間章3幕『苦海にもがく黒氷』   作:せっせこパパイヤ

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第2幕『塵名に埋もれし常磐の陽炎』③

ナヒーダ「さっ、みんなヴァナラーナに着いたわよ。案外早かったわね」

 

 

パイモン「ふぅ.....着いたな.....。オイラも久しぶりにヴァナラーナに来るからアランナラに会うのが楽しみだぞ!」

 

 

空「数ヶ月ぶりだね」

 

 

パイモン「おう!みんな元気かなぁ......」

 

 

ナヒーダ「わたくしもヴァナラーナにしばらく顔を出していなかったから.....アランナラが覚えているか不安だわ....」

 

 

パイモン「ナヒーダも来たことがあるのか?一応聞くが、しばらくってどれぐらい前のことなんだ?」

 

 

ナヒーダ「おそらく前に行った時が249年前ね」

 

 

パイモン「!?」

 

 

空「随分と前だね.....」

 

 

パイモン「それって久しぶりって話じゃないだろ!」

 

 

ナヒーダ「パイモンに加えて旅人まで......そこまで驚くことなの?」

 

 

パイモン「そりゃ、お前.......第一、500年間も幽閉されていたのにどうやってヴァナラーナに行くんだよ....」

 

 

ナヒーダ「私たちが初めて会った時を思い出してちょうだいパイモン」

 

 

パイモン「ん?」

 

 

空「意識をヴァナラーナへ出してアランナラと会ったってことでしょ?」

 

 

ナヒーダ「正解よ旅人。意識だけは世界樹を通じて外に出すことで、アランナラと交流ができたのよ」

 

 

ヴァナラーナを通じる洞窟を歩いているとナヒーダが突然後ろを向いて、岩陰をじっと見つめ始めた。

 

 

パイモン「?どうしたんだナヒーダ」

 

 

ナヒーダ「ふふっ。素直について行くと言えば良かったのに」

 

 

スカラマシュ「ちっ」

 

 

何の変哲もない岩から舌打ちの音が聞こえてきたかと思うと、そこからスカラマシュがゆっくりと出てきた。

 

 

パイモン「......なにしてるんだよ?」

 

 

スカラマシュ「バレないかと思ったんだが....」

 

 

パイモン「お前、僕は行かないって言ってなかったか.....?」

 

 

スカラマシュ「......暇で何もすることがないのだから仕方ないだろう!」

 

 

ナヒーダ「本心はわたくしが心配で着いてきたんじゃなくて?」

 

 

スカラマシュ「バカを言うな!」

 

 

ナヒーダ「ふふ、怖い怖い.....」

 

 

ナヒーダが微笑みながら、踵を返して洞窟を再び歩き始めた。

 

 

エウルア「......あの二人って仲が悪いのか悪くないのかどっち?」

 

 

パイモン「あいつが一方的にあんな態度を取ってるだけだぞ....」

 

 

エウルア「へぇ.....」

 

 

そうこうしているうちに洞窟を抜け、ヴァナラーナについた。

 

 

今日は雲ひとつない心地よい快晴だったのが、そこに踏み入った瞬間、雲におおわれ少しながら霧がかかっている不思議な空間に変化する。青と黄色が点在する蛍が飛び、色薄の草原で構成されたスペースは、傍から見ると不気味な場所だと思われるが入ってしまった人間の心を掴み魅了できるとも言える。

 

 

それはエウルアも例外ではなく、彼女は周りを見渡して不思議な光景に見とれていた。

 

 

エウルア「ここがヴァナラーナ......?」

 

 

パイモン「いい場所だろ?」

 

 

エウルア「ええ.....こんな不思議な場所初めて見た....。モンドにこれほど巨大な葉っぱなんてないわ」

 

 

ヴァナラーナには大きな球根から気が遠くなるほどの高さの葉っぱが生えていて、それが無数に置かれている。

 

 

だが、それよりエウルアは球根とは別にほかのものに興味が行ったようだ。

 

