間章3幕『苦海にもがく黒氷』   作:せっせこパパイヤ

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第2幕『塵名に埋もれし常磐の陽炎』②

自分達が石門を通った途端、雨がポツポツと降ってきた。初めはにわか雨だと思っていたのだが、次第に地面に打ち付ける量が増えていき暴風雨と化した。にわか雨程度なら我慢して早足でモンド城に行こうかとしていたが、流石にこれは不可能なので休憩することにする。

 

 

パイモン「スメールと璃月をようやく抜けたと思ったらこれかよ!とことん運が悪いぞ.....」

 

 

空「靴に水入った....最悪」

 

 

パイモン「旅人、バッグに雨合羽あっただろ?出してくれよ....」

 

 

空「この前枝に引っかかって破れたよ」

 

 

パイモン「あ、そっか.....オイラがぶつかって旅人までの合羽も破いたんだった.....」

 

 

何もできることがないので、通り雨だということを信じて窪みで待っていた。冷たい風が自分たちに当たって少々悴むのでパイモンは最初こそくしゃみをしていたが、10分もするとウトウトしはじめ自分の肩に頭を置いてくる。全くと思っていると自分もつられていつの間にか眠っていた。

 

 

次に自分が目を開けると雨の中ではなく、白い景色だった。またかと思って前に目をやると予想通り、枯れた木とゼーレがそこにいる。1回目はこの木の正体は分からなかったが、ナヒーダが言った通りだったならこれは分化した世界樹なんだろう。負のエネルギーにさらされている木は枯れ、葉っぱすら残っていない。

 

 

ゼーレ「また会ったわね。二回目?」

 

 

空「俺としては3回目だけどね」

 

 

ゼーレ「........?まあいいわ」

 

 

空「それでどういう要件?」

 

 

ゼーレ「要件.......。私から来たわけじゃないのに......。それはこっちのセリフじゃない?」

 

 

空「俺も気づいたらここにいるから知らないよ......」

 

 

ゼーレ「さあ。私も分からない」

 

 

空「何それ.....」

 

 

ゼーレ「だけど予想はできる。あなたが初めてアランナラを見つけた時に世界樹の空間にいたように、私とあなたが接触してこの寂れた木が出てきた....ってとこかしら」

 

 

空「ナヒーダと話して.......君のことが少しだけわかってきた。コアで何をするのか分からないけど、説得するためにエウルアの元へ行くよ」

 

 

ゼーレ「そう。楽しみね」

 

 

空「......?あの時は素っ気なかったのに?」

 

 

ゼーレ「なんのこと?」

 

 

空「いや......なんでもない」

 

 

ゼーレ「だけど楽しみな反面....罪悪感もある」

 

 

空「罪悪感?」

 

 

ゼーレ「私のせいでローレンス家は完全に没落した。元々ローレンスが忌み嫌われていたのに加えて没落したおかげであの子は周りに助けてくれる人もいないし、友達もいない。モンドを守る立場になっても前には敵だらけ。こんな状況になったのは自分が弱かったから......自分が我慢できなかったから.....全部自分のせい」

 

 

空「........」

 

 

ゼーレ「あの子には顔向けもできない.....唾を吐かれて罵られても文句は言えないから」

 

 

空「何があ.....」

 

 

パイモン「旅人......! 旅人!」

 

 

空「!」

 

 

白い世界から一変してそこは朝日のような鮮やかしい光景が広がっている。

 

 

空「......パイモン?」

 

 

パイモン「ふぅ起きた.....何回呼んでも起きないから心配したぞ...」

 

 

空「どうしたの?」

 

 

パイモン「どうしたって...晴れたんだぞ!雨が止んだんだ」

 

 

空「あ、そっか....じゃ、行こっか」

パイモン「旅人って変な体験ばっかしてるな!」

 

 

モンド城の門をくぐり、騎士団本部へ行くために長い階段を登っている時にパイモンがそう呟いた。

 

 

道中で、2回も世界樹の世界へ訪れたことを話すと、パイモンは驚いていた。

 

 

空「仕方ないよ......ほとんど受け身なんだし」

 

 

パイモン「たしかになー.......。旅人とゼーレで会った回数が違うのは意味がわからなくないか?色々と齟齬(そご)が生じてるぞ.....」

 

 

