ワンパンマン:REY【完結】   作:びよんど

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後編です。

大まかな流れとして、飛んで火に入る夏の虫と言っておきましょう。……挿絵あります。


五王目 王の宿敵 後編

 

 

<<< F市 >>>

 

 

誰だよお前。……吐きかけた言葉を飲み込む。バヤイバヤイ、流石に失礼だな。

 

……さてと、何が起こったのか整理せねば。

 

ある日F市を散歩していると、()()と呼ばれるハゲがいたと。もしやサイタマじゃねぇか!?と駆ける俺。そうして感動の対面を果たす俺とサイタマ―――……じゃない大柄のハゲとその下っ端っぽいハゲの集団……。

 

うァァァァァァ!!頭がハゲそうだよォォォォォォ!!……ってか、マジでコイツら何者なんだよ……。原作に出てたっけ?この……ハゲ達は?

 

もしや舞台裏で頑張っているタイプの縁の下の力持ち……みたいな方々とかッ!?うわヤッベ、俺メッチャ失礼なこと連発してたじゃん!俺何回ハゲハゲ言ったんだぁ……?

 

 

おまえらぁああぁぁあぁッッ!!!

 

 

突然目の前のリーダーっぽいハゲが叫んだ。顔は恐らく赤を通り越して白くなっていた。……もしや俺の心を読んでいたのか!?

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

こ、これは流石に謝らないと!ハゲって言って―――……

 

 

「ごめんな武装解除オォオッッ!!!急げエエェエッッ!!!(汗)さぃ……ぇ?」

 

「「「「 はいぃぃぃぃ!!! 」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この度は不肖ハンマーヘッドが皆様に大変御迷惑をおかけしたことを平に、平にお詫びいたしますとともに……」

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

どうやらアッサリ解決したらしい。

 

俺は死んだ魚のような目でリーダーっぽいハゲ…ハンマーヘッドの謝罪する様を見下ろしていた。……目だけじゃないなこれは。心も、俺の心も死に向かっているんだ。

 

俺の姿を見たこの連中の取った選択はただ一つ。……無条件降伏だ。

 

そっからはもう鱗○さんもビックリなスピード展開だ。

 

何をトチ狂ったのか連中、自分達の着ている服(パワースーツみたいなもんか?)を自分達で破壊していき、オマケと言わんばかりに自分で自分を殴ることでムリヤリ戦闘不能になってしまったのだ。……そこに俺の付け入る隙などない。

 

 

「た、大変お見苦しい姿を晒してしまい、こ、言葉もございません……!」

 

 

でもせめて下着ぐらいは着けててほしかったよ……。

 

俺の今の状況を説明すると、全裸になったガタイの良い成人男性(ハゲ)の集団に一斉に土下座され、トドメと言わんばかりに全方位から一般市民にスマホで撮られるという屈辱を通り越してカオスなものとなっていた。

 

 

「(……心を殺せぇ……。怒り、悲しみ、失望、殺意……今の俺には不要なものだぁ……!)」

 

「………ゆ、ゆえに…………」

 

「行け」

 

「……へ?」

 

「行け……と…言った」

 

「は? あっ、は! あ、ありがとうございますゥゥゥ!!」

 

 

全裸のハゲどもが一斉に逃げていく。逃げ足早え。っと、そうだ。これだけは言っておかないとなぁ。

 

 

「全員…顔は…覚えた。……お互いの……ためだ…」

 

 

ハゲどもの顔色が白を通り越して土着色になる。……限界まで追い詰められると人ってあんな感じになるんだなぁ。まぁ構わない、さっきの様子を見るにロクな連中じゃないのは明らかだ。……猥褻物チン列罪だったっけ?そういうので捕まってくれれば文句はもうない。

 

……後に、大勢の全裸の成人男性が警察に出頭するというチン事が起こるのだが、それはあくまで余談である。

 

 

「(もう帰ろう。……いや、この後強化訓練があったわ)」

 

 

限界などとうに超えている。肉体のほうは元気そのもの。精神のほうは擦り切れてしまっている。

 

サイタマを見つけない限り、この生き地獄は終わらない。

 

 

「(案外サイタマなんてはじめっからこの世界に存在していないのかもな……)」

 

 

そんな有り得ないことを考えていたその時だった。

 

 

〝爆裂手裏剣 殺戮乱陣〟

 

 

目の前に手裏剣が現れ―――……爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……呆気なかったな)」

 

 

俺こと音速のソニックは暗殺から用心棒まで何でも請け負う最強の忍者。

 

街一番の大富豪・ゼニールの用心棒の任を全うし、束の間の休息を楽しんでいた矢先にスキンヘッドの男達(桃源団と名乗っていた)が喧しく騒いでいる場面に出くわしてしまった。

 

働きたくないなどと声高に叫ぶだけのくだらない連中だったためそのまま無視して立ち去ろうとしたその時、あの男が現れた。

 

 

キング

 

 

奴が姿を現したことで完全に状況が変わった。

 

スキンヘッドの男達は一斉に身に着けているものを自ら剥ぎ取っていき、互いに互いを殴り合い、仕舞いには土下座して必死に赦しを乞うという醜態を晒していた。

 

奴の噂は多少なりとも聞き及んでいる。

 

 

曰く、地上最強の男。

 

曰く、三流の喜劇(ハッピーエンド)しか演出できない男。

 

曰く、怪人すら救う優しすぎる男。

 

曰く―――……

 

 

「(くだらん、所詮ヒーローなどな。……その中でも〝最高〟のヒーローなどと持て囃されている貴様は輪をかけてくだらん)」

 

