ぼくらのヒーローアカデミア TS脳無化錬金術ヒーローマリくんちゃんの終活 作:Radrabbit
「そう落ち込まないでください。貴女のスタイルはバランス良く引き締まっていますし、とても可愛らしいお顔の魅力的な女性です。何も恥ずべき部分などありませんよ」
「褒められすぎてなんか変な気分になってきたかも・・・」
「どゔじでオイラは透視ができねぇんだよ!!!!」
“あの泣いてる変態は誰なんです?”
(峰田君だよ)
“マリさんはあの人に近づかないでくださいね、不埒がうつります”
(そこまで言う??)
冷たい声をした操奈ちゃんがクラスの過保護な女子みたいな事を言い出してしまった。僕聞いたことないよこんな声の操奈ちゃん・・・。
それは兎も角、幸い葉隠さんの姿が見える人は男子の中に居なかった。ただ褒め続けられた葉隠さんの頬が林檎のように紅く染まってしまったが・・・ん、肌荒れも無く透き通った綺麗な肌。個性の影響で日差しなんかも透過して紫外線や他の刺激の影響も受けないのかな。
でも日光が全て透過しているのならそれはそれで不健康になる気がするけど、血色の良さや体内のビタミンDに*1問題も見られないし・・・まぁ個性の理屈なんて考えるだけ無駄に近いか。
「そ、そんなに見つめられるとちょっと困ると言うか」
「お肌もよく手入れしていますね。頬も赤子のような肌触り・・・これも個性の副産物でしょうか」
“私の頬もモチモチすべすべですが?”
(あ、ごめんね?操奈ちゃんのお肌も綺麗だよ?)
葉隠さんの頬をむにむに触って解析していたら操奈ちゃんの逆鱗に触れてしまったらしい。学生時代は自分がよく髪や頬を弄られる側だったからつい触ってしまったが、確かに人の頬を弄るのって楽しいね・・・わ、髪質もサラサラで撫で心地もいい。
“わ、私は今かつてない程のジェラシーを感じています・・・‼︎”
(そこまで⁉︎あ、後で埋め合わせするね?何でもするから言ってね?)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「すみません!遅れました!」
「おや、緑谷さんがいらっしゃったようですね」
「おおーデクくん!カッコいいねー、地に足着いた感じ!」
途中から寄ってきた麗日さんと共に葉隠さんの撫で心地を堪能している間に緑谷君がやってきた。緑色のジャンプスーツにオールマイトを模したであろう二本の触覚と口元のマスク、わかりやすいファンボーイだね。
「麗日さん⁉︎・・・と影山さんは何を?」
「見ての通り、二人で葉隠さんを撫でています。緑谷君も撫でますか?」
「エッ⁉︎ぃぃぃやいやいや!エンリョしておきます‼︎」
「男の子が撫でるのはアカンと思うよ?」
「おや?・・・確かにそうでしたね、すみません」
「いやー慣れるとコレはコレで気分良いかも〜」
緑谷くんが来たことでクラス全員が揃い、オールマイトが戦闘訓練の説明を始めた。いつもの高速移動で先に来ていたのだろうが、設備の準備か何かをしていたのだろうか。
「これから君たちにはヴィラン組とヒーロー組に分かれ、2対2の屋内戦を行ってもらう」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知るための実践さ!ただし、今回はブッ壊せばオッケーなロボットじゃないのがミソだ」
屋内戦闘であれば僕が最も得意とする戦場だ、個性に利用できるものが多く罠も仕掛けやすい。そして何より地形が制限されるお陰で相手の誘導がやりやすい。
“ヴィラン相手にどのように動くのかテストする訓練でしょうか?”
