台本書き
駄文
オリキャラ(複数人)
独自設定
地上と地下遺跡を繋ぐ道は、ひとつだけとは限らない。先人達が作った正しい入口があったとしても、後の人間たちが各々自分の目的のために掘り進めてしまう。
盗賊なら金目の物を運びやすくするため。考古学者は入口が見つからなかったから、仕方なく勘で掘り当てた....など。
そして今自分が歩いている所もそうだ。いつ掘ったか分からないが、正しい道じゃないということだけは分かる。
赤褐色の岩石が露出している洞窟を明かりを頼りに突き進み、縄張り争いをしている茶色のサソリや人目慣れしていないキノコンが岩陰に隠れている光景を片目に歩いていると、明らか異質で周りの光景に馴染んでいない砂岩の壁が現れた。目的の場所に着いたと確信し、そこを手で押すとガコッと何かが外れた音がして簡単に外れる。人が1人入れるほどのスペースを確保すると、その先の空間へ足を踏み入れた。
自分が開けた場所は天井に近い場所だったらしく、ゼーレは受身を取りながら着地する。背中と膝に着いた砂を手で払いながら自分が今いる部屋を見渡した。
ゼーレ「(とりあえず目的の神殿に入れることはできたけど.....ここはどこ?)」
ある程度の広さは確保されている部屋は、広さの割にホコリと砂そしていつ割れたか分からない壺が無造作にそこにあるだけだ。
だが、一見何も無い無味無臭の空間にでもこの神殿の隅々に瘴気に満ちていた。しかも、何も知らない一般人でも分かるほどの.....。
ゼーレ「(濃くなってきた.....。近くに確実にあるわね....)」
この部屋に充満しているエネルギーが欲するものを存分にアピールしているので、探索することを決めて、周囲の大小を兼ねる部屋などを粗探しし始めた。
ゼーレは探し物のついでにさっき聞こえてきた爆発音に近いものはなんだろうと思考に耽る。
ここにやってくる時に遠くから聞こえてきた轟音......。ホコリの溜まり具合を見ると、こんなところに考古学者や盗賊は来ていないだろうし、やはり自分の追手だろうか。それがもし正しいとするとパッと頭に浮かぶのが3人分の顔だった。
ゼーレ「(旅人とパイモン.....ブエル.....)」
一瞬あの人形のことも頭によぎったが、あの短期間で治すことなんて可能なんだろうかと思ったので、微妙なラインだなと感じた。
ゼーレ「(それにしてもあの人形、随分と古かったな......)」
このテイワット大陸には無機物に元素を通して人間の感情と生命活動を行える機能を持ち合わせている機械があるのを噂程度で前々から聞いていた。それに瞬に見えたあの人形の首元の巴紋、おそらく稲妻で生まれた古い物なんだろう。初めて見た時精巧な作りと噂通りの事象で正直ワクワクした。
そうこう考えていると、とある扉の前にやってきた。その扉は他と大差変わりなく、変哲ない砂の塊だが隙間からも分かるほど一線を画く負のオーラを感じる。
ゼーレ「(隠し部屋がなければ、これが神殿の最後の部屋だけど.......)」
コアがこの先にあることを確信して、ゼーレは唾を飲みながら隙間に手を挟んで重い扉を物理的に上に押し上げた。
部屋全体を見渡した時まず最初に巨大な砂像が目に入った。そして数段程度の階段が設置してあり、その先には人が1人入れるか入れないか程度の大きさでしかない棺がぽつんと置いてある。
キングデシェレトの霊廟の地下中央に置いてある棺はこれより何十倍大きいが、これに関しては金色の装飾品もないしなんとも質素なものである。
そしてその棺のわずかな隙間から赤光が漏れ出ているのを見つけた。
もしかすると......と思いながらゼーレは恐る恐る近づき、棺の蓋を開けた.....。
ゼーレ「あった.....」
