純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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稗田阿求との再会

寺子屋での一幕を経て、妹紅と諏伯は引き続き人里を散策していました。

 

妹紅が案内しながら、「ここが人里で時間を潰せる場所。図書館の鈴奈庵だよ。」と説明します。

 

諏伯は驚きと興味を抱き、「幻想郷にも図書館があったのか。」と関心を示します。

 

すると、鈴奈庵から小柄な少女、本居小鈴が姿を現します。

 

小鈴は少し不満そうに言います。「妹紅さん、ウチは図書館じゃなくて貸本屋です。なのでいつもみたいに本を店内で全部読まれると迷惑なんですよ!」

 

妹紅は笑いながら謝ります。「すまん、すまん。注意されてからはちゃんと金払って借りてるからいいだろ?」

 

小鈴は少し安心した様子で、「まあ、妹紅さんは金も払わずに借りていく博麗の巫女に比べたら随分優しいお客さんなんですがね。」と愚痴をこぼします。

 

小鈴は改めて、にこやかに自己紹介します。「それで、ここは“貸本屋”の鈴奈庵と呼ばれる場所で、私は店番をしている本居小鈴と申します。」と頭を下げました。

 

諏伯は興味を持ち、「どんな本が置いてあるんだ?」と質問します。

 

小鈴は笑顔で応じます。「幻想郷に流通している本なら大体は。お客さん始めてですよね?一番良く読まれているのは妖怪に対しての注意書きを書いた幻想郷縁起ですね。」

 

興味深く本を手に取った諏伯は、ページをめくりながら「妖怪についてか、知っている奴はいるかな?」とつぶやきます。

 

その時、初めの妖怪として封獣ぬえが書かれています。

 

諏伯は「あれ、ぬえじゃん。」と驚いた声を上げます。

 

小鈴は軽く手をあげ、「あっ、言い忘れていましたが、その本は正確に言えば著者が接触した妖怪と幻想郷の妖怪、二つとも書かれていますので、始めのページの封獣鵺とかは幻想郷にはいません。」と説明します。

 

諏伯は納得しながら、「そうなんだ。あいつの説明欄には何々。姿をくらます妖怪、本当の正体は分からないが、都を荒らした大妖怪。かつて陰陽師の諏伯が撃退した。」と声に出して読みます。

 

驚きながら諏伯は、「俺の名前もあるのか。よく知ってるな。当時なら帝に検閲されそうな内容だが、誰が調べたんだろう。」と疑問を持ちます。

 

さらにページをめくると、そこには「記録係、稗田阿礼」という名前が記されています。

 

諏伯はその名前に思わず声を出して、「アイツか。」と懐かしさと驚きを抱くのでした。

 

 諏伯は興味深げに「この本貸してくれ。」と言い、小鈴はにっこりと「10銭です。失くした場合は数倍の値段かるのでご注意を。」と注意を促します。

 

諏伯は本を手に取り歩きながら読み進めます。

 

妹紅はそれを見て、「余程気に入ったんだね。」と言います。

 

諏伯は微笑んで答えます。「気に入ったというか、友達がどんなものを書いたのか気になってな。」

 

妹紅は少し提案し、「本読むなら今日はこの辺にしておく?」と声をかけます。

 

諏伯は周囲の景色を見回しながら、「日も傾いてきたしそうしようか、妹紅。妖怪の山の守矢神社に行けば諏訪子や神奈子さん達がいるからまた挨拶しに行くんだぞ。」と了解します。

 

妹紅はにまっと笑って、「分かった。またね。」と別れを告げ、帰路につきます。

 

その後、諏伯は本を読み続けるために途中のベンチに腰掛けました。

 

本に目を落としていると、通りがかった一人の女性が彼に話しかけます。「その本、面白いですか?」

 

諏伯は本から顔を上げずに、「面白くはないが、友達が記録したので。どんなの書いてあるか気になって。」と答えます。

 

女性は少し驚いて、「友達ですか?その本は一巻目、記録されたのはかなり前のはずですが。」と言います。

 

諏伯は微笑みながら、「長生きしてるからね。」と答えます。

 

女性は興味津々に、「見かけによらず長生きなんですね。そういえば、人里では見かけたことありませんが。」と続けます。

 

