カスな自分を、突然殺して、異世界に転送させたる! 作:バク・ハンマー少佐
「お〜ここかぁ〜ええやん」
住む家が無い俺はなんとか言いくるめて雇った蛮人の住んでいるアパート……アパート、中世の2階建て木製アパートに住ませて貰うことにした。
限界まで交渉したが俺の寝床が床から変わることはなかったクソがッ
雇い主の威厳が……
「なんぼなん?」
「20000だ」
「20000!? ぼっ…………たか?」
物価がわからん!!
「シャワーとトイレが無い」
「えぇ!? どうすんそれ」
「全て下の階にある共用トイレだ、シャワーはついて無い」
「はー」
ちなみに部屋は一つ、ちょい広め、中にはベッドと小さい机と椅子……多分これは備え付けだな、どう見てもこの蛮人のセンスに合ってなさそうだし。
で、たぶん後から購入した家具はこのデカい石の器だなぁ……多分これ炭付いてるし薪とか入れて焼くンやろ。
よくよく見たら水道ねーな……あっそう言えばアパートの横に井戸があったな……井戸から取るのか不便やな。
「で、どーすんこれから」
「お前が雇ったんだ、決めてくれ」
「じゃあクエストボードで駆除系の依頼を見つけてマニーをゲッティングしようや」
「了解」
「じゃあ支度するか、でもさ俺……実は……その武器が無くて……」
「俺が手持ちの斧を貸そう」
「いいの?」
「いいぞ?」
「ありがとォ!! マジ感謝! ほんまにありがとう!」
そんで外出たけど……ここで俺はクエストボードの場所なんて知らないことに気がついたぞ!
蛮人ヤローのいう事から見てクエストボード自体はあるはずだが……
とりあえず街をうろうろするか……案内の地図が貼ってある看板があるやろ、多分。
「色々売ってんな〜」
まずついた市場にゃ見たことねー野菜や果物と見覚えがある普通の食いもんが混じって売ってたんや、色が綺麗で美味そうだな〜。
この世界特有の野菜をギュッと詰め込んだ野菜スープとか……食ってみたいな!
そこから先は鍛冶屋、道具屋が並ぶハリー・ポッターで言うホグズミードみたいな所(ホグズミードで合ってるよな……?)、その先の小屋に案内所と書かれてた。
「すいませぇん」
「サー、謝るなら私を利用しないでくれると助かります! ええ!」
「ほっ!?」
店員はニコニコした愛想の良い姿勢を崩さずに身の上を愚痴り出した。
「あなたを案内しても私の待遇や給料が変わることはありません! サー何をお探しで? 名物料理のおいしいお店? 街一番の鍛冶屋? それとも……何かいかがわしいお店ですか? サー」
「あー……く、クエストボードを」
「はいサー! 市場の方にまっすぐ進んで右折すると小さめの噴水があります、その近くに帝国ギルドがあるのでその中にありますよ! サー」
「あっ、それとこの街の歴史についても教えてください」
ついでにこの世界の事についても知っておいて損は無いし、歴史の授業は大好きだぜ、俺は。
「追加で? わかりました! サー、我らが街バルバケットの歴史は、旧ポーリトア帝国によりあちらにそびえるアルー城建設から始まりました」
「ほ……ほう……?」
そこから恐ろしく長かったので中略、歴史が古すぎるっ……!
これが圧倒的バックボーン……!
やべぇよやべぇよ
というか固有名詞が多すぎるわーーッ!!
知らない国の解説を聞いてる感覚じゃあーーーっ!!
……そのとおりじゃあーーーっ!!
「そして34年前、名誉あるマストリア将軍、アンバール様がアーサルの使徒共から奪取しました、それ以来この街はマストリア帝国のものと成ったのですよ サー」
「は〜〜……」
7割わからんかった……
でも途中で同盟を結んだ国が二重の裏切りをしたり、敵だった遊牧民族が味方になったのは熱かった。
「いやぁよくわかりました、ありがとうございます
……よしじゃあ蛮人ギルドイクゾー! っていうか俺たちが来た所の方じゃねぇか! あそこ左に曲がればよかったのね」
しっかり道を進むと鮮やかな色合いの面積も立派な建物がちゃんとあった、そんで剣や弓とか杖――たぶん魔法を使うやつなどを背負ったりした人達が出入りしていたんや。
これがギルドだと、ファンタジーをかじった人間なら誰にだってわかる見た目と雰囲気なんだ。
「おぉ中も広々〜だな」
中は旅館で温泉から出てきて卓球とかがある場所を広くした感じの作りだった。
そんで多分待合所の役割もしてるんだろうが、めちゃくちゃ人が多い!そしてうるさい!