 

それは、苔が生えている白い球体。その屋根には葉っぱが置いてあってなんだか家のようなものがそこにある。

 

 

エウルア「あれは....家?」

 

 

パイモン「そうだな。あそこにアランナラが住んでるんだ!」

 

 

エウルア「そのさっきから言っているアランナラって何.....?」

 

 

パイモン「それはな.....」

 

 

パイモンが説明をし始めようとした時、エウルアが興味を示した家の中からぴょこぴょこと足音が聞こえてきたかと思うとそこから小さな生き物が飛び出してきた。

 

 

エウルア「!?」

 

 

その小さな生き物を見たエウルアは呆気にとられ、口が半開きになった。

 

 

足裏から太ももの高さまでしかないその生き物はこちらを見ている集団に気づくとゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

 

アランプラブ「びっくりした。外からナラの声が聞こえてきたと思ったら、白いパイモンと金色のナラだったのか。またきたね」

 

 

パイモン「アランプラブ〜!また会ったな!元気にしてたか?」

 

 

アランプラブ「うん。アランプラブは元気。それより初めて見る顔がふたつ。青髪のナラとキノコのナラ」

 

 

スカラマシュ「......キノコ?もしかしてこの僕をキノコって言ってるわけじゃないだろうね?」

 

 

アランプラブ「うん。そうだよ」

 

 

空「ぷっ」

 

 

スカラマシュ「君の目は節穴かい?立派な笠がここにあるのが見えていないのか?」

 

 

アランプラブ「アランプラブはナラのことは分からない。アランナラは見た目で覚えてる。だからキノコのナラはキノコのナラだ」

 

 

パイモン「ぷぷっ」

 

 

スカラマシュ「......ふん」

 

 

スカラマシュが呆れてそっぽ向いてしまった。

 

 

エウルア「えーと....これがアランナラ?」

 

 

パイモン「そうだぞ!可愛らしい生き物なんだ!」

 

 

エウルア「(か、可愛い.....)」

 

 

アランプラブ「青髪のナラは初めてだね」

 

 

エウルア「アランナラこんにちは」

 

 

アランプラブ「アランナラじゃない。アランプラブだ」

 

 

エウルア「?アランナラっていう名前じゃないの?」

 

 

パイモン「アランナラっていうのは種族名で、アランプラブっていうのは個別の名前なんだ」

 

 

アランプラブ「その通り。白色のパイモン賢い」

 

 

パイモン「へへん!オイラも初めは戸惑ったからな。エウルアの気持ちもよくわかるぞ....」

 

 

エウルア「え、ええ....」

 

 

ナヒーダ「アランラジャはどこかしら?」

 

 

ナヒーダが割って入ってきた。

 

 

それを見たアランプラブは思わぬ来訪者に驚いている。

 

 

アランプラブ「驚いた。突然多くのナラがヴァナラーナに押しかけてきたと思ったら、その中にも千樹の王が居るだなんて。.........うん、アランラジャはいるよ」

 

 

パイモン「千樹の王?」

 

 

アランプラブ「アランナラは世界樹から作られたから。その大元が千樹の王.....クラクサナリデビ...」

 

 

ナヒーダ「ナヒーダでいいわ。居るということはいつもの場所に?」

 

 

アランプラブ「うん。ちなみに数百年ぶりに来たけど、何用で?」

 

 

ナヒーダ「少しあなた達の力を借りたいから、ここにやってきたの」

 

 

アランプラブ「千樹の王の願いならなんでも力を貸す。なんでも言って欲しい」

 

 

ナヒーダ「感謝するわ。とりあえずアランラジャの元へ行くわね」

 

 

キノコ型のアランナラや頭に夕暮れの実をくっつけているアランナラに挨拶をしながら目的のところまで歩いていく。

 

 

