キングと呼ばれる男も選択を迫られるって話です。
余談ですがフケガオとマルゴリは強化訓練初日に再起不能になりましたとさ。探してみてね!
今回は割と短めです。
七王目 王の選択
<<< Z市 郊外 >>>
「いやぁ〜今日は本当に助かったよジェノス君」
「このくらい朝飯前です師匠」
Z市でのサイタマ捜索から数日が経った。あれから色々絶望したものだがいつまでも落ち込んではいられない。サイタマがいないならいないで、今ある戦力で人類の危機を乗り越えなければならないのだ。
……人類代表として先陣を切る役は俺になっちゃうんだろうなぁ。ならされるんだろうなぁ。いやだなぁ。
確かにさ?13の頃にさ?山をパンチ一発で消し飛ばしたことはあるよぉ?でもそれだけでサイタマに並べたと思えるほどさ、お気楽じゃあないんだよ俺の頭ン中はぁ。
そもそも怪人とマトモに戦ったことなんてそんなにないしぃ……隙を狙った不意打ちが殆どだったしぃ……〝強化訓練〟が初めてだったんだよぉ。……あんなに大勢とガチでやり合うのはさぁ……。
何が言いたいかっつーとぉ―――……
人生のほぼ全てを筋トレに捧げただけの男に過剰な期待をするんじゃねぇッッッ!!!
……イカンイカン、最近情緒不安定気味だな……。
流石に
「今日は本当にありがとうございました。
「役に立てたのなら何よりだ。……また連絡を貰えれば可能な限り駆け付ける」
「
「うふふ、ごめんなさいねレイタロウくん?アナタはもう立派な大人だからつい、ね?」
俺達の目の前で朗らかに笑うこの女性はスナージ先生。俺より一回り以上年上のはずなのに俺よりも若々しい妙齢の美女だ。……その若さが羨ましい。
そして、この児童養護施設〝こどもの家〟の児童指導員を務めている。分かりやすく言うと保母さんだね。
ジェノスまでここに来ているのは……掻い摘んで言えば俺のうっかりミスが原因だ。
こどもの家、というよりスナージ先生には返しきれないほどの恩があるため、月一回のペースで食料品などを寄附する支援を行っている。
しかし、昨日そのことをパッと思い出した俺はそれはもう慌てに慌てた。もう間に合わねぇ!
……そこに現れた救世主がジェノスだ。
俺の部屋の掃除をしていたジェノスが何かあったんですか、と言ってきたため経緯を打ち明けたら、俺に任せてくださいと言ってどこかに電話。……一時間も経たずに大量の物資が自宅に届けられてきた。その手際は俺以上だね。
師匠のお役に立てて嬉しいです、なんて他人事みたいに言うもんだから君が用意してくれたモノは君が渡してあげたほうが子供達もきっと喜ぶよ、と言ってムリヤリ連れてきたのだ。
……だが、またしてもうっかりしてしまった。
ジェノスは当然として、俺も子供達に顔を見せに行くのは初めてだったりする。S級ヒーロー二人と対面した子供達の喜びようは凄まじかったよ……。
ジェノスが上手いことフォローしてくれなかったら俺のキングエンジンで皆をビビらせていただろうねぇ……。
……子供かぁ、俺も子供欲しいなぁ。
サキ氏とは18の頃から
ジェノスも満更ではなさそうだったし、意外と子供が好きなのかな?
「……本当に立派になったわね。今やヒーローキングとしてたくさんの人達を救っているアナタは私の、こどもの家の誇りよ」
「スナージ先生……(泣)」
思わず泣きそうになる。泣くな俺!
