結界を解除した四人は建物に向かって進み続けた。その先で、一匹のウサギが彼らの前に立ちはだかった。
「人間達、ここまで来たことは褒めてやる。だが、ここを知られたからには消すしかあるまい。」と鈴仙が挑発するように語った。
諏伯はそのウサギに見覚えがあるようで、「見覚えがある。」と呟く。
「知り合いか?」と魔理沙が問いかける。
鈴仙はじっと諏伯を見つめ、「あっ、綿月姉妹の逃げたペット。」と諏伯が言い当てた。
「、、、、普通の人間達と思ったら、諏伯もいたのか。月からの追っ手なら尚更返すわけにはいかないな。」と鈴仙は困惑しているようだ。
「諏伯さんは相手したくないのでお進み下さい。その他雑魚どもめ!貴様らの相手は私だ。」と鈴仙は戦意を表す。
「媚び始めたけど強いのこの子?」と紫が興味津々に訊ねる。
「見たことはあるけど話したことは無いからな。紫行く?」と諏伯は応じる。
「、、、。月のウサギに興味があるから私が行きましょうか。お行きなさい。3人とも。」と紫は微笑んで言う。
諏伯、霊夢、魔理沙は建物の奥へと先に進むことにした。
「諏伯は逃げたウサギと言った。主犯が月人でないなら誰の仕業かしら?」と紫は鈴仙に問いかける。
「嘘をつくなバカバカしい。貴様ら人間と妖怪が諏伯に騙されたんだろう。」と鈴仙は反発する。
「あら、彼は人を騙すような人ではないわよ?」と紫は余裕の表情で言い返す。
そして、2人は対峙し、これからの戦闘の緊張感が漂い始めた。彼らの背後では、諏伯たちが謎を解決するために進んでいる。
3人が先に進むと、また一匹のウサギが待ち構えていた。それは因幡てゐだった。
「またウサギか。でも月では見てないな。」と諏伯が呟く。
「おや、月にいた事があるのかい。私は地上のウサギだから見たことはあるわけないだろうね。」とてゐは軽やかに答えた。
「今回の異変はウサギたちが仕組んだのか?」と諏伯は直球で尋ねる。
「餅つきしたくなくなったのか?」と魔理沙は冗談めかして言う。
「そんな馬鹿なことないウサよ。今回の異変は私のご主人ウサ。」とてゐは秘密めいた口調で言った。
「なら痛い目に遭いたくないのならそのご主人とやらの所に案内するのね。」と霊夢が鋭く詰め寄る。
「分かった、分かったウサよ。だからその武器をこちらに向けるなウサ。」とてゐは慌て言う。
案内役となったてゐを加えて、4人は歩き始めた。
「それで、ご主人というのはどんな奴なんだ?」と魔理沙が興味津々に尋ねる。
「うーんと、月から逃げてきた姫様と従者ウサね。かつて月で罪を犯してから地上に逃げてきたみたいウサよ。」とてゐが説明する。
「竹取物語みたいだな。」と魔理沙は興奮した様子で反応する。
「、、、蓬莱山輝夜と八意永琳。」と諏伯は昔の記憶が甦ってきたように答えた。
「ゲッ!なんで知ってるウサ。」とてゐは驚いた顔を見せる。
「昔の知り合いだ。」と諏伯は淡々と答える。
「ついでに聞くウサだけど、鈴仙が月にいる時のことを知ってたということは月の使者だったりするウサか?」とてゐが疑い深そうに質問する。
「いや、逆だ。月では罪人として過ごしてた。」と諏伯は苦笑しながら否定した。
「それはよかった。本当に攻めてきたかと思ったウサよ。」とてゐは安堵する。
「攻めてきた?」と魔理沙は引っかりを覚える。
「いやこの話はここでいいウサね。もう十分ウサ。」とてゐは何かを隠すように言う。
「何が十分なのよ。」と霊夢が追及するが、
てゐは悪い顔をして宣言する。「時間稼ぎウサ。」
それに気づいた3人は、急いで先を急ぐ必要があることを悟った。
3人が歩いていた廊下は、突然崩れ落ち、別の空間へと変わった。そこに待ち構えていたのは八意永琳だった。
「人間3人、1人は見知った顔ね。また殺されに来た?」と永琳は冷やかに言った。
「久しぶりだな。霊夢、魔理沙。気を付けろ。こいつ恐ろしく強い。その昔に何も出来ず一度殺された。」と諏伯は警告する。
「アンタが死んだの?それは確かに強いわね。」と霊夢が軽く言い返す。
「永琳、お前がいるということは輝夜もいるのか?」と諏伯が尋ねる。
「貴方がいるなら隠してもムダね。いるわよ。優曇華から聞いたけどあなた月にいたそうね?」と永琳が静かに答える。
「強制的に連れて行かれたもので。」と諏伯は釈明する。
「ふーん。罪人として生活していたとは聞いたけど、命令を受けて月に姫を持ち帰ろうとしている可能性も否定できない。」と永琳は警戒を露わにし、弓を構えて諏伯に矢を放った。
「死んでくれる?」と言う永琳の言葉に、諏伯は過去のトラウマで動けずにいたが、霊夢が見かねて彼を突き飛ばし矢を避けさせた。
「諏伯、アンタ動けなくなるなら邪魔よ。どっか行ってなさい。」と霊夢が叱咤する。
「ここは私たちに任せて先に行けって奴だな。その輝夜という奴を倒してくれだぜ。」と魔理沙が力強く言った。
「すまない。」申し訳なく思いながら、諏伯は1人で先に進むことを決めた。