道中、木で作られた入口のようなものを抜け、数々のアランナラの家を抜け、そしてとある池まで来た。足首がつけるかつかないか程度の浅さの池にはヴィピャラスが生えていて幻想的な雰囲気に包まれる。そして池の真ん中には今までの家とは一線を画く大きな球体が立っていた。

 

 

エウルア「さっき見てきたアランナラの家よりも大きいわね...。もしかしてそのアランラジャというアランナラは村長みたいな位置づけなの?」

 

 

ナヒーダ「ええ.....。しっかりと村長という肩書きがある訳ではないのだけれども、アランラジャはこのスメールの地にオアシスを作った功績者の1人だからいつしかこの立ち位置に居たわね。わたくしが起きた時にはもう居たから具体的にいつから居たかどうか分からないけれど....」

 

 

パイモン「緑色のアランナラが多い中であいつだけ茶色だもんな.....」

 

 

そういう話をしながら、池の中を通り球体の家へと入った。

 

 

その中はシンプルで、木の床と奥に机と椅子があるだけだった。その横には階段があるのだが、特にこれと言ったスペースはなく1階で生活をするようなものだ。

 

 

パイモン「おーいアランラジャ〜!あれいない.....」

 

 

??「驚いた....!なんだナラ達か....」

 

 

前の方向から嗄れた声が聞こえると机の上にアランナラがひょこっと現れた。

 

 

アランラジャ「金色のナラに、白いパイモン.....知らないナラが2人。そして....」

 

 

アランラジャの視線はナヒーダに向いた。

 

 

アランラジャ「千樹の木クラクサナリデビ.....何用ですかな?」

 

 

枯れた葉っぱのような色をしているアランナラは思わぬ来訪者に嬉しげな表情を浮かべ杖を動かしている。

 

 

微かにだが頭で回転している葉っぱのプロペラも元気になっていた。

 

 

ナヒーダ「久しぶりねアランラジャ。少しあなた達の記憶を頼りに、ここまでやってきたの」

 

 

アランラジャ「おお。千樹の木クラクサナリデビでも解決できない問題事とは?」

 

 

ナヒーダ「実は.....」

 

 

ナヒーダは終焉機のこと、迫り来る危機を事細かく喋り始めた。

 

 

喜んでいたアランラジャだが、事の重大さを理解すると険しい表情になった。傍から見ても顔の表情は変わっていないが、雰囲気から察することはできる。

 

 

アランラジャ「終焉機.....あの大きな鉄塊のことですかな?ナラ達の間ではそう言われてるのじゃな」

 

 

ナヒーダ「ええ。コアの封印力が弱まってる上、律者によって取り出されてしまった。後ひとつだけの状況で何とかしないと災害が起こるのが目に見えてるの.....」

 

 

アランラジャ「ふむ......もちろん覚えていますとも。大鉄塊は、力が徐々に収まっていても依然アランナラ達を蹴散らしてひたすら破壊し尽くした.....多くの犠牲を払ってようやく封印をしたのですが、またそれが繰り返そうとしているとは」

 

 

ナヒーダ「あなた達の力が必要なの......お願い」

 

 

アランラジャ「協力をしたのは山々ですが、アランラカラリを使い果たしてサルバに潜っているアランナラが多数いますのじゃ」

 

 

ナヒーダ「アランラカラリ......を?どういうことかしら?」

 

 

アランラジャ「金色のナラと白色のパイモンの力を借りて、大地に蔓延っているマラーナを取り除きました。その際にアランラカラリを使ってしまい....」

 

 

ナヒーダ「........なるほど」

 

 

アランラジャ「協力したい気持ちは沢山あるのですがあまり役に立てるかどうか」

 

 

ナヒーダ「終焉機のコアは私達が何とかするわ。せめて場所だけでも.....」

 

 

アランラジャ「場所と仰いますか。それならサルバを通して.....」

 

 

ナヒーダ「ええ勿論最初はそうしようと考えたのけれどカーンルイアの厄災前後の記憶にノイズがあって見れなかったのよ。こうしてあなた達の記憶を拝借しようとしているの」

 