棺の底に赤色のキューブ状の物体が横たわっていた。それは今までのコアとは別に異様な雰囲気を醸し出し、発光量も段違いである。
確かにそこに存在しているのはわかるが、他に問題点があった。
ゼーレ「(あったのは嬉しいけどなにこれ......液体?)」
棺の中が緑色の液体でタプタプと満ちていて、その中にコアは緑色の液体の中に沈んでいたのだ。じっくり見るとそれは粘性を含んでおり、まるでスライムのようだった。
ゼーレ「(この謎の液体もそうだけど.....アランナラの封印による痕跡もないし....なんだこれ......)」
他に何も無いか確かめても謎を深める要素は2点しかない。今までのものはアランナラの手によって厳重にされていたのに、これだけがザルなのは納得が行かないというか不気味なものだった。
本来ならばもう少し詳しく調べて慎重に行きたいところだが、さっきの爆発音と追手のことが頭によぎって強硬手段に出ることにした。
ゼーレ「(何か何だか分からないけど.......いただき!)」
袖が濡れないように腕をめくって、手を液体につけた......。
ゼーレ「っ.....!」
指先が液体に触れたあった瞬間今まで経験してこなかった、背筋が凍りつく感覚に襲われ、手を引っ込んで急いで後ろに下がった。
人生で始めて経験した、心臓に直接手で触られた感覚....何だか冷や汗が止まらない。
ゼーレ「今のは......」
棺の様子はさっきと変化していない。自分の思い違いか.....?と考えていると後ろから叫び声が聞こえた。
パイモン「あっーーーーーーー!旅人!エウルア!まずいまずいまずい!!」
後ろを急いで振り返ると後方にパイモンが浮かんでいた。
既にゼーレがこの遺跡にいることに対して、驚愕の表情でいる。
ゼーレ「!(パイモン.....!?やっぱりさっきの爆発音の正体は.....!)」
空「パイモンどうしたの?」
エウルア「急に叫んでーーー」
パイモンの叫び声に気づいた2人はパイモンの元へ駆けつけてくる。そして、今まさにゼーレがコアを手に入れる現場を見てしまった。
空「.......!ゼーレ.......!!」
エウルア「姉.......さん.......?」
ゼーレの姿を見た瞬間、エウルアの目は点になり、その場に立ちすくんだ。
エウルアの脳内にある姉との記憶は子供の頃しかない。ただ、前にいる青髪の女性ははっきりと十数年ぶりに再開した自分の姉なのだと感じることが出来た。
ゼーレ「エル........?」
それはゼーレも同様で、空達に振り返ったまま、手が止まった。
これまでの人生で色んな感情が心の中で渦巻くのはこれで2度目だ。懐かしい.....だけど後ろめたい......もう会わないって決めたのに.....。
だけど、心の全面に出るのは嬉しさと心懐かしさなのは何故だろう。
感情の洪水で、しばらく脳がフリーズし、考えることを辞めていたが、パイモンの金切り声で意識が釣り上げられ、はっとした。
パイモン「あ、あいつ...!もうコアの所に....!」
空「ゼーレ!そこから離れて!」
パイモンの言葉で、ゼーレのすぐ後ろに赤色の光を見つけた。
空達は千尋の砂漠の地下で他のコアの特徴を記憶しているため、あの光がすぐに最後のコアだと言うことに気づく。焦るがあまり、空は片手剣を手に握り、ゼーレを静止するように呼びかけた。
なるべくコアから彼女を遠ざけないと.....あれを手にされたら敗北は濃厚だ。
ゼーレ「もしかしてあなた達がエルが呼んだの.....?」
パイモン「そ、そうだぞ!エウルアがお前を止めるために!」
ゼーレ「ちっ...余計なことを!悪いけど説得されて諦めるほど私はちょろくないわよ」
空「っ....!」
