諏伯は、故郷での静かな生活を一ヶ月ほど過ごした後、神奈子から手紙を手渡された。
「諏伯、手紙が来てるぞ。」と神奈子が声をかける。
驚いた諏伯は、「手紙なんて高価なもの、一体誰が、、、。」と不思議に思いながら封を開けると、そこには「京の阿礼」という名前が記されていた。
手紙には次のように書かれていた。
「拝啓、諏伯殿。京にて封獣ぬえが暴れ出しております。つきましては、退治願いたい。」
諏伯は少し考え込み、「ぬえが暴れた?そんな気配はなかったけど。まあ、仕方ない。行くか。」と決心した。
諏訪子は心配しながらも送り出す。「行ってらっしゃい。死ななくなったといっても、無理しないようにね。」
「はーい。」と諏伯は返事をし、支度を整えた。
故郷を出ると、妹紅が慌て駆け寄ってきた。「私も仲間、一緒に行く。」
諏伯は微笑みながら、「分かったよ。行こう。」と答え、2人で再び長い旅路に向かうこととなった。
そして京に到着した2人。諏伯は町の様子を見回し、「ぬえが暴れているにしては平和そうな雰囲気だけど。」と首をかしげた。
町は落ち着いて、人々は日常生活を楽しんでいるように見えた。
諏伯と妹紅は、まず手紙の送り主である京の阿礼の家へと向かった。
「阿礼さん。諏伯です。」と諏伯がドアをノックすると、阿礼が顔を出した。
驚いた様子の阿礼。「諏伯さんと女の子?なんで来たんですか!」
諏伯は手紙を取り出し説明した。「手紙が、、」すると阿礼はその手紙を見て、事態を悟ったようだった。
「とりあえず中へ。」と言い、阿礼は2人を自宅へ入れた。
自宅にて、諏伯が尋ねる。「何があったんですか?京は平和そうですけど。」
阿礼は状況を説明し始めた。「まず、第一に私は手紙を送っていません。そんなお金もありません。」
「えっ?」と諏伯は困惑する。
阿礼は続けた。「次に、諏伯さん。あなたには身柄拘束が命じられています。」
「そんな!諏伯さんは何もしてない。」と妹紅が声を上げた。
「勿論分かってますよ。問題なのは宮中にて、諏伯殿が封獣ぬえと仲良くして意図的に都を襲わせているという噂が流されています。」と阿礼は説明する。
「そんな馬鹿な。」と諏伯は信じられない様子だった。
「もう一つ。輝夜姫を守る時他の兵は全員死んであなたは生きていた。帝は卑しい陰陽師らに諏伯殿が輝夜姫を何もせず月に返したと吹き込まれています。それゆえ身柄拘束の命が出ています。」と阿礼は言葉を続けた。
「じゃあ、これを送ったのは、、。」と諏伯は困惑したまつぶやいた。
阿礼は推測を述べる。「大方、自分達は何も出来なかった陰陽師連中か帝自身でしょう。どちらにせよ、諏伯殿には良くない連中です。」
「更に私の名を使ったとなると、もう見張られてバレているやも、、、。」と阿礼は心配そうに言った。
阿礼は緊迫した表情で提案した。「とりあえず諏伯殿、今日はもう日没です。明日日が昇ってからすぐ逃げられよ。」
諏伯は阿礼の言葉に頷き、床についた。しかし、夜中には阿礼の家の周囲が騒がしくなっていることに気づいた。
「諏伯殿、不味いです。囲まれてます。」と阿礼が警告する。
「本当に見張られていたみたいですね。」と諏伯は現状を認識した。
阿礼が窓から外を確認する中、外から陰陽師の声が響いた。
「諏伯!そこにいるのは分かっている!阿礼よ、扉を開けろ!」と卑しい陰陽師が命じる。
「2人で逃げられますか?」と阿礼が提案するが、諏伯はため息をつく。「いや、妹紅も連れて逃げることは無理でしょう。そのまま扉を開けて下さい。」
諏伯の指示通りに扉が開かれると、卑しい陰陽師が中に入ってきた。
「諏伯殿、お久しぶりです。私が一方的に見ていただけですけど。この度は妖怪連中と組みした罪により身柄拘束の命が出ています。ご同行を。」と陰陽師が伝える。
「断ったら?」と諏伯は最期の抵抗を試みる。
陰陽師は冷淡に答える。「そうですね。あなたの実力なら断って逃げられるかもしれないので、そこの阿礼と女の子を人質にしましょうか。」
「分かりました。大人しくついて行くので、この2人には何もしないでくれ。」と諏伯は諦め、2人を守るために従うことを選んだ。
「よろしい。おい!縄を持ってこい。」と陰陽師は部下に指示を飛ばし、諏伯は数人に縄で拘束された。
「阿礼殿足止めご苦労。」と陰陽師が皮肉を込めて言った。
激昂した阿礼は叫ぶ。「お前らが勝手に私の名を使っただけであろうが!その人は無実だ!」
「有罪無罪は関係ありません。私たちは命に従うまで。」と陰陽師は冷たく言い放ち、彼の命令に従うことだけが重要だと語った。
「諏伯さん。」と妹紅が悲しげに声をかける。
「妹紅、一人じゃ辛いかもしれないけど、母さん(諏訪子)のところに行け。」と諏伯は彼女に指示し、彼女の安全を託した。
妹紅は涙を堪えながら頷き、諏訪子の元へ向かう決意を固めた。その間に諏伯は連れ去られていく。物事は思いがけない方向へと進んでいったが、彼は決してあきらめずに自分の道を探し続ける意思を固めていた。