 

パイモン「ノイズ?」

 

 

ナヒーダ「昨日も言った通り律者は傷から成長したもの。その時の記憶をごっそり持っていかれたから、その空白の部分が見れなくて.......」

 

 

アランラジャ「ほっほっ。それぐらいならば喜んで協力いたします」

 

 

??「アランラジャ。行きたい」

 

 

その場にいる声とは別にどことなく聞こえてきたと思うと、アランラジャの横からぬっと新たなアランナラが生えてきた。

 

 

慣れている空とパイモンこそ何も驚かなかったが、エウルアとスカラマシュは少しだけ身体をビクリとした。

 

 

パイモン「アランコンティ!」

 

 

机に立っているアランナラとは打って変わって、ふたつの葉っぱを頭に乗せたアランナラはアランラジャの方向を向き、なんだかやる気に満ちているよう様子を見せる。

 

 

アランラジャ「アランコンティ....?なぜなのじゃ...」

 

 

アランコンティ「僕の兄弟は大鉄塊にやられた。それに、金色のナラと白いパイモンはヴァルナを綺麗にしてくれるのを手伝ってくれた。恩を返したい」

 

 

アランラジャ「ワルカは危ないところだが.........本当にいいのかの?」

 

 

アランコンティ「うん」

 

 

アランラジャ「.......分かった。クラクサナリデビよ。どうかアランコンティをお願いしたい」

 

 

ナヒーダ「ええ、勿論よ。むしろ、ありがとう」

 

 

アランラジャ「ひとつ懸念点があるのじゃが....」

 

 

ナヒーダ「懸念点?」

 

 

アランラジャ「重大な問題と言われればそうではないのじゃが、大鉄塊は悪いエネルギーを持っている故......封印場所に大きなマラーナを形成している可能性があるのです」

 

 

ナヒーダ「マラーナ....死域のことね。それについてもちゃんと頭に入れているわ。取り除く方法もね」

 

 

アランラジャ「事が上手く進むとよいのじゃが.......アランコンティ、アランラカラリを十分貯めてからいくのじゃよ」

 

 

アランコンティ「わかってる。それに準備は万端」

アランコンティに案内されるまま、森を抜け、再び灼熱の砂漠に足を踏み入れる。

 

 

空から浴びせられる日光、生暖かい風、そして蜃気楼で浮かんでくる白いモヤを遠い目で見ながらここに戻ってくるのは3日ぶりかと考えながらひたすら足を動かしていた。

 

 

パイモン「うう......暑い....」

 

 

 

アランコンティ「白いパイモン。根性無し」

 

 

パイモン「そう言われても仕方ないぞ......そういうお前は大丈夫なのかよ」

 

 

アランコンティ「アランコンティは平気。暑さは感じない」

 

 

パイモン「羨ましい.....アランコンティとお前は平気そうでいいよな!」

 

 

スカラマシュ「ふん。人間はこんな些細なことでも体力を使わないと行けないのが可哀想だね」

 

 

パイモン「うう....今はムカつくことも億劫だぞ..........」

 

 

空「エウルアは大丈夫なの?」

 

 

エウルア「初めて来るところだけどそこまでね.....」

 

 

空「だってよパイモン」

 

 

パイモン「なんでそんな平然といられるんだよ!おかしくないか?」

 

 

エウルア「パイモンが暑がりなだけでしょ?」

 

 

アランコンティ「ナラ達着いたよ」

 

 

そういうと先頭を切っていたアランコンティが突然こっちを振り向いた。

 

 

アランコンティの背後には砂岩でできた門のようなものと冠を被った砂像が両端に置いてあった。

 

 

殺風景な大地だが、存在感を放つ門構えはかつてのキングデシェレトの王国の威信を存分と表現している。

 

 

パイモン「んん?聖顕殿....?もしかして、こんなところにあるのか?」

 

 

アランコンティ「正解だよ白いパイモン」

 

