ロボアニメ世界に転生したので、最高に気持ち悪い謎の仮面キャラを貫くことにする。   作:聖成 家康

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三十三話 そんな道理、私の無理でこじ開ける! ③

二人のヴァルーツ家の血筋にして、現代に唯一生き残る類稀なる血が、再びの邂逅を果たした。

 

 二人は暫く言葉を交わすことなく、変わってしまった互いの目をじっと見つめた。

 

 ウィザードにとって、この展開は何も驚くことではない。

 怖いくらい従来どおりの展開が続いている。

 だとするなら、この次に起こるのはコロニー型衛星兵器《ユミル》での激闘だ。

 

 着実とシナリオが終わりへと歩んでいることを、ウィザードはひしひしと感じていた。

 

「ウィザード大尉でもいいや。ちょっと来てみてくれませんか?」

「私をご所望か」

「はいはいそうですよ……これ、どうにかなりませんかね」

 

 キャットウォーク上から整備班に呼ばれ、ひょいと上の階へ上昇する。

 アルバが乗ってきた機体"バヴィロン"。そのハッチは彼女が降りた後にも関わらず固く閉ざされているようだ。

 

(そうか……中にはあれが)

 

 アルバは"ハンドレッド"に、今の状況では余計とも言えるような土産を持ってくる。

 彼女のクローン、アルバ•クローンニ○五番。

 その存在はこの状況を混乱させかねない。

 

「……敵機の事は分からん。合言葉でもあるのではないか」

「合言葉ぁ?」

「例えばだな、《チョリッース!!》と言うと開くハッチというものも存在するのだぞ」

「しねぇよ」

「あとはやはり……モーションキャプチャーにより開くのかもしれないな」

 

  ウィザードが耳を劈く勢いで頓珍漢な言葉を言い放ちながらポーズを決めるのを横目に、整備班は「あんたに頼んだのが間違いだった」と言わんばかりにため息をつき、彼を突き返した。

 

 ――本来なら、このハッチは無理矢理に開放されアルバ•クローンの存在が明るみに出る。

 だが、ウィザードはそれを阻止した。

 これが吉に転ぶか凶に転ぶかは知らない。ただ、この状況をさらにややこしくしかねない要因であることだけは確かであるのだ。

 

「身元がはっきりするまで、別室に」

 

 キャットウォークの下では、姉妹のはずの二人がまるで他人同士のように接していた。

 無理もない。ミハイルもアルバも、正確な身元が割れればどうなるか。

 

 

 二人の若者の言い争いは一区切りついたらしい。

 アズチの両頬に痣があることから、あれからもう一発もらったようだ。

 

「准尉。もうやめましょう。本当にしなくちゃいけないことを見よう」

「……っ」

 

 アズチは口を閉ざす。

 殴られ頭が冷えたのか、それとも彼女の言葉に納得させられたのか、どうにか落ち着いた様子だった。

 

「あちらこちらで各々の戦いが起こっている。次第にそれは終止符を打たねばならぬもの……ならば、私も打ちにゆこう。自らの戦いへ、終止符を!!」

 

 ウィザードは一人、そう決意を固めた。

 アニメという架空の存在であった者たちが、今目の前に生きて、必死に生き抜こうとしている。

 

 そんなものを見て、おとなしくしていられるものか。

 

「私も戦おう。私の戦いを!!」

 

 そう、一人静かに決意した。

 

 全部丸聞こえだった。

 

 

 ◇

 

「……お姉ちゃん」

 

 ルミナス•ルナテリア。ここでは彼女でなくてはならないはずが、どうしてもアルバ•ドル•ヴァルーツとして立たなくてはならないーーこの人の前では。

 

 連れ込まれたのは尋問室。無論、アルバは尋問される側だ。身元調査の間、彼女は尋問という建前で二人きりにさせたのだ。

 

「会いたかった?」

「……うん」

「髪、短い方が可愛い」

「お姉ちゃんは逆に長いと、なんかヘン」

 

 ぎこちない声で、ミラは実の妹と七年ぶりの会話を交わした。

 

「……ゲーテくんに会ったよ。かっこよくなってた」

「ーーそう」

「知ってたの?」

「殺されかけたから」

 

