「おっと、まさか1人でやるつもり?」豊姫はニヤリと笑った。「穢れある地上人なのに健気ねぇ。」
「私たち姉妹を舐める気か?」依姫は怒りに震え、敵意を露わにした。
「依姫、相手をしてあげて。私は他の妖怪を追撃するわ。」豊姫は冷静に指示を出す。
「おっと、どこかに行こうとするならこうなるぞ。地形操作!」諏伯は地形を操り、月の都の建物が一棟、崩れ去るのを見せた。
「2人でやるしかないようですね、、、。1人にしておくと命と引き換えに都を破壊されかねませんね。」依姫が敵の力を警戒する。
「この子は損害を出してしまったし、殺しましょうか。」豊姫は冷たく言葉を続けた。
「斬撃波!」依姫が斬撃を飛ばす。
諏伯は自分の地形を降下させてその攻撃を避けるが、すかさず豊姫が続けざまに命令する。「量子操作、斬撃を彼の後ろに!」
依姫が放った斬撃が諏伯の後ろから現れ、直撃する。
「直撃?思ったよりあっさり思ったわね。」豊姫は自信満々に笑った。
「姉様、彼は生きています。」依姫が驚いた様子で言った。
「これはズルいな、、、。」諏伯は息をつき、すでに負傷していることを自覚した。
「斬撃が効かないなら、降臨"八咫烏"」依姫が新たな神を降ろし、八咫烏が諏伯に炎を浴びせる。
諏伯は苦しみながら燃えていく。「これでやった筈。」
「いや、生きてるみたい。」豊姫が目を細めて確認した。
諏伯は復活し、再度立ち上がる。
「もしかして蓬莱の薬を飲んだの?」豊姫は興味深そうに尋ねた。
「飲みましたよ。」諏伯は素直に答える。
「八意永琳という名に聞き覚えは?」豊姫が続ける。
「数百年前ですが、彼女のことは知っています。」諏伯は過去の記憶を呼び起こしながら答えた。
「本当に蓬莱の薬を飲んだのか?」依姫が驚愕する。
「場所を教えたら逃がしてあげるわよ。」豊姫が提案する。
「知らないし、教えない。」諏伯は毅然とした態度で答えた。
「殺しても無駄だし、逃がす訳にもいかないし。」豊姫は状況を冷静に分析する。
「捕らえますか?しかし、サグメ様にお願いしないと地形操作が…。どうしますか?」依姫が考え込む。
その時、稀神サグメが場に現れ、静かな威圧感を漂わせる。「-・・- -・ ・・・- -- ・・- ---・- ・--- -・-・ -・ ・・・ 、、、」
「訳します。全く様子を見にくれば、妖怪相手に建物をやられているではないか。」玉兎が瞬時にその言葉を伝えた。
「サグメ様!コイツの能力が危険なんです、封じて下さい!!」依姫は焦りながら叫ぶ。
サグメは諏伯を見つめ、「汝の地形操作、これらを発動する。」と静かに命じた。
「訳します。汝の地形操作、これらを停止する。」玉兎が訳を続ける。
「よかった、これで安心して捕まえられる。」豊姫は安堵の表情を浮かべた。
しかし、諏伯が試しに地形操作を行うと、どうやらその力は発動した。「これは…バカな、、何故効かない?」依姫が驚愕の声を上げる。
「カクカクシカジカ、、、」サグメは淡々と状況を説明する。
「訳します。分からないが私の能力が及ばない。だが、お前が来たスキマは無事妖怪が逃げて閉じられた。帰れないのだから諦めて降参しろ。」玉兎は冷静に言い放った。
(効かないのは加護の影響か?)諏伯は内心の葛藤を抱きながら考えた。
「分かった。降参する。だが、酷いことしたら地形操作を使うからな。」諏伯はゆっくりと手を上げ、降参の意思を示した。
諏伯の降伏後、時を置かずして、諏伯の裁判が始まった。
「人間、諏伯は月の侵攻にて建物一棟を破壊しました。そして、蓬莱の薬を服用しています。死刑もしくは地上への追放を求めます。」検察が厳しい口調で訴えた。
「諏伯はあくまで月の侵攻に参加しただけであり、首謀者ではありません。それに、蓬莱の薬は騙されて飲んだと証言しています。」弁護士が反論する。
「月面侵攻の首謀者ではないかもしれませんが、被害を与えた事と蓬莱の薬の服用は事実です。死刑は無意味でも、地上への追放を。」検察は強硬な態度を崩さない。
「諏伯はかつて逃亡した八意永琳の所在を知っている可能性があります。月に留めておくべきかと思います。」弁護士は諏伯の有用性を強調する。
「それはあくまで憶測に過ぎません。」検察は冷然と返した。
その中、傍聴席から一人立ち上がる者がいた。「その地上人が言っていることは事実だ。」嫦娥が声を上げた。「今思い出したが、永琳が裏切った際に私を吹き飛ばしたのは彼だ。間違いない。」
嫦娥の発言により、弁護士の信憑性が一層高まった。しかし、嫦娥は冷たい視線を向けた。「しかしだ、犯罪者。地下に閉じ込めてしまえばいいのではないか?」
サグメが静かに一言。「カクカクシカジカ、、、」
「訳します。諏伯の能力には地形操作があり、その気になれば都を崩壊させられる。酷い扱いをすれば彼は力を行使するだろうと言っています。」玉兎がその意味を伝えた。
傍聴人たちはざわめき始め、「地上人が月人を脅している!!」という声があちこちから聞こえ始めた。
裁判室の雰囲気が一瞬で険悪になり、諏伯の運命はます危うくなっていく。
「裁判長、彼は殺すことは出来てもサグメの能力すら効きません。」豊姫が現実的な提案を持ちかける。「どうでしょう?追放も出来ないなら、私と依姫、サグメの元で管理するというのは?」
裁判長は少し考え込み、「仕方ない。諏伯は綿月姉妹及び稀神サグメの管轄の監視の元、月に滞在してもらう。しかし、奉仕として次の月面侵攻が起きた際は月面側として参加してもらう。これにて閉廷とする。」と決定を下した。
場内は静まり返り、諏伯は予想外の展開に胸を撫で下ろした。彼にはまだ逃げるチャンスが残されているのか、あるいは新たな戦いの機会を与えられたのか。
「この決定に異議はありませんか?」裁判長が周囲を見渡すが、豊姫と依姫はお互いに頷き、サグメも微動だにしない。
「それでは、諏伯はこれから月に滞在し、姉妹と共に行動することが決まった。月面侵攻の際は、その力を月のために役立ててもらう。」裁判長は厳かな口調で告げ、裁判は閉会された。
裁判室を出ると、豊姫と依姫が諏伯を待っていた。「あなたには私たちの管理の下で行動してもらいます。決して逃げないでください。」豊姫は笑みを浮かべながら警告した。
諏伯は心中複雑な感情を抱えながら、新たな状況に向き合う決意を固めた。監視の目の下で、彼はどのように行動するのか、未来には新たな展開が待っていることを期待していた。