ぼくらのヒーローアカデミア TS脳無化錬金術ヒーローマリくんちゃんの終活 作:Radrabbit
後評価してくださった皆さんありがとうですわ~!評価バーに色が付いてるの見て感動しました!ビックリ!
「影山に葉隠、まだ飯食ってねぇよな?」
「昼食のお誘いですわね」
「いよ〜しっ!高いやつ食べちゃお〜!」
「別に何でもいいぞ。鰻とか・・・はあるのか知らねぇけど」
「学食のメニューは高くても1000円以下だったと記憶しているが」
「や、流石に冗談だよ?・・・んー、轟君!今度時間ある時みんなで遊びに行こっか!」
昨日のお詫びに昼食を奢りにきた轟君達がやってきた。透さんが如何にも高校生らしいじゃれ合いを仕掛けたけれど、彼には透さんのノリはまだ早いんじゃないかな。
でもすぐに切り替えて別の提案を出すのは流石透さんというべきか。早速轟君に友達と遊びにいく経験を積ませに誘う彼女にはお節介焼きの素質が垣間見える。まぁヒーロー科の子達はみんなそんな感じの良い子ばかりだけれど。
「ふむ・・・10点だね*1」
「えぇ、10点を差し上げて問題ないでしょう*2」
「何の話だ?」
「詳細はわからない・・・が、確かに蕎麦を食べているだけでも中々様になっているな」
その場で錬成した10点と書かれたプラカードを透さんと共に上げる。彼には理解できないだろうけど、寡黙系のイケメンは蕎麦を啜っているだけで目の保養になるんだよ。障子君は中々見る目があるね。
「?」
「フッ・・・いやすまない。轟のことを少し誤解していたようだ」
「揶揄いがいがありそうですわよね」
「ダメだよ哀ちゃん、轟君で遊んじゃ」
「俺は別に玩具とか持ってねぇぞ?」
単に天然なのか同世代とのコミュニケーション不足なのかはわからないが、それでもこの調子なら時間を掛けていけば他の子とも仲良くやっていけそうかな。ちょっと安心。
「まだ轟にそういうのは早いだろう」
「そうですよ透さん、人を使って遊ぶなんて言語道断ですわ」
「私なの!?」
「冗談ですわ」
ころころと表情を変える透さんが愛らしくてつい揶揄ってしまう。けれどここまで素敵な笑顔が他の人に見えないのは結構悲しい。いつか他の人も彼女の顔が見れる道具でも作れないだろうか。
「にしても哀ちゃん少食だねぇ。もっと食べないと背が伸びないよ〜?」
「私にはこの量が最適ですので」
「もぉー、そんなこと言ってると障子君みたいに大きくなれないぞ?」
「そこまではちょっと・・・」
「影山の体格的に障子並みの身体作るのは難しいと思うぞ」
“言われてますよマリさん!”
(や、成長止まってるから栄養を過剰摂取するのはちょっと・・・)
エネルギー補給をする分には胃の中で分解すればいいので構わないが、過剰に摂取すると余分な栄養素を取り出して処分する過程がちょっと面倒臭いのです。
UU────────!!!!!!!
「!?」
「何事だ!?」
「なになに警報!?」
『セキュリティ3が突破されました、生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください』
(セキュリティ3が突破?──まさかAFOがこんな白昼堂々と襲撃を!?)
即座に『千里眼』を起動して敷地内の確認──の前に避難が先か。最優先は透さんだ、彼女の透明な肉体ではこの人混みで認識されずに大怪我を負いかねない。
「透さん、こちらへ」
「哀ちゃん!?」
透さんを側に抱き抱えて一時的な足場を高所に錬成する。轟君達には悪いがあまり場所を取るわけにもいかないからね。
食堂全体では既にかなり大勢の生徒が迅速に避難を始めた影響で人の波が出来上がっている。
強引に騒動を止めるには人の動きが大きくなり過ぎていた。学校側から追加のアナウンスがあれば多少は落ち着けるだろうが今は群衆を抑えるより状況把握が先、何処にヴィランが侵入している・・・?
「皆さん・・・大丈────夫!!!!」
「飯田さん?」
僕らの真横を高速回転する飯田君が駆けていき『EXIT』看板の真上に衝突。そのまま大声で群衆を落ち着かせるようにマスコミの存在を告げる。
そして彼の端的な説明により危険は無いことを知った生徒達のパニックは次第に収まり、ゆっくりとだが再び騒ぎを起こすことなく人の波は落ち着いていった。
“驚きました、まさかマスコミでこんな騒ぎになるなんて・・・”
(いや・・・マスコミは本命じゃない)
“はい?”
ただマスコミが侵入しただけ・・・まさかそんなわけないだろう。往々にして彼等に雄英バリアーを破る程の能力も無ければ雄英の設備を破壊してまで取材を実行する度胸も無い。であれば・・・マスコミは囮かな。
一時的に注意は反らせるだろうけど大々的な襲撃を仕掛けられるほどの隙は流石に生まれない。
(操奈ちゃん、ちょっと僕『千里眼』で雄英校内を調べるから透さんのこと見ておいてくれる?)
