元風紀委員モブちゃんの自分探し   作:旨味

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 先日ここすきという機能がハーメルンにあることを知りました。面白いですねこれ。

 モチベになりますゆえ評価などよろしくお願い致します。


何かがおかしいシャーレの部員

 おかしい。私は戦闘の指揮をしつつ漠然とそう思った。

 それは銀行強盗をしているというこの状況もそうだが、それ以上に気になることがある。恐らく私以外の、銀行強盗という行為自体を楽しんでいるシロコを除いた全員も思っていた。

 

「ヒイィィィ!」

 

「私はおとなしくしてろって言ったんです、聞こえなかったんですか?」

 

((((((なんかアユミ(ちゃん(さん))が怖い…))))))

 

 

 彼女はお面を被る前、気合を入れるような動作をしていた。それだけなら微笑ましい、という表現で正しいか分からないがそれだけだったのだが、その直後に雰囲気が変わったのだ。

 そこからはずっとあんなふうに冷たいと言うかピリピリしてると言うか、まあ普段とは違う感じなのだ。

 

 

 案外素はあっちだったりするのだろうか、そんなことを考えつつ、指揮をする。途中で銀行の中に便利屋の皆がいることに気がつく。なんでこんなところに…。

 

"アユミ、便利屋68の子たちがいるから極力そっちには近寄らないほうが良いかも。気づかれるかもしれないし"

 

「分かってますよ。」

 

"う、うん…"

 

 やっぱ怖い!!どうしちゃったのアユミ!?

 

 

 そんなこんなありつつも順調に強盗は成功し、今はマーケットガードから逃げながら戦っている。

 

"ホシノとヒフミは逃げ道の確保、セリカ、ノノミは撃ちまくって追っ手を減らして。シロコとアユミは路地から出てくる敵を警戒して。"

 

 そう指示を出す。相変わらずアユミの位置はシッデムの箱に写っていないが、アヤネのドローンで確認することで誤魔化している。

 

 

 それなりに銀行から離れ、追っ手が減ってきたタイミングで、

 

"アユミ!上!"

 

「あっ…」

 

 そんな声とともに大きな爆発音が響く。ドローン側を見ていたせいでギリギリ画角外の建物にいた敵に気づくのが遅れてしまった。そして、最悪なことにその敵がロケットランチャーを放ち、アユミに直撃した。

 

「ちょっ、アユミ!?大丈夫!?」

 

「ッ…問題ないです…よ!!」

 

 そう言いながら建物の上にいた敵を撃ち抜く。だが傍目から見てもボロボロだ。…残りの追手も少ないし、アユミだけ先に行かせるのも手か。

 

"アユミだけは先に撤退して、他の皆は追手をここで片付けよう。アヤネは撤退の支援をしてあげて"

 

「任せてください、先生☆」

 

「うへ、おじさん頑張っちゃうぞ〜」

 

「ほら!行った行った!」

 

「……分かりました。」

 

「ん。残りを蹴散らすだけなら楽勝」

 

「ア、アユミさん、一応気をつけてくださいね!」

 

 

 指示通りに撤退するアユミを映像で確認しつつ再び戦闘の指揮を開始する。まあただ残りの敵は大した数でも無かったので簡単に状況は終了した。

 それとほぼ同時にアユミが私のいる位置まで撤退してきたため、そちらに意識を向ける。

 

"怪我は大丈夫?"

 

「見た目ほど酷くはないので心配しなくて大丈夫ですよ?」

 

"それなら良かったけど…一応学校に戻ったら傷の治療をしておきなよ"

 

「分かってますよ、先生。ありがとうございます。」

 

 

 いつの間にか雰囲気が戻ってるなぁ、と思っていると突然無線から大声がが響く。

 

「ちょっとシロコ先輩!何このお金!?」

 

「ん…それは銀行員が勘違いして勝手に…」

 

「うへ〜、ほんとに五分で一億稼いじゃったよ…」

 

「ほんとにって。冗談でも強盗する案が出たんですか…?」

 

"アユミ、それは気にしなくていいよ"

 

(え。まじで出たの…?)

 

 

 アユミが若干どころかガッツリ引いたような視線が痛いが気にしてはいけない。

 そして無線の先ではどうやらそのお金をどう使うかという話になっているようだ。

 

「…先生はお金使うの止めなくていいんですか?」

 

"うん、私は生徒たちを信じてるからね。それに、こういうのは答えを与えられてそれに従うんじゃなくて、自分たちで考えて答えを出すことが大事だからね。"

 

 アユミからの質問にそう返す。

 

"今度は私から聞いてもいいかな?"

 

「何でしょうか?」

 

"アユミならあのお金はどうするの?"

 

「私なら…置いていきますね、良心の呵責と言うやつです。まあそれに…っと、話は置いていく方向で纏まったみたいですよ」

 

 アユミと会話しつつもお互いに無線は聞いていたため、セリカが後ろ髪を引かれつつ置いていくことに賛同したところもしっかりと聞いていた。

 

 

 これでようやく一件落着か。そう思った矢先にアヤネが声を上げる。

 

『何者かが近づいて来ています!』

 

 そう警告してくれる。

 

「またマーケットガードかな〜?」

 

『接近してきているのは〜便利屋のアルさんです!』

 

「不味いです。」

 

 アヤネの言葉を聞いた瞬間、そう言ってアユミが走り出した。

 

"ちょっと!アユミ!?"

 

 そう制止の言葉をかけるが構わず走っていく。

 

"アユミがそっちに行っちゃったから頼むよ!"

