キングと呼ばれる男が見舞いに来るって話です。
今作の根幹に関わる特大ネタバレ有りです。
<<< A市 >>>
巨大隕石と深海王が同時襲来してから数日経った。……あれから色んな面倒事が怒涛の如く押し寄せて本当に大変だったんだぁ……。
まずジェノスの事から話そう。
巨大隕石の完全破壊の功績が認められ、S級17位から14位にまで繰り上がった。俺ことキングとシルバーファング、意外だったのがメタルナイトも含めた計三名からの推薦を受ける形での順位上昇となった。
ひとえに師匠がいてくれたからですとジェノスは言っていたが、ただ記憶と経験を共有しただけであんなシ◯・ゴ◯ラみたいなトンデモ熱線を発射するなんて完全に予想外だったんだよぉ……。
……ジェノスが俺の記憶を見たように、俺もジェノスの記憶を見てしまったことをあの後すぐに白状し謝った。
あの時の俺はどうかしてたんだ。激情のままに行動してもロクなことなんてありゃしない……。
『俺も師匠の記憶に触れました』
『敢えて打ち明けないことも考えましたが』
『やはり師匠には敵いませんね』
まさか、まさか……今世だけじゃなく前世の記憶までも知られてしまったとは思わなかった。この世界がいわば
……俺すら自覚できなかった
『
『それだけは絶対に変わりません』
結局お互いの過去はお互いだけの秘密ということで一先ず解決したと思いたい。
一番大変だったのはぷりぷりプリズナーだったなぁ……。何せ背中から天使を思わせる純白の翼が生えてきたんだもん。……
『心が人間なら、それは立派な人間だ』
どうやらその一言で納得してくれたらしく、ぷりぷりプリズナーは引き続きヒーローとして活動することを許された。
『キングちゃん、
『もし本気にしたらどうする(/////)』
しょっちゅう全裸になる翼の生えた男好きの強面のオカマに惚れられた―――……何の冗談?こうなると分かっていればジェノスに頼んで焼却してもらったのにィ………!!
俺の悩みがまた一つ増える結果となった……。
「師匠、どうしましたか?」
「ん?……あぁ、ちょっと考えごと。……結局目当ての人はいなかったねぇ……」
「そうですね。……あれからそれほど日が経ってないのにもう退院していたのは予想外でした」
俺とジェノスの状況を説明しておかねば。……俺達二人は、深海王との戦いで重傷を負ったヒーロー達のお見舞いのためにヒーロー協会病院を訪れたその帰りである。
結論から言って、深海王との戦いで死んだ者はいない。民間人は勿論のことヒーローもだ。……体を真っ二つにされたヒーローを見た時は心底肝を冷やしたけれど、サイボーグだから大丈夫!なんてよく分からない理屈でアッサリ元通りになった時には凄く複雑な気持ちになったもんだ。
最初に深海王と交戦したA級のスティンガーとイナズマックスも勿論生きている。……精神的に無事であるかはさておき。
何せ彼らの言葉通りならあの深海王、
ちなみに、熱線のダメージ以上に強面のオカマに
シェルターの近くで戦っていたヒーロー達も辛うじて一命を取り留めた。オールバックマン……だったっけ?特に彼は非常に危険な状態だった。血を流し過ぎていたんだ。よく助けられたと思うよ。……何故か黄金色の光が纏わりついていたが、そのお陰で間に合ったのかなぁ……?
おっと、忘れちゃならないのがメタルナイトだ。彼がいなきゃ危うく無免ライダー達の勝利が無駄になるところだったのだから。
『オ前達全員ニ急性放射線障害ガ出テイル』
『強制的ニラボデ検査ト除染処置ヲ受ケテ貰ウゾ』
後に聞いた話だと、J市
ともあれ現在J市はメタルナイト軍団による除染作戦が行われている真っ最中だ。予定よりも早く終わりそうとのこと。ヤッタネ!
