異世界から追放された英雄は、【シン・日本】で平穏に暮らしたいけど強すぎて無理   作:秋津 幻

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第12話 スキルを覚えよう!~護摩行の巻~

「調子いいですね! 二体目のユニークも倒しましたし! レベルもアップ!」

「うーんうーん……」

 

 ユニーク二体目を倒した後、次の配信への話し合いをしている最中。俺は、悩んでいた。

 師匠らしくステラちゃんに何を教えるべきかと。

 

「続けてどんどんレベルアップを……華維さん? どうしたんですか?」

「いや、ステラちゃんにどんな修行させようかなって」

「修行……ですか、今の私に足りないものって何ですかね?」

「スキル」

「友情バトンとエネミーガード・ブレイクで足りませんか?」

「の数」

「……数がなくても、大抵の敵は友情バトンで華維さんから借りればなんとかなりません?」

「そこなんだよ!」

 

 俺はステラちゃんに指を突きつける。

 

「わあ!?」

「ステラちゃんは確かに、スキルを借りてサポートされるのは優秀だ。貢がれ適性が高いというか……」

「そりゃ配信者ですしねー貢がれ、悪くないですね!」

「だが。友情バトンは、スキル枠が一つしかない。だから、いろんな状況に対応するには、適宜スキルを借りなければいけない。でも守るスキルを借りたとき……火力は出せないだろ?」

「あっちがたてばこっちがたたないと言うわけですね……」

「それに、友情バトンで借りるスキルも最近は俺頼りだろ。いつまでも俺に守られてるつもりか?」

「そ、それもそうですけど……」

 

 納得したように言いながらも、決まりが悪く口をもごもごさせる。

 

「そう、だから友情バトンがなくても大丈夫なように、基本的なスキルを覚えさせたい」

「なるほど……それで修行ですね!」

「ああ、そうなるな。ついてこれるか?」

「いいでしょうやりましょう! その代わり……配信していいですか?」

 

 ステラちゃんはすぐ配信だな……

 まあ、そのくらいならいいか。

 

 

 ***

 

 「はいみなさんこんにちは大星ステラでーす☆ 今日は修行回です!」

 「はいKでーす……皆さんおじゃましてます……」

 

 >わこつー

 >うぽつー

 >Kさんよろー

 >修行って何やんの?

 

「前回、スキルが足りないといわれましたので……今回はスキルを覚えていきたいと思います!」

「実際、足りないからね数が」

 

 >数かー

 >ナシさんも結構数持ってたし確かに

 

「はいそれでは私がKさんみたいに強くなるために覚えておいた方がいいスキルって何でしょう」

「えーとねー、俺レベルでいいのか? いわゆる俺はスキル大量持ちのいわゆる異世界での「上位勢」って言われてるんだが……」

 

 もっと簡単なスキルを覚えさせても良かったが、ステラちゃんがハードルを爆上げしてきた。のでそれに習うとしよう。

 

 「そうだな、まず基本的なスキルを覚えさせたい。重要な所で行くと異世界で生きる上位勢の中で必須と言われている、三大耐性って言われてんのがあるんだが……」

「ほう、まさに基本のキの字って感じですね! 例えばどんなのですか」

「まず一番必要なのは……【全能耐性】だな」

「はえっ!?」

 

 >全能!?

 >なんかまっさきにやべーのきたな

 >神でも殺しに行くんですか……?

 

「あらゆることを実現する、最強のスキルだ。かつて異世界では「全能大戦」と言う物があってそれはもう酷くって全能と全能が飛び交って全能無効がないと戦えなかったもんだが……」

 

 >想像したくねえ

 >ヤバかったのは分かる

 

「まあこれは今は必要ないしステラちゃんほどの運命力があればそのうち身に付くからいいとして……」

「ちょっと、簡単に流していいもんじゃないんですけど!?」

 

 話を流す。あんまり話したくないし。

 

「その2。死な安スキル」

「聞いたことありませんが……」

「いくつかのスキルの総称だよ。「死ななきゃ安い」スキルだ。タフネスとか、食いしばりとか、緊急回避とか、ようはどんな攻撃でも一回は耐えられる、致死攻撃を無効にできるスキルだよ」

「あー最初のユニークモンスター戦で視聴者から借りた奴……」

 

 >あーなる?

 >わからくもない

 >どんな攻撃でも防ぐってそれ普通に上位スキルじゃね?

