楽しそうかどうかで決める天才、Vtuberになる。 作:夢野いくや
○??視点
他人の顔色を伺ってばかりの人生だった。
学生時代はいわゆるスクールカーストの高いグループに所属していたと思う。
でもそれは自分が中心だったわけではない。
中心人物を持ち上げるように、気に入られるように、嫌われないようにしていただけだった。
意見を求められても同意するだけ。
自分から流れを作るような行動は起こさない。
反対することによってハブられるのが怖かったから。
そういう生き方を選んだのは自分だったけど、心の何処かにモヤモヤが残ってた。
楽な生き方だったと思うが、心の中心に大きな穴がぽっかりと空いていた。
その穴を埋めるようにそのグループに付いていった。
でも、穴は埋まらないどころか大きくなるばかり。
大学生、社会人となって当時のグループのメンバーとは遊ばなくなった。
メンバーのSNSを見ると今も集まってバーベキューや旅行に行っているようだ。
多分あいつらにとってオレは必要なかったのだろう。
社会人になって働いてみたが学生時代と変わらない。
同期のリーダーのような人物の後ろをついていくだけ。
意見を求められても同意するだけ。否定はしない。
拒絶されるのが怖いから。
一人になるのが怖いから。
今も穴は空いたまま。
そんな中とある動画を見つけた。
それはあるVtuberの切り抜きだった。
彼は堂々としてた。自分に自信があるようだった。
彼は配信の中心だった。配信の流れが全て彼によって作られているようだった。
彼は楽しそうだ。心の底から楽しんでいるようだった。
彼は聞き上手だ。他の人も楽しそうだった。
オレとは何が違うのだろうか?
才能だろうか?自信だろうか?努力だろうか?
何を身に付ければ彼のようになれるのだろうか?
彼のようになりたい。そう思ったオレは気付けばオーディションを受けていた。
今の自分を変えたくて、自分を偽りたくなくて、自分の気持ちを吐き出した。
気付いたらオーディションは終わっていて、数日後に合格の連絡が届いていた。
彼に近付けばわかるだろうか?
この心の穴を埋めることが出来るだろうか?
自分に自信が持てて、話の中心にいられるだろうか?
少しでも嫌いな自分を好きになれるだろうか?
脇役ではなく主役になれるだろうか?
彼に聞いてみたいことが山ほどある。
今の自分にどれだけの言葉が紡げるかわからないけれど。
自分の疑問を解消するための答えが欲しい。
自分に自信が持てるように。
誰かの人生の脇役ではなく、自分の人生の主役になれるように。
オレだってあなたのようになれるだろうか?
答えが見つかるのはまだもう少し先のお話。