空「さぁね......」

 

 

パイモン「それで、詳細を聞こうとしたらオイラに呼ばれて区切られたと?」

 

 

空「そう。いい所だったのに」

 

 

パイモン「仕方ないだろ!そもそもオイラは知らないんだし」

 

 

空「それもそっか」

 

 

そんな会話をしていると、いつの間にか騎士団に着いていた。

 

 

いつもなら人集りができている入口は、不気味なほど誰もおらず静寂そのものだ。サボり倒しているグースカピーの警備2人組もおらず、なんだか侘しい。

 

 

パイモン「ん?あれ?」

 

 

空「誰もいない.....」

 

 

パイモン「とりあえず入ってみようぜ.....」

 

 

重い鉄の扉を開け、中に入ってもやはり静かで窓からの光しか届いていない薄暗いホールがそこにあるだけだ。

 

 

パイモン「んん!?本当に騎士団だよな?オイラ達間違えて他の場所に入ったりとかしてないよな!?」

 

 

空「パイモン落ち着いて」

 

 

パイモンがそう呟いていると目の先にある階段から2人分の足音が聞こえてきた。

 

 

案の定誰かいるなと思いながら音のする方向を見ると、ちょうどジンとリサが上がってくる。

 

 

2人は、何やら軽荷物を持ちながら話し込んでいたが、こちらの存在に気づいた。

 

 

リサ「あら驚いた....パイモンちゃんとかわい子ちゃんじゃない」

 

 

パイモン「リサ!ジン!久しぶりだな!」

 

 

ジン「名誉騎士.....?なんでここに」

 

 

パイモン「少し野暮用でな!ところでなんでこんな静かなんだ?いつもなら人でいっぱいになってるのに」

 

 

ジン「ああ。今日は休日でな......」

 

 

空「騎士団に休日なんてあったんだ....」

 

 

ジン「毎日、みんなには頑張ってもらっているからな。体を休ませる日もたまには必要だ」

 

 

パイモン「その休む日になんでジンとリサが......?」

 

 

ジン「まぁ....そういうことだ」

 

 

空&パイモン「.........」

 

 

両者して頭を抱えた。

 

 

リサ「司書の仕事はそこまで大変じゃないから......。休日を自分で潰したぐらいなんともないわ」

 

 

ジン「リサ?」

 

 

リサ「冗談よ。あなたこそ本当に大丈夫なの?言い出しっぺなのに休まないなんて」

 

 

ジン「仕事が山ほどあるからな。それに騎士団が休んでいたとしてもモンド城のトラブルは出てくる。それを対応する人員も必要だろう?」

 

 

リサ「ならせめて休憩時間を確保してちょうだい。またあなた目の下にクマができてるわよ?」

 

 

ジン「休憩ならさっきとった」

 

 

リサ「ん?いつ........」

 

 

ジン「?地下で紅茶を飲んでた時間だが.....」

 

 

リサ「......エウルアが出ていったあの後のこと言ってるの....?ジン...」

 

 

2人に加え、リサも頭を抱える。

 

 

ジン「?」

 

 

リサ「まぁいいわ」

 

 

パイモン「今エウルアって言ったのか?」

 

 

ジン「ああ。少し彼女と大切な話があったから休日に呼び出してしまった」

 

 

パイモン「そ、それってだいたい何分前ぐらいなんだ!?」

 

 

ジン「ん?えーと.....。リサ、何分前ぐらいか覚えているか?」

 

 

リサ「15分前ぐらいかしら。そんな慌ててどうしたの?」

 

 

パイモン「オイラ達、エウルアに用があるんだけど、どこに行ったか知らないか?」

 

 

ジン「本来、彼女は非番だから家に戻ったんじゃないか?」

 

 

リサ「ジン。多分それは無いと思うわ。風龍廃墟じゃないかしら.....」

 

 

ジン「.......確かに。あの感じじゃそうかもしれないな」

 

 

パイモン「風龍廃墟?わかった!ありがとう!」

 

 

そういうと2人は慌てて扉の方向に走り出す。

 

 

ジン「ま、待ってくれ!本当か分からないぞ!」

 

 

ジンの静止が耳に届くことなく、ついに2人は騎士団を後にした。

以前来た時よりも風龍廃墟の様子がおかしい。風が吹き荒れ、地脈の元素が漏れ出ていて、視界不良に陥ってしまう。暴風は風龍廃墟の周りを取り囲み、まるで侵入者をつまみ出すかのようだった。