「……よりにもよって無免ライダーが真っ先に退院するとはねぇ」
「恐らくパトロールをしているのでしょうが、正直心配ですね」
深海王にトドメをさした張本人である無免ライダーを差し置いて今回の話は語れない。原作ではなかった覚醒イベントを経て深海王を倒した彼は紛うことなきJ市の英雄だ。あまりの人気ぶりに病院にまで駆け付けるファンが出るほどだから相当だ。
……たぶん俺のせいだなコレ。
ここ最近のA級以下のヒーロー達の成長が目覚ましいのは俺も知っている。なんなら毎日彼らと〝強化訓練〟でぶつかり合っている俺が一番良く分かっている。……その強化訓練が原因なんだろう。
もっと言えば、俺に
『気』に一家言ある俺でも、ぶっちゃけ分からない部分が多いというのが本音だ。何せ俺以外に『気』を操る人がだ〜れもいないから、どうしても独学で何とかしなければならなかったんだ。もっと分かりやすく教えろ!な〜んて言われても無理な話なんだよなぁ……。
自分事ながら想像の話になるが、『気』に刺激されることで眠っていた潜在能力が引き出されたんじゃないかと思う。無免ライダーの場合、
良くも悪くも精神力に左右されそうでムラが激しそうだけど、ハマれば
少なくとも俺みたいな〝最高〟のヒーロー(笑)っていうレッテルを貼られただけの中身コミュ障な小心者とは人としての出来が違う。
いっそほかのヒーロー達にサイタマ並に強くなって貰うってのも一つの手だ。……その場の思いつきにしては悪くない考えじゃないか?
「そういえば師匠。一つ疑問なのですが……」
「ん?何ぃ?」
「何故師匠は6位なのでしょう?」
「……何で6位で燻ってるのかってこと?」
「はい、師匠の挙げた功績や協会への貢献度を鑑みても、最低でも2位以上になってしかるべきなんです。……いくらあの協会でも師匠を蔑ろにしているとは考えづらいのですが……」
「あぁそれ、俺が固くお断りしてるんだよ」
「え?」
「順位が下がるのなら兎も角、自由にやらせてもらうのにこれ以上の地位はいらないってねぇ」
俺の記憶の限りだと協会の要請を断ったのは深海王の件が初めてだったはず。……まぁあの時は巨大隕石が落ちてきていたしね。
そんくらい協会からの出動要請に真面目に応えているわけだが、怪人には全く慣れないし毎回死ぬほど怖い目に遭っている。……
……俺が見て見ぬふりをすると大勢の人が死ぬ。
気付けば体が先に動いてしまうのだ。もはや何かしらの病気としか思えない。それこそ今さっき病院で診てもらえば良かった……。
閑話休題。
ただでさえ現状で手一杯なのに、ベスト5入りしたらと思うとストレスで死ぬって……。だから協会には順位上昇の件については固く、固〜くお断り申し上げている。*1
「そうでしたか。師匠が良いのであれば俺からは何も言いません」
「そゆこと。お………うまそうな臭い……」
気付けばもうすっかり日が落ちている。……晩飯時だなぁと思っていると偶然屋台が見えた。
「そういえばジェノス、君の昇格祝いをしてなかったな。晩飯奢るぜぇ」
「っ、いえ、そんな大したことでは……!」
「じゃ、巨大隕石破壊祝いってことで!
入ろう入ろう!」
「……で、ではお言葉に甘えて……」
暖簾をくぐる。おでんの香ばしい臭いが出迎えてくれた。俺のは決まりだなぁ……。
「ラッシャイ!!」
「大将。俺におでんの盛り合わせを頂戴」
「……俺も同じく」
「ハイよ!!……もしかしてお客さんヒーローかい?」
「うぇ?!な…んで……?」
「今日は
大将の指差すほうを見る。……あぁ、そういう……。
「ホッ、キングに……ジェノス君か。ちょうどここが空いておるぞい」
「キングちゃん!ジェノスちゃん!俺の両隣に来なさい!早く食べてしまおう!!!」
「おっ、キングじゃん。チッス」
「どもっス」
「……来ないのか?」
「「「 キ、キング!? 」」」
「キング!ジェノス君!何か飲んでいくかい!?」
そこにはシルバーファング、ぷりぷりプリズナー、スティンガー、イナズマックス、スネック、ジェットナイスガイ、ブンブンマン、オールバックマン、そして無免ライダーがいた。
皆思い思いに楽しんでいるようだ。
「……御一緒するよ。今日は俺の奢りだ」
大歓声が挙がる。たまには肩肘張らずに盛大に楽しまなきゃな。これが俺の
ジェノスから
勝てる勝てないじゃなく、俺は
転生者が原作主人公に憑依したらしいですよ(笑)
ちなみに関節のパニックは無事脱獄しZ市でキングを待ち構えています。
……完全に忘れていた人、怒らないから手を挙げなさい。(スッ…)