空は片手剣を強く握って、ゼーレの元へ全速力で接近し、大きくジャンプして、そのまま振りかぶる。
ゼーレに攻撃する空を見て、ようやくエウルアは現実に引き戻された。
エウルア「旅人!待って!」
剣が彼女の肩に触れる直前、それを軽く避けると、左腕で空の服を掴む。
空「!」
ゼーレ「焦ってるのが見え見えよ!無作に突っ込んでくるんじゃない!」
そのまま空の体を奥の部屋に投げ飛ばす。
一瞬でエウルアとパイモンの横を通り過ぎ、壁に突っ込んだ。衝突した轟音が遺跡中に鳴り響く。
エウルア「姉さん.....やめて....。話は2人から聞いた。本当によからぬ事をやっているのなら今すぐやめて欲しいの」
ゼーレ「エル。ここの神殿は危ないからモンドに帰りなさい。怪我しても知らないわよ?」
エウルア「.......話を逸らさないで。姉さんのそんな姿私は見たくない」
ゼーレ「あなたには....関係のない話よ。あなたは騎士としてモンドで過ごしてればいいの。こんなことに首を突っ込んでどうするつもり?」
エウルア「さっきから言ってるでしょ.....」
ゼーレ「じゃあこっちもさっきから言ってるわよ。第一あなた達.....が.....」
ゼーレが喋っている途中で目線を上に向けた。
なぜなら天井からドタドタ音が聞こえてきたからだ。
それに微かながらも2人分の焦っている声色が天井に響いていた。
「おいクラクサナリデビ!暴れるな!」
「そんなこと言ってないで!早く走らないと押しつぶされるわよ!?」
「分かっている!!!」
天井の隙間から砂とホコリがポロポロ落ち始める。そして、ちょうどゼーレと空達がいる部屋の間に天井がガタンと音を立て崩れ、そこからナヒーダとスカラマシュが落ちてきた。
パイモン「....!?何やってんだよ....」
ナヒーダ「パイモン.....?ここは.....」
空「何してるの.....?」
ナヒーダ「どうやら神殿の侵入者を弾き飛ばすトラップに引っかかってしまったようね.....だからあなた、変なところを触らないように忠告したのに...」
スカラマシュ「あれは見抜けなくて当然だろう!!」
ナヒーダ「......」
言い訳を陳列するスカラマシュを横目に、砂煙から出てきたナヒーダは周囲を見渡し現状を確認したが、ゼーレの姿を見て察したようだ。
ナヒーダ「......見つけた。まさかこんなばったり遭遇するとは考えなかったけど....」
ゼーレ「エルに....旅人に....稲妻のお人形さんに....そして草神ブエル....豪華な面々ね」
ナヒーダ「事は上手く言ってる.....とは言えないわね......。むしろ深刻と言っても良さそう」
ゼーレ「ええ、一足先に失礼。...それでここにやってきたってことは右肩の修理は終わったの?お人形さん?」
スカラマシュ「.....おかげさまでね。これでようやく君をなぶれるわけだ」
ゼーレ「スラサナンタ聖処のこと忘れたの?杜撰な記憶残りをお持ちのようね。1回作った人に見せてもらったら?」
スカラマシュ「言ってくれる.....。僕をコケにしたやつは1秒足りとも忘れたことはなかったよ。とりあえず、その階段から降りてきなよ」
ゼーレ「寂しんぼ?1人でやってきて」
笠を被った少年と青髪の女性が睨み合い始め、その場の雰囲気が険悪になった。いつぶつかってもおかしくは無い。
ゼーレ「(追っ手自体いることがあれだけど、予想した人数から1人増えただけで考えることが多くなって、想像以上にめんどくさい事になってきた.....。ええと、旅人とエルが近接戦闘で、ブエルが後方支援.....やっぱり1番厄介なのはビュンビュン飛んでくる人形さんか.....それになぜかこの場にいる人間と比べて体の中にある元素の量が薄い.....。早々に元素切れ.....では無いはずだけど、乗ってやるか....よしまずはあいつから)」