 

パイモン「なぁ旅人。オイラ達聖顕殿はとっくにティルザードと回ったよな?そんな禍々しい物がそこにあるならとっくに気づいてるぞ.....」

 

 

空「だね」

 

 

アランコンティ「あほ白いパイモン」

 

 

パイモン「なっ!失礼だぞ!」

 

 

アランコンティ「ナラ達が喋っているのはこの4つの神殿のこと。僕が言っているのはそれよりもっと下のことだ」

 

 

パイモン「下?....!お前まさかこの下のこと言っているのか?」

 

 

聖顕殿は壁周りに神殿が3つ、空中に浮いている神殿が1つある。ど真ん中には大穴が空いていて、そこは底が見えない程深い。

 

 

アランコンティ「うん、そう言っているよ。この先に大鉄塊のコアはある」

 

 

パイモン「降りるのは言いけどどうやって降りるんだ?オイラと旅人は飛べるからいいとして、残りの人は?」

 

 

ナヒーダ「わたくしはこの子がやってくれるわ」

 

 

ナヒーダはそういうとスカラマシュの方向を向いた。

 

 

彼は状況を掴めていないようだが、なにかに気づくと慌て始める。

 

 

スカラマシュ「まさかこの僕に運べって言うのかい?」

 

 

ナヒーダ「ええ」

 

 

スカラマシュ「はぁ?かの知恵の神ブエル様が僕の力がないとここすら降りれないなんて情けないことこの上ないね」

 

 

ナヒーダ「あら、恥ずかしがって」

 

 

呆れているスカラマシュを無視して、ナヒーダが崖から飛び降りていく。

 

 

スカラマシュ「ちっ.....」

 

 

続いてスカラマシュも勢いよく飛び降りて行った。

 

 

エウルア「ちょ、ちょっと!」

 

 

パイモン「あの2人のことなら大丈夫だな!」

 

 

空「俺が運ぶよエウルア」

 

 

エウルア「........わかった。頼むわ」

 

 

空が風の翼を展開しながらエウルアを掴んで底へ消えていった。

 

 

残ったのはパイモンとアランコンティだけだが......。

 

 

パイモン「オイラは大丈夫として、アランコンティはどうやって降りるんだ?」

 

 

アランコンティ「アランナラはサルバ間を転送できるから大丈夫」

 

 

パイモン「地脈から地脈へ移動できるアランナラ特有の能力のことだろ?こんな底なしに地脈なんてあるのか?」

 

 

アランコンティ「かろうじてあるから」

 

 

パイモン「そっか!じゃあまた後でな!」

 

 

アランコンティ「うん。じゃあまた下で」

 

 

そういいながらアランコンティが地面に姿を消した。パイモンも薄暗い世界の中へゆっくりと落ちていく。

 

 

1番下の光景はまだに殺風景と言っても遜色がない。

 

 

ひたすら続く砂の上に、神殿の瓦礫やプライマル構造体の残骸がそこらに散らばっており、生物の気配も感じられない。

 

 

強いて言えば端っこで2匹のサソリがじゃれあっている程度だろう。

 

下までやって来た訳だがアランコンティが言っていたコアの封印場所の入口すら見当たらなかった。

 

 

パイモン「あれ.......何も見つからないじゃないか?」

 

 

空「だね.......」

 

 

パイモンと一緒に隅々まで見渡したが、穴ひとつすらなかった。

 

 

アランコンティ「落ち着いて白いパイモン。この下にあるから.....」

 

 

そう言うとくぼみがあるところまで移動してアランコンティがアランラカラリを使用した。

 

 

すると、砂が次第に動き始めアランコンティの真下に徐々に飲み込まれていく。1分もしないうちにある程度の砂が飲み込まれ人が入れるスペースが出来上がった。

 

 

だが....。

 

 

パイモン「おお....!こんなところに入口が!んん?入れないぞ!」

 

 