“了解です。任せてください!“
校門周辺は──無人?マスコミに紛れている不審者は・・・一目で分かるようなのはいない。けどわざわざあんなプロヒーローに注視されている集団に潜む意味は無いはず。
校舎─グラウンド─体育館─別館─む、何処もかしこも生徒か教師だけで不審な人影は見つからない。
見逃している可能性や変装で紛れている線も零ではないけれど、食堂以外ではまだ生徒の避難と教師の誘導が続いている。この状況でその他大勢と異なる動きをする人間が居れば逆に目立つ。
・・・本当に侵入してないの?そんな馬鹿な・・・。
仮に侵入していないとしてそれなら一体何が狙いなのか。わざわざマスコミまで使って雄英の警戒を煽るような真似をするのであれば確実に何か手立てがあるはず・・・あ゛ッ!!
(青山君・・・今雄英でアイツがフリーに動かせる人間!)
そうと決まれば急いで彼を探さなければ──教室にはいない。1年校舎は・・・ダメだ。避難で流れ動く人が多すぎる。でもこれじゃ青山君だって碌に動けないだろう。
ならばもっと別の場所・・・目的から逆算した方が早いかな?
AFOの狙いはオールマイトの殺害とOFAの奪取。彼を狙いやすい、不意をつけるような何か・・・屋外の特殊訓練?
昨日の戦闘訓練のようにオールマイトと生徒だけで孤立している空間。その情報を探すとなるとー・・・職員室のカリキュラムかな──ビンゴ。
(やぁっと見つけた。職員室で机漁ってるね。カリキュラムが狙いだったか)
“わっ、ほんとに漁ってるじゃないですか!・・・というか、何で誰も職員室に居ないんですか?”
(・・・なるほどね。マスコミ騒ぎで職員を生徒の避難とマスコミ対処に回させることで職員室を空にしたわけか)
ここまでマスコミ騒ぎが大きくなれば事態が収まるまで暫く時間が掛かるだろう。その間にじっくり時間をかけて物色できる算段なわけだ。
職員室に監視カメラは・・・設置して無いんだ。彼の犯行がバレないのは彼本人の為には助かるのだが、警備システムとしては些か不用心に思える。
んー・・・雄英に侵入する難度の高さを考えれば内部のセキュリティより外部の警備、監視にコストを掛ける方針なのかな。今度根津校長に聞いてみよう。
それから青山君はものの5分程度で職員の机──あれ相澤先輩の机か──を漁り終わり、目的であろうカリキュラムが記載されている用紙を発見した。
情報をPCではなく紙で管理していたのが裏目に出たのか・・・いや、『千里眼』を彼の手元に拡大すると何かUSBメモリのような機材を持っているのが見える。ハッキングなり何なりで情報を抜く為の準備だろう。
どの道時間の問題でしかなかったわけか、随分用意周到だね・・・僕AFOから何も聞いてないんだけど?
(スマホで写真撮って漁った現場も元に戻すと。これじゃ戻ってきても気付きそうにないねぇ)
“相澤先生がもっと机を整理整頓していればわかりやすかったでしょうに“
(そこはまぁ・・・ご愛嬌だよ。幸い僕が今気が付いたし、根津校長に伝達すれば対策練ってくれるさ)
無事に・・・と言っていいかわからないが青山君が何食わぬ顔で教員棟を出たことを確認してから『千里眼』を解除。
避難が進み周囲にスペースが空いたことを確認し、錬成物をゆっくり分解しながら僕らは地面に帰還した。
「めっちゃビックリしたぁ・・・ありがとね哀ちゃん!」
「お気になさらず、透さんに怪我が無くて幸いです」
◇◇◇◇◇
「委員長はやっぱり飯田君が良いと・・・思います!」
“えぇ・・・今更変えるんですか?”
(まぁまぁ、食堂の一件を見たら飯田君を指名したくなる気持ちはわかるし)
確かに食堂の一件で彼が咄嗟に発揮した気質は集団のリーダーとして素晴らしいものだった。けれど一度投票で決めた役職を委員長の独断で変えてしまってもよいのだろうか。
その心配とは裏腹にクラスの皆は緑谷君の提案に次々と賛成を表明していく。彼らも食堂の現場で飯田君の活躍を見ていたらしい。
(あれ、意外とみんな乗り気?)
