落ちこぼれ営業マン異世界戦記   作:羽黒楓

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第一部 第二章 サソリの毒針
18 西の塔で誓う


 ついさっきまで、美しくきらめく星たちに感動していたというのに。

 いまや夜空は、飛び回る異形の怪物どもで埋め尽くされていた。

 飛竜が吐く炎は強力で、宮殿や城壁は溶岩のように燃え上がりながら溶けていく。

 

「なんで……法術障壁は……?」

 

 ミーシアはいまだ目の前の光景が信じられない、といった顔で呟く。

 本来はこういった攻撃に備えたシステムが稼働しているはずだったのだろう。

 

「その、法術障壁とやらが破られたってことか……?」

 

 俺が誰に聞くともなく言うと、ヴェルがマゼグロンタワーを指さしていう。

 

「見て。中腹(ちゅうふく)にドーム状の場所があるでしょ」

 

 確かに、円錐状のタワーの真ん中、東京タワーの展望台にあたるところに少し膨らんだ場所がある。

 

「本当はあのドームの中で法術障壁を展開しているはずなの。二十四時間体制で専門の宮廷法術士が障壁で帝都を守っていたのよ。でも、今は明かりもついてない。……やられたわ!」

 

 ヴェルは床に(つか)まで刺さった剣を抜き取った。

 鎧と同じく紅に染められた(さや)にそれを納める。

 

「全部……ヘンナマリの手回しに決まってる……。今頃、あの障壁展開ドームは制圧されてるんでしょうね。外からの攻撃には鉄壁を誇る帝国最高の障壁も、内部の裏切りには勝てなかったというわけよ。くそっ! どうする……どうする?」

「私は宮殿に戻ります」

 

 ミーシアが決然とそう言った。

 

「いや戻るもなにも、今戻ったら死ぬって!」

 

 敬語も忘れて俺は叫ぶ。

 

「あの辺みんな炎に巻かれてんじゃねえか! そりゃ自殺行為だよ!」

「それでも……いえ、それだからこそ、私はあそこへ戻らなければなりません」

 

 自らの宮殿が燃え上がるのを見つめながら、ミーシアは強い口調でそう言った。

 

「え、駄目だよ? 死んじゃうよ、逃げようよ!」

 

 ミーシアがまさか皇帝陛下だとは夢にも思っていないのだろう、妹奴隷シュシュがミーシアの奴隷ローブの袖を引っ張った。

 

「つまり、今は攻撃を受けているのですね? 私といたしましても、ここは逃げる一手だと思います」

 

 キッサも周辺の状況の探知を続けながら厳しい表情で言う。

 

「もはや守備兵は壊滅、敵は飛竜三匹にその他魔獣のゾルンバード二百、魔物のステンベルギが百、外からは……増えてます、南西には二万、南から一万、さらにその南に後詰めで五千。どうしようもないですね」

 

 俺にはまだ状況がすべては飲み込めていないが、つまりは帝国内部の裏切り者――ヘンナマリが、西を本拠とするという魔王軍を領土内に引き込んで反乱を起こしたということなんだろう。

 

「駄目よ、ここで私たちが帝都から逃げ出すなんてあり得ないわ」

 

 ヴェルは怒りで歯噛みしながらキッサを睨む。

 

「しかし、騎士様?」

 

 キッサがヴェルに呼びかけた。

 ちょっと小馬鹿にしたニュアンスを含んだ言い方。

 こんな時まで敵愾心(てきがいしん)は忘れないらしい。

 あー女ってめんどくせえ!