入口が見つかったはいいものの砂漠にはにつかないツタや木が防いでいたのだ。しかもその木は灰色に近い配色をしていて、元気がない。

 

 

皆が穴を覗き込んだ時、ツタの隙間から漏れだした邪気を感じ取った。

 

 

ナヒーダ「....!これは.......死域!」

 

 

パイモン「えっ!もうそこにあるのかよ!」

 

 

アランコンティ「今から開けるから待ってて」

 

 

すると、アランコンティの体が緑色の光を発光すると、穴を塞いでいたツタや木が消えていき、今度こそその穴に入れるようになった。

 

 

アランコンティ「千樹の王。今のうちに」

 

 

ナヒーダ「感謝するわ」

 

 

ナヒーダが入ったのを皮切りに空いたスペースから次々と入っていく。

 

 

その中は地獄のようだった。今まで浄化してきた死域よりも規模も密度も段違いだ。

 

 

パイモン「マウティーマの地下に合った死域の花より大きくないか!?」

 

 

エウルア「これが死域....?」

 

 

やはり特筆すべきところは天井あたりに生えている赤色の花だろう。パイモンが言っていた通りマウティーマの洞窟の中にあった巨大な死域の花よりも数倍大きく、赤色の光をさんさんと空間を照らしていた。

 

 

空「エウルア!武器を!」

 

 

無事全員着地した途端、侵入者に気づいた死域は魔物の召喚したらしく、岩陰から汚染されたバウンドやキノコンが飛び出してきた。

 

 

ナヒーダ「わたくしたちが死域の枝を処理するからあなた達は魔物をひきつけて!スカラマシュ!早く!」

 

 

スカラマシュ「ちっ.....!分かっている.....!」

 

 

バウンドの鋭い鉤爪をエウルアの大剣で受け止め、その隙に空が仕留める。幸い数は少ないのでこれで篠げそうだが.......。

 

 

パイモン「旅人!後ろ!後ろ!」

 

 

空「!」

 

 

魔物の波を片付けたと思ったら再び岩陰からバウンドが姿を現した。

 

 

空「規模も大きいから魔物の数も段違いだよね....」

 

 

片手剣を構えて無理やり胆力を引き出そうとした時、天井にあった花から発せられる禍々しいエネルギーの反応が無くなった。

 

 

その次の瞬間その空間に突風が3人を襲ったが、1秒もしないうちに風が鎮まり、壁や地面から草や花などが生えてくる。それと同時にバウンド達の体は崩壊をし始めて粉も残らなくなってしまった。

 

 

エウルア「....!今度は何!?」

 

 

エウルアは突風に加え、充満している草元素に戸惑っている様子だ。

 

 

空「死域の枝が取り除けたみたいだね」

 

 

エウルア「枝.....?あの小さい子が言っていたこのこと?なんのことか分からないけど君の様子を見る限り脅威は過ぎ去ったみたいね」

 

 

空「うん。とりあえず安心していい」

 

 

ナヒーダ「あなた達怪我はないかしら?」

 

 

スカラマシュの肩に座っていたナヒーダが空中から地面に着地してきた。

 

 

エウルア「ええ....なんとも」

 

 

ナヒーダ「わたくしも驚いたわ。これほどの規模の死域を見たのは初めてのことよ......。コアがまだ活動していて、汚染が地下空間に広がっている証拠ね」

 

 

パイモン「うう......オイラ軽すぎるから吹き飛ばされちゃったぞ......あれ?アランコンティは?」

 

 

確かにこの地下空間へ入れるスペースを確保してくれたアランコンティの姿が見えない。

 

 

死域の浄化が終わるまで隅に隠れているのだろうかと思い岩陰や地面を目を凝らしていると、草の色に紛れて地面に倒れているのを見つけた。

 

 

空「アランコンティ!」

 

 

空は急いでその場に近づいてアランコンティを担ぎ上げた。活力は無くぐだっとしているが生命活動はまだ続いているようなのでとりあえず安心する。

 

