博麗神社と守矢神社の争いが終結し、守矢神社での宴会は大いに盛り上がっていた。
早苗と諏伯は宴会の給仕をしながら、参加者たちに酒や肴を運んでいた。一通りの配膳が終わると、諏伯は「自分が中にいると天狗たちが休憩できない」と考え、一人で外に出た。
縁側で休んでいると、突然スキマが開き、八雲紫が現れる。
「せっかく博麗の巫女が交流の場を設けてくれたのに、馴染んでなさそうね。」紫が軽やかに声をかける。
「なっ、お前、八雲紫!よくも月に置いていってくれたな!」と諏伯は怒りを露わにする。
紫は深く頭を下げた。「月に置いていったことは謝るわ。私の判断よ。あの時は全滅を避けるため、あなたを見捨てたの。」
「素直に謝られると殴りにくいな。まあ、紫には守矢神社の皆と再会させてくれた恩がある。これ以上は何も言わないよ。どうせ仕組んだんだろ?」と諏伯は冷静さを取り戻し、苦笑混じりに言った。
「あら、短い付き合いなのによく分かるのね。本当なら守矢神社を連れてくるのは4年後だったんだけど。これでも悪いと思ったから早めたのよ。あの子達と被ってしまったけど、まあいいでしょう。」紫は意味深に微笑む。
「えっ?それはどういう…」と諏伯が問いかけた瞬間、紫はスキマへと消えていった。
紫が去った後、霊夢が入れ替わりで現れる。
「帰ってこないけど、誰かと話していたの?」と霊夢が尋ねる。
「いや、トイレ。」諏伯はあっさりと答える。
「ふーん、まあいいけど。あんたらと山の妖怪たちの間を取り持つために宴会してんのよ、参加しなさい。」霊夢は少し命令口調で言った。
「私がいると天狗達が休めないですよ。」と諏伯は控えめに抗議する。
「い、い、か、ら、く、る、の!」霊夢は一言一音ずつ強調して言い切ると、諏伯を引っ張って強制的に宴会に戻した。
諏伯はしぶしぶながらも、宴会に参加することになった。最初はぎこちなかった守矢神社も、次第に山の妖怪たちと打ち解け、宴会が終わる頃には和気あいあいとした雰囲気が広がっていた。
諏伯は紫の「4年早く連れてきた」という発言について考え続けていた。「あの子達と被ったどういう意味だ?守矢神社と同じように紫は誰かを連れてきたのか…一体誰を?」と、独り言を漏らす。
そんな時、神奈子が声をかけてきた。「諏伯、何考え込んでいるんだ?お茶にしよう。天狗から饅頭を貰っているぞ。」
諏伯はみんなと共に居間でお茶を楽しむことにした。
「なんだかんだあの宴会のおかげで、山の妖怪にも私たち守矢神社の信仰を受ける人たちが増えてきたね。」と諏訪子は嬉しそうに言う。
「酒を要求しておきながら、それも我らのためだもんな。少なくとも今回は博麗神社の器の大きさに感嘆するよ。」神奈子は感心した様子を見せた。
「今回こそ負けましたが、異変が起きた時こそ、私たち守矢神社が博麗神社より先に解決して信仰を集めるのです!!」と早苗は意気込む。
「そんなに競わなくても、信仰が集まってるんだからいいじゃん、早苗。」諏伯はお茶をすすりながら言う。
「諏伯さん、何を言ってるんですか!信仰が失われたら、諏訪子様と神奈子様も失われるんですよ!そのためには如何なる宗教にも負けてはなりません。」早苗は真剣に返す。
「うむ、やる気があるのはいいことだな。」と神奈子は頷く。
「ちょっと信仰心が強すぎるのが傷かもしれないね。」と諏訪子は微笑みながら言った。
「3人とも呑気なものですね。」早苗は少し呆れている。
「えー、だって。もう会えないかと思ってた息子と会えたんだよ。顔も緩むってねー、ね、2人とも。」と諏訪子が優しく言う。
諏訪子、神奈子、そして諏伯は、互いに微笑み合い「えへへー。」と顔を緩ませる。
早苗が空を見上げると、雲が段々と赤くなっているのに気づいた。
「これは何でしょうか。空が赤くなっています。」と早苗が言う。
「雲から何か降ってきているな。」と神奈子も空を見上げる。
諏訪子は降り注ぐ粉を手に取って確認した。「妖気に当てられた毒だね、こりゃ。」
「毒?それならすぐに解決に……」と諏伯が言いかけたその時、早苗が声をあげる。
「これは里の危機!弱った人間に取り入り、人里での信仰を増やすのです!」
諏伯は少し呆れた表情で早苗を見つめる。「マジか、こいつ…」
「母さん、異変解決しないと……」と諏伯が諏訪子に向き直る。
「諏伯、母さん信仰ないと死んじゃう……」諏訪子は涙ぐんだ目で諏伯を見る。
「あー、私も信仰がないと力が出ないなー。」神奈子はわざとらしく言葉を添える。
「というわけで諏伯、頼んだよ!」と諏訪子が諏伯の背中を叩きながら言う。
諏伯は仕方ないといった表情をしながらもう一度気を引き締めた。「わかったよ、行ってくる。」と、諏伯は場の空気を和らげつも、心を決めて異変の解決に向かうことを決意した。
補足で書いておくと、風神録が最初に来た幻想入りになります。
レミリア達と同タイミングにて守矢神社が来た世界線になります。