ぼくらのヒーローアカデミア TS脳無化錬金術ヒーローマリくんちゃんの終活 作:Radrabbit
『轟と緑谷の攻防戦!轟が微妙に優勢か!?』
『アイツまだ躊躇ってんな・・・今は個性の制御が形になっただけってとこか』
落ちる。
「さっきは言いそびれちまったが・・・オールマイトに目を掛けられてるお前に負けるつもりはねェ」
「ッ!?どうして急にそんなことっ、でも!僕も負けるつもりない!から!」
墜ちる。
「OFAフルカウル──4%!!」
「そう簡単には近づけさせねぇよ!」
おちる。
『んん!?なんか空から落ちてきてね??』
『あぁ?んなもん・・・マジか?大丈夫かアイツら』
おち──そ、そろそろ減速!!
「今度は何だ!」
「えっ!?一体誰が──」
取り敢えず二人から離れた場所に
「へぶっ!!!」
『まるで隕石!!今度は地雷じゃなく誰かさんがド派手に着地ィ!!』
『緑谷の爆破で吹っ飛んだ影山が落ちてきたんだろう。あれも多分妨害だろ』
「なになになに!?もうかっちゃん戻って来た!?」
「爆撃か?危ねぇな」
・・・勢いあまって地面に激突。
でも幸い衝撃だけで痛めたりはしていないから着地は完全に失敗したわけじゃない、まだ恥じゃない・・・!落下の土煙で無様な着地はバレてない筈・・・!!
「お、お待たしましたねお二人とも」
「大丈夫影山さん!?さっき凄い声出てたよね?」
「・・・怪我してねぇか。あんま無理はすんなよ」
バレてる!めっちゃバレてる!!
・・・あれ、そもそもこんなことをするはめになったの緑谷さんが原因なのでは。あんなわざわざ地雷をかき集めて大爆発させるような暴挙をしなければ、私が恐怖のスカイダイビングをする必要など無かったというのに。
「────」
──この恨み晴らさでおくべきか。
そうだ。せっかくの体育祭なのだから思い切りやってしまえばいい。彼にとんだ妨害をされた分私もやり返してやろう。
「お待たせしましたね緑谷出久ゥ!!」
「ヒィ!?なんか凄い怒ってる!?」
「お前何したんだ。かなりキレてるぞ」
もしや私への被害を忘れているのだろうか、そうだとしたらかなり許せない。怒りのあまり全力のグーが出そう。
「まさか空路が裏目に出るとは思いませんでしたが・・・危うくあのまま棄権になるところでした。あと・・・凄く怖かったです」
「そそそれは本当にごめん!まさかあそこまで大規模になるとは思わなくて!本当にごめんなさい!後で謝ります!!」
「後でじゃなくて今ァ!!」
飛び切り痛いだろうけど私が怖い思いをした分の報いを受けてもらう。他の人は巻き添えになるけど許して欲しい、だって体育祭だもの。
「
「おわわわわ痛ッたァ!?」
「チッ、遠回りになるが仕方ねぇ」
『突然始まるシューティングゲーム!!心なしか殺意が垣間見えるぜ!』
警備ロボさん製の安心安全に配慮した制圧用ゴム弾頭をばら撒く。直撃しても死ぬほど痛いだけなので、心置きなく受け止めて悶え苦しんでくれると助かります。
(貴方達は精々
弾幕を隠れ蓑にしながら駆け出した。これまで溜め込んだ資材を全て注ぎ込んだ弾幕の雨で二人の足止めを続ける。
避け損ねた緑谷さんが小気味よく悲鳴を奏でている横で轟さんは氷壁を立てて中央を迂回していた。彼等とゴールまでの距離感を考えれば恐らく追いつかれる前にゴールに間に合う・・・ハズ。
“爆撃くるよ!伏せて!!”
BooooM!!!!
「何ごちゃごちゃ騒いでんだテメェらァ!纏めて死に腐れや!!」
「このッ!タイミング考えてください!」
「知るかァ!黙って死ね!」
“シンプルに口が悪い!”
爆音と閃光が視界を埋め尽くす。
緑谷さんの地雷爆破で派手に吹っ飛ばされていたのでそのままフェードアウトしてくれていれば助かったのだけれど、流石にそこまで容易い男ではないか。
そのまま彼は般若の如き形相でストレートに緑谷さんの所までカッ飛んで行く。地雷で吹き飛ばされたのが相当頭に来ていたのか今にも激昂しそうな青筋の浮き具合だ。
できればそのまま血管が切れて棄権して欲しいくらい──うわ目付き怖。
「よぉクソデクゥ!!さっきはふざけた真似してくれたなァ!あぁ!?」
「ままままってかっちゃん!」
「待たねェ殺す!」
(ふ、憤怒の化身・・・)
“操奈ちゃんはあんな風になっちゃだめだよ?”
