ロボアニメ世界に転生したので、最高に気持ち悪い謎の仮面キャラを貫くことにする。   作:聖成 家康

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十九話 君はこの世界の内紛をどう思う?

 

 動揺を心内に留めているようだが、明らかに隠しきれていない。

 やはり、ミハイル――否、ミラにとってリアムという人間は特別な存在であるらしい。

 

 ファーストシーズン最終話。

 記憶を取り戻し、初めて見た光景。

 

 悲哀に満ち、精神的に追い込まれていたリアム・ソナタと自分の妹のクローンを作った、愚かな親族への怒りに満ちていたミラ。

 

 ミラは彼に打ち負け、死を覚悟した。

 

 だが彼が掛けた言葉は、「生きろ」という呪いの言葉。

 

 それは今、ミハイルとなった彼女の頭に根強く残っている。

 

 

「……隠しているのは、お互い様ではないのか? 《煉獄の凶星》よ」

「ッ……!!」

 

 

 彼女の警戒心は、確かなる敵対心へと早変わりした。

 むしろここまで懐を探られて、警戒しないほうが心配である。

 

 

「お前は一体……?」

「私はミスター・ウィザード。人呼んで、”武士道を極めし道化師”、といったところかな」

 

 

 

 

 

 こんなときまで冗談を言う彼を、ミハイルは心の底からおかしく感じていた。狂っている。――自分も人のことを言える立ち位置ではないのだが。少なくともこの男ほどではない。

 

 

 否、そんな事よりもだ。

 

 どうして、どこの馬の骨とも知らないこの男が自分の正体を知っている?

 

 リックとディアスが? いや、二人がそんな事をする訳がないし、たとえ拷問されたとしても吐かないだろう。

 

 

「お互い、知られたくないことを共有した仲だ。私の頼みを聞いてはくれないか?」

「頼み……?」

 

 ミハイルはこれまでの彼の行いを振り返り、少し嫌悪を示す。

 だが、突きつけられたのは思ってもみない提案であった。

 

 

「会ってくれないか」

「なぜ私が……」

 

 

 おかしな提案だ。

 彼はリアムと自分に接点があることなど知るはずがない。

 

 

「ふざけたことを言わないで。なぜ私が連盟の英雄に会わなくてはならないの」

「人の話は最後まで聞くといい」

 

 

 ミハイルの言葉を遮り、ウィザードが話を続けた。

 

 

「リアム・ソナタ本人ではなく、彼と一緒にいる()()()に、だ」

「な――」

 

 

 ウィザードの口から吐露された言葉に、ミハイルはいよいよ驚愕した。

 妹が、アルバ・ヴァルーツが彼と共にいるという事実は勿論。この男が彼女と自分が姉妹であることを認知していることにもだ。

 

 

「さぁ、そこまで聞いて。君の答えはどうだ?」

 

 

 会いたい。

 彼女の本音はそれだ。

 

 

 

 でも。

 

 

「……できない」

 

 

 ミハイルは苦汁を漏らすように呟く。

 

 

「今の私は、ミハイル・バジーナ大尉だ……それ以上でもそれ以下でもない……。私には私の、役割ができてしまった」

「……要は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と?」

 

 

 

 

 彼女の言いたいことは、ウィザードにもよく分かる。

 

 ファーストシーズンのミラは十八歳。

 とにかく強気で、自分に自信があり若々しさに満ちていた。十代にして赤いゲイズチェイスを駆り戦艦を一人で六隻沈め、少佐にまで上り詰めた。

 だが、セカンドシーズン――二十六歳となった彼女には年相応の責任感と落ち着きが宿ってしまった。

 

 見ていた側としては少し残念だ。

 

 ミハイルは《ラウンズ》でも、艦長と直々に作戦行動について相談できるくらいには高い地位にいる。

 そんな彼女が勝手な行動をすれば、周囲からの失望は計り知れない。

 

 

「……ゆっくり考えろ。案ずるな。私は、君の正体を誰にも漏らしたりはしない」

「待て!!」

 

 

 不意に声を荒げたミハイルは、気不味い思いを飲み込みながらも、ウィザードの背中に拳銃を突きつけた。

 

 

