永琳は緊張した空気の中、弓を構えて諏伯に向かって矢を放った。諏伯は土壁で防御しようとしたが、その弓矢はまるで自らの意思を持っているかのように壁を避け、まっすぐに諏伯に命中した。
「弓矢が曲がった。」諏伯は驚きながら呟くが、攻撃した永琳も立ったま、彼の反応に驚いていた。
「結界?」と永琳が考え始める。
永琳はさらに攻撃を続け、弾幕と弓を次々に射る。諏伯は今度こそと、周囲を取り囲むように土壁を生成したが、永琳はその土壁を正面からの弾幕で崩し、その隙間から再び矢を放ってきた。諏伯は再び命中を免れなかった。
「やはりダメージはなしか。今度は毒を塗っていたんだけど。」永琳が冷静に言った。
彼女は地上に降り、諏伯に近付いてくる。諏伯は自らの意思をもって、土を操って永琳を閉じ込めようと試みたが、彼女の結界が張られているのか、その試みは叶わなかった。
永琳が諏伯との距離を徐々に縮めていく。諏伯は土の弾丸を作り、それを飛ばそうと試みたが、永琳の結界によって弾かれてしまった。
「攻撃が通らないなんて、初めてだ、、、だが、こちとら生まれてこの方ダメージを受けてない。」と諏伯は逆境に直面しながらも自己防衛の意志を示した。
永琳はそのま諏伯の目の前に立ち、「地上の人間が月人相手にここまでできたのは素直に褒めます。」と告げると、彼のお腹に両手を添えた。
諏伯は大丈夫だと考え、抵抗せずその行為を受け入れた。
「浸透勁!!」と永琳が叫ぶと、強烈な衝撃が諏伯のお腹に与えられた。
最初は何が起こったのか理解できなかった諏伯だったが、次第にお腹から鈍い痛みが生じ、何かが食道を逆流する感覚を覚えた。そして次の瞬間、彼は口から血を吐き出した。
「グハッ!口から血が。これが痛みか、、、。」と諏伯は呟き、驚愕の表情を浮かべる。
「流石に外は駄目でも、内臓へのダメージは効いたようね。」と永琳は冷静に分析した。
諏伯は血を吐き出しながら地面に倒れ込む。彼の力強い意志と闘志が揺らいでいく中、周囲の状況は厳しさを増していった。
諏伯は血を吐きながら、これで自分は死ぬのかと考え込んでいた。神奈子と諏訪子の元から旅をし、人々の頼みを受けて早1年。これまでの道のりを振り返るが、自分の探し物は結局見つけられなかったという思いにふけっていた。
「ごめん、母さん。」諏伯は心の中で短い人生を謝りながら、静かに目を閉じたその時、突然体が光り始めた。
「なんだこれ?」と驚き、目を見開く。
その光は徐々に強まり、内臓のダメージを回復させるエネルギーに変わっていく。痛みが少しずつ和らぎ、苦しみが薄れていくのを感じながら、諏伯は意識を取り戻した。
やがて、彼は起き上がり、体に異常がないのを確認した。「一体何故?」との疑問が胸に沸き上がる。自己回復の力が自分の中に宿っていたのだろうか、それとも何か特別な力が働いたのか。
その光に導かれるように、彼は自分の中の力を再確認し、戦う意志を取り戻した。
諏伯から離れた遠い生まれ故郷の諏訪地方において、東風谷の巫女が声高らかに叫んだ。「諏訪子様、神奈子様!私の加護が発動しました!!」
「全く、あの子は無茶をしているわね。」と諏訪子は心配そうに言った。
神奈子は、遠くにいるが故にハッキリとは見えないものの、諏伯の周囲に感じられる力を見て言った。「諏伯の周りにある力、、遠くからだからよく分からんが、地上の力ではないな。」
「もしかして、あの月から架かる雲の橋、月人が地上に来ているのかい?」と諏訪子が問いかける。
神奈子は首を振りながらも、心のどこかで不安を感じていた。「まさかとは思うが、月人と戦っているのかもしれない。」
「事情は知らないけど、あの子のことだ。人助けでもしているんだろうさ。ちょっとくらい助けてやるかね。」と諏訪子は思いを巡らせ、決断する。
彼女は手を上げ、力を送り始めた。その瞬間、神奈子と東風谷の巫女も続いて力を送る。彼女たちの力は、空を通って遠く離れた場所、諏伯の元へと向かっていく。彼女たちの支援が、諏伯の戦いにどのように影響を与えるのか、彼女たち自身も期待と不安の中で願った。
月の使者との戦いの決着がどのように進展するのか、そして諏伯が無事でいることを願いながら、その力を集中させた。彼女たちの思いは、目に見えない形で諏伯を支える力となることを信じている。