ロボアニメ世界に転生したので、最高に気持ち悪い謎の仮面キャラを貫くことにする。   作:聖成 家康

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まずは謝罪を。長らく更新が途絶えてしまい申し訳ありませんでした。
新生活の始まりに加え、色々なことが重なり、思うように筆が進みませんでした。
楽しみにしてくださる人がいたのに、大変申し訳ないことをしたと思っています。


四十三話 なんと、あのときの少年か!!

 

 

「クソっ!! まだ出てくるのか!?」

 

 ”ロインアストラル”の剣が、次々と敵機をなぎ倒していく。

 相手は機械、そして戦場は肌に何も感じることもない真空の世界。返り血が彼女を覆うことはないが、仮に状況が異なっていれば、彼女の儚げな顔も白い素肌も、鮮血によって塗り替えられていたのではないかと思えるほどである。

 

「ボクはお前たちの相手ばかりしているわけにはいかないんだよ!!」

 

 アスカ・カナタは敵を殺すという行為に、もはや疑問すら抱かなくなってきた。だって、敵を殺さないと勝てない、勝利の先にある平和が訪れないのだから、そうするしかないのだ。

 ハルバード形態から双剣形態へと変形させ、力強さから軽やかさを前面に押し出す。

 飛散する鉄屑がいよいよ視界の妨げになってきたころ、”ペインレント”の亡骸の陰から”マサムネ”が奇襲を仕掛ける。

 手始めに”フォーカスパイラ”の弾丸をぶち込むも、”アストラル”の常人離れした回避行動により無に帰した。

 されども大太刀による追撃を仕掛ける。つい先ほど剣の形態を移行させ、戦闘スタイルの馴染みが薄れたころに一撃一撃が重々しい攻撃を仕掛けられては、脳回路が焼き切れそうになる。

 

《偉くなったもんだ、泥棒のガキ風情がよ!!》

「あなたたちのやったことに比べたら何億倍もマシだ!! あの場に、事実を知らない人たちがどれだけいたんだ!!」

《金と寝場所をもらっておいて、恩義ってもんを忘れたようだな!!》

 

 荒々しい大太刀の斬撃が、とうとう”アストラル”の装甲に炸裂する。間一髪のところで機体を引き、致命傷は免れたものの、コックピットに凄まじい振動が木霊する。

 胃袋がねじ切れそうになりながらも、アスカは操縦桿を手放さず、討つべき敵を見逃さなかった。

 

 死角から迫る高エネルギー反応。宙返りの要領で、極太のレーザーを回避。

 ビームライフルを三点投射し、赤き軌跡の先に点在する”バハムート”を狙い撃つ。

 

《アンタにはもううんざりなのよ。消えな、クソガキ!!》

 

 アスカは、”バハムート”や”マサムネ”のパイロットの素性を知らない。せいぜい知っているのは顔と名前くらいだ。一体どんな考えでゲイズチェイサに乗り込み、そんな風に戦場に立っているのか知る術すらない。

 だが、それを探っていたらキリがない。無実の人たちを騙し、命まで奪った。理由なんて、それだけで十分じゃないか。

 罪のない人たちを殺す、平和な世界で、誰の許可も取らず兵器の開発を行う。そんな悪行をした人間に情けなんてかける必要もない。

 

「消えるのは――お前たちだ!!」

 

 ”ロインアストラル”がその背に、狂うほどに美しい赤き翼を宿す。

 粒子に紛れ、さながら消えたかのような機動を魅せる直前に、両肩部の高出力ビーム砲をぶっ放す。

 回避に一瞬の時間を要した”マサムネ”の目前に現れ、ハルバードによる渾身の一発を叩き込んだ。

 

《この野郎っ!!》

 

 その一撃が”フォーカスパイラー”を瞬く間に粉砕した。

 強化前と幾分も違わぬ姿になった”マサムネ”はすかさず大太刀で応戦しようとするも、姿を消した機影の残り香を切り払うのみとなった。

 そして、次にその姿を現したとき――その宇宙にとって瞬きをする暇すらない程に決着がついた。

 

 大太刀ごと打ち砕かれた”マサムネ”の右腕。

 それを惜しむ暇を、アスカは与えなかった。

 

「こんのおおおおおっ!!!!」

 

 

 目に見えぬ血でまみれたハルバードで、”マサムネ”のコックピットを穿つ。

 溢れる火花と、電気系統から漏れ出る稲妻。それはさながら、赤々とした流血のよう。

 

《くそっ……!! 結局、俺は――》

 