 

 

幸い、風の密度が低い場所を見つけそこから入ることが出来たのだが、次に高密度の元素が待ち構えている。自分はなんともないのだが心配なのはパイモンだ。あんまり長居は出来ないなと思いながら足を進める。

 

 

パイモン「お、おい!ほんとにここにエウルアがいるのかよ!」

 

 

空「確定では無いけれど.....ジンの言葉を信じるしかない」

 

 

パイモン「うう.....しかもなんでこんな風が強いんだ....油断したら.....飛ばされそうだぞ.....」

 

 

空「なんだろうこの元素。パイモンあまり吸っちゃダメだよ」

 

 

パイモン「わかってるぞ.....」

 

 

飛ばされぬよう1歩ずつ足裏を地面にくっつけるかのように歩きながらエウルアの姿を探す。だが、いつまで立ってもみつからないので一旦落ち着ける場所に入った。

 

 

パイモン「ふぅ.....やっと落ち着いた....人影のひの文字すら見つかんないぞ!」

 

 

空「うーん.....」

 

 

視界不良が相まって見にくいし、そもそも見つからない。これは不作か?と思いながら周りを見渡していると、ふと何かが目に入った。

 

 

空「ん?アビスの使徒......?」

 

 

ここから20mもしない距離にアビスの使徒が何かを探しているかのような素振りで立っていた。普通はお互い気づいている距離だが、風と元素のおかげでここまでの接近が可能になった。

 

 

空「パイモン」

 

 

パイモン「ん?どうしたんだ旅人」

 

 

空「あれアビスだよね?」

 

 

パイモン「んん?んー.......あ....そう...だな。なんでこんなところにいるんだろう。どうする?」

 

 

空「どうするも何もほっとけないよ」

 

 

パイモン「そうだな......ちょ!ちょっとオイラを置いていかないでくれ!」

 

 

なんでこんなところにアビスがいるんだろうと疑問が頭にあったがどうせろくなことでは無い。早めに芽を潰しておいても損は無いだろう。

 

 

空は気づいたらそこから飛び出して、片手剣を構えながらアビスの後ろを斬り掛かる。すると、流石に相手も気づいて戦闘態勢に入った。

 

 

「!?」

 

 

空「せやっ!」

 

 

大きく振りかぶった片手剣の刃は正確に肩あたりを捉え腰あたりまで斬ることができた。

 

 

大ダメージを負ったアビスは抵抗する術なく崩れ落ち地面に片膝をついているが依然何が起きたかどうかわかっていない様子だ。

 

 

「なっ.....!がっ.....!なんでお前がここに....!」

 

 

空「こっちのセリフ」

 

 

パイモン「旅人!後ろ!」

 

 

パイモンの焦った声が届き、急いで後ろを向くと既にそこにもう一体のアビスが腕剣を使って襲いかかるところだった。

 

 

寸前の所で片手剣で受け止めようと構えた瞬間、アビスの使徒の上空から2、3個のつららが勢いよく降ってくる。完全に空に集中していたアビスの使徒はつららに貫かれ身動きが取れなくなってしまった。

 

 

??「避けて!」

 

 

大剣を持ちながら走ってくる青髪の女性が空に目掛けて指示を出す。それに従ってその場にしゃがみこむと、女性が更にスピードを上げて接近した。

 

 

「またお前か!いい加減にしろ!」

 

 

??「私に目をつけられたのが運の尽きよ!」

 

 

腰当たり目掛けて大剣を振りかぶり、身動きが取れないアビスの使徒は切り裂かれた。

 

 

パイモン「エウルア!?」

 

 

エウルア「はぁ....はぁ....ふぅ....」

 

 

アビスの使徒が絶命したことを確認したエウルアは大剣を地面に突き刺し、それに持たれかけながら息を整え始める。

 

 

2分もすると落ち着いたのか、ゆっくりと立ち上がってこちらを見た。

 

 

エウルア「なんであなたたちがここにいるのか分からないけど.......旅人が背後を取られるなんて珍しいわね」

 

 

空「油断してた。助かったありがとう」

 

 

エウルア「どういたしまして」

 

 