 ミラは苦い思い出を振り返る。ゲイズチェイサ越しだが、彼は間違いなく自分に殺意を向けていた。

 それよりももっと前ーー自分が彼にしたことを考えれば、当然というべきなのかもしれないが。

 

「ねぇ、お姉ちゃん。聞いてもいい?」

「……何を」

 

 アルバは意を決して言う。返答次第では、姉を許すことができないからだ。

 

「――私のクローンのこと、知ってたの」

 

 その言葉で、場は凍てついた。

 リアムは知っていただろう。でも教えなかった。彼の行動は理にかなっている。大切なのは、事実そのものではないのだ。

 

「……知っていた」

「いつから」

「最初から。計画が始まったときから」

「だから――」

 

 アルバの脳裏に幼い頃の記憶が蘇る。

 家族内の醜い覇権争い。勝ったのは長男のグランだった。父は謀殺。病弱な母は多忙な身の中で力尽きた。

 姉妹二人で生きていかなくてはならなかった。

 なのにある時姉は、彼女の記憶を消してまで地球に送った。散々汚い、醜いと教えられていた地球にだ。

 

「私を逃したの? 全部一人で背負うために」

「……仕方なかった。貴女に――」

 

 乾いた音が鳴る。

 衝動的に、アルバは彼女を引っぱたいていた。

 

「お母さんと……きょうだい二人で助け合って生きていくって約束したでしょ!? 相談してくれれば、私だって助けてあげられたよ!! なのに……なのに……」

 

 アルバは思うことを全て吐き出す。

 殴られた反動で目を逸らすミラは、そのまま動かなかった。

 

「――お姉ちゃんの、バカ……!!」

 

 

 目に涙をためながら、アルバは尋問室を飛び出していく。ミラはその間も動かなかった。

 

 直後尋問室に、嫌な人物が入ってくる。

 

「お邪魔かな」

 

 ミスター•ウィザード。完全なる部外者だ。仮面をつけて何のつもりなのだろう。彼女のように弱みを隠すわけでもなさそうだが。

 

「あんな汚い言葉、どこで覚えたのかしら」

 

 彼などいないもののように独り言を呟いてから、ぎろりと睨む。

 

「なんの用」

「本艦隊はこのまま〈ユミル〉へと向かう。場合によっては、例の兵器の使用もあり得るとのことだ」

「そう」

 

 ミハイルは俯いたまま部屋を出ようとする。

 そんな彼女を、ウィザードはその体躯で阻んだ。

 

「〈ラウンズ〉は、この組織の実態を世間に晒すことに決定したそうだ。この平和を崩してまで敵との全面戦争を行うために――その際、()()()()()()()()()()

「……私にその役を?」

 

 本来ならばそうだ。

 ミハイル•バジーナ――ミラ•フォル•ヴァルーツは、〈ラウンズ〉の存在を世界に確信付けさせ、敵対勢力を炙り出す出汁に使われる。

 

 だが、その役を担うのは彼女ではない。

 

「いいや、この私だ」

「……なぜあなたが――」

 

 静かに仮面を取ったウィザードの顔を見て、ミハイルは言葉を詰まらせた。

 今まで一瞬しか見たことがなかった彼の素顔。改めて見ると、それはあまりにも衝撃的なものだった。

 

「君にはエスコートをお願いしたい」

 

 

 ◇

 

 

 

 資源採掘基地兼戦略兵器

          〈ユミル〉

 

 金平糖にも似た小惑星を改造し作られた基地 〈ユミル〉。今や、一瞬にして上空から一国を焦土に変えることができる戦略兵器を、その内側に孕んでいた。

 身の毛もよだつ巨大砲塔。クレナイ粒子の濃度を増幅させるべく、砲身の内側には無数の粒子コンデンサーが内蔵されており射出と同時にその出力を一気に高める。

 

 そこに、〈ラウンズ〉の艦隊が集結しつつあった。その中には〈ラウンズ〉のみならず、〈人類結束連盟〉の軍艦も確認できた。

 

「もう隠す気はないということだ。平和を破壊し、再び再生する……この最終手段を取らざるを得ないのか」

 

 結局変わらない。

 アニメ本編と同じ、ラウンズの正体は結局世界に知れ渡ってしまう。

 