「どこにそんな保証がある? お前のような狂人を信用しろと?」

「私を撃ち殺しても、君の罪が増えるだけだ」

 

 

 ウィザードは落ち着いてはいたが、内心彼女の気迫に押され気味だった。

 《煉獄の凶星》とまで恐れられた女性は伊達では無いと再認識させられる。その片鱗が、ミハイルであった彼女から垣間見えている。

 

「お前、本当に連盟軍人なのか?」

「疑うか。地球のことについては詳しいつもりだが」

 

 銃口がぐぐっ、と押し当てられる。

 撃つわけない――とは思っていたが、それはミハイル・バジーナであればの話。ミラ・ヴァルーツなら、やりかねない。

 

 

「見張りでもつけておけば良い。君のことだから、素性を明かしている人間の一人や二人いるのだろう? それとも、()()()()()()()()()()()()()()()?」

「……そういう取引は気に食わない。手玉に取られているみたいでね」

 

 

 ミハイルは未だ彼を疑っている様子だったが、渋々拳銃を下ろす。これ以上面倒事を増やしたくはないようだ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「二人ともか」

 

 

 ウィザードは解放されて初めての食堂で、肩身の狭い思いをしていた。

 

 スキンヘッドのリックと圧の凄い眼鏡の青年 ディアスに挟まれ、その瞳孔を四六時中突きつけられている。

 

 

「まァお嬢の言う事だ。暫く仲良くしようや」

「貴様、お嬢に手を出したらタダじゃおかないぞ」

 

 

 白米、味噌汁、魚の味噌煮に漬物。

 久しぶりの健康的な食事にありつけたというのに、凄まじい制約付きとは。

 

 ウィザードはこんな状況であれど、「いただきます」を欠かさずに食事に入る。

 

 

 リック、ディアス。二人はセカンドシーズンからの初登場。

 初めの方こそ、人員が少ないため活躍はできていたが、だんだん出番がなくなってきて、死ぬこともなく姿を消した()()だ。

 

 

「たっ、大尉? どうかしました?」

 

 

 食事を持ってきたアスカが、その異様な光景を前にたじろぐ。

 

 

「気にするな」

「男同士、肌身を感じて語りたいこともあるのさ、嬢ちゃん」

 

 

 何だか嫌そうだったが、ウィザードと向き合うように座り、食事を始める。

 彼の顔をちらちら見ていたが、視線に気づかれて微笑みを送られると、即座に視点を料理の方に落とした。

 

 

「鍛錬は怠っていないだろうな、アスカ少尉」

「分かってますよ、ディアス中尉。ボクだって子供じゃないんです」

 

 

 ついでと言わんばかりに、アスカに対し小言を言うディアス。彼女からしたら厄介極まりない男なのは間違いない。

 

 

「大尉、良かったですね。すぐに出られて」

「あぁ。運が味方についたと言ったところだ」

 

 

 アスカの笑顔だけが心の拠り所だ。この狭苦しい鳥籠の中では。

 

 

「そういや嬢ちゃん」

「嬢ちゃんって呼び方やめてください」

「――少尉。おまえ、”アストラル”の整備順調なのか? やっとかないと、大尉にどやされちまうぞ」

「順調ですって。二人してボクが怠け者みたいに……」

 

 

 アスカはため息混じりに愚痴を吐く。

 

 

「念の為だよ、念の為」

「万一できていなかった、は通用しないぞ」

「あぁもう!! うるさいなぁ!!」

 

 

 小言にうんざりしたアスカが叫び声を上げると、ウィザードが口を開く。

 

 

「アスカ。食事の時は大声を出すな」

 

 

 唐突な、しかも普段真面目とはほど遠い人間からの真面目な発言で、その場は凍りついた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ”レギオンMk-II”を見上げるファウストは、待っていた。

 

 朗報となるか悲報となるか定かではない、送り出したアリアからの報告のことを。

 

 

「ファウスト様、捜査に出した〈スピーラー〉からの通信です」

「……繋げ」

 

 

 彼のやってきた部下から通信端末を受け取り、耳にはめ込む。

 ノイズ混じりだが、そこからハキハキとした彼の声が聞こえてきた。

 

 

《ファウスト様。アリアです》

「御託はいい。結果は」 

 