 >そんな強スキル持ってる視聴者何もんだよ

 

「私の配信を見てる視聴者さんもすごいって事ですね!」

「んにゃ、確かに上位スキルだ。でも一個は持っておくといい。持ってないと話にならない。上位では急に一撃死するような攻撃が振ってくるから、それで死ぬようじゃアカンって事だ」

 

 >Kさん耐久高くなかったっすか?

 

「即死攻撃……は即死無効持ってるからいいとして、防御無効とかきたら耐久も無意味だろ。急に1桁2桁違うステータスの攻撃食らうかもしれんし。数字など無意味」

 

 >こわ~

 >すっげえインフレしてる

 >防御無効無効くらいありそうですけど

 

「無効無効まで行くとなー……流石にレア」

 

 >あるんだ……

 

 ちなみに、即死無効と通す即死攻撃って言うのもなくはない。例えば相手のHPを1にする攻撃をした後、速攻で1ダメージ与えるとか。

 

「でも、その死な安スキル? ってのも全部無効にされたら意味ないじゃないですか?」

「いい事に気づいた。流石ステラちゃんだ」

「えへへ……」

 

 >さステラちゃん

 >えらいっ

 

「タフネスとか食いしばり辺りは比較的メジャースキルだから対策され、無効にされる可能性はあるが……似たような効果の違うスキルってのはいくらでもある」

「確かに、さっきいくつか挙げてましたよね。」

「ガッツ、不屈、気合……そのほかにも回避系、無敵系、バリア系、いろんなものの総称が死な安スキルだ。一撃食らっても一撃で死ななきゃいい。これら一つを無効化する攻撃はあっても、すべてを貫通する攻撃ってのは基本的にない」

 

 >なるほど?

 >じゃあ一人で複数持ってた方がいいんじゃ

 

「一人で複数持つのキツイからなー上位スキルだし。パーティが2~3人いて、それぞれ別種の死な安スキルを持っていれば不意の即死ビームとか打たれたときに一人は生き残る訳だ」

「たしかに、そうなりますね」

「反撃なり、逃げなり、仲間を呼ぶなり、その後の対応が取れる。最低一個もってれば、大体の状況で1度は生き残れるし死んだという事自体が情報のアドになる」

 

 >無抵抗で全滅すんなって事か

 >複数人で組むのが前提の話なのね

 

「まあんな感じで死な安死な安言ってたら「死な安無効」なんてスキルでてきたりすんだが……」

 

 >は?

 >流石にずるじゃない其れ……

 >勝て無くね?

 

「流石にヤバいので人集めて囲んで殴って殺して封印した! あれはヤバかった……」

「スケールの違う話だ……」

「その話は置いといて、ステラちゃんにもそのうち死な安スキルも生えてくるだろう。きっとエネミーガードがうち「敵意の持つ攻撃は全部無効」とかになる」

 

 >つっよ

 >それ大丈夫なん? 囲んで封印されない?

 

「敵意のない攻撃打てば余裕余裕。感情消すなり愛で殺すなりいくらでも方法がある」

 

 >簡単に言う対策じゃねえ……

 >心死んでない?

 

「とはいえ、現状不意打ち食らって死ぬのはきついだろうし、当座の対策としてこれをやろう」

 

 俺は、とあるを手渡す。

 

 >Kはステラに気合のミサンガを渡した

 

「これは……ミサンガですか?」

「そ、あらゆる致死攻撃を一回は耐える効果を持ってる」

 

 >それ似たような効果のアイテムは超激レアドロップじゃなかった?

 >一個うん百万とかする奴ですよ……!

 

「……こんな貴重なもの……いいんですか!」

「あれだ……S級予備役就任祝いも兼ねてな」

「!!! 大事にします」

「しなくていい。死にそうならこれに頼って死んどけ。 消耗品だからな。普段から死なないよう気を付けるのならいいけど……」

「えへへ……」

 

 嬉しそうにミサンガを付ける。

 腕に付けたミサンガを、ひっくり返したり、引っ張ったりして何度も何度も眺めている。

 本当に大事にしなくていいのに。あと同じもの999個あるし。

 

「まあいいんですいんです、3つ目行きましょう!」

「3つ目、精神耐性」

 

 >おお?