 だが、これがあるべき流れなら仕方がないのかもしれない。無理に歪めることのできないレールのようなものなのだと思うしかない。

 

「……私は、私のやるべきことをするとしよう」

 

 既に出撃した"アマクサ"の中で、ウィザードはぽつりと呟く。自分自身の戦い――自分にしかできないことを精一杯やるしか、今はできないのだから。

 

《〈ユミル〉内部で演説を行うって……本気なの》

「全世界同時中継をするのなら、そこが一番手っ取り早いだろう」

《……もうお前に従う。好きにして》

 

 ミハイルは彼の言葉に嘆息を漏らし、すぐに通信を切った。〈ユミル〉は元々資源採掘用といえど軍事基地であるためか、内部では酸素供給が続いている。加えて、"ユビキタスブレイン"の本拠地であるゆえ、全世界へコンマ一秒のズレもなく通信を行うことは比較的容易だ。

 

「望むところだ、と言わせてもらおう」

 

 

 作戦名は《ヴォーテクス作戦》。

 敵を戦略兵器〈ユミル〉の射線上に誘い込むというのが最大の目的である。

 

 各艦隊は一個小隊程度に分断され、おおまかにA、B、C地点に配置される。Aは〈ユミル〉から最も遠く離れた地点で、敵を誘い込むことが役目である。Bは誘い込んだ敵を逃さないこと、そしてCは完全に射線に入った敵をそのまま留めておくことが役割だ。

 

 

 遡ること三時間前。

 

 

「アスカ少尉、ウィザード大尉を中心としたA区域。リアム少尉を中心にしたB区域。そして、ミハイル大尉を中心にしたC区域に我々は部隊を分ける。敵を誘い込み、留まらせ、〈ユミル〉で決定打を与えることが目的となる」

 

 緊迫したブリーフィングルームで、ヨハン艦長のみが淡々と話していた。とはいえ、気持ちは彼も同じだろう。

 各区域に適切な人材が割り当てられた。この作戦において、〈レギオン〉を扱えるほどの強力なパイロットの使いどころが鍵となる。

 敵はおそらく大群。今まで息を潜めていた者達が一斉にかかってくるだろう。――その大半が、人間である保証はないが。

 

「"アストラル"にはメガ•クレナイ•カノンを、そして"ウロボロス"にも試作段階ですがもう一基それを携帯してもらう」

 

 ウィザードにとって、少々複雑な心情を抱かせるものだった。

 本来、この時点で"アストラル"はメガ•クレナイ•カノンをも凌駕するアスカ考案の追加武装を得られているはず。だが、彼女が"アマクサ"に集中したせいか、開発計画自体がないのではないか……と。

 

「大尉」

 

 ブリーフィング中にアスカが小声で語りかけてくる。

 指を動かし返事をすると、彼女は言う。

 

「……ボクは死にません。だから、大尉も」

「望むところだ、と言わせてもらおう」

 

 割と大きな声で言った彼の額に、ヨハンの投げたボードが激突した。

 

「口を縫ってやろうか」

「額を縫ってくれ」

「嫌だ」

 

 

 

 

 

 まだ額が痛む。

 アスカは側にはいないが――たとえ機体がどうであれ、彼女なら平気だろう、という確信が彼にはあった。

 

「っ!」

 

 傍らを共に滞空していた"ヴァリアンス"を、ビームが貫き爆散させた。

 もう敵襲とは恐れ入る。

 

「敵襲!! 総員プランを忘れるな!!」

《イエッサー!!》

《おい仮面野郎、指揮は俺だ!!》

 

 本来の指揮官に怒鳴られながら、彼は接敵する。

 敵は思ったとおりの大部隊ーー先の戦闘の部隊をそのまま持ってきたようだ。これを全て誘い込むのは、なかなかに至難の業だろうか。

 

「……っ。高速接近する機体……よもや!!」

 

 ウィザードは味方に撤退命令を出し、"クロワノトキサダ"の光刃を抜刀。

 その刃に飛び込んでくるかのように、緋色の彗星――"ノーヴェ"が姿を現す。

 

「終わりにしよう。私の過去よ」

《終わるのはお前さんだぜ。刑事さんよぉぉっ!!》

 

  "ノーヴェ"の高速機動に翻弄されながら、"アマクサ"も負けじと剣筋を生み出す。

 もはや奴との戦闘は慣れっこだ。

 今度こそ決着をつけてやる。

 

《楽しかったよなァッ! 俺とお前の鬼ごっこはよ!》

「聞く耳を持たんっ!!」

 

 楽しかっただと?

