訳アリヤンデレ魔法少女   作:あめざり

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ゴミクズ魔法少女成分欲しいなってやつ

※知識不足で消去してしまいの再投稿になります。猛省。


0.プロローグ

私は『上野美海』、大学一年生。

人生の夏休みという事で、勿論好きな人だっている。

…ただ私の好きは、他の人とちょっと違う。

どうやら他の子は、一人の子の事を好きになって、その子と離れたり、失恋したりすると、しばらくその子の事を思い続けるらしい。

そして、その子への未練が無くなったときに、新しい好きな子を作るんだとか。

他の子は私みたいに複数好きな人を作らない。だって、私の『愛情』は無限大なんだから。

もはや本能か、それ以上の何か。

私の博愛かつ偏愛なこの感情は、私の理性じゃ止められない。

 

とにかく、今日は私の恋人である康弘くんが家に来る日。

しっかりと家を片付けて、アロマを焚いて、それから…

 

「あーあー。聞こえてるー?」

『…はい』

「今日、私の恋人が来るからうるさくしないように」

『…はい』

 

私はマイクに向かって話しかける。

私の言葉に返すようにスピーカーの奥から聞こえてくる声は、生気を感じさせないような淡々とした受け答えのみをする。

彼は…いや、湊くんは今、私の家の地下にいる。

両親と住んでいたボロアパートの時はできなかったけど、高校入学から必死にバイトして、ようやく買った一軒家なら何でもできる。

この家は高床式になっていて、外装からは土台に見える部分が地下室の約半分を占めている。

そしてそこに居るのは、私が中学生の時から好きになった子たち…

悪く言えば監禁部屋、よく言えば愛の巣というところ。

 

まあお察しの通り、今日家に来る康弘君もここに入ってもらう事になる。

そして、ここに来た子たちには、初めに必ずやってもらう儀式のようなものがある。

それは、今中にいる子たちと新しく来た子たちで殴り合ってもらう事。最後に立っていた者が勝者のバトルロワイヤル。

勝者には『私と一日外出権』が与えられる。

それは名前の通り、私と一緒に一日中外でデートできるというもの。

中にいる子たちは、もちろん外の空気を吸いたい。だが体力がない。

新しく来る子は、何が何だか分からない。だが体力がある。

そんな正反対の子たちが頑張って私の為か、はたまた外に出るために戦うのを見ると、あまりにも愛おしすぎて…もう、無理になる。

 

 

 

そうしてついに、康弘くんが家にやってきた。

彼は私が頑張って片付けた部屋については一切褒めてくれない。

君のために準備したのに、ね。

 

そしていつもどうり個室に案内して、いつもどうり菓子と茶を出す。

いつもどうりに薬を混入させた手作りの菓子と、お茶。

それを、何の疑問も持たずに口に入れる康弘くん。

 

「うまっ、これ美海が作ったの?」

「私の手作りだよ。…うれしいな」

 

そう言われるだけで、私の愛が爆発しそうになってしまう。

今、薬の効果なんて関係なしに奪い去ってしまおうか何ても考える…が、ギリギリのところで踏みとどまった。

 

「あっ…康弘くん、今日香水変えてる」

 

思わず考えていたことが口に出てしまう。

少し変な気分。顔がぽわぽわと熱くなって、手からは結露したかのように汗があふれ出てくる。

 

「えっ、あっ…!…今のは、わすれて」

 

顔も見ていないのに目を泳がせながら私はつぶやく。

 

「ん?どうした美海、顔赤いぞ」

 

康弘くんが私の顔を覗き込んでくる。

あっ…前髪の奥に、康弘くんの顔が透けて…

 

(やば…心臓爆発しそ――)

 

私の顔が彼の視界に入る寸前だっただろうか。

家の壁をぶち破り、何かが私の部屋に突っ込んできた。

 

「ひろちゃん、誰その女?」

「いや……大学の友達で……」

「へぇ、まあいいや」

 

その衣装、そしてその人外な馬鹿力。

 

――魔法少女だ

 

この世界には『魔法少女』が居やがる。

彼女達は10年前、突如として世界に現れた。…『魔獣』と呼ばれる化け物と共に。

 

っていうか「ひろちゃん」!?愛称呼び!?