 >聞いたことあるような……

 >結構メジャーなスキルじゃないですか

 

 精神耐性:精神状態異常に耐性を得るが出来る

 

「精神異常は怖いぞー記憶消されたり洗脳されたり認識をいじられたり幻術されたり催眠されたり。ぶっちゃけ食らったら即死どころか相手の思うままに操られることすらある」

「ああ……死ぬ以上の被害を味方に与えるわけですか」

「それに、上位勢は自分の意志と反した行動をさせられる、という事に非常に拒否感を得る。人質を取られたり、とかな」

 

 >なんか実感籠ってそうな……

 

 ノーコメント。異世界では、色々あったとしか。

 

 上位互換に精神無効ってのがあるが……そこまでは教える必要もないだろう。

 そこまで行くと、状態異常を無効化するどころか、あらゆる感情が死んでしまうから。

 俺は、耐性で済んでいる。まだ、涙は流せる。

 

「何はともあれ、精神耐性は3つの中でも特に持っとけ。必須級、コスパが良い、入手も容易。今回は精神耐性をステラちゃんに取らせようと思う」

 

 >おおー

 >本題ですか

 

「なるほど……で、どうやってですか?」

「まあつまり精神修行だよ。座禅くんだり滝に打たれたり、それだけで習得できる」

 

 >ん?

 >嫌な予感が……

 

「それだけですかそれ?」

「いろんな方法があるが今回は……護摩行だ」

「は?」

 

 ***

 

 護摩行実行。

 ステラちゃんが、焚火の前に座っている。

 すなわち、火にあぶられている。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 >火に癒される

 >熱そう

 

「あ゛づい゛でずう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」

 

 ――ステラは火耐性を覚えた!

 

 >なんか覚えた

 

「それじゃねえな……精神耐性覚えるまで頑張れ」

 

「Kさんはあづくないんでずがあああああああああああ」

 

「俺熱耐性あるし……精神耐性もあるし……」

 

「あああああああああああああああああああ」

 

 >先に熱耐性覚えたらどうすんの?

 

「……滝行かなあ」

「やだあああああああああああああああああ」

 

 ――ステラは強い意志を覚えた!

 

「おーそっちの方向でいい」

 

 強い意志:低確率で精神状態異常のマイナス効果を緩和する

 

「持ってて損はないが確率なのがあかんな、常時にしておかないと」

 

「あああああああああああああ」

 

 ――ステラはやけど無効を覚えた!

 

 >なんで先にやけど無効にすんねん

 >こっちも便利じゃない?

 

「やっぱステラちゃんスキルの覚え早いな……でも精神耐性にするなら心を強く持つんだ!」

 

 ――ステラはファイヤアタックを覚えた!

 

 >なんで攻撃技おぼえとんねん

 

 *** 

 

 数時間後……

 

「はぁ、はあ……」

 

 ――ステラは不屈の心を覚えた!

 

 不屈の心:状態異常を受けているとき、そのマイナス効果を緩和し、全ステータスを大きくアップする

 

 >別のスキル生えてんじゃん

 

「悪くないな。デバフは受けるが緩和できるなら行動はできるだろう。耐性ではないのが痛いが、当座は大丈夫だ。それ以上にステにバフがあんのが相当強い」

「精神耐性は……?」

「どちらかというと精神ダメージを受け流す方だからな、そっちとは性格的に合わなかったんだろう」

「そんなああああああ……」

「まあ、大丈夫さ。そのうち戦ってるうちに精神耐性も生えてくるって」

「考えたくもありません……」

 

 >おめでとう!

 >おめでとう……でいいのか?

 >おめっとさん

 

「ありがとうございますー……大変だったよー!」

 

 

 ***

 

 

「あー酷い目にあった……」

 

 色々大変でしたが、良い感じのスキルも覚えましたし撮れ高もありました。結構視聴者さんからの反応も良かったです。

 スマホでコメント欄を眺めてにやにやしていると、ぽんと通知が届きます。

 

 >今日の配信見たよ! お疲れ様!

>ありがとー! 大変だったよ〜

 

 仲の良いリアル友達である、桜ちゃんからでした。

 中学生時代からの親友で、今でもたまに連絡を取っています。親が行方不明になった騒ぎで別の高校に通う事になった際に学校が分かれてしまいましたが……それでも友情は消えないというわけで。

 それから、しばらく他愛のない話をしていましたが、夜も遅くなってきたので切り上げることに。

 

 >今度の休み直接会うの、楽しみにしてるから!

 >わたしも!

 

 最近忙しかったので、リフレッシュです。

 普段は皆のために頑張っていますが、オフもちゃんとあるんですよ?

 

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