純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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亡き姉の墓へ

二十年の時を経て、諏伯は佐渡ヶ島で成熟した生活を送っていた。そんな彼のもとに、懐かしい声が響く。

 

「諏伯。お客さんじゃぞ。」マミゾウが声をかけた。

 

「私に客ですか?」と諏伯は驚きの表情を浮かべる。

 

その瞬間、妹紅が姿を見せ、「兄さん、久しぶり。」と微笑む。

 

「も、妹紅。久しぶりだな。一人で旅か?」と諏伯は彼女の到来を喜んだ。

 

「それもあるけど、伝える事がある。東風谷のお姉さんが亡くなった。」と妹紅は重い言葉を口にした。

 

「姉さんが!そうかそうだよな。姉さんも寿命がある。いつかは亡くなるよな。」と諏伯は受け止め、喪失感に浸る。

 

妹紅は続ける。「兄さん。もう帰ってきていいんじゃない?今や手配書なんて何処にもないよ。」

 

「それでも帝がいると危害が及ぶかも」と諏伯は不安を抱く。

 

「帝ならとうに代替わりしたよ。」妹紅の言葉は希望の光を差し込む。

 

「そうか、、、。」と諏伯は考えながら答える。

 

そのとき、ぬえが口を挟む。「帰りなさいよ。諏伯。」

 

「ぬえ、、、。」と彼は彼女に目を向けた。

 

「20年も待ったってことでしょ?十分よ。妖怪からすれば大した時間じゃないけど、人間からすれば子が親になる時間よ。ましてや帝などの親世代なんてみんな死んでるわよ。」とぬえは諏伯を促した。

 

「そう、、だよな。姉さんも亡くなったし、花を手向けに行こうか。」と諏伯は決意を固める。

 

「私はマミゾウと暫くいるから行ってきなさい。アンタと出会ってから21年かしら?楽しかったわよ。」とぬえは優しく言った。

 

「マミゾウ、ぬえ、タヌキたち世話になった。」と諏伯は感謝の言葉を述べ、彼らとの別れを決めた。

 

その後、諏伯は姉のために花を手向けるべく、佐渡ヶ島を後にすることを決意した。

 

 

 故郷に戻った諏伯は、懐かしさと共に村の変貌に驚く。

 

「久しぶりだな。村も幾らか建物が変わってる。」と彼は言った。

 

妹紅は頷き、「村の人達もみんな代替わりしたよ。兄さんが知ってるのは諏訪子さんと神奈子さんに寅丸だけかな。」と説明した。

 

二人が社へ歩を進めると、待ち受けていたのは諏訪子と神奈子だった。

 

神奈子は微笑みながら言った。「その、なんというか久しぶりだな諏伯。元気にしてたか?」

 

諏訪子は嬉しさでいっぱいになり、諏伯に近寄って抱きつく。

 

「母さん帰って来なくてごめんね。」と諏伯は申し訳なさを込めて言った。

 

「温かい。ちゃんと生きてるんだね。この温もり久しぶりだよ。」と諏訪子は涙目になりながら言った。しかし、諏伯は「母さん、そろそろ」と言って離してもらうように促した。

 

「諏訪子は泣いてるからそのままにしてやれ」と神奈子がからかうと、諏訪子はその言葉に恥ずかしさを感じ、「神奈子だって"諏伯傷付いてないかな、言い過ぎたかな"と心配してたじゃん!!」と反撃した。

 

「なっ!!諏訪子。それを言うか卑怯だぞ。」と神奈子は驚いた様子であった。

 

そんな二人の言い合いの中、もう一人が近づいてくる。

 

「兄上様、久しぶりです。」と寅丸が少し照れた様子で挨拶する。

 

「寅丸か?ずいぶん大きくなったな。」と諏伯は驚き、成長を喜んだ。

 

「ハッ、全ては育ての二人が良かったんでしょうね。」と寅丸は笑った。

 

神奈子は寅丸に言った。「よし、寅丸。お前も我が守矢の巫女になるか?」

 

「いえ、私は佐渡ヶ島にて迷惑をかけたぶん。これからの旅で償いをしていこうと思います。」と寅丸はしっかりと答えた。

 

「寅丸出ていくのか?」と諏伯が尋ねると、妹紅がかぶせるように言った。「兄さん、私も旅に出る。」

 

「妹紅、お前もか。」と諏伯は驚く。

 

「また淋しくなるねぇ。」と諏訪子はため息をついた。

 

「そうだな、諏訪子。」と神奈子が頷く。「さて諏伯、長く話す前にその手に持った花。東風谷の巫女に渡すんだろ?」

 

一同は東風谷の巫女の墓へ向かい、生花を手向けた。

 

「姉さん、姉さんは優しくていつも味方してくれたよね。いい姉だったのに、最後はあんな別れ方でごめんね。」と諏伯は涙を流しながら告げた。

 

「姉さんは最後までお前や妹紅らの心配をしていたよ。」諏訪子が諏伯を慰めた。

 

諏伯は初めて近しい人の死を実感し、感情が溢れ出す。墓参りをしながら涙を流し、心の中の悲しみをついに吐き出した。

 

「私は慣れたが、慣れてほしくないものだな。」と神奈子は静かに語った。彼女の言葉には深い経験が感じられ、諏伯たちにとってもこの瞬間は忘れられない思い出となった。

 

 その日は妹紅と寅丸の旅立ちを前に、特別な夜になった。村人たちと共に大いに飲み明かし、笑い声と共に過去の思い出を語り合った。楽しい時間が過ぎ、夜空に星が輝く中、彼らは絆を深めていった。

 

次の日、妹紅と寅丸が旅の準備を整え、それぞれの道へと向かう時が来た。諏伯と神奈子、諏訪子が見送る。

 

「これが見送る側か」と諏伯は少し感慨深く呟く。彼は妹紅や寅丸と過ごした時間を思い返し、彼らの新たな旅路に期待と不安が交錯する。

 

「旅をすることは成長につながる。お前たちのことを信じて、無事に帰ってくるのを待っているよ。」と神奈子は優しい声で励ました。

 

「絶対に戻ってきてね。待ってるから。」と諏訪子も笑顔で見送り、心の中で彼らの無事を願った。

 

妹紅と寅丸は互いに頷き合い、それぞれの道を進む決意を固めた。彼らが振り返ったとき、諏伯たちの姿がしっかりと見えた。

 

「行ってきます!」と妹紅が元気よく声を上げると、寅丸も続いて、「兄上様、またお会いしましょう!」と叫び、二人は新たな旅立ちを果たした。

 

残された諏伯たちは、妹紅と寅丸の背中を見送りながら、彼らがどんな旅をして、どんな成長を遂げるのか期待と不安の入り混じった思いで見守った。そして、自分たちもまた新たな時代を迎え入れる準備を始めるのだった。




よく思えば、寅丸が始めて諏伯に外傷を与えたのか

ぬえ 頭が揺れる

永琳 内臓破損

諏訪子 毒殺

寅丸 左腕を食べる
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