 

「騎士様、この状況を打開するのはほとんど不可能でしょう? ……特に、そこの……奴隷の方のお命を考えれば」

 

 キッサは、ローブで顔を隠しているミーシアにちらりと視線をやった。

 

「ちっ、あんた今透視の法術も使ってるのね」

 

 ヴェルがいまいましそうに言う。

 そうか、今キッサは能力の発動中だった、おそらくミーシアの正体に気づいているのだろう。

 あの玉座の間で対面してるしな。

 それはともかく、俺もキッサにいうことに賛成だ。

 どう考えても今あの帝城に戻るのは正気の沙汰とは思えない。

 通過する快速電車にダッシュで体当たりかますみたいなもんだ。

 

「俺もここから脱出するのがいいと思う」

「エージ、あのね、あたしたちには責任と義務があるの。今まだ戦っている衛兵がいるわ。見捨てて逃げるだなんてありえない」

「じゃあヴェル、おまえこの敵を撃退できるのかよ」

 

 なんか知らない間に呼び捨てしちまった、けどヴェルもさすがに精神状態が普通じゃないのか、そこには頓着せずに反論してくる。

 

「できるわ、もちろんよ。有象無象が集まったところであたしの法術にかかれば……」

「確かに大暴れはできるでしょうね」

 

 キッサが皮肉な笑みを浮かべて口を挟んできた。

 

「直接戦闘したことがありますから、騎士様のお力は存じ上げております。大いに暴れて百人や二百人は殺せるかもしれませんね。もしかしたら飛竜も一人で一匹くらいはしとめるかも。でも、そこまでです。騎士様一人ではこの戦局をひっくり返すところまではいかないでしょう」

「それでも!」

 

 ヴェルは叫ぶ。

 

「それでもいいわ、今帝都が裏切り者の手におちようとしてるのよ、この戦いに参加せずしてなにが騎士だっていうの!? 戦死は武人の誉れ、せめてヘンナマリとリューシアの首をとってから……」

「そこまではやれないでしょう、その前にあなたとーー」

 

 そしてキッサは奴隷姿の女帝を指さす。

 

「そこの奴隷様が首と耳を切られ、ヘンナマリ? とやらの寝室にあなた方の耳が額縁に入れられて飾られるまでです。ま、そんなのは私には関係ありません。エージ様と妹をつれて逃げますよ。私の能力があれば敵の薄いところを探せるでしょう。ね、エージ様」

 

 いきなり、キッサが俺に抱きついてきた。

 っていうか、胸が、推定Iカップの巨乳がむにゅうとおれの腕に当たる。

 あふぅん。

 えー。

 女の子のおっぱいってこんなにも……。

 柔らかくてあったかいのか……。

 初めての感触……。

 キッサのサラサラの白い髪の毛が俺の頬をくすぐる。

 女の子の匂いだー。

 あーくそ、こんなときに俺はなにを考えてるんだ、そしてキッサはなにを考えてるんだ。

 

「この攻撃で宮廷法術士は死んだでしょう。私たちの首輪の術式を解くのは不可能になりました。拘束術式をかけたものそれぞれのパスワードが必要ですからね。ね、だからエージ様、これから一生一緒です。私はエージ様が生き延びるためなら何でもします。あなたが死ぬと私はともかく妹も死にますからね」

 

 そして、キッサが俺の耳元で、こっそりと囁いてきた。

 

「こいつらを見捨てて、私たちだけでもヘンナマリとやらに投降しましょう。エージ様は男性、貴重な存在ですから殺されません」

 

 そう、キッサの立場ならばそう考えるのが当然だ。

 キッサにしてみればヴェルもミーシアも元は敵。

 二人に付き従って自分たちまで死ぬ理由はひとつもない。

 敵の敵は味方、という言葉もある。 

 妹の命を第一に思うならば、キッサは俺にそうさせるのがもっともよい方法で、たぶん俺がキッサの立場でも同じことを考えただろう。

 だけど。

 でも。

 俺はミーシアの顔を見る。

 表情をこわばらせた十二歳の少女。

 俺はキッサを殺したくなくて、ミーシアを説得した。

 そして今度は自分が助かるためにミーシアを見捨てる……?

 前の人生では、意味のない死を経験した。

 コンビニで缶コーヒーを買った。

 ただそれだけ。

 そのわずか数十秒後、コンビニの駐車場につっこんできた暴走自動車によって俺は轢き殺された。

 思えば前の人生はいやなことから逃げて逃げて。

 他人に馬鹿にされ続けて。

 最後には特に理由もなく、死んだ。

 誇りの持てない人生、誇りの持てない死。

 今度は、どうする?