パイモン「ふぅ...どうなるかと思ったぞ....旅人良かったな!エウルアもちょうどいたぞ」

 

 

空「うん。手間が省けてよかった」

 

 

エウルア「何?私になにか用があるの?」

 

 

パイモン「そうだぞ!わざわざモンド城からここまで来たんだからな!」

 

 

エウルア「え?聞こえない!」

 

 

パイモン「モンド城から風龍廃墟まで!来たん!だぞ!」

 

 

エウルア「え!?」

 

 

空「パイモン、風が強すぎて聞こえないから移動しよう」

 

 

パイモン「?」

 

 

空「........」

 

 

パイモンを半ば強制的に引っ張って落ち着ける場所までやってきた。隙間から風が入ってくる音はするがさっきよりかは幾分かマシだ。

 

 

エウルア「私は少し野暮用でここにやってきたけど、道中でアビスの使徒と出くわして......。それでそいつを追っていたらあなた達と会った」

 

 

パイモン「そういうことなのか。オイラもいきなりエウルアがやってきた驚いたぞ....」

 

 

エウルア「こっちのセリフよ。パイモン」

 

 

パイモン「へへっ.......。それでなんでエウルアはこんなところにいるんだ?」

 

 

エウルア「.......実は、長年行方をくらましてた姉さんの消息をようやくつかめて.....」

 

 

パイモン「え?」

 

 

エウルア「これ」

 

 

エウルアがジンから貰った写真を2人前に渡した。モノクロながらも、はっきりとど真ん中にゼーレが映っている。

 

 

パイモン「なんだこの写真.....」

 

 

エウルア「さぁ。ジンが言うには写真機の故障で映りこんだって言ってたけれども.....」

 

 

パイモン「たまたまか?」

 

 

エウルア「そう」

 

 

パイモン「んん?これよく見たら.....ここじゃないか?」

 

 

エウルア「そうよ。ちょうどさっき彼女から写真を貰ってなにか手掛かりがないか調べてたの」

 

 

パイモン「なるほどなぁ......」

 

 

そういうとパイモンは空に写真を手渡し、じっくりと見たあとエウルアに返却する。それを丁寧に折って懐にしまった。

 

 

エウルア「さっ、私の目的を話したし、今度はあなた達が話す番じゃない?」

 

 

パイモン「......」

 

 

パイモンがちらっとこちらを見た。

 

 

空「最初から喋るつもりで来たんでしょ?」

 

 

パイモン「うう...そうだな。実は.....」

 

 

砂漠で起きた出来事を事細かくエウルアに打ち明けた。

 

 

終始彼女は驚いて目を大きく開けていた。開いた口が塞がらないとはこのことなんだろう。

 

 

エウルア「..........にわかには信じらないけど.....本当?」

 

 

パイモン「本当だぞ!お姉さんのおかげでオイラ達大変な目にあったんだからな!」

 

 

エウルア「それはごめんなさい.......。でもなんでそこに?」

 

 

パイモン「それはまだわかっていないけど、とんでもないことしでかすことは目に見えてる...」

 

 

エウルア「そんな.......」

 

 

パイモン「なぁエウルアが直々に説得してくれないか......?」

 

 

エウルア「それは勿論するわ......。だけど、ちょっと頭の整理が....」

 

 

騎士団本部と今知った真実が衝撃的で頭が混乱している。忽然と目の前に現れたものにどうしても狼狽えてしまい、脳が考えるのを辞めてしまうのだ。

 

 

だけどここでくよくよしててはいけない。旅人に着いて行って真実を見極めないと...。

 

 

エウルア「分かったわ。まだ整理が追いついていないけれど......私も是非あなた達についていきたい」

 

 

パイモン「おお!頼もしいぞ」

 

 

エウルア「それに数年ぶりに会ってみたいから...」

スカラマシュの肩の修理が済み、あとは旅人が帰ってくるのを待つだけという時、教令院の学生のヒソヒソ話を偶然耳にしたスカラマシュが話しかけてきた。

 

 

ナヒーダ「缶詰知識が2個足りない.....ですって?」

 

 

スカラマシュ「そう言っている」

 

 

ナヒーダ「........」

 

 

スカラマシュ「管理人が巡回した時に気づいたそうだが....教令院の連中は管理もろくに行き届いていないんだね」

 