(頼まれてもなりませんよあんなの!!!)
鬼の居ぬ間になんとやら。悪鬼羅刹と化した爆豪さんが緑谷さんに構っている間に抜けてしまおう。そうと決まれば轟さんが立て直す前に行かないと。
「させねぇよ」
「そう、簡単には行かせてくれませんか・・・!」
彼も同じことを考えついたのか、爆撃の煙に紛れて氷結が私へ伸びてきた。けれど流石にこの短時間で二度も同じ轍を踏むわけにはいかない。素早く走り出して氷を避け、近接戦にならないよう彼と距離を取る。
『ゴール直前まで来て場が更に混沌としてきたぜ!もっと争えお前ら!!』
『この混戦で誰が一番早く次の手を決められるか。今んとこ誰が一抜けしてもおかしくはないな』
「
「んなもん作り直せや!!」
一旦私の元へ戻そうと干渉した
それに開幕と降下時でもう2回も錬成を使ってしまった。残りの競技数を考慮すればこれ以上は使いたくない。
“爆豪君に
(ですが素材使い切っちゃいましたし・・・仕方ありません!)
「
私の肩へ呼び戻した
先程のような牽制用では決め札にならない。今出来る最大打点でないと恐らくこの三人を超えて先へ進むのは不可能だろう。
「
「怪我したくなけりゃ下がれよ」
「俺の前に!!立つんじゃねぇ!!!」
「───やるしか、ない!」
“覚悟はいい?まだギリギリ下がれるよ”
(いいえ、やってやりますよ。全員ぎゃふんと言わせてみせます!)
私が技を撃つ準備を整え始めたのを見て、各々が最大出力を放つための“溜め”を作る。
半身から膨大な冷気を排出する轟さん、爆破を利用して器用に空中で高速回転する爆豪さん、そして黄緑色の稲妻を迸らせクラウチングスタートの姿勢を取った緑谷さん。
此処で優位を取った人間が一番最初にゴールへたどり着ける。言葉に出さずともそれを理解している全員が、それぞれに敵を打破するための必殺を構えていた。
「
「穿天氷壁」
「
「OFAフルカウル──5%!!」
『四つ巴の熾烈な激突!果たしてこのぶつかり合いの勝者は誰だァ!?』
最初に火蓋を切ったのは私の弾丸だった。傍で回転している
けれど私がこの手を選択した以上決着が着くその瞬間まで手を緩めることは許されなかった。精確無比に一人一人に照準を合わせて放たれるその弾丸が私の全ての敵を打ち砕くと信じて。
「死ねェ!」
次いで眼にも止まらぬ速度で空を舞う爆豪さんの掌から凶悪な爆閃が放たれる。暴風雨のような爆撃が私達の視界を覆い尽くし、瞬きの間に弾丸を弾き落としながらその破壊を私の目前まで届かせていた──。
「・・・・・・」
──けれど、すぐさませり上がって来た極大の氷塊が全てを呑み込んで聳え立つ。轟音と閃光、大気を切り裂いてつんざくような不快な音が耳を突き刺す。
激突した氷壁と爆撃が砕けて混ざり、細かく砕けた氷がダイヤモンドダストのように空から降り注いだ。
(もう一基の砲塔はまだ砕けていない!まだ撃ち続けられる!)
「誰が一発きりなんて言ったァ!?」
「ッ!?」
(この人アレを連発する気ですか!?)
“不味いよ!!地面に伏せて耐ショック姿勢!!”
必殺を放った反動で勢いを付け
残った
「ついさっき見たモンそう簡単に撃たすかよ・・・!」
「テメェらならそうくるよなァ!!読めてんだよカスがァ!」
──けれど、予想に反して先程よりも短いタメで爆撃が放たれる。不意を打たれた私達は迎撃の準備が揃わないまま不完全な氷壁と弾丸を撃たざるを得なかった。
「痛ッ、つぅ・・・!!」
“操奈ちゃん!!”
(大丈夫、ですっ!まだ戦える!!)
相殺し損ねた爆風が直撃して身体が吹き飛ぶ。
無茶苦茶に回転する視界に見切りをつけて『千里眼』に切り替えて戦場を見渡せば、打ち砕かれた氷壁と荒れ狂う爆煙の中を
(──は?)