 

 一応無線で呼びかけておく。皆はそれを聞きながら覆面を被り直している。

 

 

 そうしてアルが実行犯の皆に相対す。そこで気づく。彼女も前会ったときと雰囲気が違う。まるで怒っているような、そんな感じだ。

 

「…あなた達、なんて名前の組織なのかしら?」

 

 唐突に、アルがそう投げかける。

 

「覆面水着団です☆」

 

「ちょっ…ノノミ先輩…!?」

 

「本来はスクール水着が正装なんだけど、緊急だったからね〜。」

 

「ホシノ先輩まで!?」

 

 

 どんどんと盛られていく設定を静かに聞いていたアルだったが、

 

「…そう。貴方達は本物のアウトローなのね。かっこいいわ。」

 

 そこまで言って、

 

 

 

 

 

 クイックショットの要領でセリカの頭を撃ち抜いた。

 

 

「いったぁ!ちょっと!何すんの「でもね!」

 

 「でもね、貴方達は無関係な人を巻き込んで事を起こした。それだけは許せないのよ」

 

 

 その言葉を聞いたアビドスの皆は同時にヒフミの方を向く。しかし、

 

「へっ!?私ですか!?」

 

 当の本人が困惑している。

 

「しらばっくれないで。脅して従わせたんでしょう?今いないってことは囮にでも使ったのね?」

 

 …今いない?あの場にいないのは私とアヤネ、そしてアユミだ。だが私とアヤネは前線に出ていないので違う…と思った瞬間に思い出す。

 それを口に出そうとした瞬間、

 

 

「アルちゃん!ストップ!!」

 

 アユミの静止の声が響き渡った。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

アユミSide

 

 なんとか間に合った…?いやまあセリカさん撃たれてるし間に合ってはないんだけど。

 迂闊だった。アルちゃん達なら私に気づいたら脅されてると勘違いするかも。とは思っていたけど、まさか単身で突っ込んでくるとは思わなかった。

 カヨコちゃんに説得されると思ったけど、ムツキちゃんが面白いから放っておこうって言って止めた感じかなぁ。それか説得する間もなく走ってきた感じかな?

 

 

 まあそれは良いや、取り敢えず説明しなきゃ。

 

「この人達は私の友達。色々あって銀行強盗することになったの」

 

「…どんな色々があったら銀行強盗しようってなるの?」

 

 いやほんとその通り。皆割と頭おかしいよ。特に強盗の案が爆速で出るシロコさんとか、なんか覆面持ってるシロコさんとか。

 …もしかしてシロコさんがおかしいだけ?

 

「あそこの銀行がしてる悪事の証拠が欲しかったんだよ」

 

「そ、そうなの?つまり、悪を討つためにより強大な悪になった、ということかしら?」

 

「うん…うん?」

 

「それって…すっごくアウトローね!!」

 

「あぁ…うん、そうだね」

 

 目をキラキラさせてる。また発作出てるよアルちゃん。あと少しは疑おう?

 

 

「ホシノさん、先戻っててください」

 

「うへ、了解だよ〜」

 

「それじゃ、

 

「夕日に向かって〜

 

「夕日、まだだけどね

 

 

 やばい集団は帰っていった。やだなぁ、後から強盗団に合流しなきゃいけないの。

 

 

「覆面水着団…カッコいいわ!」

 

 アルちゃんもしかしてアビドスって気づいてないの?嘘でしょ?寧ろなんで私は分かったの!?

 

 

「いたいた、社長」

 

「アユミちゃんもいるじゃん!やっほー」

 

「ア、アユミさん。えっと、どうも、お久しぶり、です。」

 

「久しぶり、皆」

 

 アルちゃんを追いかけてきた便利屋の皆と挨拶を交わす。この3人…いや2人か、は他がアビドスの人だって分かってたから放っておいたんだろうね。

 

「でもそろそろマーケットガードがこの辺に来るかもしれないし移動しようか」

 

「ええそうね…って、何かしらあの鞄」

 

 あれって現金の入った鞄じゃないの?使わないとはいえそこら辺に捨てるのは…いや、忘れたのか。

 

「まあ、アルちゃんが貰っちゃっていいんじゃない?いらないって言ってたし。」

 

「あら、そうなの?っていうか結構重いけど中身は何なのこれ?」

 

「開けて確認してみたらいいんじゃなーい?」(ガチャ)

 

「ちょっ…ムツキ!?…って、嘘!!」

 

「現金…だね」

 

「すっごい額だよ!アルちゃん!」

 

「……もしかしてこれで、もう食事抜かなくてもいいんですか?」

 

「そういう次元の額じゃない気がするけどね、ハルカちゃん」

 

 

 そんなこんなしながら4人と一緒に話しながら移動した。

 そして、会話していて確信したが。アルちゃんはやっぱりアビドスの皆に気づいてなかった。アルちゃん…

 

 

 アビドスの市街地が近くなってきた辺りで、行き先が分かる。今の便利屋のオフィスは知らなかったが、どうやらアビドス高校とはガッツリ離れているようだ。

 

「それじゃあ、またね」

 

「ええ!また会いましょう!」

 

「まったねーアユミちゃん」

 

「じゃあね。」

 

「し、失礼します…」

 

 そうして四人と別れる。またね、とは言ったが彼女たちが依頼を受けている以上きっと次会うときは敵同士だろうな。

 少し悲しいが、まあ仕方ない。どちらか一方にしか付けないのだ。

 ゆっくり話しながら歩いたせいで時間は割と遅いが、トリニティ生であるヒフミさん以外はまだ学校にいるだろう。早いとこ戻らねば。

 

 

 便利屋との再会は予想よりも早く、そして予想を裏切る形で起こるのだが、そんなことはつゆ知らず、私は少し足早にアビドス高校に向かうのだった。

 

 




 この回は描き始めた時から描きたかったんですよね。アルならこうするんじゃないかな、という解釈です。異論は認めます。

 私服セナがとても可愛いと思いました。引けたらいいなぁ…
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