諏伯は頷いて答えます。「守矢神社が最近幻想郷に来ましたよね?そこの者です。私は、洩矢諏伯です。」

 

女性の目が驚きに見開かれます。「諏伯?まさかな、、、もしかして生まれは諏訪地方にて?」

 

諏伯は不思議に思いながら、「何故それを?」と問い返します。

 

その時、彼はようやく本から顔を上げ、相手の顔を確認します。

 

稗田阿求は嬉しそうに言います。「ようやく顔を上げましたね、お久しぶりです。その顔、間違いない。諏伯さん。私は稗田阿求。稗田阿礼の転生体です。」

 

諏伯は驚きと同時に懐かしさを感じて、「幻想郷ってなんでもあるんですね。」としみじみと答えるのでした。

 

 阿求はにこやかに「時間がよろしければ、今晩は家に寄ってください。」と誘います。

 

諏伯は冗談めかして、「帝の兵に囲まれたりしないよな?」と尋ねますが、阿求は笑って答えます。「まさか、幻想郷に帝はいませんよ。」

 

諏伯は阿求に手を引かれ、彼女の家へと向かいます。

 

阿求が案内したのは、人里の中心にある立派な大きな家でした。門番もおり、阿求が帰るとすぐに門を開いてくれます。

 

諏伯が感心しながら「あっ、阿求君。君出世したんだね。」と言うと、

 

阿求は少し照れたように、「阿礼の時、帝から仕事をいただき以後それなりに自由に書物の管理編纂を担当出来ましたからね。」と説明します。

 

思わず「君」と呼んでしまったことに対し、阿求は少し困惑した表情で、「というか君は止めて下さいよ。一応今回は女の子として転生したんですよ?」と諭します。

 

諏伯は笑って「分かったよ。」と応じ、廊下を歩きます。

 

歩きながら、阿求は急に謝り始めます。「阿礼の時、あなたを助けられなくてすいませんでした。」

 

諏伯は優しい口調で、「別にあれは陰陽師が悪いのであってお前は騙されただけだろ?」と慰めます。

 

阿求は、ほっとした様子でニヤッと微笑み、「ですよな?いやーよかった、許してもらえて。」と明るく言います。

 

突然、阿求は興奮気味に話を続けます。「それはそうと諏伯さん!今回また調べて貰いたい妖怪がいるんですよ!」と言い、彼の肩を軽く揺らします。

 

諏伯は少し驚きつも、「とっ、とりあえず部屋に入ってから話そうか。」と提案し、阿求も「コホン。そうでしたね。取り乱しました。」と落ち着きを取り戻します。

 

二人は阿求の部屋に入り、昔話を交えながら本題に入ります。

 

諏伯は再度聞き直します。「それで、調べてほしい妖怪とは?」

 

阿求は自信たっぷりに答えます。「ズバリですね!今異変を起こしている鬼の四天王が1人!伊吹萃香です。」

 

諏伯は困り顔で、「待てよ。阿求。調べるのは構わないが異変なんて起きてないだろ?博麗の巫女だって動いてないし、ウチは...異変でも動いていないがなんも気づいていない。」と返します。

 

阿求は少し落ち着いた口調で、「私も最初は異変だなんて思いませんでしたよ。ただ、最近非常に出会いや飲み会などが増えているんです。」と説明します。

 

諏伯は楽観的に「いいことじゃ?」と返しますが、

 

阿求はや心配そうに、「そりゃちょっと続くだけなら問題ないですが、居酒屋は連日24時間営業中です。このまでは彼らが過労死しますよ。」と危惧します。

 

諏伯はそれが問題だと感じつも、「それは問題かもしれないが伊吹萃香が犯人という保証は何処にも、、、。」と指摘します。

 

阿求は微笑みながら、「あ、それは私ではなく、ある新聞屋から聞きました。かつての上司の能力かなと。」と言います。

 

諏伯は納得し、「どこの文々。新聞ですかそれ。」と冗談を交えつも

 

阿求は切実にお願いし、「兎に角、居酒屋さんが過労死する前にお願いします!旧友の頼みとして是非!」と頼みこみます。

 

諏伯は少し面倒そうに感じながらも「分かったよ。分かった。」と請け合い、その日は稗田家に泊まることにしました。

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