元風紀委員モブちゃんの自分探し   作:旨味

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今回で先生との顔合わせまでいくつもりだったのですが思ったより長くなったのでそこまで行きませんでした。シャーレ所属生徒の話のはずなのに先生が出ないという非常事態。


ひたすらに可哀想な行政官

 キヴォトスの偉い人は皆苦労人気質なのかもしれない。私、東郷アユミは目の前にいる首席行政官…七神リンさんを見ながら思った。

 連邦生徒会の人事も担っている行政官に挨拶とともに、書類の提出に来たのだが、そこには明らかに疲弊している行政官がいた。

 

 

「今日からシャーレ所属となります、東郷アユミです。よろしくお願いします。」

 

と言いながら書類を手渡すと

 

「私は連邦生徒会主席行政官の七神リンです。こちらこそよろしくお願いします。」

 

 と返される。なんというか、彼女の声から疲れがにじみ出ている気がする。シャーレなんて万能な組織ができたのだから負担は減るものだろうと思っていたのだが、そうでもないのだろうか?もしやまだうまく機能していないのだろうか?などと考える。

 

 

「アユミさんの仕事は先生の補佐となります。彼はシャーレの部室にいるはずなので案内します。ついでに軽く連邦生徒会の中を案内します。きっとここに書類を提出しに来ることもあると思いますので。」

 

「忙しい中申し訳ありません。よろしくお願いします」

 

「いえ、大丈夫です。それでは早速ですが行きましょう。」

 

 

 と言って彼女は立ち上がる。行政官が直接案内するのか…とも思ったがシャーレの先生はキヴォトスの外から来たのだ、銃弾一発でも致命傷になりかねない。だからこそ私がある程度信用できるのかをみたいのだろう。今も相当苦労しているようだし、余計な心労を減らせるように頑張ろう、と決意するのだった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

数刻後…

シャーレビル付近にて

 

 

「ここがシャーレのビルです。」

「…凄まじい高さ。」

 

 と思わず呟く。かなりの高さだ。ここまで高くする必要はあったのだろうか。まあ『超人』なんて呼ばれていた連邦生徒会が作ったものらしいため何か意図があるのだろう。というかマジでこの高さの建物初めて見るな、すげえ。

 

 

 私たちは連邦生徒会内部を大方見て回った後、シャーレのビルの近くに来ていた。ゲヘナには無かったタイプの建物であるため内心でテンションが爆上がりしているのを表に出さないようにしながら、ビルに向かうリン行政官の後ろを歩く。

 

 

 周りを見回したとき、ふとやたらと荒れていることに気づく。戦闘でもあったのだろうか。この辺りは連邦生徒会長が失踪してから相当治安が悪化したとの話だ。しかし、いくら治安が悪くとも連邦生徒会保有の建物の目の前で戦闘を起こす馬鹿などいないだろう。ゲヘナじゃあるまいし。

 

 

「足場が悪いので気をつけてください。数日前に不良たちによるシャーレへの襲撃があったのですが、お恥ずかしいことにその片付けが済んでいないんです。」

 

 

 ため息混じりに呟くリン行政官。

 マジカヨ。ゲヘナは特別イカれた連中の集まりだと思っていたが、意外と平均的なのかもしれない。いや、ゲヘナのイカれた連中みたいなのがそこらにいるってことなのか…?大丈夫ですよ、と返しつつ、元々大して良くもないキヴォトスの治安が心配になるのだった。

 

 

 ビル内を案内してもらいながら歩き回り、シャーレの部室前に辿り着く。いよいよ先生との顔合わせだ。どんな人なのだろうか。マトモな人だと良いのだが。などと考えながら部屋をノックする。返事がない。少し間をおいてからもう一度ノックをする。やはり返事がない。

 無言でリン行政官の方を見る。が、彼女も戸惑った顔をしている。…もしかしてマズイか?

 

 

 ドアノブに手をかけると鍵が閉まっていなかった…失礼します、と一声かけたうえで部屋に入る。中で倒れてたりはしないでくれよ…?

 

 

「誰もいませんね」

 

 と私が呟くと驚いた顔をした行政官が後に続いてくる。質の悪いドッキリかと疑ったがそういうわけでもないらしい。いっそドッキリであってくれたほうが良い。

 

 「そんなはずは…休憩中…?にしては時間が早いし…」とブツブツ言いながら奥に進んでいく行政官。冷や汗をかきながらついて行く。

 そして恐らく仕事机の上の目立つところに何かが書いてある紙が置いてあることに二人でほぼ同時に気づき、読み進める…そして二人で顔を見合わせる。目の前にいる彼女はとんでもなく微妙な顔をしていた。恐らく私も似たような顔をしている。

 

 その紙には

生徒から助けて欲しいという手紙が来たのでアビドスに行ってきます。

                   先生

 

と書かれていた。

 

 

 何かあったわけではない事に安堵する気持ちと、なんで私が転部してくる日に被って外出するんだ…?という困惑の間で板挟みになる。そこで二人でほぼ同時に同じ結論に至った。もしかして私が来ることを知らなかった…?

 

 

 無言で机に積んである書類を見る。記入されていない、恐らく確認されていないであろう書類の山だ。上から5枚ほど捲ったところで私の転部届を見つける。もちろんその前の書類もその後ろの書類も未記入だ。恐らく確認されていないと思われる*1。キレそう。

 

「…あっ」

 

 そして七神リンは思い出す。先生にシャーレに入部する生徒がいる話をした時、割と仕事で疲れていて限界そうであったことを。そして、彼女自身もかなり疲れと仕事が溜まっており、机に書類を置いた後しっかり確認しなかったことを。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…………本当にごめんなさい……」

 

「いえ、大丈夫ですよ。相当疲れが溜まってたんですよね?仕方ないです。」

 

 

 行政官から事情を説明され、謝罪された私はそう返した。風紀委員会の時も極限まで疲労したであろうヒナ委員長がおかしな言動をしていたことを覚えていたため、心の底からそう思っていた。

 それはそれとして先生とやらは許せない。長期で!外出!するなら!事前に!連絡するのは!常識だろうが!社会人1年目か!会ったら殴ってやろうか?

 

 

 まあそんな事を考えても仕方ないか、と思い直す。それに先生は上司だ、殴るわけにはいかない。

 行政官が連絡を取ろうとしてるが、電源が切れてるのか返事もなく電話にも出ない。これ、私が見に行ったほうがいいな…?

 

 

「リン行政官、これからアビドス高校に向かっても大丈夫でしょうか?」

 

「お願いします…」

 

 

こうして私のシャーレに所属して初めての仕事が与えられたのだった。

*1
大正解




書きながら先生でも流石にこれはないか…?いやでも先生だし……って考えてました。ギリやりそうが勝ったので社会人1年目先生(そんなレベルではない)が誕生しました。
今回話進んでねえ!
次回こそは先生と初顔合わせです。
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