ゼーレが1歩1歩ずつ階段を降り、足音を空間に刻む。
ゼーレ「(人形の弱点は.....お腹辺り....かな)」
エウルア「!?えっ?」
空「!!」
ゼーレの足が最終段に着いた瞬間、彼女は姿は消えていた。瞬きをすると、ゼーレは一瞬でスカラマシュの元へ到着しており、拳を腹に向けて構えている光景が見えた。
一瞬の出来事だったことから、その場にいる全員がありえない事象に驚愕の表情を浮かべ、何も出来ずにいる。
ゼーレ「せいっ!」
力を込めた左拳を思いっきりスカラマシュの腹に打ち込むとギリギリと金属がねじ曲がるような音が鳴り響き、先程まで殺気で満ちニヤニヤしていたスカラマシュの顔が苦悶に変化した。
しかし、すぐにその表情はいつも通りの憎い顔に元通りになり、自分の腹に打ち込まれ拳を両手で掴んだ。
ゼーレ「!?」
スカラマシュ「.....捕まえた。やっぱり最初に僕から襲って....来たね.......。分かってたさ.......君みたいな頭で考えて計画的に攻めてくる論理的なやつはこっちに向かってくるってね!!!!」
逆にこちらのターンだと言わんばかりに、スカラマシュが意地の悪い微笑みを口に浮かべる。
そして、そのまま風元素の動力でゼーレごと空中に浮かぶ。
ゼーレ「何を......」
スカラマシュ「あの日からこれを憎い君の顔面に撃ち込みたくて仕方なかった.....」
ゼーレ「........!やけに元素が薄いなと思ったら........!」
ゼーレは気づいた。数秒前に感じていたスカラマシュから感じた違和感を。
スカラマシュは体の中に循環している風元素を1箇所に圧縮し、それを隠し持つことによってわざとゼーレに誤認させるように仕向けていたのだ。
全ては憎いやつに一泡吹かせるために......。
スカラマシュはそのままゼーレを通路側に放り投げ、そのまま踏み付けるかのように足裏をゼーレの顔に接近させる。
スカラマシュ「死ね」
悪魔のような表情を顔いっぱいに表現しながら、静かにゼーレに向かって言い放つ。
そして、それと同時に圧縮された風元素を打ち込んだ。
この圧縮した風元素は神の目所有者の意志によって放たれ、初動秒速60kmまで達する。近距離でモロに食らった者はタダではすまない。
そんな代物を食らったゼーレは顔面に直撃し、勢いのまま通路の奥に吹き飛んで行った。
確かなる手応えを感じたスカラマシュは攻撃の手をやめず、吹き飛んだ彼女の元へ急ぐ。
ナヒーダ「待ちなさい!深追いはダメ!」
どんどんと距離を空けるスカラマシュにナヒーダは静止を求めたが、聞こえなかったようだ。そのまま、どんどんとゼーレに詰め寄っていく。
スカラマシュ「ちっ....」
さっき食らったパンチが予想以上にダメージが大きい。腹の部分に大きな亀裂が入り、中身が見えている。
あまり痛みは感じないが、上手く飛行状態を維持できない。
スカラマシュ「(ただの拳の攻撃だぞ.....?どうなっているんだ本当に....。まあいい......。手応えは感じた。さすがにあの距離は律者と言えども無事では済まないはずさ....)」
ゼーレは通路の真ん中で大の字に倒れていた。
至近距離で食らったせいか、全身が血だらけのようで、床にも血痕が飛び散っている。
そして、ゼーレの元に着地した瞬間、急に目を開くな否や、体が飛び上がった。そのまま、スカラマシュに回し蹴りをお見舞いする。
ゼーレ「ドンマイ!!」
スカラマシュ「!」
スカラマシュは思わず防御態勢に入るが、蹴りの威力が凄まじく、体ごと壁にめり込む。
スカラマシュ「へ、へえ....生きてたんだね.....」