すげぇ喧騒だ、夜の焼肉の店の中をさらにパワーアップさせた感じよな。
「お、ギルド案内の紙が、あっおいてんじゃ〜ん」
バサッ
「おおっ……うん……ここの右か?……おおっデケェ」
真っすぐ行って曲がると壁一面が巨大なボードになってたんや、そこに大量の紙がピン付けされてんだな。
「この紙番号が振ってあるぞ」
なるほど〜、この番号を受付にでも伝えて受注するんだなさては、わかるわかる……
「おっ」
見つけたぞ、野犬の討伐だ!野犬……犬……ダークソウル……うっ頭が
いやいやいやいやいや!ゲームじゃねぇんだ、あんな怯み無視バックステップなんかしてこねぇし、
斧を一振りクリーンヒットでもすりゃあ虫の息だろ。
そうであってください!神様!
なんか他の駆除討伐の依頼はキラーマンティス(殺人蟷螂)だのヘルハウンド(地獄猟犬)とかヤバそうな名前しか無いんです!
というかキラーとかヘルとかは英語じゃないか?(この書き込みは本人じゃないか?)
これは元の言葉を英語(カタカナ)に変えてるってことか?
わからん……分けがわからんくなる……
寝る時考えよう……
「そう言えばこれ討伐したのってどうやって確認するんや? 知ってる? 報酬が遅くなるとめんどくさいやんか」
「知らん」
「うーん」
バサッ
この案内の紙に書いてるか……?
【帝国銘菓 ギルドロール】
おおっ! うまそうな菓子がのってる!
やっぱ俺デブだから飯に目がないんだよ〜、
腹はあるのにな! ってやかましいわ!
……一応別のことはわかったけど確認をどうするのかがな……
素直に周りの人に聞いてみるのが吉か?
「あの、すいません」
「何だ?」
「この依頼が出来てるかの確認ってどうやってやってるんですかね」
「あー知らなかったのか? 討伐依頼のことだよな? 確認チームが出るんだ」
「報酬が出るまでいくらかかるんですか?」
「まぁ最速で1日ってとこだなァ」
「1日かぁ……」
「まぁすぐに受け取りたいのなら倒した奴を連れて帰ればすぐに出る、それか犯罪者でもその日中に出てくるぜ」
「犯罪者の方についてもう少し詳しくお願いしていいですか?」
「あぁ、犯罪者と言っても人を一発殴った、嘘をついた程度の犯罪者じゃカネはもらえんぜ、違法奴隷商や殺人を犯した人間をとっ捕まえて持ってくれば良い
山を縄張りにしている山賊なんかが手頃かもな」
「なるほど……ありがとうございます!」
「オゥ、何かまた困ったことがあれば……この俺“トリコン”に聞いてくれ」
「はい、お願いします……じゃ……その自分はこれで」
「オゥ頑張れよ! 新入り!」
「どうも! よし、じゃあ受けるとすっかな……」
「誰か待つんじゃなきゃ終わったあと報告だけすればいいぞ!!」
「あっ! すいません! ありがとうございます!!」
そしたら……依頼書に書いてた場所に向かうとしたいが……わからんな……地名だけ書かれても……
「蛮人くん、地図とか持ってない?」
「ある」
「ここの場所さ、わからへん?」
「わかる」
「お前有能だねー! いや、自分が恥ずかしいくらい有能だよ!
よしじゃあ街を出るとすっかなぁ! マウントアンドブレードの知識から見ると外壁に囲まれた街を出ればすぐ自然というか草原が俺を待ってるはずだ」
「そうだな」
で! 結局待ちの出方が分からないのが俺! なのでまたあの個性的(オブラートにオブラートを包んだ表現)なガイドさんに聞くことにする。
「街ってどうやって出れば良いんですか?」
「はい! この大通りの先真っすぐですよサー!」
「あざます! イクゾー!(デッデ デデデデッ カーン{カーンが入っている+114514点})」
そんで真っすぐ行ったのよ、途中住宅地とかあってさらに行くと門が見えてきた。
そこを出たら平原がバーっと広がっとった、そんでそこから暫く歩くと森があるっていう寸法というわけだ。
「ほな行こかぁ、地図見せて」
う〜む、なるほどなるほど?