 多くの信者を募り、日本中で殺しが正義とまで信じるも者を増やした悪逆無道の事件が、楽しかっただと?

 冗談ではない。あの事件解決までに、どれほどの同僚が死んだ? 

 

《てめぇは自分が正義だと思ってんだろ!? てめぇだってこの世界でどれだけ人を殺してきた!? 同じ穴のムジナが!!》

「軍人に人殺しを咎めるとは、なんとナンセンスな!」

 

 人殺し。そうさ、それは悪だ。正当化されるべき言われはどこにもない。軍人としてこの世界で生きてきて、これまで数多の命をこの手で殺めてきた。この手はもう、血に染まっている。

 

「人殺しをしなければ人殺しは止められん!!」

《繰り返しだなっ!! バカがよっ!!》

「それほどまでに、我々人間は愚かなのだ!!」

 

 赤刃同士の衝突。血飛沫を模すかのような煌めきが宇宙を穢した。

 そこから、宇宙の穢れは彗星の軌道を思わせる鮮やかな流線で彩られていく。

 

 もはや双方、剣先を譲らない。いつ決着がついてもおかしくない状況だった。

 

 

《俺ぁ、こんなことだって覚えたんだぜ!!》

 

 

 突如止まった"ノーヴェ"。その装甲は変形し、排出口らしきものが露出。元々赤いツインアイがさらなる深紅へと彩られ、排出口からおびただしい数のクレナイ粒子が溢れ出る。

 

「私も全力を出させてもらおうか……!!」

 

 ウィザードも覚悟を決め、自爆スイッチを叩き押した。

 

 

《FORS LEB SYSTEM STAND BY》

 

 赤き二つの彗星が、その宙域を駆け巡る。

 それは相反する意志の激突。

 

 どちらかの意志が途切れるまで、その輝きが消えることはない。

 

 

 ◇

 

 

「上手く誘い込めたか」

 

 "サウザンド"のツインアイが、B区域へ侵入してくる機体を見据えた。

 この先に何があるとも知らず、まんまと釣られたようだ。

 

 だが作戦通りだった戦況を、乱す存在が現れる。

 

「なっ……!」

 

 予期せぬ方角から飛んでくるレーザーの雨が、敵であるはずの"ペインレント"を射抜いた。

 

 奴ら――ファウストの率いる部隊が、漁夫の利を狙ってこの戦闘区域にやってきたのだ。

 青いゲイズチェイサ"バヴィロン"の軍勢の背後から、青銅の騎士が姿を現す。

 

「ファウスト……!!」

 

 ミハイルは歯噛みする。

 自分が"ミラ"であった頃の足枷が、ここまで長く張り付いてくるなど。

 

「総員冷静に対処しろ。敵には変わりない。あの親玉は私が請け負う!!」

 

 ミハイルがそう命令を出した途端、青銅の騎士――"ハルジオン"は"サウザンド"に攻撃を仕掛けてくる。

 わざわざこちらから仕掛けずとも、向こうは端からその気であったようだ。

 

 ハルバードのビーム刃を受け止める度に、関節系統が軋みをあげる。この機体――もう限界か。

 "ハルジオン"を押し返し、反撃に徹そうとした彼女の意志を折ったのは、死角から飛んできた極太のビームであった。

 

「ぐっ!?」

 

 肩に掠め、コックピットが赤々と染め上げられる。

 高速で接近してくる機影を捉え、ミハイルは戦慄する。

 

 巨大な腕部を持つ異形――"エレムルス"。

 一機だけでも脅威な機体を、二機同時に相手せねばならないとは……!