 リアクターの爆散により、跡形もなく消失する”マサムネ”。

 その爆炎から、ハルバードを構えた”アストラル”が飛翔する。

 

《ははっ! 今度はアタシってわけかい!! ええ!?》

「もう終わりにしてやる……!!」

 

 龍王の引き抜いた剣と、不可視の血涙が滴る剣が激突する。

 幾多もの軌道を描きながら、荒々しく切り結んだ。また一撃、また一撃と、数を重ねるごとにその威力は右肩上がりになっていくような気がしてならない。

 

 距離を取り、互いにビーム砲を照射する。

 火力はどちらも互角程度。また剣戟を重ねていく。

 

《アンタは何も考えず戦争してるだけの阿呆なんだよ! 敵の組織の、ましてや自分の属する組織さえの詳細すら知らないアンタが、やれ平和だ平等だ語る権利があるのかよ!!》

「黙れ! それでも、それでもボクは!」

 

 幾度の剣戟の後、持久戦に勝ったのは”アストラル”のほうであった。

 宇宙の彼方に消えていく”バハムート”の刃。

 

《お前が今までぶっ殺してきたモンを、目ェかっぽじってよく見てみろや!!》

 

 ”アストラル”の矛先が、敵の乗るコックピットを貫く瞬間、パイロットは思わぬ一言を吐き出した。

 そして、血飛沫までも模すように、人型兵器から灼熱と閃光が漏れ出す。

 

「なに……?」

《ギャハハハハハハ!! アタシたちだけじゃなく、てめェも地獄を見るんだよ!! それが平和、それが平等だろうが!! ハハハハハハ――》

 

 飛散する”バハムート”とともに溶けて消える悪魔のような笑い声。嘲笑と、微かな悲哀の混ざったその響きが、アスカには嫌なくらいに耳に残った。

 

 荒くなる息、同時に焼けるように熱を帯びていく喉と肺。

 アスカはカメラアイを通して、自らの作り出した惨状を目の当たりにする。

 

 醜く姿を変えた鉄屑。

 それに混ざって、大量の死体が浮遊していた。

 

 ヘルメットが外れた者たちの顔を見て、アスカから言語という概念が、その刹那だけ消え失せた。

 

「ミハイル大尉……違う、ルミナスさん……?」

 

 空色の髪に、虚ろに染まっていながらもその端正さの伺える顔立ち。

 それは紛れもなく、自分の見知った姿――彼女は知らぬ、アルバ・ドル・ヴァルーツのもの。それも大量に。しかし、そのすべてが人としての形状を完全には保っていなかった。

 露出した脳。有機的なものもあるが、そのほとんどが半分が機械で補われているような不完全なもの。もはや、先ほどまで生物として活動していたことすら疑わしくなる。

 

 ――クローン。

 その言葉が出た途端、耐え難い吐き気に襲われ、ヘルメットの中で吐瀉物をまき散らす。

 

「ミラ・ヴァルーツは何を知ってるんだ……? これを、これをずっと隠していたのか……? まさか、大尉も――」

 

 

 

 

 

 

 五機の巨神による攻撃は、苛烈という文字では言い表せないほどであった。

 唸る閃光、宇宙を裂く轟音。息をつく暇もない戦火の矛先がひたすら牙を剥き続ける。

 

 リアムは息を荒げていた。

 全盛期——"ヘヴンダウン戦争"の頃に使用していた機体とかなり近いものになったとはいえど、"ティターン"との性能差は無視できなかった。

 

 荒れ狂う閃光を掠めそうになり、機体が大きく体制を崩す。

 それを補うべく射出された"フェアリア・スティング"。妖艶なる軌道を描きながら巨神を翻弄するも、大したダメージには至らなかった。

 

 しかしその隙を突き、セイヴァーによる一閃で砲台を二つ潰す。

 小破した"ティターン"を援護するよう砲撃が集中するも、リアムはその災禍を潜り抜け、コックピットに刃を突き立てた。

 

 一機——この機体性能差で仕留めることができた。

 されど一機。あと四機とはいえ、一対多を強いられる事実は変わらない。

 

 幸いなのは、巻き込まれるリスクを考慮してか取り巻きのゲイズチェイサがいないところだ。

 

「僕が果たせることは……」

 

 戦火から目を背け続けてきた。あれ以来、深い傷口を言い訳にして、ずっと逃げ続けてきた。周りは皆、それを否定しなかった。戦争によって深く傷ついた、だから心を閉ざして当然だと。

