純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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命蓮上人に救われる

諏伯は再会した諏訪子や神奈子と100年ほど時間を過ごし、彼らとの絆を再確認していた。しかし、次第に妹紅と寅丸が帰ってこないことが気になり始める。

 

「おかしい、妹紅も寅丸も一向に帰ってこない。」と諏伯は心配を隠せずに言った。

 

神奈子は考え込みながら答える。「ある程度なら気配を追えるんだが、追えないねぇ。何かあったのかもしれない。」

 

「まさか私嫌われるようなことしたかのか」と諏伯は自問自答する。そして、少しずつ不安が募っていった。

 

「出会ってすぐに私達に預けたりはしてたけどね。」と諏訪子が言うと、諏伯は思い返した。

 

「やめてよ母さん。否定はしないけど、妹紅も寅丸もそんなことでは拗ねる子じゃ、、、。ないよね?」と疑問を口にした。

 

不安から目を逸らせない諏伯は立ち上がり、決意を固めて言った。「心配だから探してくるよ。」

 

「諏伯、無理はしないでくれ。何かあったときに私たちがいるから、焦らずに。」と神奈子は心配する。

 

「不安が募るばかりだ。行ってくるよ。」と諏伯は真剣な表情で言った。

 

「なら、行ってらっしゃい。私たちもお前の帰りを待つよ。」と諏訪子は涙を浮かべつ、送る言葉をかけた。

 

諏伯はその言葉を胸に、妹紅と寅丸を探すための旅に出る決意を固めた。彼の心には彼らの安否を気遣う思いが込められており、彼は一歩踏み出した。新たな冒険が始まる。

 

 

 諏伯は近隣の山を探し回るものの、妹紅と寅丸の手がかりを見つけることができずにいた。心に不安を抱えながら、ひたすら山を捜索していた。

 

「都は捕らえられたトラウマがあるから山しか捜索してないけど、何の手がかりもないな。腹減った。」と彼は呟き、疲労がピークに達した。

 

その瞬間、空腹が堪えかねて倒れこんでしまった。意識が薄れ、静寂の中に身を任せる。

 

しばらくして、1人の僧侶が通りかる。「おや?行き倒れか?ここでは襲われてしまう。連れて帰ろう。」僧侶は明るい表情で諏伯のもとへ駆け寄り、彼を起こそうとした。

 

「しっかりしろ、若者。ここは危険な場所だ。身を守るために一緒に来ないか?」僧侶は優しい声で諏伯に話しかけた。

 

意識を失っていた諏伯は、ゆっくりと目を開けると、僧侶の姿が見えた。「あ、あなたは……?」と彼は言葉をつむぎだす。

 

 「私か?私は聖命蓮。ただの僧侶だ。」と、黒い袈裟を着た僧侶が名乗った。

 

僧侶は諏伯をおぶり、彼を安全な場所へと連れ帰った。意識を取り戻すと、見知らぬ天井が広がっていた。少し混乱しながらも、心地よい静けさに包まれていた。

 

「起きましたか。」と、白蓮が柔らかな声で語りかける。

 

「確か助けてくれたのは男だったような。」と諏伯は混乱したま尋ねた。

 

「私は聖白蓮、それは私の弟ですね。今呼んで来ます。」白蓮は優しい微笑みを浮かべながら、部屋から出て行った。

 

しばらくすると、命蓮が部屋に入ってくる。「体調は大事ないですか?」と心配そうに聞いた。

 

「お陰様で。」と諏伯は感謝の気持ちを込めて答える。

 

「私が旅に出たばかりで家がすぐ近くにあってよかった。」命蓮は安堵の表情を浮かべた。

 

「旅に出たばかりなんですか、出発を邪魔して申し訳ない。」と諏伯は少し申し訳なさを感じた。

 

「いえ、こうしてあなたの命を救えたのですから、仏のお導きがあったのでしょう。」命蓮は微笑みを戻し、話を続ける。「そういえば、何故あの森に?」

 

「ちょっと人探しをしていたのですが、一ヶ月ほど探していた所疲れて行き倒れまして。」と諏伯は状況を説明した。

 

「一ヶ月ですか?よく生きてましたね。生憎、私は迷い人なんて見ていないのですが。」命蓮は息を呑んだ。

 

「そうですよね、、。」諏伯は肩を落とし、少し落ち込んだ。

 

「それでは後は姉の白蓮を頼り下さい。私は旅の続きに戻りたいと思います。」命蓮は立ち上がり、去り行こうとした。

 

「待って、待ってくれ。その旅について行っていいか?1人では街に降りるのが怖いもので。」諏伯は急いで訴える。

 

「体は動きますか?」と命蓮は一瞬考えた。

 

「大丈夫です。腹が減っていただけなので何とも。」と諏伯は自信を持って答えた。

 

「では、明日の朝参りましょう。」命蓮は諏伯を再確認し、彼の意志を尊重することにした。その日、諏伯には新たな仲間ができた。明日から始まる冒険に向け、二人の心に期待が芽生えていった。

 

 

 次の日の朝、命蓮と諏伯は白蓮に見送られながら旅に出る準備を整えていた。

 

「そういえば、命蓮さんは何故旅に?」と諏伯が尋ねる。

 

命蓮は微笑みながら答えた。「仏の教えと、あとは夢を叶えるためですかね。」

 

「夢?」と諏伯は興味を引かれた。

 

「空を飛ぶ船を作ってみたいんです。」

 

「空を飛ぶ船、、、力ある人間や妖怪、神なんかは空を飛べますが、物が中に浮くんですか?」諏伯は驚きながらも疑問を抱いた。

 

「力を使えば浮くこと自体はご存知でしたか。その力を船に預けることで飛ばせるようにしたいんですよね。」と命蓮は夢を語る。

 

「なるほど、だがちょっと浮かせるだけなら私も土を動かせますが、これが船となるとかなりの力が入りますね。」諏伯は考え込んだ。

 

「そのために、力を預けるための器"飛倉"の作成をするために旅を始めた訳ですね。」と命蓮は説明を続けた。

 

2人が空を飛ぶ船の構想にふける中、命蓮を送り出した姉、白蓮は朝食の片付けをしていた。

 

「全く、命蓮ったら皿を放置して出ていくなんて旅の事にしか目がないんだから。」と白蓮はため息をついた。

 

その時、ガラガラと扉が開く音が聞こえる。「帰りましたよー。白蓮。あれ?誰かいたんですか?」と寅丸が元気な声をかけてきた。

 

「ちょっと行き倒れた方が昨日までいてね。命蓮と一緒に旅に出たわ。」と白蓮は答える。

 

「一緒に旅か、ただの行き倒れじゃなかったんですね。行く方も連れて行く方も変わり者だな。」と村紗が入ってきて、意地悪く笑った。

 

「村紗、舟幽霊で海が好きなのに海にトラウマを持つ貴方も変わっている気はするけどね。」と白蓮は挑発する。

 

「白蓮、それは私は悪くないよ!かつて私を沈めた人間が悪いさ!!」と村紗は必死に反論した。

 

一同は笑い合い、白蓮も村紗も和やかな雰囲気の中で過ごしていた。命蓮を送り出したその後も、彼らの絆は変わらず、旅立ちの自分たちの思いや語らいを続けていた。命蓮と諏伯の冒険がどのような形で続いていくのか、それを感じさせる出発の日だった。

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