 俺は、俺は……。

 もう一方の俺の腕に、シュシュが抱きついてくる。

 

「おにいちゃん、こわいよお……」

 

 半べそを書いて俺を見上げる紅い瞳。

 九歳の女の子が、俺にすがっている。

 燃え上がり、攻撃を受け続ける帝城。

 俺たちがいる西の塔は、忘れ去られたかのように静かだ。

 地獄のような光景を、充血した碧眼(へきがん)で眺めるヴェル。

 魔王軍の攻撃は激しさを増し、わずかにあった帝城からの反撃もほとんどなくなっている。

 素人の俺にもわかる。

 もう、クーデターは成功したのだ。

 

「おにいちゃん、逃げよ? ほら、みんな一緒に逃げようよお、はやく、はやくぅ……」

 

 シュシュはもうほとんど泣き出している。そりゃそうだ、まだ九歳の女の子、パニックになるのが当然だ。

 その言葉に、ミーシアが大声で反論する。

 

「私は逃げません! 帝都を見捨てて逃げ延びるなど、許されるはずがありません! いいでしょう、ここで死ぬ運命ならそれを受け入れます。帝都とともにあり、帝都とともに死ぬ。それが皇帝たるものの義務であり責務であります。いえ……むしろ、私の首と耳、そして帝国の象徴マゼグロンクリスタルを敵に渡さぬためにも……」

 

 まっすぐ俺たちを見つめるミーシアの黒い瞳は真剣だった。いや、それどころか鬼気迫るものがあった。

 

「ここで自害し、私の遺骸は我が最愛の臣下、ヴェル・ア・レイラ・イアリーに焼き尽くさせましょう。クリスタルは破壊不可能ですからどこか遠くへ捨ててもらいます。ヴェル、やってくれますね?」

 

 真っ赤な鎧に身を包んだ女騎士ヴェルの目の端から、ぼろぼろと涙の粒が流れ出てきた。

 ヴェルは袖でそれを拭う。

 そしてミーシアの足元に膝をつき、親友で主君である女帝の足にすがりついて顔を伏せた。

 声をあげて泣くのを我慢してるのだろう、ヴェルの喉からは、ひぃーっ、ひぃーっ、と悲痛な音が漏れでている。

 

「へ……」

 

 ヴェルの声はかすれている。

 

「陛下の、ご命令とあらば……」

 

 こんな非常事態で、俺は感動していた。

 わずか十二歳の少女。

 日本でいえば小学六年生か中学一年生だ。

 その彼女が、自らの運命と死を受け入れ、皇帝としての最期を遂げようとしている。

 その臣下のヴェルだってまだ十代だろう。

 日本なら女子高校生だ。

 その彼女は今、年下の親友が自害するのを承諾し、おそらく介錯し、その遺骸を焼き、そしてその後逃げ延びて国家の秘宝を廃棄することまで受諾した。

 一番の貧乏くじだ。

 そのあと自分だけ生き残るなんて……できるわけもないだろうに。

 ああ、こいつらは……立派だ、偉いよ。

 偉いと思う。

 だけど。

 だけどさ。

 あんまり賢くはないな。

 俺は十代の女の子ではない。

 男だ。

 男ってのはな、ときに女性よりも冷静に状況を判断できることがある。

 特に、女の子の命がかかっているときには。

 滅びの美学もいいけれど、俺にはまだそこまでとは思えなかった。

 最低最悪の状況まで追い込まれてはいない。

 皇帝陛下はここに生存しており、国家の象徴だというクリスタルもここにあり、ここから逃げ延びるための能力をもった人間までいる。

 逃げ延びたとしても絶望だというならまだわかるが、そうではないはずだ。

 

「なあ、ヴェル、おまえの領地には軍がまだあるんだよな?」

「……イアリー家の騎士団一万は健在……」

「ほかにヘンナマリに与しない勢力はあるか?」

「……第三軍の将軍のラータ……。でも今は遠く西の戦線に派遣されてる……間に合うどころの話じゃない……」

「それだけか?」

「……第一軍は東の戦線だけど、こいつはどっちにつくかわからない……。ほかには……西と北に陛下と先帝陛下の恩顧の騎士がいる。南と東はヘンナマリの親戚だらけ」

「なら」

 

