ロボアニメ世界に転生したので、最高に気持ち悪い謎の仮面キャラを貫くことにする。 作:聖成 家康
49話 この気持ち、
最後まで明るみに出ることのなかった、人類結束連盟の極秘組織《ラウンズ》と内部反乱組織《プライムテラーズ》、そしてアーク連邦残党派《モードレッド》を交え三つ巴の戦争は終わりを告げた。
後に、アンノウン戦役と呼ばれたその戦争は、誰にも知られることはなくとも、偽りの平和の裏で行われていた負の産物として、歴史の中に確かに刻まれるのだった。
——
「大尉……!」
目を開くと、無機質な白い天井を背にしたアスカの顔が飛び込んでくる。
瞳にたっぷりの潤いを溜め込みながら、こみ上げるものをこらえている様子だった。
あれから"ハンドレッド"は《ラウンズ》本隊と合流後、負傷や疲弊している兵を他戦艦に移し、その役目を終えるかのようにもぬけの殻なった。
細胞活性化装置のある、高度な医務室でウィザードはなんとか治療を間に合わせることができたのだ。あと一歩、否、あの応急手当が無ければ今頃とっくにあの世にいたと、医師からアスカを伝って分かった。
「ずっとそこにいたのか」
「はい。あれから、もう一晩経とうとしてます」
「君が一番疲れているだろうに」
アスカが首を横に振る。
「大尉がいなかったら、ボクもアズチ准尉もここにいませんよ。大尉がいたから生き残れたって、みんなが言っています」
「大袈裟だ。私は私の成すべきことをしたまでだ」
あの最終決戦を乗り越えても、アスカは澄んだ瞳のままで生きている。
これは夢じゃない、アニメじゃない、ほんとのこと。目の前で起きている事実。
正直疑いたくなる。
自分はどこかで死に、これまでのことは全て幻だったのではないかとならないか。それぐらい信じられないことだ。
創作物の結末は、勝手に作り変えることはできても、それは結局単なる妄想でしかない。創作物の結末を変えられるのは、それを作ったものだけなのだ。
だが彼が変えたのは決して創作の結末ではない、世界が歩もうとしていた一つの運命を捻じ曲げ、最後まで貫き通したのだ。
「ごめんなさい大尉、大尉が起きるまでって約束なんです。色々と事後処理があって。まだゆっくり休んでてくださいね」
「あぁ、構うな。行ってくれ」
ウィザードは動けない状態ながら目いっぱいのジェスチャーを返し、アスカを見送った。
さて、この状況で一人になり、起きることといえば一つだ。
「これで満足か、神よ」
次に覗いてきたのは、ゲイザーの——あの白髪の少女であった。
「おめでとう。少なくとも貴方の見た最悪は回避できたわね」
「……ほう。また含みのある言い方だな」
屈託なく笑いながら、彼女は告げる。
自分の見た最悪——つまりは、ウィザード自身の記憶にある運命は回避できたが……。
「話したと思うけど、世界というのはそんなに単純じゃあないの。歪んだものは徐々に正しい方向へと戻っていく。貴方の見た最悪は、いつか貴方の知らぬ形で、望まぬうちに再現されるかもしれない。いや、かもしれない、は余計ね。必ず訪れる」
ズレてもズレても、世界は元に戻ろうとする。世界にはそういった修復反応があるのだと。この世界に定められた悲惨な運命はやがては避けることができないのだと。彼女は散々話してきた。
ウィザードはそれに反論できずにいたが、今ならはっきりと答えられる。
彼はむくりと起き上がって口を開く。
「この世界は——彼女たちは乗り越えていく。今ならそう、自信を持って言える。悲惨な運命、それは当然、誰しも直面する困難。だが、彼女らならば乗り越えてゆける」
「……あら、あなたが散々手助けしておいて、よくもまぁ大口を叩けるわね」
嘲るように言うゲイザー。
だがウィザードは負けじと、されど顔一つ歪めずに答える。
「誰しも一人では超えられない壁がある。それをともに乗り越えていくのが人だ。私はその一ピースであっただけに過ぎない。不満ならこれからも見届けるといい、この世界の運命を、歩む軌跡を」
きっぱりと言い切ったウィザードを、ゲイザーは改めて品定めするように一瞥し、踵を返した。
「言うまでもなく。それが私の役目よ」
◇
「なんだ、随分ご機嫌じゃないか」
もう一人のゲイザーが、果て無く広がる宇宙で彼女を出迎えた。
ゲイザーは見続ける、数多の世界の行く末を。ときに無関心に、ときに関心的に。今あるこの世界は、そんな彼女らが少し興味を持った、その結果。
「人というのは滑稽ね、と思って」
「今更」
一緒になって嘲る。
彼女らには見えている、この世界の結末が。最初から何も変わってはいない。悲劇の結末。
この世界に、彼女らの気まぐれで迷い込んだ異分子がやったことは、それを先延ばしにしただけのこと。そうして、それをどんどん先延ばしにしていくと宣言したのだ。
俯瞰的に見れば、滑稽で仕方がない。理解ができない。
「君があれを選んだのは気まぐれかい」
「勿論。私達は気まぐれ、面白そう、それだけで動く存在なのよ。それしか退屈しのぎがないもの」
「それで、退屈しのぎにはなったのかい」
けらけらと笑う彼に、彼女は反論するかのように口を開いた。
「無論ね。これまでも、これからもなるつもりよ」
「僕も混ぜてもらおうかな」
彼女はむっとして言う。
「貴方はもう少し遊び方を覚えなさい。持ってくるものをちゃんと吟味すれば? だからすぐつまらなくなるのよ」
「君と僕の感性は違うんだ……なんだい、もしかして僕は邪魔なのか」
「ここは私のお気に入りなのよ。おじゃま虫は帰ってもらいたいわ」
上位存在でも喧嘩はする。これも他愛も無いことだ。数少ない彼女らには、暇をつぶす方法は限られている。
「まぁいいわ……好きにすれば……ここからもっと面白くなりそうだし、何より……もう一人は飽きたわ」
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その旨を良しとする!!(YES)
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私は辞退させてもらう。(NO)