モノレールで東区に戻る最中、今回の件に関して思うところのある彼女達が口を開いた。
「恭也って、CSの隊員なの?」
「狩生、あんたCS隊員でしかもA級って本当?」
二人同時にそう問われた恭也は戸惑いながらも頷いた。
「A級ってCSの中でめちゃくちゃ強い人の事だよね。確か上から二番目だっけ」
「そうよ。CSには階級があって、下からC、B、A、Sの四つ。C級は主に新人が割り振られ、B級は一般兵。そしてA級は、B級の中でも強い隊員が選抜される。日本支部では総員約十万人中、数パーセント程しかいないわ」
「つまり、恭也は十万人の中から選ばれた存在なんだ……」
「……はぁ、通りで私が勝てない訳ね」
恭也がA級だという事実に対して二人は驚きと困惑が混ざった反応を示す。
「で、A級のあんたが何でこんなところにいるのよ? 特例として訓練学校で過程を踏みながら、仮のC級隊員として戦いに身を投じるみたいな話は聞いた事があるけど、CS隊員──それもA級が訓練学校に通い直すなんて有り得ない話よ?」
「確かに。でも恭也は訓練学校に通ってる。何か理由があるの?」
「あー、それはだな……」
恭也は言葉を渋りながら答える。
「俺、訳ありでさ。正規の過程を踏まずにCS隊員になったんだよ」
「……なるほどね」
「? 何が?」
「さっき言った特例を除いて、CS隊員になるには訓練学校を卒業するのが条件。私達と同じ年齢である狩生はその条件を満たしてないのよ」
「……あ、そっか。そもそも訓練学校は十五歳から──つまり、高等学校からだから……」
「ああ。俺は訓練学校を出てねぇ。色々あって、子供の頃からCS隊員をやってる」
その色々について、恭也は今のところ話すつもりはないらしい。
「ま、そういう事で訓練学校に行けって言われちまってな」
「言われた? CSから?」
「そんなとこだ。ま、俺がCSのA級だからって、接し方を変えてくれんなよ? 今まで通りで頼むぜ?」
「そうは言うけど……はぁ、分かったわよ」
口ではそう言うものの、天華は少し抵抗があるようだ。
「当たり前。これからも今まで通りに接する」
それを一蹴するかのように小夜未はそう言い放った。
「あんたね……何でそんなに割り切れるのよ?」
「だって恭也がそう望んでるし。恭也がそれを言わなかったのだって、そういう風になるのが嫌だったからなんじゃないの?」
「あ……確かに……」
天華は頷きながら納得する。
「ま、ってな訳で不知火も頼む」
「ええ。じゃあ学校でもこの事は言わない方が良いわね」
「そうだね。ここにいる三人の秘密で」
「そうね」
天華と小夜未は微笑みながら頷き合う。
「…………」
恭也はそんな二人を数日前の事を思い出しながら遠い目で見ていた。
「なぁ、あんたら。何で仲良くなったんだよ?」
そう訊ねられた二人は顔を見合せた後、恭也にこう言った。
「……そうね。色々あるけど……」
「多分、恭也のおかげ」
「……そっか」
対して恭也は小さく笑いながら──。
「……ハッ。そりゃ頑張った甲斐があったってもんだ」
そうやって嬉しそうに答えた。
◇◇◇
──無事……辿り……みたい……。
──ええ、見て…………最初の壁も…………。
──でも…………なさい。知っての通り…………。
──またそんな…………しかし、貴方なら…………。
──え? 彼……を……。
──仕方……わ。あれは…………もの。
―でも……す……………………。
──そう…………よ。
──とにかく────そう。慎重に…………。
──ええ。こちらに…………手札は…………。
──そう。切羽……ってる。
──……は………………出来ない。
──だから、頼んだわ。
──……は……を……見ているから。