なるほどわからん。
「コンパスとかないの?」
「ある」
「有能を超えた有能じゃないかお前ぇ〜〜 えーと、うーん……じゃあこっちに真っ直ぐかな?」
「おそらく」
バキッ
シヤッシヤッシヤッ
「おいお前何やってんだ」
「銛を研いでいる」
「木の棒からか? その石のナイフで?」
そのまま蛮人は木の棒を綺麗な銛にしてしまった。
すごいな部族の技術は……多分木の棒で火起こしもできるだろコイツ。
「あっそうだ、俺生き物の死ぬ所見れないんだけど……」
「そうなのか?」
「うん……蚊を殺すのも心が痛むくらい……なんか可哀想やしさ……
まぁ相手が凶悪な猛獣なら頑張って戦うぜ!……それでも殺すのは無理だからお前がトドメ刺してくれよ、なっ」
「了解」
そしたらなんか遠目に馬車のグループが見えてきたんやが、
こっそりと近づいてみたらなんかあからさまに様子が変だった、まず貨物を積む所に檻がある、古代ローマのコロッセオでライオンを閉じ込めたような檻なんだ。
で、中身には人や人が入ってて、俺はもうこれはあからさまに犯罪の匂いがしたが一応蛮人に聞くことにした。
「あ、あれは……なんや? なんで人を連れてるんだ?」
「奴隷商だ」
奴隷商だと!?
こ、この国は奴隷制を容認してるタイプなんか、そしたらアレもセーフか?
「じゃ、あれって別に良いのか? 奴隷っていうビジネスだろとどのつまり
犯罪者ではない?」
「犯罪者だ」
「えっなんで?」
「女と子供の奴隷がいる、帝国では成人した男以外奴隷を認めていない」
「ま、マジかよ……じ、じゃああいつらを捕まえてギルドに突き出せば……カネが貰える?」
「貰える」
「よしっ! あいつらを制圧してこい!」
「了解」
そして右手に斧、左手に木彫りの銛を手にした蛮人は奴隷商に突っ込んだ。
「ごっ」
斧の一振りで奴隷の見張りの首がスポーンと飛んだんよ、俺はそんなグロい場面見たことねぇからビビった!超ビビった! うわあって目を思わずつぶるぐらいグロかった!
というか制圧しろとは言ったが殺せとは言ってないよぉ〜〜っ。
しかしさらにそこから木彫りの銛でもう一人の見張りの心臓を突き刺して殺してもうた、ここでやっと奴隷商も敵襲に気がついたらしい……
そろそろ俺も戦わないとまずいなこれ、さすがに威厳というか頑張ってる姿を一応見せとかないと……
大事なのは役に立たなくても頑張ろうとする姿勢だっ
とにかくやろうとするのと最初からやる気がないのでは印象が全然違うからなっ急げっこの借りた斧で奴らに突撃じゃい!
早くしないと蛮人が全滅させちまう!
「…………」
もちろんコソコソ敵の後ろから近づくさ、大声を出して正々堂々戦った所で俺が勝てるわけがないからさ。
首を狙うのは怖い……脚だな、脚を斧で狙って無力化してやるぜ、もちろん俺に人を殺す度胸は無いわけだからよーーーっ!
いきなり人なんか殺せるかあっ、人殺しって現代だと一生そのカルマを背負うことになるんやぞ!
逃れられぬカルマ。
というか用心棒と看守は大体蛮人が殺してて俺の目の前にいるコイツが最後の看守だ!
手柄を立てないと批判されるかもしれないんや、オラーッてめぇの脚ぶち割ったるわっ!
アキレス腱を切って再起不能にさせたる!
「クソッ 何が起きてやがる」
ドグッ
「!? ぐおあっ」
ア
ブシャア
ア ア
アア
「ぐわぁぁぁっ」
「ひぅわぁぁぁぉっ」
血が血が血が噴き出たあっ、あっ無理!無理だ!血はキツイんだこんなに見るのはキツイんだ、やっぱり無理や!俺に人を傷つけるのは無理なんやあっ!
というか手の感覚がもう気持ち悪い! 人に刃物をめり込ませた経験なんか無いぞ俺はァ!!
ひーっ!
「てめぇ〜〜ッ!」
やば、て、手をブンブンしてる場合じゃな……わっちょちょちょっ!!
「わーーっ!! 来るな! は、早く殺してくれ! 早く来てーー!! 蛮人ーーっ!!」
「そっちか」
「あおっ」
後ろから来た蛮人の銛を頭に食らって脚を切った奴は動かなくなった……
目の前で人が死ぬのは……え? ガチで死んでるのかよーー!?