 だが、"あの男"に出会い、世界を知るきっかけを得てからそれは間違いではないかと思うようになった。

 不幸を強いられた身であれば、不幸を強いられている人たちに救いの手を差し伸べてやれる。

 それは回り回って、身近な、大切な人たちを助けることにもなるのだと。

 

「まだ、死ねない」

 

 ——脳内に電流が走る。

 衝動的に、気に留めていなかった自爆ボタンを手早く押し込んだ。

 

 

  ”FORS LE B” SYSTEM STANDBY

 

 

 "エフェクト"の蒼き装甲が展開。傷口から血が滴るように漏れ出した大量のクレナイ粒子は、やがて血潮のごとく吹き出て2対の翼のように流れ出す。

 

 紅く染まる双眼。

 

 その場にあった火砲が彼を仕留めんと一気に向けられるも、赤き軌道は既に巨神たちの背後に回っていた。

 

 ビームの残穢から飛び出てくる妖艶なる牙。

 射出された"フェアリア・スティング"は、奴らを翻弄するのみで攻撃はしない。故に、長く残存していた。

 

 そこからもはや、一瞬であった。

 

 "ティターン"の頭部が二つ、宇宙を舞った。

 状況を確認する暇もなく、砲台が切り刻まれて機体が小破。一機はコックピットに高出力なビーム群を、一機はフェアリア・スティングによる捨て身の特攻を受けて爆散していく。

 

 残された二機は、それでも目の前の《蒼き悪魔》を仕留めんと奮闘した。

 

 彼の思考を何人足りとも読めなかった。

 ビームライフルを、あろうことか投げ捨てて姿を消したのだ。

 

 その理解不能な行動に、思わず攻撃の手を止めてしまう。未熟なパイロット。彼の幸運はそれのみであった。

 

 背後に熱源反応を捉え、振り向いた一機のコックピットを、その背後から赤黒いレーザーが射抜く。

 そこへ空いた穴へ一斉に、"フェアリア・スティング"がビームを降り注がせた。

 

 巨神の亡骸が、内側から爆ぜるエネルギーの熱に抱かれて砕けていく。

 

 土壇場で思いついた奇策だ。

 《レギオン》——Limited Extra Giantarmament I ndependent Operation Network systemの略称。元はといえば、複数の武装を独立したネットワークで管理することで拡張的な運用を可能にするものであった。

 スティングと投げ捨てたライフルの同期。あまりに複雑な操作だったが、彼だからこそ成功したのだ。

 

 残された一機を仕留めようと、納めた刃を引き抜く。

 

 途端に、コックピットが赤く染まり、瞬きする間に暗転する。

 

「くそっ……間に合わなかった……!」

 

 オーバーヒートだ。大方回路のどこかでも焼き切れたのだろう。散々見てきたことだった。だが、こうも早いとは。

 

 巨神が砲撃の準備をする。先までの恨みを晴らさんと言わんばかりの、一斉放射の構えだ。

 

「……ここまでか」

 

 十分果たせた。今際の際故に考えつく結果論のようなものだろうが、それでもいい。

 託せる人たちがいる。それだけで十分だった。

 

 カメラアイが捉えていた"ティターン"が——爆破した。

 どこかからの射撃で砲台を潰され、エネルギーが逆流。カウンターによって痛手を負う。

 

 刹那——舞い降りる赤き凶星が、雄々しき凶刃で巨神を討ち取る。

 

 爆散する"ティターン"と、黒煙に紛れる赤き凶星の姿を見て、リアムは微笑んだ。

 

「無茶苦茶だ、この人は」

《まだ死なせない。君ほどの貴重なアルカナを失うわけにはいかない》

《そうだ!! リアム・ソナタ、否、私に夢を見せた、愛を教えた少年よ!!》

 

 赤き凶星に覆い被さるよう、"アマクサ"が降臨した。

 

 

 

 

「リアム・ソナタ……よくぞ生き残ってくれた」

 

 ウィザードは通信を切り、ぽそりとつぶやいた。

 あれほど世界線を捻じ曲げてきて、ここまで絶望的な状況になっても、最悪な世界線には突入しなかった。

 

「君は責任を取った。かつて自分が残してきた負の遺産に」

 

 ——ならば私も責任を取ろう。

 

 私情で歪めてきた、この世界の運命に。

 

  

 

 

原作の「反逆機兵レギオン」、読んでみたい?

  • その旨を良しとする!!(YES)
  • 私は辞退させてもらう。(NO)
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