 

スキンヘッドの男達の醜態を無表情で眺めるキングを見て心底軽蔑の念が止まらない。野次馬根性丸出しの大衆共がこぞって奴の活躍を眺めている様も加わり、歪なヒーロー社会そのものを象徴しているようだった。

 

 

〝正義ごっこなどしてる連中では本物の強敵には勝てない〟

 

〝何も守ることはできない〟

 

 

俺の中にある確固たる考えであり真理。……気づけば俺は、その考えに従うかのように技を繰り出していた。

 

辺り一帯は悲鳴と怒号が飛び交う地獄と化した。

 

 

「(……結局、貴様もほかのヒーローと大差なかったということか)」

 

 

証明したかった―――……ヒーローの無力を。

 

否定してほしかった―――……そんな自分を。

 

かぶりを振る。

 

 

「(ふっ、とてもじゃないが休日を楽しもうなんて気は失せたな。しかし、流石に周囲を巻き込み過ぎた。この街ともしばらくおさらばだ……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっっっ!!?」

 

 

突然響き渡る爆裂音。それは急激に勢いを増していく。

 

……そして、あることに気付く。

 

 

「(血の匂いがしない?……まさか、()()()()()()()()()というのか!?)」

 

 

辺りを見回す。……キングの近くにいた野次馬連中は気絶こそしていたが、その身に傷どころか汚れすら付いていない。まるで()()()()()()に護られているようだった。

 

が、肝心のキングの姿が捕捉できない。

 

 

ドッドッドッドッドッ

 

 

「(クソ!キングは一体どこだ!!)」

 

 

ドッドッドッドッ

 

 

「〜〜〜っ!俺は音速のソニック!!キング!貴様に挑む者だ!!!曲がりなりにもヒーローを名乗るなら貴様も姿を表せ!!!!」

 

 

ドッドッドッ

 

 

「どうした!もしや俺に臆したか!?」

 

 

ドッドッ

 

 

「ここに転がっている連中を二、三人殺せば少しはやる気を出すかぁ!?出さざるを得ないだろうなぁ!!貴様もヒーローを名乗るなら俺という悪から大衆共を守ってみせろぉ!!!」

 

 

ドッ

 

 

トン「っっっ!!!!キン―――……

 

 

言葉が、続かなかった。

 

誰かに肩に手を置かれた、そこまでは良い。

 

誰かとはキングだった、そこまでは良い。

 

……問題はキングの表情だった。

 

 

〝無〟

 

 

その顔には何の感情も貼り付いていなかった。

 

逆鱗を毟り取られた龍……ふとそんな言葉が頭をよぎる。

 

全身から嫌な汗が流れ出る。過呼吸に陥る。

 

 

「(お…俺は……一体何を敵に回したっっ!?)」

 

 

その時確信した。……俺は、触れてはならない深淵に触れてしまったのだと。

 

 

なんでだよぉ

 

「ヒュッ……」バタン…

 

 

大瀑布の如き威圧を一身に受け、俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜しばらくお待ちください〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は暗殺から用心棒まで何でも請け負う最強の忍者…音速のソニック。……だが仕事はしばらくおあずけだ。貴様という好敵手を見つけたからには決着がつくまで鍛錬あるのみ!」

 

「………………」

 

「キング!次に会った時が貴様の最期だ!究極の忍術で確実に仕留める!この音速のソニックがな!」

 

「……勘弁してよぉ……」

 

 

ガチガチに拘束された上で護送車に入れられそうになっていたソニックがあんなこと言ってる。……ただでさえ現状で手一杯だと言うのにこれ以上厄介事が増えるってのかぁ……。

 

しかし、今回ばかりは俺にも非がある。……ここ最近色々なことがあってストレスが溜まっていたとはいえ、その鬱憤を人にぶつけてしまったのは大人げなさ過ぎた。

 

その相手がよりにもよってソニックだったのが運の尽き。

 

……でもさぁ、いきなり周りの人ごと俺を攻撃するのはさぁ、それは人としてどうなのよ?ワケも分からず襲撃を受けて一方的にライバル宣言された俺の気持ちにもなってみてよホントぉ。

 

……護送車を見送る。

 

 

「……ハァ、お仕事行かないと……」

 

 

協会本部へ急ぐ。キングの一日は始まったばかりだ。

 

……たった一瞬のこととはいえ、キングの威圧に当てられたのはソニック一人だけではなかった。

 

遠巻きに見ていた一般人の殆どがキングの威圧によって脳を焼かれ、キングに隷属することに至上の悦楽を感じる変態集団〝キングの奴隷になり隊〟を結成し〝親衛隊〟と解釈違いを理由に戦争を巻き起こすのだが、あくまで余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今まで随分調子に乗ってくれたじゃあないかぁ。……今日が君の最期だぜぇ……?」

 

 

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!

 

 

「連続弱下キック……!!俺が発見したハメ技だぁ!ガードを解いた時が無限ヒット地獄の始まりだぜぇ!」

 

 

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!

 

 

「………………ふー、やれやれ、分かってないな。ハメ技というのは……こういうものを言うんだよ」

 

 

オラオラオ…………………!!?

 

 

「イ、イヤ!イヤッ!!イヤ!!!」K.O.!!

 

 

それでもなおハメ続けるサキ氏()に対し精一杯の抵抗。

 

 

「キッ!!!!」

 

 

それしか言えなかった。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 




関節のパニックの心の強さに敬意を表しましょう。

自分的キング(レイタロウ)のCVは小◯◯輔氏です。

挿絵感想もらえると嬉しいです(自作)
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