(多分ねー、今の彼らにどんな戦い方が出来るのかを確かめたいんだと思うよ)
操奈ちゃんと話している間にもオールマイトへ生徒達から質問の山が飛んでいた。・・・というか青山君、コスチュームは確かに似合っているけれど今自慢するの?褒めて欲しかったのかな。
「ん〜〜聖徳太子ィィ‼︎‼︎」
“見事に質問攻めされてますね”
(昨日の個性テストが相澤先輩だったからより色々気になるんだろうね。除籍の可能性とか)
皆からの質問攻めを回答することを諦めたらしいオールマイトは懐からカンペを取り出し、戦闘訓練の詳細なルール説明に移った。・・・確かに彼は教師初心者だから仕方ないのかもしれないが、あんな露骨なことして他の先生に怒られたりしないのかな。
戦闘訓練のルールはいたってシンプルでそれぞれ核兵器の防衛と奪取が目的となっている。相手チームの制圧も勝利目標になっているけど最初の実践訓練でそこまでできる子は少ないだろう。
“核兵器の防衛戦・・・まるで映画ですね”
(目標が単純で分かりやすい方が動きやすいからねー)
「ちなみにコンビ及び対戦相手はクジだ!」
「適当なのですか⁉︎」
飯田君がチームの振り分け方法に反応するが、現場では臨時のチームアップもよくあることだしそれも加味してだろう。同様のことを緑谷君が飯田君に説明していたが彼はかなりのヒーローオタクらしく、一般にはさして知られていないヒーロー現場についての知識も深いようだね、知識が豊富なのは良い事です。
「先生、この組み分け方法では一人余りませんか?」
「それについては特別ルールがあるのさ八百万少女!」
オールマイトが彼女の質問に対してそう言い放つと箱から「P」と書かれたクジを取り出して補足説明を行う。
「プルスウルトラのP!コイツを引いた人は全ての試合で最も成績が良かったチームを相手してもらう。相方は自分の個性と相性のいい人を好きに選んでいいぞ!」
「その方は全員の戦いを見た上で訓練が出来るということでしょうか」
「それって不公平じゃねーですか?」
八百万さんと切島君が不平を漏らすがむしろその試合状況はプロ的には当たり前と言える。今回は単純に数合わせの事情があるんだろうけどね。
「逆だぜ皆。プロヒーローは自分の個性と
「なるほど・・・先を見据えた計らいということでしたか」
「対戦チームには敵に自分の個性が知られている状況での戦闘、Pチームは敵の事前情報を用いた対策を取った戦闘を経験し、観戦している皆には自分だったらどう戦うべきか考えながら観て欲しいんだ」
そうしてクラスメイトからの質問が終わりチーム分けのくじ引きを行う。これといって希望はないけれど僕が自由に罠を仕掛けられるヴィラン側だと有利が過ぎるから、ヒーロー側を引いた方が程よく手加減がしやすいんだけど・・・。
“あっ・・・“
「・・・ふむ、私がPですか」
「いーなー影山、そうだ!私のこと相方に選んでよ!」
「皆の個性がわかってない状態じゃ決められないわ、三奈ちゃん」
こういう特殊な経験は他の子の糧にして欲しかったがランダムな結果なら仕方がない。ヒーローの先達として彼らのいい壁になれるように立ち回ってみるかな。
“『千里眼』で箱の中身を確認しながら引けば良かったのでは?”
(あ゛・・・しまったな、その発想は無かった)
そういった小細工はいつも錬成で出来るかどうかを基準にして考えていたから、此処で思い付かなかったのは反省だ。クラス人数が21人である以上今後も同様の事態はあるだろうから、その時はちゃんと調整しないとね。
「それでは第一試合を始めるぞ!他の皆はモニタールームに移動だ!」
そしてモニタールームに移動したころ、爆豪君と飯田君のヴィランチームと緑谷君と麗日さんのヒーローチームが5分間の作戦会議をしている様子がモニターに映っていた。
ヒーローチームの二人は少し緊張気味ではあるがちゃんと話し合いはできているように見えるけれど、ヴィランチームの二人・・・というか爆豪君が部屋から直ぐに出ていってしまった。飯田君のあの慌て具合からしてまともに会話すらしていないんじゃないか?昨日の様子からして二人の相性は良くないのだろうけど、爆豪君はどういうつもりなのかなあれは。
「影山さん、この試合どちらが勝つと思いますか?」
「八百万さん?・・・そういえば先程は事情も知らず声を掛けてしまいましたね、すみません」
「いいえ、私の個性を知らなければ困惑するのも当然だと思いますわ」
“自覚はあったんですね・・・”
両チームの様子を観察していたところに八百万さんが声をかけてきた。先程の更衣室では困惑からつい声を掛けたが、きちんと話すのは初めてだったかもしれない。というか、コスチュームが一般的な服装ではない認識はあったんだね*2。
