純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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純狐の息子は二度目の生を謳歌する
幻想郷への案内人


諏伯と純狐は、これまでの話をしながら温かい時間を過ごしていた。

 

「伯封あなた、蓬莱人になったり嫦娥と戦ったり月に置いていかれたり、大変ねぇ。」純狐は彼のこれまでの人生を思い返して感慨深く語った。

 

「あー、純狐母さん。伯封ではあるんだけど、やこしいから今世の名前の諏伯で呼んでもらっていい?」諏伯は微笑みながら頼んだ。

 

「分かったわ、諏伯。貴方を育てくれた諏訪子さんにお礼を言いたいのだけど、どこにいるか分かる?」純狐は興味津々で尋ねた。

 

諏伯は少し考えて、「それが、月に囚われていた期間が長くて今も同じ場所にいるかは分からないんですよね。生きてはいると思うんですけど。」と答えた。

 

純狐は優しく微笑み、「大丈夫!お母さん、これでもかなり強力な神霊だから連れていけるわよ!!」

 

「ならお願い、純狐母さん。」諏伯は答え、新たな希望を胸に秘めた。

 

こうして、純狐と諏伯は仙界から移動し、諏訪地方へと向かった。

 

「これが、諏訪地方?」諏伯は懐かしい場所に目を細めた。

 

「どうかしたの?」純狐は彼の表情に気づいて尋ねた。

 

「いや、昔と街が変わりすぎてほぼ知らない場所だ。」諏伯は周囲の変化に驚きつ答えた。

 

「外の世界、昔は純粋な自然溢れる場所だったんだけど、今は変わってしまったわね。」純狐もまた、その変化に少し寂しさを感じていた。

 

諏伯は街を眺めながらふと神社を見つけ、「あった!あれだ。」と小声で叫び、急ぎ神社に向かった。しかし、そこで待っていたのは空っぽの神社だった。

 

「ごめん、純狐母さん。場所はここみたいだけど、もう2人ともいないみたいだ……。」諏伯は失望を隠せず、しょんぼりとした。

 

純狐は彼の肩に手を置き、「落ち込まないで、諏伯。一度帰りましょう。」と優しく声をかけた。

 

帰宅後、諏伯は暗い顔をしながら食事の席につき、「きっと、私がいない間に信仰が失われ亡くなったんだ……。せっかく純狐母さんとは会えたのに、また諏訪子母さんを失うのか。」と口にした。

 

「……落ち込まないで、諏伯。まだ生きてる可能性がある場所は知っているわ。」純狐は静かに励まし始めた。

 

「本当?」諏伯は顔を上げ、わずかな期待を胸に。

 

純狐は頷き、「確実にいるという保証はできないけど、忘れられた者たちが集う幻想郷という場所があるの。もしかしたら、そこにいるかもしれないわ。」と言った。

 

 諏伯は興味津々に「幻想郷?」と尋ねた。

 

純狐は優しく説明を続けた。「そう、そこには神や妖怪、人間がいて暮らしているらしいわ。外の世界とも地続きになっているらしいんだけど、博麗大結界というものに覆われているの。」

 

諏伯は決意の色を浮かべて言った。「純狐母さん、再会してからまだ1週間くらいしか経ってないけど、諏訪子母さんを捜しに行ってもいい?」

 

純狐は少し寂しそうな表情を浮かべながらも、彼の意志を尊重した。「ちょっと離れるのは寂しいけど、貴方が生きてくれているから。いいわよ。ただ、博麗大結界は私でも自由に移動できないから、友達に頼むことになるかもしれないわね。」

 

「友達?」諏伯は少し驚きながら訊ねた。

 

「茨木華扇っていう、最近仙人になったお友達がいるの。彼女ならきっと力を貸してくれるはずよ。明日紹介するわ。」純狐は微笑みながら答えた。

 

 翌日、諏伯は純狐に案内され、茨木華扇の元を訪れることになった。純狐は優しく語りかけた。「じゃあ、諏伯。私はちょっと用事があるから行くけど、向こうでも元気でね。帰りたくなったら私もたまに人里にいるけど、華扇ちゃんを頼りなさい。」

 

諏伯は感謝の気持ちを込めて、「純狐、ありがとう。」と答えた。

 

純狐は息子の頬を優しく撫でて微笑んだ後、その場を去った。諏伯を残して静かに愛情を込めた視線を送り、一歩一歩と離れていく。

 

 諏伯はドアをノックすると、中から「どうぞー。」という声が聞こえた。彼は部屋に入ると、そこにはピンク髪で武道家のような服装をした女性、茨木華扇が座ってお茶を飲んでいた。

 

「お茶を飲みながらですいません。あなたが純狐さんのむす……、ブッ!!」華扇は諏伯の顔を見るや否や、お茶を驚きのあまり噴き出してしまった。

 

「止めて!殺さないで!なんでもしますから!!」華扇は慌てふためいて命乞いを始めた。

 

諏伯は面食らいながらも冷静に、「えっと、どうしました?華扇さん。」と訊ねた。

 

「ん?あの諏伯ですよね?」華扇は一瞬混乱した様子で聞き返した。

 

「はい、そうです。諏伯ですよ。」諏伯は自分の名前を再確認した。

 

華扇は内心で思った。「気づいてない?茨木童子の時と姿が違うからか。」彼女の頭の中は一瞬混乱していたが、すぐに冷静さを取り戻した。

 

 「とりあえずタオル貸してもらえます?」諏伯はお願いした。

 

「はっ!はい!失礼しました。どうぞ!」華扇は慌てタオルを差し出した。

 

諏伯はタオルを手に取り、お茶を拭いてから辺りを見回した。

 

 諏伯は困惑した表情で、「一体何かあったんですか?」と尋ねた。

 

華扇は真剣な顔で答えた。「言う前に約束してくれませんか?絶対に殺さないと。」

 

諏伯は少し戸惑いながらも、「分かりましたけど……」と約束した。

 

華扇は深呼吸し、続けた。「あの……私、元は鬼の茨木童子です。」

 

「華扇があの茨木童子!言われてみれば角と髪は似てるけど、雰囲気が違い過ぎませんかね。」諏伯は驚きと納得を交えた表情で応じた。

 

茨木華扇はうつむきながら説明を続け、「うう。正確に言うと、あなたに腕を斬られた時に性格が2つに別れました。斬られた右手には鬼の茨木童子が残り、本体の私にはそれ以外の要素の茨木童子が。この今の姿は華扇と名乗っています。」

 

諏伯は頷きながら理解を示した。「なるほど。確かに、茨木童子は鬼のクソッタレな部分が色濃く残る討伐対象でしたね。」

 

華扇は真剣にその言葉を受け止め、正座しながら聴いていた。

 

「まあ、でもあの時許したんですから、もう討伐する気はないですよ。同じことしてなければ。」諏伯は柔らかな表情で言った。

 

「で、ですよね。いやー良かったな。」華扇は心から安堵し、明るい表情を見せた。「さあ、確かに幻想郷に行きたいんですよね。お連れしましょう。」と彼女は立ち上がり、扉を開けた。

 

「お先にどうぞ。この扉の先は幻想郷です。博麗神社で案内します。」と華扇は言いながら、諏伯に扉の先を指し示した。

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