 

アランコンティ「うう......アランラジャにアランラカラリを持ってから行くように言われてたのに......焦ってもう使い果たしちゃった」

 

 

ナヒーダ「もう充分よアランコンティ。あなたは精一杯頑張ってくれた。ヴァナラーナにお帰りなさい。みんなが待っているわ」

 

 

アランコンティ「クラクサナリデビ....ごめん」

 

 

そういうとフラフラしながら地面に潜って帰って行った......。

 

 

ナヒーダ「さて、時間はあまりないから急ぎましょ?」

 

 

ナヒーダは横に指をさし始めた。その方向を見ると砂岩で構築された神殿の入口があった。

 

 

パイモン「おお!こんなところにあったのか!早く行こうぜ!」

エウルア「つまり、姉さんはそのリツシャ?っていう変な呪いにかかっているっていうこと?」

 

 

ナヒーダ「ええ。一生消えることがない、とーっても業が深い呪いにね.....あなたは彼女の妹でしょう?なにか知っていることは?例えば小さい頃になにか様子が変だったとか.....」

 

 

エウルア「.....」

 

 

ナヒーダの問いかけに思考を巡らせるが全くと言っていいほど思い当たらない。

 

 

小さい時........。何も無かったような.......。

 

 

思い出せば出すほどなにか記憶にモヤをかけて思い出させないようにしているような気がする。あれ?なんで私思い出せないんだろう?姉さんとの記憶は絶対に忘れないようにしてたのに....。鮮明に思い出せない.....。

 

 

エウルア「いえ.......全く」

 

 

ナヒーダ「そう.....」

 

 

空「これっぽっちも?」

 

 

エウルア「....正直思い出せないのが正しい。なにか煙かかったようになってるの」

 

 

パイモン「なんだよそれ...」

 

 

空「遠い昔の記憶だからじゃない?」

 

 

エウルア「........」

 

 

ナヒーダ「記憶や情報はいつしか形骸化して失われるもの......それは自然の摂理だからあなたは悪くないわ」

 

 

エウルア「だと.....いいんだけど.....。それで、私は姉さんを説得するだけでいいの?」

 

 

ナヒーダ「彼女がコアを揃える前に何とかして阻止するのが1番だけど......あなたが説得して止めれるのならそれもいいわ。だけど1番最悪なパターンは戦闘になってしまうこと.....正直そうなるとかなり苦しいことになるわ」

 

 

パイモン「律者っていうのは強大な力を持っているけど、年数が経つと弱まるんだろ?それに賭けるしかないんじゃないか?」

 

 

ナヒーダ「それを差し置いても厄介すぎるのよパイモン。特に律者の体質が懸念点になるの」

 

 

パイモン「律者の体質?」

 

 

ナヒーダ「ええ。結論、律者に傷をつけれても、再生して帳消しにされる可能性があるの」

 

 

パイモン「え?」

 

 

空「!」

 

 

ナヒーダ「旅人も幾度か体験したことあると思う.....アビスに由来する魔物は粗末ながらも自己再生能力を持ち合わせている」

 

 

パイモン「それが律者にもあるって話か....!?」

 

 

ナヒーダ「再生能力の精度は使い手によって変わってくるし、この能力も元素を介して変換するから元素切れを狙う手もある。だけど、その時立っているのはどっちでしょうね?」

 

 

その場の雰囲気が凍りつく。

 

 

あまりにも今まであってきた者より格段に緊張してしまい、手のひらから脂汗が出てきそうな勢いだ。

 

 

ナヒーダ「暗い話はひとまず置いておいて目的達成のために早くいきましょう......あら?」

 

 

入口から入ったあと長らく階段を降りていたのだが、下まで来たところで左右に道が別れていた。

 

 

パイモン「左右に分かれてるぞ.....どうするんだ?」

 

 

ナヒーダ「二手に分かれるしかないようね。じゃあわたくしとこの子は右を。旅人達は左を」

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