チッ…そういう事ね

『私を差し置いて本命いた』って事ね。はいはい。

 

……こいつ、殺さないと。

 

私は地面に落ちている瓦礫を握り締め、目の前の魔法少女の脳天に向かって目いっぱい振りかざす。

だが、そんな瓦礫など魔法少女の力の前では無意味だろう。

だからほんの一瞬、ほんの一瞬だけ気を引ければいい。

そうしたら康弘くんを盾にして交渉材料に……!

 

「へえ、攻撃してくるって事は…」

 

「敵、って事でいいんだね」

 

蛇に睨まれたとはこう言うことかと実感する程凄まじい眼光が向けられる。

瓦礫は私の手の上から馬鹿力で掴みつぶされ、手首すら掴んでいない状態から一周、身体を回される。

私の体は瓦礫まみれの地に落下する…が、まだここは康弘くんに手の届く範囲!!

背中に回り込んで彼を拘束し、正面が魔法少女に向かうようにした後体を隠す。

 

「どうするの?攻撃したらあなたの彼氏に当たっちゃうよ」

「…めんどくさいなぁ……ひろちゃん、久々に"使う"から、動かないでね」

 

目の前の魔法少女が澄んだ顔で私に人差し指を向ける。

 

そうするとほんの一瞬、目の前が暗くなり、暗闇が明けるとそこには……

 

「……は?」

「はい、ビンゴ」

 

魔法少女の顔があった。

 

直後、顔面を鷲掴みにされ、ものすごい勢いで後頭部を地面に叩きつけられた。

かつて経験したことのないような後頭部の痛み、いや熱さ?

 

「あぁ……がッぁう……ぅ」

「もう動けないでしょ。さて、と」

 

血のにじんだ視界のなかでかすかに見えた、魔法少女の手。

指を壁の向こうに指したと同時に、一粒の錠剤が彼女の両指につままれていた。

それは紛れもなく、私が飲食物に混入させていた睡眠薬…

 

「これ、強すぎて規制かかった薬だよね。どこで手に入れたのかはしらないけどさ…こんなものをひろちゃんに飲ませるなんて、覚悟はできてるよね」

 

そう言って彼女は、私の腹部に指をさし、直接錠剤を体内に入れた。

抵抗すらできないまま、私の意識は眠気に覆われていく。

 

「おやすみヤンデレさん。まともな朝を迎えられると良いね」

 

その言葉を最後に、私の意識は完全に霧散した。

 

***

 

「そうして、今ここにいるわけです」

 

私はその後、窓一つない独房に入れられた後、取り調べを受けている。

担当は『鶴城 麗』さん。

灰色のポニーテールが目立つ美しくも可愛い女の人。

他の警察官の態度からするに、相当偉い人らしい。

 

「はぁ…ここまで頭のおかしい奴はあまり見ないぞ」

 

頭を抱えながら麗さんは恨み節を吐く。

 

「話を聴く側の気持ちにもなって欲しいものだがな…」

「ん〜、結構面白いとは思いますけどね」

「人生楽しんでる様で何よりだな」

 

取り調べという事で包み隠さず全てを話したのだから、そんな文句を言われても困る。

もちろん私だって、日常会話ならもう少しオブラートに包んで話す。

 

「…で、容疑を認めるって事でいいんだな?」

「これで5度目ですよ麗さん。私はその全てに『はい』と答えてます」

「あまりにもすんなり認めるものだからな。逆に疑ってしまうんだよ。…その上、あの量の被害者を『1人で監禁した』と言うのも気になる。お前の体格で可能なのか、他に協力者がいるのではないかなどなど…」

「…ここで、見せましょうか?」

 

私は少し声色を変えてそう返す。

別に、麗さんを傷つけるつもりなんて全くないけど、出来るだけこの話を早く終わらせたいから。

 

「いやいい。それに、普段からこんな薄暗い所でお前の様なイカれ野郎共と2人きりだ。地下牢なんてごめんだな」

「じゃあ、私は有罪という事で…どの様な刑罰を受けるんですか?やっぱり死刑?」

「それは私の決める事じゃない。まあほぼ確実にそうだろうが」

 

と言うことはつまり、まだお国からの押し問答は続くと。

死ぬ事よりも、私はそれが心から嫌だ。

恋人とも会えず、ずっとただ待たされるだけの人生を送りたい人なんているのだろうか?