 

 ファウストは淡々と告げたが、その心内は酷く焦っていた。

 今ここで、()()()()()()を得られなければ、あの男――地球人類の傀儡に成り果ててしまう。

 

 

《……奴らが情報統制に利用している物の正体が判明しました。データをそちらに送信します》

 

 アリアのその言葉に、ファウストは凍てついたその表情から笑みを綻ばせる。

 

 

「よくやった。アリア。すぐに戻れ」

《イエス、マスター》

 

 

 通信を切ったファウストは、ただち自分のタブレット端末を確認する。

 転送されてきたデータをホログラムとして投影して、まじまじと見た。

 

 

《ユビキタスブレイン》――。

 

 

 その名前と大量の座標情報が記されている。

 次のデータに移行してみると、ファウストのぼんやりとしていた予測が確実的な物へと変化した。

 

 表示された情報は、頭が破裂しそうになるほどの大量のプログラムデータ。

 

 零と一のみで表現された莫大な量の演算結果を見ただけで、ファウストが《ユビキタスブレイン》の用途に気がついた。

 

 

「そうか……アリア。よくやった……」

 

 

 再び”レギオンMk-II”を見据える。

 ”連盟軍の蒼き悪魔”――その名に縋って、〈レギオン〉の開発会社、いわば《プライムテラーズ》の実質的な支配者である〈ノーベルダイナミクス〉が作ったゲイズチェイサ。

 

 だが、こんな物に頼る必要はもうない。

 

 

「宇宙人類は、これより再生する」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 大男二人に見守られながら鍛錬を積んでいたウィザードを即座に阻害したのは、艦内に響き渡るけたたましいアラートの音であった。

 

 

《全クルーに告ぐ。付近の《ラウンズ》別働隊から、緊急要請をキャッチした。ゲイズチェイサ部隊による支援を直ちに開始する》

 

 

 艦長の指示より先に、三人は格納庫へと走る。

 

 

「付近から……? また中東のテロだな」

「どこもかしこもテロリストだらけだ。一体どこが平和なんだか!!」

 

 

 深刻なディアスに、楽観的ながら的確な返事をするリック。

 

 

 この世界、人類結束連盟による支配下にある世界は戦争も紛争もない理想の世界――()()()()()()()()()

 実際にはアフリカ大陸の中東を中心に、紛争やテロは勃発し続けている。

 

 結束連盟の巧みな情報統制は、テロの情報をネットワークから揉み消し、テロの起こり得ない平和な地域に住む大勢の人々の耳から遮断。

 

 

 それが人類の生み出した平和の形。

 

 

 そして、そういうテロや紛争は《プライムテラーズ》の思惑が絡んでいる。

 運命(シナリオ)が歪められても、《ラウンズ》が《プライムテラーズ》と戦う展開は何ら変わっていない。

 

 

 

(だが。私は、諦めが悪いぞ)

 

 

 

 格納庫に辿り着くと、二人は白銀の”ヴァリアンス”に飛び乗った。

 

 ウィザードは格納庫まで来て、肝心なことに気がついた。

 

 

「機体が……ない!?」

 

 

 借りた(強奪した)”グラドスケルト”は当然返品されているものだから、今の彼には機体が存在しない。

 

 人手不足と言っておきながら、機体まで足りていないではないか。

 

 

「大尉っ!!」

 

 

 当惑していた彼にアスカが呼びかけた。

 

 パイロットスーツ姿のアスカが、突然彼の前に現れたかと思えば、手を引いてどこかへと誘導してくる。

 

 誘導された先にあったのは、他の物となんら変わりない白銀装甲の”ヴァリアンス”の目前。

 

 

「これ、ボクが大尉用にチューンナップした”ヴァリアンス”です。見た目も武装も一緒ですけど、”ガーゴイル”に比べて圧倒的に使いやすいと思います」

 

 

 ウィザードはその機体を見上げたあと、その作り主であるアスカを一瞥する。

 

 

「……ありがとう。君は本当に頼りになる」

 

 

 微笑みと共に送られた感謝の意に、アスカの心臓がどくんと跳ねた。

 照れ隠しのように”アストラル”へと乗り込んでいったアスカを横目に、ウィザードも機体へ乗り込む。

 