……俺は、たぶん5歳の頃に相当酷い状態でこどもの家に保護されたとのこと。(その時に前世の記憶を思い出した)自分の名前すらなかった辺り、大体事情は察した。
レイタロウという名前はスナージ先生が付けてくれたものだ。……先生には本当に頭が上がらない。
「……っ、すいません先生!俺そろそろ行きますね!」
「そ、そうね。ごめんなさい引き止めちゃって……」
「じゃ、お元気でぇ!」
「……元気でね、レイタロウくん……」
「……行ったようだな」
「……はい、博士」
「今はたこやき屋のおじさんだ。……
「……あの子は立派な大人になったというのに、私はいつまで経っても変われません。……子供のままです」
「……そうだな。お前も私も、いまだ変われていない」
「しかしまさか、Z市の近くにあったとは驚きです」
「こどもの家の事ぉ?……まぁあそこら辺って、Z市ほどじゃないけど治安悪いよねぇ」
「こどもの家の道中6回も怪人と遭遇しました。……いくらなんでも物騒過ぎます」
「うぅん……。言われてみたら確かに心配だなぁ……。今度会った時にそれとなく言ってみるかぁ」
「そのほうが良いと思いまPPPPPPP……電話です。失礼します」
「おぅPPPPPPP……って、俺も電話か。どれど……」
ちょっと待て。
このタイミングって。
もしかして。
「師匠。何故だかいきなりヒーロー協会に呼び出され……師匠?」
「ジェノス君、とうとう来ちゃいましたよ……」
「……まさか!?」
「うん………………………ヤバいことが」
<<< Z市 ヒーロー協会支部 >>>
「ほぅ、キミは新人のジェノス君と……こりゃ驚いた!キングが駆け付けてくれるとは……」
「(バング……。S級3位のヒーロー、本物の実力者だ)」
「シルバーファング……協会に…呼ばれて…来たが…誰も……いない…とは…どういう…ことだ……?」
待ってよぉ……このシチュエーション知ってる……。
「協会の連中はみ〜んな避難しちまって、この支部はカラッポじゃよ。召集かけられたS級ヒーローもここにおる三人以外誰も来とらん」
そこでジェノスが疑問を呈する。
「避難だと?どういうことだ?何故俺達は呼ばれたんだ?来ない奴らは何なんだ?」
ヤメてぇ……聞きたくない……。
「……来てない奴らは場所が遠かったりほかのことで忙しいんじゃろ。面倒臭がって来ない薄情者もおるがのぉ」
ア…アハハ………わァ…ぁ……(泣)
「何せ呼び出される時は大体無理難題の厄介事の処理じゃからな……。今回もワシらじゃ手に負えん。そう思っておったがキング、オヌシなら何とかできるかもしれんのぉ」
ヤメてよぉ!!俺のライフはもうゼロよぉ!!?
「敵は、ここZ市に落ちる予定の巨大隕石。……災害レベル【竜】の最悪の事態じゃ」
巨大隕石 災害レベル【竜】
うわああぁあぁあぁん!!ふざけんなバカ野郎ー!!ホントに落ちてくんじゃねぇよ隕石がよぉぉぉ!!
「(ほっほっ、強大な敵を前にしてキングエンジンがけたたましく鳴り響いておるわい。……解放の時に備えておるわけじゃな)」
「(……流石の師匠でも今回ばかりは荷が勝るか。……となると俺がどうにかしなければ……)」
PPPPPPP
「……な…んだ……?」
な、なんだよぉ……?また協会から電話ぁ……?一体全体なんだってんだよぉ……!
「もし……もし。……あぁ…俺……だ。今…Z市…に…いる。……いったい…なに―――……」
………嘘だと言ってくれぇ………!
「どうしたんじゃキング?協会からの電話らしいが……」
「……師匠……?」
「救援……要請…だ。……J市に…災害…レベル……【鬼】…以上の…怪人が……出た。……A級…ヒーロー……複数名が…交戦…して…いるが……苦戦を…強いられて…いる。……怪人は…海人族…と…名乗って……いる…と」
〝神〟がいるならこの手で殴ってやろう。
……究極の二択じゃんコレぇ……。
次回以降、前編後編みたいに分けていくと思います。
ちなみに強化訓練はいま現在も問題なく続いています。