あ、こんな事を話したら、もしかしたら無期懲役になってしまうかもしれない。

 

「…手が震えてるぞ。死ぬのはお前みたいなのでも怖いんだな」

「……どうせ死ぬのなら、今殺してくれた方が良いのに」

「愚問だな」

 

麗さんは椅子の背もたれに寄りかかりながら話を始める。

 

「死刑ってのはつまり、死ぬまでの過程で起きる恐怖を主とする刑罰だ。今死ねば恐怖は数秒しか続かんが…1年後ならその恐怖は1年間常に付き纏う。そうすれば人はイカれる、何十人も殺したイカれ野郎でもな。それはもう…自殺願望に取り憑かれるほどに」

 

そう言って麗さんはタバコを取り出し、カチカチと先端に向けてライターをつけ始めた。

火の付いたタバコをシュポシュポと吸う。

 

「うわ…受動喫煙ですよ」

「…たく最近のガキは、タバコ一本にうるせぇなぁ…」

「麗さんもせいぜい20そこらでしょうに」

「ハズレ…今年で38だ」

「……え……は?」

 

もう一度言わせてもらおう。

……は?

いやいや、麗さんはどう見ても成人したて位の年齢。タバコという先入観無しなら10代に見える。

てかアラフォーでその肌ツヤはあり得んでしょ。

 

「…ん?ああ言ってなかったか、私"も"お前を捕まえたやつと同じ、『魔法少女』だ」

「あれって10代の少女がなるもんですよね。少なくとも、アラフォー自称してる魔法少女なんて聞いたこともないです」

「世間一般では、そう言われてるな」

 

つまり、魔法少女と言う組織には何かしら隠された秘密があると。

いや、隠さなければいけない、と言った方が正しそう…

 

「…知りたそうな顔してるなぁ」

「そりゃ、まあ」

「ならなれ、魔法少女」

「…っはぁ??」

「ほら簡単だぞ、この契約書にサインするだけ。それでお前は魔法少女になれるし、秘密も知れる」

 

机の上に置かれた紙にはデカデカと『手術同意書』と書かれてある。

麗さんの指がトントンと、印鑑を押す四角を指差している。

だがおそらく、これにサインすると言うのは相当な代償を支払うと言うこと。

だって大きな文字で『契約者の過去行った一切の罪を免除する』とか書かれてる。

それを殺人+監禁持ちの私に出しているのを見るに、よっぽど人が足りないか、それを補って余りあるメリット…つまり私にとってのデメリットがあると言うこと。

 

「よく考える必要はない。お前みたいなゴミクズが唯一人生をやり直せる道だ。選ばない理由を考える方が難しいだろう」

「…ちなみに、魔法少女になれば当然外に出れるんですよね」

「ああ勿論」

「他の魔法少女に会うこととかも…?」

「出来るさ。まあ基本最初はC級のど底辺スタートだから難しいだろうが」

「じゃあ…」

 

「私を襲った子のランク、教えて貰えますか?」

 

「お前まさか……魔法少女どうしの殺し合いは御法度だぞ」

 

らしい、がしかしだ。

あいつは、私の恋人を真正面から奪いに来やがったドクズだ。

私の恋路を邪魔する奴は、今まで全員殺してきた。

魔法少女だろうが例外じゃない。

 

「じゃあ…魔法少女として、麗さんが彼女よりも私の方が価値のある子だと思ったら、『あの子を殺す許可』を下さい。もちろん、私が彼女未満なら、一切の情報を与えなくて大丈夫ですから…ね?」

「それは…私の一存では決められん事だ。だがもし、もしもそうなった時は…私が上に掛け合ってやる」

 

「じゃあ、なります。魔法少女」

 

例外は、誰1人作らない。

全員殺して、最後はあいつの首元に…フフッ




挿絵をいつか描くはず
いつか
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