 

 ミハイルは決死の覚悟で応戦しようとするも、"エレムルス"はバーニアを全力で噴出し、味方の包囲網を掻い潜って直進していく。

 

「馬鹿なのか……!? この数の中を――」

 

 ミハイルは理解し難いと思った矢先、その真意に気がつく。

 奴は手練だ。相当なパイロットでなければ即座に撃墜されかねない。それほどの実力と、あの傲慢さ。

 

「まさか〈ユミル〉を……!!」

 

 ありえない話だ。だが、奴ほど傲慢な人間ならば。

 

「ええいっ!!」

 

 "ハルジオン"を蹴り払い、異形の影を追う。

 

 

「あの機体、ノーベルか……? 何の目的で……」

 

 金色の女騎士に見放されたファウストも、同じようにその後を追うのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

《ハハッァ!! こいつぁやべぇな!! 胃がはち切れそうだ、ハハハ!!》

「ぐぅっ!!」

 

 凄まじいGを真に受けながら、口の中に鉄の味が広がるのをウィザードは感じた。

 今はこの味すら気力に変えねば。この戦い、負けるわけにはいかない。

 

 機体のみならず、コックピットも保たないかもしれない。操縦系統が度重なる激戦で摩耗しているのが耳で分かった。

 

《行けよォっ!! スティング!!》

「ウィザード•スティングは、伊達じゃない!!」

 

 飛び交う突撃蜂の砲台は、ぶつかり合うように交わり、無数の光線を宇宙に放つ。

 鮮やかな赤き閃光に網膜を破られそうになりながら、ウィザードは集中力を保ち続けた。

 

 必ず勝機は来る。それまで。

 

 セイヴァーがぶつかり合い、そこに孕んだ熱がコックピットにまで届きそうに感じられた。

 彼の一閃は"ノーヴェ"に容易に回避され、右腕を切り飛ばされる。

 

《大尉!!》

「アスカ、作戦に集中しろ!!」

《っ……はいっ!!》

 

 

 この区域のどこかにいるアスカの焦燥に駆られた声が聞こえた。

 彼女は彼女の戦いが、ウィザードには、ウィザードの戦いがある。

 

《人のこと気にしてる場合かよォっ!?》

 

 彼に生まれた一瞬の隙を、すかさず"ノーヴェ"の凄まじい連撃が突いてくる。

 やや遅れた防御は最後の一撃で砕かれて、体勢が大きく崩れた。

 

《俺も前みてぇに誰も信じてくれる人間はいねぇ、だが、お前だってそうだろうッッ!!》

 

 あぁ、そうだ。

 今の彼には、以前信じてくれた同僚も後輩も先輩もいない。

 

「笑止、千万……!!」

 

 二対の剣を振りかぶった"ノーヴェ"の下半身を、どこからともなく放たれた極太のレーザーが消し飛ばす。

 そのレーザーは"ノーヴェ"をただ巻き添えにしただけであり、宙域に漂う無数の敵を次々と殲滅していった。

 

 〈アストラル〉のメガ•クレナイ•カノン。彼女のせめてもの助け舟か。

 余計なことをしてくれる、とウィザードは微笑む。

 

《クソッ!!??》

「切り捨てッ――――」

 

 最後の抵抗であろうスティングの猛攻を潜り抜け、"アマクサ"は力強く剣を振るう。

 過去との決別、未来への道標を築くための、最後の一撃である。

 

 

「ごめぇぇぇぇんっ!!!!」

 

 

 "アマクサ"の輝きが失われた直後、鮮やかな閃光が"ノーヴェ"を一刀両断する。

 

《バッ、バカなッ!! 誰か、誰か来いッ!! 社長ォッ――》

 

 リミッターを外していたクリムゾンリアクターに電気系統から漏れ出た熱が引火し、"ノーヴェ"は、血飛沫にも似た爆発に呑み込まれた。

 中に乗せた、誰も信じず、誰にも信じられなかった男を焼き払いながら。

 

「……」

 

 彼はまた人を殺した。

 だが、この罪が新たな哀しみを断ち切る唯一の手段なのだ。

 

 

 刹那、ウィザードの頭に稲妻が走る。

 

「何っ……!? この感覚」

 

 いくつもの大きな嵐が、どこかでぶつかり合っていると言わんばかりの凄まじいプレッシャーを察知した。

 

 場所は――〈ユミル〉の中だ。

 

 

 

原作の「反逆機兵レギオン」、読んでみたい?

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