「私は緑谷さんがキーマンになると考えています。あの個性の使い所で勝敗が決まるかと」
「個性テストで見せた超パワーですわね」
「見た目だけなら飯田君が一番つよそーじゃない?」
「確かにコスチュームの防御力では飯田さんが一番でしょうが、緑谷さんの個性の前では誤差に等しいですからね」
加減が全く制御出来ていないのが難点だが人間相手ならデコピンの風圧だけでも十分ノックアウトできるだろう。布一枚纏っていない葉隠さんなら風圧で飛んだ瓦礫などが少し掠っただけでも致命傷に繋がる可能性もある・・・やっぱり裸は防御力が低すぎるよ、彼女のご家族等は何も言わなかったのだろうか*3。
「逆に個性を使わなければ彼のパフォーマンスはクラス最下位、勝機は薄いでしょう」
「個性の反動が重すぎて牽制にすら使えないのが厳しい部分ですわね」
「指一本であれだけ威力あるもんね〜」
とはいえ彼の内気な性格から全く制御できていない個性を人に向けるかは微妙なラインだ。万が一重症を負わせる事を懸念して使わない可能性の方が高いだろう。
“腕を丸ごと使ったらどんな威力になるのでしょうか”
(人間相手なら余裕で挽肉になるんじゃないかなぁ)
オールマイトを筆頭とした増強系個性のプロなら個性の力加減くらいなんてことはないが、本人曰く個性が発現したばかりの緑谷君にそれを求めるのは酷だろう。まして屋内ではあの超パワーを下手に使うこともできないからね。
「それでは屋内対人戦闘訓練スタート!さぁ皆、考えて見るんだぞ!」
画面ではヒーローチームの二人が建物に入って直ぐ、飯田君と別れ単独行動で動いていた爆豪君が早速奇襲を仕掛けていた。
「いきなり奇襲⁉︎」
「ですがギリギリで避けましたわ」
「何やら随分と苛立っていますね。訓練ということを忘れていないといいのですが」
不意を打ったが逆に緑谷君から一本背負の反撃を喰らった爆豪君は映像越しでもわかるほどに苛立っている。明らかに眼が血走っているしどう見ても極度の興奮状態にあるようだ。
“アレ大丈夫ですかね”
(んー・・・流石に拙くなる前にオールマイトが止めてくれると思うけど)
横目でオールマイトを見つつ、試合内容の如何によっては個性を使って干渉することも視野に入れる。もし爆豪君が危険行為を行うなら致命傷にならないよう止めたいのだが、実際に実行するのは少し難しい。此処から演習場までは『千里眼』の射程圏内だけど、対象との距離・対象からの抵抗によって加速度的に干渉力が下がっていく『邪眼』だと中々厳しい。
ヴィラン相手なら『視掌』で触れて手脚を脆い物質に錬成してしまえば即座に無力化はできるけれど、そうでない相手にこの手段は取れない。・・・余程の凶悪な奴相手じゃなきゃ本物のヴィラン相手であってもそうそうやっていい手段ではないけどね。
(ここはオールマイトを信じよう。カンペ頼りなのは不安だけど、戦場の経験は僕なんかよりずーっと多いからね)
“皆さん大怪我しないといいですが・・・”
爆豪君の動きに不安を覚えている内に緑谷君が麗日さんと別れ、逃げる彼を爆豪君が猛追していく。益々ヒートアップしていく彼はオールマイトからの制止も振り切り籠手から大規模な爆破を放ち建物の一角ごと消し飛ばした・・・は?何やってんのこの子は!
かろうじて緑谷君には当たっていない・・・いや、ギリギリを狙ったのか?キレてはいるけど理性は残っているのか、偶々外れたのか映像だけだとわからないな。
「緑谷少年!!」
「何してんだ爆豪!授業だぞ!」
“人に向けてなんてもの撃ってるんですかあの人!”
籠手の解析・・・クソッ、直接触れずに『視掌』越しだと情報のノイズが多すぎて駄目だ。『千里眼』だと音声まで拾えなくて二人の会話内容がわからない。
「先生、爆豪さんが緑谷さんを殺傷する前に止めるべきだと思いますが」
「そうだぜ先生!あいつ相当クレイジーだ、このままじゃ緑谷を殺しちまう!」
「いや・・・」
切島君と共にオールマイトへ進言するが爆豪君と緑谷君の会話を聞いている彼は試合を中止させず、先程の爆破の禁止を爆豪君に言い渡してから試合を再開させた。
“一応オールマイトの指示は聞くんですね・・・今度は近接戦ですか”
「爆破で目を潰しつつ背後に回って攻撃、見た目によらず器用な方ですね」
「あの動き方をするには左右の爆破力を上手く微調整しなきゃなりませんから」
「ひぇー、個性の練度がめちゃくちゃ高いんだねぇ」
指示を受け入れて先程の爆破を使わないのは結構だが、代わりに私怨を晴らすかの如く緑谷君を痛めつけている。わざわざあそこまでしなくても捕獲用のテープなら余裕で付けられているだろうに。
“流石に止めないと不味くないですか?”