 

ナヒーダ「あなたが起こした騒ぎで1層缶詰知識の扱いは口うるさく言っていたのに......。どういう種類の缶詰知識が足りないのかしら」

 

 

スカラマシュ「何も入っていない缶詰らしいよ」

 

 

ナヒーダ「.......?盗まれたことは確定ではないけれど....よっぽど物好きでは無い限りそんな物を盗んでも何の価値もないのに.........」

 

 

スカラマシュ「結局クラクサナリデビはこの件、どうするんだい?」

 

 

ナヒーダ「........。申し訳ないけれどこれに関してはアルハイゼンや大マハマトラに任せるわ。わたくし達は一刻も早く正機の神を何とかしないと.....」

 

 

そうこう言ってるうちにスラサナンタ聖処の扉がギギギと音を立てて開く。パイモン、空、そしてエウルアが入ってきた。

 

 

初めてスメールに来たエウルアはスラサナンタ聖処の神々しい内装に釘付けらしい。

 

 

パイモン「おう!待たせたな!」

 

 

ナヒーダ「あら、おかえりなさい。......あら、その方は?」

 

 

ナヒーダは後ろにいる人物と目が合ったようで、質問を投げかける。

 

 

エウルア「私はエウルア。エウルア・ローレンスよ。旅人に砂漠で起きた出来事を話されてここに飛んできたの」

 

 

パイモン「エウルアはゼーレの妹だから説得してもらうために着いてきてもらったんだ」

 

 

ナヒーダ「姉妹......実情はわかったわ。わたくしはナヒーダ。初めまして」

 

 

パイモン「エウルア、えーとナヒーダは....えーと......」

 

 

ナヒーダ「スメールを統治させてもらってるの......。俗に言う神ね」

 

 

エウルア「え?」

 

 

ナヒーダ「気軽にナヒーダと言ってちょうだい」

 

 

エウルア「え....ええ(この小さな女の子が神.......?確かにオーラが違うけれども......。というか旅人って神にも人脈があるのね......驚いたわ。侮れないわね)」

 

 

ナヒーダ「それで、帰ってきたってことは準備が出来たって捉えてもいいのかしら?」

 

 

空「うん。いつでもいける」

 

 

ナヒーダ「わかったわ。あまり時間は無いし、あまり対策は練れていないけれど......最後のコアを彼女より先に回収するのが第1目標よ」

 

 

パイモン「.....回収するのは良いとして、オイラ最後のコアの場所なんて知らないぞ....」

 

 

ナヒーダ「正直言うとわたくしも分からない」

 

 

パイモン「ないのかよ!」

 

 

ナヒーダ「けれども、伝はあるわ」

 

 

パイモン「んん?伝?」

 

 

ナヒーダ「ええ。終焉機のコアを封印した人は?」

 

 

パイモン「え.....アランナラだろ?......ああ!そういう事か!」

 

 

ナヒーダ「察しがいいようね。早速、ヴァナラーナへ行ってみましょう」

ゼーレ「げほっ......げほっ.....」

 

 

何回目の吐血だろうか。ここ最近、頻度が増えている気がする。いや.....気がするじゃなくて確定で増えている。

 

 

震えた指で懐から緑の液体が入った注射器を首あたりに刺した。

 

 

薬が首に入っていく事にようやく呼吸が落ち着いていき、投げ捨てるかのように空の注射器をそばに置いた。

 

 

ゼーレ「(効き目が薄くなってきた.....1年前ぐらいはまだマシだったのに......)」

 

 

今となってはこれを打っても全くと言っていいほど落ち着かなくなる。

 

 

思えば、ここ最近体にガタが来ていた。吐血もそうだが、右目の視界が前よりぼんやりしてきたし、足がピリピリしている。

 

 

そんなことを考えていると、視界の隅に、緑の液体とは別の注射器を見つけた。中は元素が詰まっている。

 

 

風龍廃墟で取った元素をいざとなったら....

 

 

ゼーレ「いやいや.....それは最後の手段....」

 

 

持って数ヶ月.....数週間か.......。早く終わらせないと。

 

 

明日で全部コアを揃えて......早く終わらせて......早く....自分が自分で無くなる前に。




最後までご覧いただきありがとうございます。良ければコメントなどよろしくお願いします
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