「うわぃぃぃぃぃっ やっうわっおわっ!!」
吐き気こそしやんが死んだ人間を見るのはおばあちゃん以来だっ。
それも脳天を貫かれて死んだ人間を見るのは初めてなんだあっ!
生々しい死に様を見せられるのはどうしても無理だ無理無理!!
「頭は捕まえた」
よく見たら蛮人は右手に奴隷商の首後ろ側の服を掴んで引きずってて……ひぃ〜お、落ち着けもちつけ……
もちつけ生麦生米生ナマコ、ぷにっ。
よしっ落ち着いてきたか……ふざける余裕があるってことは?
ひ〜〜死体がこええ〜……
「お、おう……」
「奴隷は解放するか?」
「あ、ああ頼むぜぃ」
奴隷は結構いるもんだったな、皆貧相な格好で……
どうも奴隷たちを見てたらどうにも可哀想に見えてきた、皆元は普通の人なのに多分さらわれて檻に入れられてたんだからな、そりゃあ同情するってんよ。
「み……見逃してくれ……」
「う〜〜〜ん」
奴隷商は図々しく命乞いをし始めたぞ、なんだか哀れにも思えてきたな〜。
コイツにも色んな過去があって今があるからな……
でもそしたら奴隷の一人が話し始めたんや。
「コイツは口減らしに泣く赤子を殺しやがった…… クズ野郎だ……」
「貴様は遊びに俺の手を焼きやがっただろ……! 大人しく死にやがれ!」
「…………!」
怒涛の悪事開示ラッシュだ、もうほっといても集団リンチで奴隷商は死にそうだけどそれじゃ困るんだよなー。
生きて(切実)
「コイツって殺してもカネはゲットできるんか?」
「無理だ」
「みなさん! コイツが憎いのは分かりますがまってください!」
いやぁ辛いね……でもここで殺さないと奴隷たちの心象が悪いぞクォレハ……
「殺さないでくれえっ、家には妻と子がいるんですぅっ」
「それは本当なんか?」
「か、神に誓って……」
「嘘だ! お前は妻子なんていないと言っただろう!」
「しまっ……!」
あ〜もう奴隷たち抑えきれなくなっちゃう!
何口滑らしてんだコイツ!!
下手なこと喋るんじゃないよぉぉやめろと言っただろう!!
「はあ〜〜つっかえ! つっかえ! つっかえ! あ゙〜〜っ あっ!そうだおい蛮人、積荷に油はあるか?」
「有る」
「持ってきてくれ、火打石とかは?」
「…………見つけた」
「な、何を……」
「安心しろ、命だけは助けてやる」
「ほ、本当か!」
「よしじゃあコイツの両足を切り落とせ!!」
もちろん目を閉じて耳も塞ぐ。
スプラッターな景色なんて見たくもないからね!
「ぎゃあああっ……あうっあうぅぐぅぅっ」
耳って塞いでも割と聞こえるよね。
毎日聴いてたら頭おかしくなりそう。
「そしたら止血に両脚を焼け! 焼けたら水をかけろ!」
「うぎぃあああああああああああっ!!! はあっ! あひーっはうっはうっあううぅぅ……どうしてこんな目に……はぅぎぅ……」
奴隷商は涙を流して苦痛の声を漏らしまくっている、ま、なるわな。
奴隷たちも胸がすいたみたいでおとなしくなった……よし!これで殺さずに持ち帰れるな!
野犬の討伐はとりまリタイアということになるが……
後は奴隷たちと奴隷商を連れて街に戻るだけか。
「で、どうやって帰るの? 俺馬車使えないンゴ」
「俺もだ、徒歩だな」
ボロボロでマトモに食料も与えられてないっぽい奴隷たちには申し訳がなかった……そういうわけで元奴隷達を連れて街へ帰ることになった、その途中で俺と蛮人はちょっとした会話をしたんだ。
「ずっと蛮人蛮人言うのもアレだしよぉ、名前を教えてくれよ」
「クィーンクェ、牙を持った王という意味だ」
「それって下か?上か?」
「クィーンクェが名前の全てだ、部族の者に名は一つのみ」
「へ〜そうなんだ、俺は……う〜〜〜ん」
流石に本名の○○○を名乗るのはな〜〜、せっかくだし何かカッコいい名前を名乗りたいけどちょっと恥ずかしいよな〜
「名前は?」
こうなったら安直な名前にしたる!
「……エースだ」