“八百万さんは不服そうですけど”
(覚えておきな操奈ちゃん。これが民主主義だよ)
若干一名不満があったようだがそこは寛容な心で受け入れてくれたみたい、優しい子だね。
「ごめんごめん、待たせちゃったね」
「私も先程着いたばかりですから」
「それで、どんな用事かな?」
「少々気になることがありまして」
ニコニコと笑う人形の喉を無言で握りしめることで気道を塞ぎ、そのまま体内を解析する・・・流石に直接なら弾かれないな。
強化されたこの肉体であれば息を止めることなど容易く、逆に首を折らずに加減することのほうが難しいくらい。
けれど首を絞められているというのに本人は惚けた顔で気にした様子が無い。まして自前で二酸化炭素を酸素に錬成している訳でもないのに顔の血色に変化も無く平然としている。
じっくり5分は首を締めて解析しながら放置してみたが当の本人は不思議そうな表情をしたままだ。
・・・むむむ、ここまでならまぁ
「なになに・・・?えっと、どうかした?体調悪い?」
「この有様で何故平然としているのでしょうか、貴方今呼吸もしていませんわよね」
「んぇ?ちょっと言ってる意味がよくわからないかも・・・最近の流行り?」
「ふむ、
解析も終わったので首から手を離す。絵面が少々犯罪的だったけれど自分相手だし気にしない気にしない*3。
後はどの程度僕の指示を聞くようにできているのか確認だ。
「・・・では試しに『明日のオールマイトのスケジュールを知っている限り全て教えなさい』」
「んん?ごめんごめん、ちょっと聞き逃しちゃったかも」
「あら、この程度でも拒否するのですか。人形の癖に無駄にリテラシーがありますわね」
「『今日のオールマイトの昼食は?』」
「うどんとサラダ食べてたよ。あれは多分関西の出汁が薄味のヤツだねー、間違いないよ!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
幾つかの問答を経て大体コレの基準が概ね把握できてきた。
一つ、アルケミー以外の人間に関わる情報を聞いた場合至極役に立たないどうでもいい事柄までしか答えない。
二つ、他者を傷つける、騙す、誘導させる等の害意を含むような指示は受け付けない。
三つ、『アルケミーの振る舞い』として適切な言動であれば指示を受け入れるが、それが上記の二つに含まれる場合拒否する。
「ふむ・・・現状使い所がありませんわね。暫くは人間カメラとして放っておきましょうか」
「よくわかんないけど今僕ディスられてる?」
(んー・・・我ながら何なんだろうね。コレどういう理屈で動いてるのさ)
“身振り手振りがわちゃわちゃしてて可愛いことしかわかりませんでしたね・・・”
(操奈ちゃん??)
教室で試した際は『錬成』による干渉は拒絶していたが、今こうして直接触れてしまえば問題なく解析できた。この分なら多少弄っても不具合は出ないだろう。
反射的に外部からの干渉を拒絶している・・・のかな?
“それにしても、偽物だって知らなければ全然わからないくらい自然ですね”
(パッと見は確かに普通の人間なんだけど、んー・・・?なぁんか違和感があるんだよねぇ)
具体的な言葉では言い表し難いなにか、不安や怒りのような激しいものでは無い。ただ何処か後ろ髪を引かれるような気持ちを感じる。
「まぁ、私達の役に立つのであれば些事がどうであれ構いません」
「そんな冷たいこと言わないでよ〜ねぇねぇ〜」
「引っ付かないでくださいませ。不愉快です」
だる絡みが如く背にのしかかって来るぽんこつを軽くあしらう。
いやそれにしてもなんなのこいつ、僕初対面でこんなにうざ絡みするキャラじゃないんだけど?
「・・・とにかく、貴方は今まで通りに過ごしてくださいませ。時が来れば私に付いて動いてもらいます」
「非番の時ならいーよぉ〜」
「ドクター、有事の際はコレを使い潰してもよろしくて?良い素材に使えそうですので」
「ん??」
「それと昼の騒ぎはお父様の差金ですわよね?必要があれば助力しますとお伝え下さいまし」
「ねぇねぇ何か僕の扱い雑じゃない?」
・・・やっぱり何処かおかしいね。僕は初対面の人間にここまで急に距離を詰めるタイプじゃない、死んで頭の捻子でも外れたのかな。
それともドクターが無駄に気を遣って影山哀に親しみを持つよう何かしらの処理でもしたのか。
“そっちは校門じゃないですよ?”
(葉隠さんの件でサポート科にちょっとね)
“そういえばそんな話もありましたね・・・”
そもまさか入学一週間経たない内からAFOが動き出すなんて完全に想定外だったからオールマイトにも連絡入れなきゃだし、やるべきことが重ねて増えていく。
・・・一応野良ヴィランが名声欲しさに雄英にちょっかい出した可能性は無いでもないか。けれど楽観視することはできない、常に最悪は想定して動いたほうがいいからね。
TIPS
郷里真理 個性『錬成』
掌で触れた対象を自在に解析・分解・再構築することができるぞ!
ただし『創造』と同様に専門的な知識があることが大前提、等価交換の原則に縛られるため周囲環境や手持ちの素材に激しく依存している!本人はポケット増し増しコートに色々入れて対策しているぞ!
また分厚いコートそのものに様々な素材を錬成してゴーレムの錬成幅を広げているらしいぜ!
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