 俺は言った。

 

「逃げるべきだ」

 

 俺に抱きつくキッサの爪が、腕に強くくいこんできた。

 懇願するような表情で俺をみるキッサ。

 その目は、『こんな奴ら捨てて投降しましょう』と言っていた。

 だけど、キッサ、シュシュ、すまない。

 お前たちにとってはむしろ危険な選択だ。

 ごめん。

 でも、俺はみんなが助かる道を行きたいんだ。

 それに、ここで投降したとしても、俺はともかく、キッサやシュシュを反乱軍がどうするかまではわからない。

 どちらにしても危険なのだ。

 第一、ここで俺が反乱軍に投降したら、少なくともミーシアの死は避けられない。

 十二歳の女の子が自害するのを見過ごして、俺達だけ助かるだなんて。

 死ぬときには、自分に誇りをもって死にたい。

 キッサとシュシュの紅い目が俺をじっと見つめている。

 顔をあげたヴェルの碧い目も俺を見る。

 そしてミーシアの黒真珠のように輝く目。

 今度こそ。

 この人生こそ、悔いなく。

 

「……陛下、逃げましょう。ここを脱出するのです」

「できません……できないのです……」

 

 ミーシアが涙声で言う。

 イエスアンド話法、という言葉が心に浮かんで、俺は心の中でちょっと笑ってしまった。

 こんなときまで営業の応酬話法(おうしゅうわほう)が頭に浮かぶなんて。

 イエスアンド話法とは、相手の言葉にイエスと答え、『だからこそこうすべきです』と顧客を誘導する話法だ。

 俺は答える。

 

「もちろん、皇帝陛下たるもの、臣民を見捨てて逃げるなどあってはなりません」

 

 イエス。

 そして、アンド。

 

「そう、まだ陛下に従う家臣はいるのです。イアリー家の騎士団、ラータ将軍の第三軍、そして陛下に付き従う騎士たち、さらにはその領地の領民たち。ですから、その者たちを見捨てて死に逃げるなど、あってはならないことです」

「死は逃げですか?」

「逃げです。陛下はこの世の人でなくなっても、残された臣下は苦難の中残されるのです。聞けば陛下はまだすべての勢力を失ったわけではありません。陛下が生きていれば帝国は存続し、陛下のもとに団結し、反乱者たちをいつか帝都から追放できるでしょう」

「……それにはどのくらいかかりますか」

 

 正直、首都を追われた王が失地回復できた例はあまりないような気がする。

 ムスリムに征服されたイベリア半島を、再びキリスト教国が奪い返すまでにかかった期間はどのくらいだっただろうか。

 スペインイベリア半島、西ゴート王国は八世紀始めに滅ぼされ、国土回復運動(レコンキスタ)は、コロンブスの新大陸発見と同じ年、一四九二年に完了した。

 

「地球の歴史では、八〇〇年近くかかった例もあります」

「……八〇〇年……」

「しかし、それこそが義務であり、責務だと考えます。幾多の困難があり、陛下一代ではなしえなくとも、その子孫が成し遂げるでしょう。それが皇帝の臣下に対する責任であると私は思います。死よりもつらく、死よりも苦しい道をいくべきです。日本においては内戦に負けた武人の息子が、都から追放され辺境に流刑にされましたが、長じてから弟たちと共に兵をあげ、ついには日本全体の支配権を手中におさめた例もあります」

 

 一緒に闘った弟の義経は結局兄に殺されたけどね。もちろんそんなのは今いう必要はない。

 

「反逆者の勝利条件はいまだ満たされておりません。今現在、陛下は反乱軍をおさえることはできなくとも、反乱軍に勝利を許してはいません。陛下はまだ負けていません」

「……負けていませんか」

「はい。反逆者の勝利条件は、……首都の掌握、軍権の掌握、陛下のお命。そして帝位の簒奪(さんだつ)でしょう。まだ、半分も成し遂げておりません。ターセル帝国の帝位はいまだ陛下にあり、陛下が生きてご自分の勢力を維持する限り、陛下に忠誠を誓う将軍や騎士たちはいるでしょう。反逆者の勝利条件が満たされることはありません。陛下は自ら敵に勝利をお与えになるつもりですか」

「…………」

「陛下が生きているかぎり、我々は負けていないのです。突然の反逆、しかし我々はたまたまこの西の古びた塔にいて、難を逃れました」

 

 露出プレイのためにね!