(そうだね、これ以上は危険だ)
映像越しに見える二人の激情と会話を聞いて何か思うところがあるらしいオールマイトは今だに躊躇っているようだが、もう既に危険な段階だ。緑谷君が個性を使って反撃しない以上二人の勝敗は決まったと判断していいだろう。
「先生!やばそうだってコレ!」
「先生、二人を止めてください。これ以上は緑谷君が死にかねません」
「双方・・・中止・・・・・・──ッ‼︎」
(途中でやめた?どういう判断・・・いや、此処でやるべきは緑谷君のガード。『邪眼』で動かせるのは多分一瞬が精々、爆破の瞬間に爆豪君の振りかぶった右腕を───上に飛ばすッ!)
爆豪君が爆破するタイミングに合わせて『邪眼』を一瞬だけ使い彼の右腕を上方向にズラす。跳ねた右腕からの爆破は上手く緑谷君から逸れ直撃は防げたが少し掠っちゃったかな。
それと同時に緑谷君が個性を使って建物の最上部まで大穴を開ける。オールマイトを彷彿とさせる脅威的な破壊力の一撃だけど、核が格納されている建物内でやっていいことじゃないぞ。オールマイトじゃなくて相澤先輩なら廊下で説教モノだよ、爆豪君共々ね。
そして緑谷君の一撃に合わせて麗日さんが瓦礫を弾幕のように散らして飯田君を強襲し核を回収。見届けたオールマイトがヒーローチームの勝ちを告げる。
・・・どっちもやり方が危険すぎる。訓練だからこその勝利というか、彼等なりに勝ちを拾いに行ったことを褒めるべきか。緑谷君の派手な一発のお陰で爆豪君への干渉はバレないだろうから、そこはありがたいけどね。
“マリさん!片目が急に見えなくなったんですけど何があったんですか⁉︎”
(今の反動で右眼潰れちゃった、ごめんね。操奈ちゃんの身体傷つけて)
“そんなのどうでもいいです‼︎マリさんは大丈夫なんですか!痛みは⁉︎”
(このくらいどーってことないよ・・・右眼も『超再生』ですぐ綺麗に治るから)
右眼を掌で覆い溢れた血を片っ端から分解しつつ周囲の様子を伺うと、八百万さんも葉隠さんも映像に釘付けになっていた。眼が潰れる瞬間を見られていたら言い訳不可能だったから命拾いしたね。・・・あ゛ー痛っっった、眼球は再生しても痛みがすぐ消えないのか。知りたくなかった知識がまた一つ増えてしまった。
それにしても失敗だ、『千里眼』越しでの限界を完全に見誤っていたね。『錬成』以外に使用する個性は全て眼に関するもの、反動も全部一気に眼にくるわけか。修練で徐々に個性の許容限界を伸ばしていく前に無理はするものじゃないね。暫く睡眠時間は返上して個性訓練に充てるべきだろうか、1番の問題は操奈ちゃんに如何にバレないようにするかだけど。
あー・・・もしかして『超再生』前提の運用想定なのかなこの身体。片目さえ残っていれば幾ら使い潰す戦い方でも問題無いし。それかいつか見た脳無のように眼球を複数増やして運用することも十分あり得るだろう。
「なあ、なんか血の臭いしない?」
「エッ、そ、そーかな?気のせいじゃないかい?」
「もしかしてせい──ギャァッ!」
「峰田ちゃんは黙ってて頂戴」
「峰田お前・・・」
あっぶな、血の臭いに反応した峰田君に何故かオールマイトが*4焦り出して、喋り出した峰田君と舌ビンタで彼を黙らせた蛙吹さんに話が持って行ったお陰で誰にも気が付かれなかった。
というか峰田君今物凄く気持ち悪いこと言おうとしてなかった?確かにこれは操奈ちゃんが過保護になるのも納得だ、その内言動について彼に注意した方がいいか。僕はまだしも操奈ちゃんをはじめとした女性陣の精神によろしくない、ああいうのはせめて男子しかいない時じゃないとやっちゃダメだよ?