“わーお・・・*1”
『この結果を一体誰が予想していたか!?スタジアムへ吹っ飛びなから帰ってきたのはこの男ォーー!!!』
“あはは・・・これは一本取られちゃったね・・・”
(一本というか、狂人の愚行ですよアレ)
『1-A緑谷出久!!ド派手にゴォォォルイン!!』
“いやぁにしても驚いたね・・・あの場の激突を
(頭おかしいんじゃないですかあの人)
“ま、まぁまぁ、一応様子見と相殺はしてたみたいだから・・・”
(一歩間違えたら死んでますよ。勝つ為に死ぬなんて意味ないでしょう)
彼は自殺志願者か何かなのだろうか。まともな人間ならあんなの真似しようとすらしない狂行だ。正直理解できないというか理解したくはない。
“大真面目に平和の象徴なんて考える人間は・・・誰しもあんな風になるのかもしれないねぇ”
(素直にドン引きですよ。見てる側の気持ちを考えていないんでしょうか)
雄英体育祭予選第一種目、障害物競走。
通過順位は4位、まぁ・・・最低限戯言を吐いた分の順位にはなれたと思う。最終種目は基本的にトーナメント形式になるらしいことを考えれば、この先もなるべく『錬成』を使わずに済む種目になるといいのだけれど。
「うへぇ、やっと着いた〜!」
“わ、透さんだ〜”
「あ・・・ふふ、お待ちしておりました」
遅れて達さんがスタジアムへ入ってきた。ただ体操服が宙に浮いて見えるだけの彼女が数々の障害物を超えてここまでくるのにはさぞ苦労したことだろう。
疲労に塗れた彼女の顔を見ると少し安心する。マリさんほどではないけれど、彼女も私の中では癒し枠に入ってきそうな気配を感じている。後は私のことを揶揄ってこなければ完璧なのに・・・。
「そこはかとないドヤ顔!スタートでドジ踏んだとは思えなむぎゅ」
「そ、その話はどうか内緒でおねがいします・・・」
即座に透さんの口を物理的に塞いで恥の漏洩を阻止する。全く油断も隙もあったものではない。もしかして彼女はサディストというやつなのだろうか。
「こ、こほん!それにしてもよかったですね。予選落ちしてしまうのではと心配しておりました」
「セリフと真っ赤なお顔が合ってないよ〜」
「もう!少しくらい合わせてくれてもいいじゃないですか!」
「今は私達ライバルだからねー」
気を取り直して戦友の再会を演じてみてもさっぱりと応じてくれない。ただにやにやと私を見つめて楽しそうにしているだけだ。
・・・そんなに楽しいのだろうか、私を揶揄うの。
『さぁさぁ自分の順位は確認したかしら!?早速第二種目の時間よ!』
「予選通過は43名・・・ヒーロー科+その他2名なんですね」
「ほうほう、これは思わぬダークホースが出てきそうな予感~」
「私としては番狂わせなんて遠慮したいのですが・・・」
ただでさえ第一種目で神経を削りながら駆け抜けたのだ。これ以上変な人や怖い人に調子を狂わされるようなことは勘弁してほしい。
『次の種目は一体何かしら!?言ってるそばから~』
【騎馬戦】
騎馬戦、互いに妨害しながら競走した後は協力が必要な競技になるのか。私は身体が小さいから必然的に騎手になる前提で組んだ方が良さそう。
「・・・あっ」
“んふふ、頑張りどころだねぇ”
ミッドナイト先生のルール説明中、何となく視線を感じて周囲を見渡せばこの場にいる半分の人間、ヒーロー科B組の生徒達が敵愾心剥き出しで私を睨んでいた。
単純な帰結、不本意ながら開幕の選手宣誓がまだ効いてしまっているのだ。つまりB組は論外、それ以外の他科2名も期待するのは厳しいだろう。
となるとA組のいつも一緒にいる皆さんに頼む他無さそうであるのだけども、果たしてライバルの透さんや競争を楽しいんでる様子の芦戸さんは私と組んでくれるだろうか。
何せ騎馬戦だ。私のような小娘は体格だけでも不利、『錬成』の節約を考慮すれば大したこともできない。相応のメリットが無いと組む理由が無いし、何よりも‘誰かと協力して云々’なんてこと今までした覚えがない!*2
「あわ、あわわわわわ・・・」
頬が段々と引き攣ってきたのを自分でも感じる。‘体育祭’なんて名前なのだから確かにそういう協力型の種目があるかもしれないとは考えていたけれど!出来れば無いほうが嬉しかった!!
“どうしようね?自分から誘わないと難しいかもよ?”
(そ、れは・・・わかってます、けどぉ・・・!!)
は、話しかけたくない・・・!他の人から声掛けてほしい・・・!!この際贅沢は言わないから障子さんとかから近づいてきてぇ・・・!!