 まあしかし、とんでもないラッキーではあった。

 

「陛下には第三等騎士ヴェル・ア・レイラ・イアリー卿が忠誠を誓っているではないですか! 今は、ヴェル卿の領地へと逃れ、反撃の機会を待ちましょう」

 

 そして俺は今度はヴェルに向かって、

 

「ヴェル!」

「……なによ」

「戦うのが武人の誉れ、しかし蛮勇で命を落とすのは無能の証拠。陛下を俺たちでお守りしつつ、ここから脱出しよう」

 

 ヴェルはすぐには答えない。

 俺は燃え上がる帝都と帝城を見る。

 もはや帝城側からの反撃もほとんどない。

 聞こえるのは悲鳴や助けを呼ぶ叫び声。

 まもなく敵が雪崩れ込んで帝城を掌握するだろう。

しばらくして、ヴェルがぼそりと言った。

 

「……いいわ、あんたの言うとおりにする。死んだと思ってやれば、できないことなんてないわよ」

 

 ヴェルの顔にはすでに覚悟の表情が浮かんでいた。

 そして、ミーシアの顔にも。

 

「キッサ、シュシュ、すまん、俺につきあってくれ」

「――仕方がないですね、私達はあなたに従うしかないですし、協力しましょう」

 

 後に、この国で『西の塔で誓う』と言えば、生涯を通じて信頼しあうことを意味する慣用句になる。

 もちろんこの時の俺がそんなこと知るわけもないけど。

 自分の足にすがりつくヴェルの髪の毛を、ミーシアがやさしくなでた。

 

「ヴェル、ありがとう。ありがとうね。やっぱりヴェルが私の一番の親友だよ。ね、妹分のこと、守ってくれるんでしょ? そうやって私の足を支えてくれるんだよね?」

「うん……うん。ミーシアは、私が守るわ……」

 

 ヴェルはミーシアの膝にすがりついたまま、大きく深呼吸をする。

 何度も何度も。

 俺はそれを、まるでロリ女帝の膝の匂いを嗅いでるみたいだ、十二歳の女の子の膝の裏ってどんな香りがするんだろう、と思って、そう思った自分に苦笑する。

 俺にはまだまだ余裕がある、大丈夫だ。

 ミーシアの香りを堪能しきったからか、それとも単純に心が落ち着いたからか、ヴェルはゆっくりと立ち上がった。

 ニコリと妹分の主君に笑顔を見せたあと、俺に顔を向けた。

 目元が腫れているが、もう涙は流れ落ちていない。

 

「気持ちの整理ができたわ。前に、陛下の言ったとおりね。男の低い声って、胸に響くのね」

 

 偶然に俺が口走った露出プレイ。

 その話にのった変態ロリ女帝。

 それがなければこの反乱はあっけなく成功しただろう。

 今頃女帝陛下も女騎士もそして俺も奴隷姉妹も炭まで焼けていたところだ。

 人生とか運命ってやつは、本当に人知の及ばないところにあるもんだ。

 露出プレイ、万歳。

 ま、結局、ドM女帝陛下が全裸で緊縛されるシーンは拝めなかったけどね。

 それはちょっと残念だけどな。

 とか思っていると。

 ヴェルが、身につけていた甲冑を取り外し始めた。

 見た目よりも軽いのか、金属製の紅い甲冑はカシャンと乾いた音を立てて床に転がる。

 金髪の女騎士は、強がっているような笑みをかすかに浮かべてこう言った。

 

「じゃ、あたし今から裸になるからね」

 

 お前がやるんかい!

 どういうことなんだよ!

 あっけにとられてる俺たちに、ヴェルが説明を始めた。

 

 

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