 そんな事を考えてたら、バカがバカな事をし始めた。

 

「アンタ何してんの⁉︎」

「人前で小便を垂れ流すとか、何を考えてるんですか?」

「自分の家でしょんべんされたら追い出すだろ?」

「バカじゃないの⁉︎」

「つーかしのぶよ。お前は俺が前もしょんべんしたの知ってるんだから驚くなよ。」

「同じ愚行を二回もしたら驚くでしょ‼︎」

「前もしたんですか?」

「うん………」

「あっ、うんこの方が良かったか?」

「「そういう問題じゃない‼︎」」

 

 城を汚して追い出してもらうとか、ホント発想がバカすぎる。もうこんなのに構ってられない‼︎

 

「ならば、お前の嫌いな博打をここでやるか。」

「本当に殺されたいのですか?」ベベン!ベベン!

「うわっ、めっちゃ壁飛んできた‼︎危なっ‼︎」

 

 相手がサイコロステーキに構ってるうちに…………

 

「蟲の呼吸 蜈蚣(ごこう)ノ舞 百足蛇腹(ひゃくそくじゃばら)‼︎」

 

 一気に詰め寄って刺す‼︎

 

「なっ‼︎速っ…………‼︎」ベベン!

 

 くそっ!ギリギリ間に合わされた。襖で元いた場所まで一気に戻される。でも剣の一部を刺すことができたから、毒は確実に注入できたはず。

 

「うあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 良かった、ちゃんと毒は入ったみたい。だがこれでは足りない。あと一撃入れないと‼︎

 

「しのぶ、やっぱお前速いな。全然目で見えなかったぜ。」

「力無い分速度に特化したからね。」

「俺も負けてられねえぜ‼︎」

 

 サイコロステーキもあんだけ集中砲火を受けておきながら、全部避け切って傷無し。やっぱり普通に強いんだから、普通に戦えばいいのに‼︎

 

「ここで絶対にゾロ目を出す‼︎」

「「は?」」

 

 そんな事を思っていたら、意味わかんない事を言い始めた。まさか、こんなところで博打を………?

 

「博打狂いはやはり醜いです………だから殺し甲斐があります!」ベベン!

「賽の呼吸 肆ノ目 (あらし)‼︎」

「なっ………!壁が全部破壊され………っ⁉︎」

「お前の首もな‼︎」

「えっ…………?」

 

 正面から来た敵の壁攻撃を、嵐を巻き起こすような連撃で全て破壊。更にはそのまま鬼の首まで吹き飛ばす威力。まさかさっきのゾロ目云々って…………

 

「もしかして、ゾロ目が出たから成功した的な?」

「正解!この肆ノ目はサイコロを2個*1振ってゾロ目が出たら大打撃を与える型だぜ‼︎」

「ちなみに揃わなかったら………?」

「不発‼︎」

「だいたい揃わなくない⁉︎」

「だからこそ、揃った時が強えんだよ‼︎」

「なるほどね………」

 

 またもや運頼みの型だった。しかもゾロ目が出る確率とか、今までの1/2より低い。確か1/6なはず。それをこんなところで大博打打ってくるとか、ホントコイツは呆れた博打狂いだ。

 

 

 

 

  side 鳴女

 

 なんで博打狂いに殺されなければいけないのか………。呼吸が博打要素しかないとか、本当にイカれてる。なんで当たって私が死ななければいけないんだよ………。私の人生、博打に狂わされてばかりだ………。そんな事を思いながら、地獄の扉を開けると…………

 

「っしゃあ親で嵐や‼︎お前ら1万円持って集合じゃぁぁぁぁい‼︎」

「「「くそがぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

 チンチロで勝ってはしゃいでる元夫がいたので、

 

「死ね。」バゴン!

「ぐえっ…………なんでお前が………っ‼︎」バタン

「「「ありがとうございます‼︎」」」

 

 金槌で殴って殺しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

  side しのぶ

 

 なんとか琵琶鬼を倒せた。後は脱出するだけ………

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 そんな事を思ってたら、いきなり城が音を立てて崩れ始めた。

 

「えっ⁉︎嘘でしょ⁉︎」

「マジかよ‼︎このままだと瓦礫に押し潰される‼︎」

 

 このままだと下敷きになる‼︎そしたら2人共々お陀仏だ‼︎鬼を倒したのに関係ないとこで死んでいる場合じゃない‼︎

 

「瓦礫を壊さないと………っ!」

「任せろ‼︎賽の呼吸 肆ノ目 嵐………くそっ、不発だ‼︎」

「それだいたい不発でしょ‼︎」

「連発すればいつかは当たる‼︎嵐‼︎嵐‼︎嵐‼︎」

 

 地面が競り上がるとともに、壁や天井が音を立てて崩れていく。なんとか突き技と賽の呼吸で瓦礫を壊しているものの、間に合わない………っ‼︎

 

「しのぶ、俺の下に隠れろ‼︎」

 

 そんな事を思っていたら、サイコロステーキが私の上に覆い被さった。

 

「サイコロステーキ?それじゃあアンタが怪我するんじゃ………」

「どうせお前が治してくれるだろ‼︎それに頑丈な俺が盾になった方がいいはずだ‼︎いいから早く‼︎」

 

 何も躊躇わずに、私のことを庇ってくれる。それでいて私に引け目を感じさせないよう、私の特技を活かした役割を与えてくれる。本当は自分が誰よりも生き残りたいはずなのに。誰よりも危ない目に遭いたくないはずなのに。

 

「ありがとう………///」

 

 普段は馬鹿な奴だけど、この時ばかりは思わず赤面してしまった。

 

 

 

 

 

 

 しばらくした後、私たちはなんとか地上に脱出することができた。

 

「危なかった………思ったより瓦礫が少なかったからへっちゃらだぜ!」

 

 そういうサイコロステーキの顔は血まみれ傷だらけだった。たくさんの瓦礫にぶつかりながらも、嫌な顔一つせず私を庇ってくれた。太陽に照らされてにかっと笑う彼。気がついたら胸の高鳴りが止まらなくなってしまった。

 

「ありがとう………とりあえず治療するから帰るよ///」

「お前、血出てないのに顔赤いな?なんで?」

「うるさい‼︎静かにしてないと傷口開くから!///」

「なるほどな〜♪やっぱお前、チョロいな♪」

「だからうるさいって‼︎///」

 

 日頃はここで評価を下げるんだけど、今日ばかりはどうしても照れたままだった。

 

「ひょっひょっひょ。私は上弦の伍・玉壺と申すものなり。鳴女殿の危機を聞いて参上………って太陽がぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 そのせいで、そばで勝手に死んだ上弦のことすら、全く気付かぬまま屋敷に帰ってきたのだった。

 

 

 

 

 

  side 無惨

 

 俊國していたら、無限城が消滅していた。

 

「何をしている、鳴女ぇぇぇぇぇ‼︎」

*1
元ネタであるチンチロは3個ですが、難易度を下げるためにこうしてます。

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