楽しそうかどうかで決める天才、Vtuberになる。 作:夢野いくや
○九藤視点
同期の千堂の配信も残り5分となり次は俺かと待っている。
事前に千堂とは会話したが学生時代だったら確実に関わりがなかったであろうタイプだった。
多分千堂は俺とは違い、誰かと常に一緒にいるタイプで会話するのが好きってタイプだと思う。
それに比べて俺は一人の時間が好きなタイプだからな。
別にどっちがいいとか悪いではないと思うが、知り合うのが成人してからでよかったのだろう。
そんなことを考えてたら配信時間か、とりあえず大きな失敗をしないようにしなければ。
...
【wkwk】
【男の子二人デビューはアツイ】
【こっちはどんな子かな?】
「どーも。『メモプロ』5期生、システムエンジニアの『九藤賢斗(くどうけんと)』。どうぞよろしく。」
「千堂は結構テンション高めだと思うんだけど、俺はどちらかと言うと静かに一人で黙々と何かをしてる方が好きなタイプだな。」
【クール系かな?】
【落ち着いてて良き】
【かっこ可愛い感じかな?】
【得意なことはなんですか?】
「得意なこと?ゲームは自信あるね。一時期プロゲーマーを目指してたんだけど。そっちは上手く行かなかったから、別の環境でゲームを頑張れたらなと思って『メモプロ』に応募した感じ。」
【ゲーム系が得意なのは初か?】
【咲希ちゃんは格ゲー得意やで】
【セラヴィスもテトリス上手かった】
【セラヴィスは大体のゲームできるらしい】
【他の女性組は軒並み不得意やったはず】
「セラヴィス先輩はゲーム得意らしいね。今度一緒にやってみたいんだけど...俺が誘っても大丈夫なんだろうか?」
「俺って学生の時も一人でいることが多かったからあまり友達と呼べる人がいなかったんだよ。まあ、それは俺が選択した結果だから後悔とかはないんだけど。でも、だからか人を誘うってしたことがないんだ。誰か教えてくれよ。ゲームに誘うってどうしたらいいんだ?」
【九藤はぼっちなのか】
【わかる。わかるぞ。俺もぼっちだからな】
【『一緒にゲームしませんか?』これしかねぇよ】
「まあ、デビューしたばかりだからこれから頑張っていくよ。で、これからの配信内容だけど、基本的にはFPSとかのゲームを中心にアクション系とかのゲームもやっていこうと思う。『メモプロ』にはゲーム得意系の人が少ないと思うから俺はそこの観点から広げられればなと。」
【なるほどね】
【ゲーム中心ね】
【頑張れ~】
【トークはなんかそんなにって感じか?】
【まあ、可もなく不可もなく当たり障りのない感じやな】
【デビュー配信なんてそんなもんじゃね?】
「雑談はあまり得意じゃない。ぼっちだからな。何を話せばいいのか全然わからん。だからそこにはあまり期待をしないでくれ。」
......
「さて、デビュー配信としてはこんな感じか?見てくれたみんなありがとう。これからどうぞよろしく。」
...
ふ~。終わったか。
まあ、当たり障りのない無難な配信は出来ただろう。さて、SNSの反応はっと...
【九藤クール系売りしてるからだろうけど、あんまりこれから見ていこうとは思えなかったな】
【ゲーム配信がどんな感じかによるかな~。淡々とゲームするだけならあんまり人気でないかも】
【クールでかっこよかった!これから推してく!】
【話し上手な人が好きだから今回の二人はあんまり見ないかも】
あんまりいい結果ではないのか?
友達いねぇから雑談とかできねぇよ...
ピロン
ん?運営か?いや、セラヴィス先輩?
「一緒にゲームしませんか?」
流石先輩だ。俺にできないことを平然とやってのける。
「ありがたいです。お願いします。」
ピロン
セ:「初めまして。『メモプロ』の『セラヴィス·アークバルト』です。よろしく。」
九:「新人の『九藤賢斗』です。よろしくお願いします。」
セ:「さて、ゲームしようか。まずは相手の人となりを知らないとね。何のゲームがいい?」
九:「何でもいいですよ。」
セ:「じゃあFPSにしようか。デュオで出来るモードがあるしそれで。」
九:「わかりました。セラヴィス先輩は経験ありますか?」
セ:「まあ、ある程度出来るとは思うよ。」
こっちはそのゲームでプロを目指していたんだ。セラヴィス先輩が上手いって言っても地元で多少出来る程度だろう。期待はあまり出来ないだろうな。
......
セ:「またチャンピオンだね。」
いや、セラヴィス先輩すげぇわ。
1vs2を返すエイム力だけじゃなく、オーダーが完璧すぎる。なんで先に二人待ってるから横から回るとか分かるんだよ。しかも指示が分かりやすすぎる。次どうしたらいいか、どうするのが最善か俺でも理解できるように説明してくれる。なんて出来た先輩なんだろうか。
九:「先輩のおかげですよ。オーダーに助けられてます。」
セ:「そうかな?九藤が上手く動いてくれたからだよ。言われた通りするって実は結構難しいんだ。相手の言ったことを自分の中に落とし込まないと何でそうする必要があるのかが分からないからね。」
九:「俺、人とゲームした経験が全然なくて...プロゲーマー目指してたんですけど、やっぱりプロゲーマーになるにはそういうオーダーも出来ないといけないんですかね?」
セ:「まあ、必要な能力だとは思うよ。そういうのはこれから配信を通して身に付ければいいと思うよ。」
九:「...先輩。相談に乗ってもらってもいいですか?」
セ:「ん?なんだい?」
九:「実はさっきSNSで自分の配信の反応を確認したんです。まあ、いい意見もあったんですが、やっぱりトーク面があまりっていう意見が多くて...」
セ:「う~ん...変えたい?」
九:「え?」
セ:「そういう自分を変えたいのかい?」
九:「変えたいと言うよりは変えないといけないのかなと。」
セ:「九藤って学生の頃一人でいることが多かったんだよね?九藤も知ってると思うけど、人と関わるっていうのは結構エネルギーのいることなんだよ。」
九:「ええ。よく知ってます。だから省エネの為に一人でいましたので。」
セ:「そう。何故エネルギーがいるかって言うと考えないといけないことが多いから。自分の発言一つとっても『相手はどう感じるだろうか?』と考える必要があるし、相手の発言一つとっても『相手は何を考えてそう発言したんだ?』と考える必要があるんだ。今までのように一人でいる方が楽だと思うよ。」
九:「それはそうなんだと思います。でも、自分も『メモプロ』のメンバーの一員になったので一人で閉じ籠ってるわけにはいかないと思うんです。」
セ:「そうだね。一人で閉じ籠るのも手ではあるんだろうけど、そうするとよっぽどの才能がないとどこかで頭打ちになるだろうね。」
九:「...メンバーの一員として活動していきたいんですが、俺には誘い方がわかりません。話を広げるのも得意じゃないです...」
セ:「君が変わろうとするなら、メンバーに積極的に関わろうとするなら僕はいくらでも協力するよ。後輩なんだからそれくらいは先輩に頼ってくれて構わないよ。」
九:「先輩...よろしくお願いします。」
セ:「任せときなよ。」