スカラマシュの強気の言葉はいつも通りだったが、言葉の端々にある震えからゼーレが何事もなかったかのようにしていることに1種の恐怖すら覚えていたのだ。
ゼーレ「冷や汗をかいたけど大したことはなかったな.....。残念ね!私って少し体が頑丈なの!」
血だらけの顔面、そして真っ白な歯をむき出しにケタケタ笑っている姿に狂気を感じる。
そのままスカラマシュの服を掴むと、おもちゃのように振り回し、奥の通路に放り投げた。
通路の壁に突っ込んだ時の轟音がこちらからでも聞こえてくる。
処理が終わったゼーレは手でパンパン払いながらゆっくりこっちを向いた。
ゼーレ「はい、次」
ナヒーダ「くっ......」
エウルア「ちょ、ちょっと!あの人やられたわよ!?」
スカラマシュがいとも簡単に処理されたという事実が4人に襲いかかり、心が徐々にざわめき始める。
ゼーレ「1人ずつやっていくから準備しておきなさい!」
ゼーレがこちらに近づいてくる時にシューっと風船が萎むような音と共に、白い煙が顔面から立ち込める。
その煙のせいなのか分からないが、スカラマシュから食らった攻撃の傷は時間と共に塞がっていき、そしてそれは完治してしまった。
空「(傷が....!もしかして、あれが律者の再生能力.....!?)」
ナヒーダが汗ばみながら両手を前に突き出すと、自分がいる部屋の入口に緑色のバリアが形成された。
ナヒーダ「2人共!今のうちにコアを!」
パイモン「ナヒーダ!?」
ナヒーダ「わたくしがここで食い止めるわ!」
空「分かった!」
板ガラスよりも遥かに分厚いバリアなので、自分達がコアを回収するまでの時間を稼ぐには十分だろう。
そう判断した空は、エウルアとパイモンを呼んで、急いで棺のある部屋まで移動した。
依然そのコアは粘性のある緑色の液体に包まれている。
エウルア「これがコア.....?触って大丈夫なの?」
空「.....うん。1回触ったことあるけど大丈夫な....はず」
ゼーレ「余計なことしないで!!」
空がコアを手に入れようとした時、ゼーレの叫び声が聞こえてきた。そして、数秒もしないうちに後ろから、怒号・轟音・悲鳴と言った色んな音の情報が耳に届く。
ナヒーダ「キャッ!!!」
ナヒーダの悲鳴が聞こえるな否や、こっちの部屋まで転んできて、柱に勢いよく頭をぶつける。
空「ナヒーダ!?」
ナヒーダ「くっ...うぅ....」
幸い怪我はないようだが、後ろにあった出来事と柱に勢いよくぶつかったことが原因で意識が朦朧としているようだ。
恐る恐る見ると、部屋の入口にバリアごと斬ったかのような巨大な亀裂が横方向に入っていた。
緑の障壁はなお機能し続けているが、ガラスが割れたかのように地面に破片がボロボロと落ちている。
空とパイモンには、この不思議な現象には心当たりがあった。
空「(アビディアの森で見たあれと同じだ.......。もしかしてこれが律者の能力.....?)」
ゼーレが割れたバリアの隙間から這い出て、気だるそうに足を進める。
ゼーレ「はい二人目。いい加減諦めてお家に帰りなさい」
パイモン「お、おい!旅人どうするんだ!?」
空「(これといった時間稼ぎも出来ないし、正面から戦っても勝ち目はない.....どうする....どうする.....)」
心臓が緊張する状態のまま、必死に空は脳のシナプスを稼働させていた。
正直戦況は絶望的だ。貴重な戦力も一瞬で崩れたし、ここからひっくり返せる程のビジョンも浮かばない....。どうするという焦りだけが心を支配していた。
そして、次の瞬間、気づいた時には既に空中を舞っていた。
空「!?」
何が起きたのか理解出来ずに急いで地面に視線を移す。
さっきまで自分がいた位置にゼーレが立っている。