 

「――確かに。通常の”ヴァリアンス”より三倍のエネルギーゲインがあるようだ。武装が質素ではあるが……扱える」

 

 

 OSの起動したディスプレイを見て、ウィザードは感嘆する。

 この数日でよく手を加えられたものだ。メカニックとしての彼女の腕に、静かに舌を巻いた。

 

 

《ウィザード大尉》

 

 

 ヨハンが何ともかったるそうに語りかけてくる。

 

 

《余計な真似はするなよ》

《あ、私からも。絶対変な真似しないでね》

《俺からも釘を刺させてもらう。次は銃殺だ。俺とミハイル大尉でやるからな》

 

 

 ミハイルとアズチが通信回線に割り込んできて、かすかなノイズが走る。

 ウィザードは笑みを綻ばせた。

 

 

「すまない……その愛を、私は一気に受け取ることはできない」

《 《引っ叩くぞ!!》 》

 

 

 モノアイを点灯させた”ヴァリアンス”。

 チューンナップの影響か、本来紅いはずの眼はオレンジ色に発光していた。

 

 カタパルトデッキに接続された”ヴァリアンス”を、開いたハッチから吹き抜ける潮風が煽った。

 

 

《進路クリア、ウィザード機発進どうぞ!!》

「腕が鳴る……! ミスター・ウィザード、”ヴァリアンス”、世界の歪みを破壊するっ!!」

 

 

 スラスターを吹かし、カタパルトによって大海原へと放り出された。

 

 得意のバレルロールで急加速し、敵性勢力の元へ猛進した。

 

 

「おお、これほどの機動でも関節が軋まん。素晴らしい腕だ、アスカ・カナタ」

 

 

 外見だけの”ガーゴイル”ならば、バレルロールだけで駆動系が悲鳴を上げていた。

 あり合わせの部品と持ち前の技術だけでここまで仕上げられる彼女の腕は天賦の才といえる。

 

 

「さて……今は原作第六話あたりか? 牢屋にいたから感覚が鈍るが、()()()()だろうな」

 

 

 反逆機兵レギオンには、「セカンドシーズン第十話を境に混乱を極める」というジンクスが存在する。

 

 その要因は”戦局の複雑化”に他ならない。

 

 これまで《ラウンズ》対 《プライムテラーズ》という分かりやすい対立だったのが、新たに敵側のクーデター派――《モードレッド》が増えることにより一気に複雑になる。

 

 何度か運命(シナリオ)に介入し、歪めてきたが、根本的な道筋からは外れていない。

 ならば、《モードレッド》の誕生は必然だ。

 

 

 ”サウザンド”と赤い”ヴァリアンス”、そして”アストラル”が彼の機体の後を追うようにして発進していた。

 こちらのスピードについて来られていないようだ。

 

 

《総員に告ぐ。要請があったのは、エクエーター協約連合 ナイジェリア。敵の所属は不明。しかし、旧アーク連邦の機体を利用している点からして()()の可能性がありとのこと》

 

 

 ミハイルの声が淡々と流れてくる。

 

 アーク連邦の残党――彼女らは知らないだろうが、ウィザードはそれを結局は《プライムテラーズ》の一部であることを知っていた。

 

 普通、ロボットアニメでは敵と味方の機体は分かりやすく視認できるようになっているが、反逆機兵レギオン二期はそうはいかない。

 

 かつては敵だけが利用していたモノアイの機体が、敵も味方に散らばっている……子供の気持ちを汲み取るのは苦手だったが、混乱必至なのは想像に容易い。

 

 

 目的地までは僅か数十分。

 

 しかしウィザードの速度では、他の三人よりかなり速く到着しそうだった。

 

 

 青い景色に見飽きてきた頃、光学センサが捉えるは緑の芽生えた大地。

 

 発展途上地域の多いエクエーター協約連合は、他の地域のように高層ビルが立ち並ぶ景色は見えない。

 

 しかしながらナイジェリアは特別発展した地域で、ゲイズチェイサが霞むほどの建造物がいくらか伺えた。

 

 

 大陸に入るや否や、赤い閃光が爆ぜたかと思えば、一画の建物を黒い煙が包みこんだ。

 

