純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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豊姫の部屋にて

「ま〜、いい感じの所で落ち着いたわね。」豊姫は明るい声で言った。

 

「全く、あれで殺害しろと言われたらどうしようかと思いましたよ。」依姫は軽くため息をつきながら答える。

 

サグメは何かを思いついたように、紙に文字を書き始めた。「アイアンメイデンに閉じ込めて、能力を使えないのを祈るしかないな。」

 

「それもなかなか効果的な方法ですね。」豊姫が同意する。

 

「諏伯、牢屋に入ってないとはいえ、お前は罪人だ。あくまで私達はいつでもお前を殺せることを忘れるなよ。」依姫は真剣な表情で諏伯に警告した。

 

「分かっています。」諏伯は慎重に答えた。「ですが、皆さんがその力をどう扱うか次第で、私も考えます。」

 

「良い心がけね。」豊姫が彼を見つめながら笑顔を見せる。「でも、信用されるような行動をしないと、私たちもやらざるを得ないからね。」

 

その言葉に、諏伯は自らの立場の厳しさを再認識する。彼は、この新しい状況でどのように立ち回ることができるのか、その先を見据えて行動しなければならないことを痛感していた。彼の運命は三人の意思に大きく左右されるのだ。

 

 廊下を歩く3人の前に、待ち構えていた嫦娥が立ち塞がった。

 

「嫦娥様、どうしました?」豊姫が尋ねる。

 

嫦娥は鋭い目を向け、「時間は取らせん。諏伯と言ったな。1つだけ質問する。純狐、伯封、この2つの名に心当たりはあるか?」と直截に問いかけた。

 

「どちらもないですね。」諏伯は即座に答えた。

 

嫦娥は一瞬、考え込むような表情を浮かべ、「分かった、もういい。」とだけ言い残し、スタスタと去っていった。

 

豊姫と依姫はその後姿を見つめる。依姫が不安げに言った。「一体何を考えているのでしょうか、あの質問は。」

 

「さあ、私たちには分からないことね。」豊姫は疑念を抱きつも、冷静に答える。

 

 諏伯は案内され、サグメの部屋に着いた後、豊姫、依姫、サグメと共にこれからの監視体制について話し合いが始まった。

 

「さて、3人で監視しろと言われたけど、どうしましょうか。3人ともそれぞれ仕事があるわけだし。」豊姫が提案を持ちかける。

 

「1週間ごとにローテーションを組めばいいのではありませんか。」依姫が意見を出す。

 

サグメはその場で話せないため、紙に書きながら頷く姿を見せた。

 

「じゃあ、始めは私。次にサグメ様、最後に依姫にしましょうか。」豊姫が流れを決定し、3人は今後の方針について話し合った後、解散することにした。

 

豊姫の部屋にいる諏伯は、部屋を見回すと地上にはない奇妙な物が多く、興味を引かれた。

 

「さて、お話しましょうか。」豊姫が言った。

 

「面白い話なんて特にないですがね。」諏伯は少し気後れしながら答える。

 

「蓬莱の薬を飲んだんでしょ?竹取物語から生きてるなら1つや2つくらいあるでしょ。」豊姫は期待を込めて尋ねた。

 

「旅したり、妖怪退治しかしてないな。」諏伯は正直に答える。

 

「妖怪?あなた妖怪と共に攻めてきたのに?」豊姫の疑問に諏伯は軽く微笑んで言った。

 

「妖怪と言っても、いい奴と悪い奴がいますからね。人間でも同じですが。」

 

 諏伯が話を終えた後、彼は豊姫に質問をする。

 

「八意永琳も強かったけど、月人は全員強いですね。」

 

豊姫は微笑みながら答える。「うーん、あなたが戦った月人は私含めて皆最強格だから、一般人はもっと弱いわよ。八意様は強かった?」

 

「ええ、始めて殺されましたからね。蓬莱の薬を飲む前だったので、危なかったです。」諏伯は真剣に振り返る。

 

「どうやって殺されたの?」豊姫の質問に興味を示す。

 

「うーん、それは、、、いや、敵に教える訳無いでしょ!!」諏伯は思わず口を閉ざした。

 

豊姫は少し驚いた表情で、「ふーん、教えてくれないんだ。ケチー。」と肩をすくめた。

 

 「私は優しいから、今の内に吐いた方がいいわよ!依姫は真面目だから取り調べしてくると思うし、サグメ様は話さないから分からないけど。」豊姫は少しクスッと笑いながら言った。

 

「いくら優しかろうが、敵に自分の殺し方は教えませんよ。」諏伯はしっかりとした口調で返す。

 

豊姫は諏伯に近づき、扇子で小声で耳打ちする。「ここだけの話、教えてくれたら依姫のスリーサイズ教えてあげるわよ。」

 

諏伯は驚き、顔を真っ赤に染める。「ダメ!メッ!からかわないで!」

 

豊姫は笑いを堪えながら、「案外効果ありね。来週話を聞く時に試してみようかしら。」と言って、さらに彼をからかう。

 

「本気で言ってますか?」諏伯が困惑した様子を見せると、豊姫は楽しそうに頷いた。

 

「もちろん、でもあなたが教えたらの話よ?どうする?」豊姫の目がキラリと光り、挑戦的な雰囲気を醸し出す。

 

諏伯は内心の葛藤を抱えながら、豊姫の意図を考え、このまではます彼女のペースにはまってしまうと感じた。

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