純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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聖輦船と宝塔の作成

次の日から、命蓮と諏伯は力を込める飛倉に相応しい器を探しを始めていた。

 

「これも違うな。あれも違う。」命蓮は次々と探し出したものを確認しながらつぶやいた。

 

「違いが分からん。」と諏伯は困惑した表情を浮かべる。

 

「聖輦船を動かすための膨大な力を入れても平気な器。芸術品やガラクタ、いろいろ探してますが相応しいのは見つかりませんね。」命蓮は少し疲れた様子で言った。

 

「そこら辺の仏像とかはダメなのか?」と諏伯は提案した。

 

「ちょっとそれも考えたんですけど、例え精巧な仏像であっても、力を入れる器としては変わらないんですね。諏伯さん、そのガラクタも試して貰っていいですか?」命蓮は周囲の物に目を向けていた。

 

「実験100回目か、、」と諏伯は心の中で思いながら、ガラクタに全力で神力を込めたが、耐えられずに壊れてしまった。「やっぱりダメか、、、。」

 

そこから器探しは数年続いた。

 

「実験一万一千回目、、、。」諏伯は疲れ切った表情で呟く。毎回物は壊れ、失敗が続いた。

 

「器さえ見つかれば、それに加護を与えて飛倉とするだけなんですが。」命蓮は諦めかけたように言った。

 

「俺も疲れたな。」諏伯は地面に倒れ込み、命蓮も横に寝転がった。そんな中、諏伯はふと気付いた。

 

「命蓮。お前気付いたんだけど、出会ってからその袈裟と杖、変わってないよな。それなのに綺麗だ。」

 

「これですか?これは毎日法力を流しているので大丈夫ですよ。」命蓮は少し誇らしげに答えた。

 

「なんで杖と袈裟は毎日法力を込められても大丈夫なんだ?」と諏伯は不思議に思い、命蓮の様子を見つめる。

 

「えっ、、、。」命蓮は言葉を詰まらせた。

 

いうなれば、気の流れが込み入っているような杖である。諏伯は命蓮から杖を取り、神力を流し込む。

 

「実験、一万一千一回目。成功。」諏伯はわくわくしながら声を上げた。

 

「探さなくてもよかったんだ、、、。でも、なんで?」命蓮は驚きを隠せなかった。

 

「毎日法力を微量に流し込まれていく内に、杖が器にふさわしい許容量になったんだろ。」諏伯は説明した。

 

「これで飛倉が作れる!!ヤッター!」命蓮は大喜びし、二人で盛り上がった。

 

命蓮の杖に諏伯は加護を与え、ついに飛倉は完成した。長い旅の成果が形となった瞬間だった。興奮と喜びが二人の心を満たし、これからの冒険に向けて新たな希望が輝いていた。

 

 飛倉が完成してから数日後、聖輦船はついに出来上がった。

 

「船を数日で作り上げるって、命蓮。お前やっぱり凄いやつなんだな。」と、諏伯は感心しながら言った。

 

「いえ、これも器を発見してくれた諏伯お陰ですよ。」命蓮は謙虚に返す。

 

「ほら、これ記念にあげるよ。加護の与え方や力の操作について教えてくれたお礼。」諏伯は手に持っていたものを命蓮に渡した。

 

「なんですかこれ?水晶玉のようですけど。」命蓮はその物体を興味深そうに見つめた。

 

「聖輦船のライトとして作ったんだよ。加護には"目の前にあるもの全てを照らし給え"と入れてる。」諏伯は自信満々に説明した。

 

「へー、便利ですね。あの雲にでも当てみましょうか。」命蓮は微笑みながら、水晶玉に法力を込めた。

 

水晶玉から膨大な光が発射され、雲を跡形もなく消し飛ばした。

 

「これ、威力強すぎやしませんかね。怖くて震えますよ。」命蓮は目を丸くしながら言った。

 

「ヤバい、加護を込めすぎた。これじゃライトじゃなくて攻撃だな。」諏伯は顔が青ざめた。

 

その直後、雲が黒くなり、昼なのにあたりは暗闇に包まれた。黒い霧が立ち込め、視界が極度に狭まる。

 

「命蓮、いるよな?」諏伯は不安になって叫んだ。

 

「います!!」命蓮も声を返すが、混乱状態の中、足音が響いてきた。

 

「さっきの光は君たちかい?」不気味な声が響いた。

 

「すいません、私が威力を知らずに使ってしまいました。」諏伯は咄嗟に謝った。

 

「すいませんでした!!」命蓮も慌て続けた。

 

「君たち、人間があんな威力を持ってていい物じゃないの!!」その声は怒りを込めていた。

 

「あなたは?」命蓮が恐る恐る尋ねた。

 

「僕かい?僕はナズーリン。毘沙門天様の弟子だよ。」ナズーリンは名乗った。

 

命蓮は土下座し、「誠に申し訳ありません。悪気はなかったんです。」と懸命に謝った。

 

諏伯も続いて土下座し、「すいません、作ったのは私なんです!!コイツは何もしてません!!」と弁明した。

 

ナズーリンはため息をつき、「全く、謝って済む話じゃないけどね。君の水晶玉のお陰で雲が吹き飛んだんだよ!あんな射程と威力、神と戦う気かい!!ん?そこにいる作った人。」と問いかけた。

 

「はい。」諏伯は緊張しながら返事した。

 

「君から神力が溢れてるけど神の子どもかい?」ナズーリンは目を細めて尋ねる。

 

「はい、子どもです。すいませんでした!!」諏伯は焦りながら答えた。

 

ナズーリンはさらに続けた。「あんた、これを扱えないなら神の子の製作物とはいえ、ウチで預からせてもらうよ。」

 

「どうぞ!持っていって下さい!!」諏伯は両手を差し出した。

 

ナズーリンは注意を続けた。「ま、今回は被害がなかったからここらへんにしておくけど、次からは変なもの作らないように!!せいぜい木を薙ぎ倒す程度だよ!分かった?」

 

「分かりました!!」と諏伯と命蓮は返事した。

 

「この水晶玉、いや宝塔と呼ぼうか。本来、毘沙門天は人から物を取ることはないから、これはちゃんと扱える人間に渡す事にするいいかい!!」とナズーリンは言った。

 

「分かりました!喜んで!!」と、諏伯と命蓮は口を揃えて答えた。

 

ナズーリンは諏伯らへの説教を終えると、黒い霧が立ち込めた空間の中から消えていった。残された二人の周囲は静寂に包まれ、霧も次第に晴れていく。太陽が顔を出し、明るい光が戻ってきた。

 

「生きた心地がしない。」命蓮はふっと息をつき、顔をぐったりとした様子で見せた。

 

「悪かった、命蓮。次はまともな物を渡すよ。」諏伯は心配そうに言った。

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