 ウィザードはバレルロールと共に急加速し、戦闘区域にいち早く向かった。

 その後を、飛行形態の”アストラル”が猛追する。

 

 

 暁の眼を光らせる”ヴァリアンス”を捉えた多数のゲイズチェイサが、彼の前に立ち塞がった。

 

 同じ一つ目の複眼を有する機体。

 鶏冠を思わせる角が頭部から伸び、重厚感のある装甲はくすんだ橙色。

 

 旧アーク連邦の機体――”ヴァグ”。

 

 そしていくつか、その発展機である迷彩を思わせる深緑色の機体”ヴィシャス”も混ざっている。

 

 

「もはや懐かしいな、私は先の大戦で何機落としただろうか」

 

 

 ウィザードは数年前、いわばヘヴンダウン戦争が行われている時は前世の記憶が無かったと言えど、戦時中の記憶を忘れた訳では無い。

 

 それでも、戦場でどれだけの”ヴァグ”や”ヴィシャス”を落としたか数知れない。

 

 

《連邦の残党かっ!!》

 

 

 アズチの”ヴァリアンス”が急速に先行し、ビームセイヴァーを抜刀して一機の”ヴァグ”に斬りかかった。

 

 

「感情的になるな、グレード准尉」

《黙れっ……!! 俺は、俺はこいつらを根絶やしにしなければならない!!》

 

 

 ”ヴァグ”のサーベルを切り払って体勢を崩させて、がら空きになった脇腹へもう一本のビームセイヴァーを抜刀と同時に振るった。

 

 あっという間に、旧式の機体に乗ったパイロットが焔に包まれる。

 

 

《グレード准尉! 大胆な行動は控えて! 下の市街地が見えないの!?》

《こんな町中で……!! 好き勝手戦争ばっかり!!》

 

 

 その後、戦線に”アストラル”と”サウザンド”も介入してきて、戦局は一気にこちら側に傾いた。

 

 旧式の機体――とは言え、油断ならないのがゲイズチェイサ戦。熟練が乗っていれば旧式であれど輝く。ウィザードが証明した通りだ。

 

 

 ウィザード機に襲い来る”ヴィシャス”。

 敵の両刃槍型の大型兵装――ビームハルバートをセイヴァーで受け止め、軋む関節とエネルギーの爆ぜる音が鼓膜を揺らした。

 

 間近に迫る紫のモノアイを見て、ウィザードは歯噛みする。

 

 

(ハルバート、厄介だな)

 

 

 セイヴァーと違い小回りが効かないように見えて、細かい斬撃もできる上に破壊力も桁違いだ。

 

 敵との間合いを広めるべく、至近距離のビームライフルで敵を牽制する。

 

 敵機の胸部を足場にし、スラスターによって急加速。

 横槍を入れてきた”ヴァグ”の攻撃をセイヴァーでいなし、反撃で撃墜した。

 

 

 先程の”ヴィシャス”が、こちらを完全にマークして執拗に狙いつけてくる。

 

 二対の鮮やかで力強い軌道が、乱気流かのように描かれ続け、細々した華麗な朱の軌道と激突し合う。

 

 ハルバートによる猛攻を何とか耐え凌いでいたが、防戦一方だ。

 

 覚悟を決め、もう片方のセイヴァーを抜刀。

 

 ハルバートを掠めそうになるも、こちらの斬撃は敵機の胸部装甲を斬りつけた。

 

 動きが止まった一瞬の隙を突き、野心溢れる鉄機兵を斬り捨てる。

 

 

《”ハンドレッド”隊、聞こえるか。こちらは”アイン”所属だ。市民の避難シーケンスは完了した。好きにやってくれて構わない》

 

 

 ノイズ混じりの通信が聞こえてきて、ウィザードは笑みを綻ばせる。

 もう好き勝手やってもミハイルにどやされなくて済む、というわけだ。

 

 

「総員、フォーメーションDのまま先行!!」

《了解です! 大尉!》

《勝手に作るな!》

原作の「反逆機兵レギオン」、読んでみたい?

  • その旨を良しとする!!(YES)
  • 私は辞退させてもらう。(NO)
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