空はゼーレに一瞬服を掴まれそのまま、通路奥まで吹っ飛ばされてしまった。
空「(今の一瞬で....投げ飛ばされた.....!本当に何が起きているんだ.....!)」
着地と同時に全速力で棺のとこまでダッシュする。
エウルア「!?」
エウルアが状況を掴めずにいながらも本能的に大剣を構える。
だが、刃を向けられたゼーレは途端に嬉しそうな表情を顔に浮かべて、そこに動ずることなく立っている。
エウルア「何をそんな.....嬉しがっているの?」
ゼーレ「妹に剣を向けられる日が来るなんて......お姉ちゃん嬉しい」
エウルア「....何が?」
ゼーレ「忖度することなく守るために剣を構える。これは立派な人間であり人々を守る騎士の素質が充分あるってこと」
エウルア「......」
ゼーレはそう言うと、目の前にある青い刃の大剣をそばにどかしてそのままエウルアに抱きついた。
エウルア「えっ?」
パイモン「はぇ?」
その場に居た2人は何が起きたのか分からず困惑した。そんな様子を見て、空は思わず足を止めてしまう。
空「え......(説得.......できたのか.......?)」
ゼーレ「こんなに立派になっちゃって。前まで見た時はちっさくて可愛らしくて...私の自慢の妹だった....。今もそれは変わらないけど....」
エウルア「ね、姉さん....?」
ゼーレ「時の流れは残酷ね....。あなたが健康でいてくれて安心した....ずっとこうしたい......」
エウルア「姉さん......」
ゼーレがエウルアに向ける愛情の言葉にエウルアは思わず全身の力が抜けており、そのままゼーレを抱き締め返した。
だが........。
ゼーレ「だけど.....ごめんね」
急に抱きしめたエウルアを突き放し、そのままパイモンと一緒にを空の方向に放り投げた。
エウルア「!」
パイモン「うわぁ!」
エウルアは空中で体勢を翻して、地面に滑りこむように着地し、パイモンは砂山に頭ごと突っ込む。
パイモン「おわぁ!ぶべ!」
エウルア「姉さん.....!なんで......!」
ゼーレ「悪いけど......これで私の物!」
勢いのまま棺の中に腕を突っ込みコアを取り出そうとする。
グチャと粘性の液体の音が聞こえてきた時、信じられないことがおきた。
??「サワ.......ルナ....」
棺の中からドスの効いた声が聞こえてきた。
それは3人にも聞こえたようで、目線をゼーレから棺に移す。
ゼーレ「!」
棺の中から緑色の腕が飛び出してきて不法者の腕をがっちり掴んだ。
パイモン「!?な、な、なんだなんだ!?!?」
ゼーレが腕を振りほどいて一二歩その場から下がると、棺の中に入っている緑色の液体のかさがみるみる上がっていき、溢れかえった時には棺が崩壊した。
ゼーレ「これは.....予想外....」
溢れた液体はまるで意志を持っているかのように空中に1箇所に集まり、人型に変形し始め部屋の天井まで突き抜けるほどの高さに成長を遂げた。
パイモン「うわああああ!なんだよあの化け物!」
グオオオオアア''アアアア''アアア'''ア!!!!ーーーーーー。
そして、緑色の化け物は咆哮をあげる。その大きさは神殿中に響き渡り、天井から埃が落ちてくるほどだった。その場に居た全員が思わず耳を塞いでしまう。
続けて重々しい拳をゆっくり振り上げると地面にこれでもかと叩きつけた。
その瞬間、打撃点から部屋まで一瞬で亀裂が入り、凄まじい音を発する。
エウルア「く、崩れる....!」
数秒もしないうちに亀裂が入った場所から瓦礫がこちらに落ちてきた。そして、落下物で視界が埋め尽くされる寸前に見えたのはゼーレが怪物の首根っこを掴んで地上に押し上げていく光景だった。