「オールマイト先生、保健室行くのって講評聞いてからじゃダメですか・・・?」
「駄目に決まってるでしょ!後自分で歩かないでちゃんと担架で運ばれてなさい!君重症だよ今!」
「緑谷さん、軽く応急処置は済ませましたが決して動かさないように。それとリカバリーガールからしっかり叱られてきてください、自分の身を顧みなさすぎです」
“それマリさんが言えることじゃないと思うんですけど”
(それについては誠に申し訳ないです・・・)
操奈ちゃんの指摘から目を逸らしつつ、試合会場から帰ってきた緑谷君の応急処置を済ませて保健室に送り出す。本人は講評を聞きたそうにちらちら此方を見ていたけど重傷だって言ってるでしょ君、僕と違って『超再生』とか無いんだから。
「さて、改めて講評の時間だが・・・今戦のベストは飯田少年だ!何故だろうな〜〜〜?わかる人‼︎?」
「はい、オールマイト先生───」
オールマイトの問いかけに即座に挙手した八百万さんが理由を述べていく。試合をよく観察しているのが聞いているだけでわかる、推薦入学者なのも頷けるね。うんうん、推測は大体完璧・・・というより飯田君以外が危険な動き方や独断専行しすぎていたからこそ、結果的に彼がベストな動きになっていたのだけどね。
「ねね、影山さんさっき右眼抑えてたけど大丈夫?」
「いえ、少し眼にゴミが入ってしまっただけですから問題ありませんよ」
「そっか、なら良かった〜」
眼が潰れた瞬間は見られていなかったけど、掌で抑えていたのは葉隠さんに見られてしまっていたようだ。こ、心苦しい・・・こんなに人を気に掛けてくれる子に無用な心配させちゃってごめんよぉ。
“次こんなことしたら怒りますからね”
(ひぇ・・・ご、ごめんなさい。返す言葉もございません)
また操奈ちゃんを怒らせてしまった・・・ま、まずいぞ、昨日から散々怒られてるのに今夜からバレずに夜更かしできるだろうか?・・・いや、いっそ僕が先に子守唄で操奈ちゃんを寝かせようか。
私室を手に入れて彼女と話せるようになった最初の頃は、精神が不安定になってしまっている彼女を落ち着かせるために毎晩お喋りしてから子守唄で寝かしつけていた。当然怪しまれるだろうが子守唄で眠りにつく習慣は研究所と隠れ家の生活で彼女の意識に染み付いている、ゴリ押しでどうにかなる筈だ・・・多分。
そして講評が終わり次の試合の準備に移る。後で保健室に行って右腕の治療をさせてもらえないか聞いてみようか。爆豪君の攻撃をガードした左腕は軽傷に抑えられたけど個性を使った右腕の反動ダメージは軽い応急処置のみだ。あれ位なら錬成で戻せるからリカバリーガールに治療の許可さえ貰えれば何とでもなる。
・・・それにしても随分高威力の一撃だったな、並の増強系ではあそこまでの威力はそうそう出せない。個性が発現して数ヶ月未満というのなら尚更、恵まれた個性であっても相当な修練が必要不可欠な筈だが・・・いよいよ怪しく思えてくるね。後で保健室に寄った時に治療ついでに身体を調べてみるか。
「じゃー次私だね!頑張るぞ〜!おー!」
「えぇ、葉隠さんの健闘を祈りますわ」
「あっそだ、コート返すね?・・・それと試合中はあんまり私のことは見ないで頂けると・・・」
「承知しました。極力葉隠さんは見ないようにしますね」
「訓練としてそれはあまりよくないんじゃないかしら・・・」
女の子には譲れない一線があるってことだよ。・・・もしかして八百万さんやむを得なければ全裸でも戦うとか*5言わないよね?お願いだからそんな痴女じみた考えは持たないことを祈るよ、あんなの
影山操奈・・・研究所の生活中に子守唄で寝付く習慣がついた
緑谷出久・・・マリくんちゃんガードにより反動で壊れた右腕以外は軽傷、歩いて保健室に行こうとしていたことをリカバリーガールからもしっかり怒られた。
地の文に一切登場させてなくても「漢だぜ!」のニュアンスを含めれば誰のセリフかわかる切島君、すげぇ便利だなって思いました。