間欠泉異変からしばらくして、平和な日々が続くかと思われたある晩、守矢神社では諏訪子、神奈子、早苗が満面の笑みで諏伯を迎えていました。
「我が愛しの息子、今日はおめでたいね」と諏訪子が言います。
諏伯は何のことかわからず困惑しています。「何のことを?」と訊ねます。
「なに、私たちも神であって鬼ではないからな。言わせはしないよ。今日は祝い事ということで赤飯だ」と神奈子が説明します。
「おめでとうございます、諏伯さん。これで洩矢家も安泰ですね」と早苗も祝います。
諏伯は何度か何のことか尋ねようとしましたが、皆は「恥ずかしいだろうからいい」と話さず、その夜は祝いの食事が進みました。
赤蛮奇が質問します。「最後に会ったのは?」
諏伯は思い出しながら答えます。「確か永夜異変の時だから、かなり前ですね。」
影狼は考え込みます。「手を出してないなら……」
わかさぎ姫も推測します。「食べ過ぎたのを新聞記者が面白おかしく書いたのかしら?」
諏伯は困惑した表情で言います。「困った、この記事なら私が姫を妊娠させた男になってしまう。」
赤蛮奇が提案します。「一番は新聞記者を仕留めることだろうが、とりあえず輝夜と相談してみたらいいんじゃないか?」
諏伯は少し笑って、「案外暇が潰れて喜んでるかもね。」と返します。
「私がついていこう」と赤蛮奇が言います。
影狼は興味津々で、「私も輝夜姫を見てみたいから、ついていくよ。姫はどうする?水瓶で背負っていこうか?」と提案します。
わかさぎ姫は微笑みながら、「私は湖で待ってるわ。蛮奇ちゃんと影狼をよろしくね。」と言います。
諏伯は感謝の意を表します。「相談に乗ってくれてありがとう。」
わかさぎ姫は「どういたしまして」と優しく答えました。
こうして、赤蛮奇、影狼、そして諏伯は誤解を解くために永遠亭へと向かうのでした。どんな展開が待ち受けているのか、3人は少し緊張しながらも、新たな一歩を踏み出します。
次の日、人里に向かい稗田阿求の家に向かうと、阿求は死んだ目をしながらこちらを見ていました。「諏伯、友としておめでとうと言っておきます。私は所詮友達止まり……」と阿求は呟きます。
諏伯は気味が悪くなり、慧音の元に向かいますが、話を逸らされます。
「何故みんな私の事を祝ってるんだ?」と諏伯が不思議に思いながら道を歩いていると、目の前に射命丸文がいました。
「おい射命丸」と声をかけると、文は罰が悪そうな顔をして「おめでとうございます」と言いながら飛び去りました。
さらに妹紅の家へ向かっても、妹紅はただ、「妹だからだめなの?妹だからダメなの?」と繰り返し呟いて、話しかけられる状態ではありません。
諏伯は皆がまともに話をしてくれず困惑しながらどうしようか迷っているうちに、いつの間にか霧の湖に来ていました。
湖のほとりで深いため息を吐いていると、水面が動きます。気になって見ましたが、「どうせ魚だろう」と空を見上げました。
ほとりで空を見上げ、ぼーっとしていると声をかけられます。諏伯がどこからかと見渡すと、湖の中から人魚のわかさぎ姫が顔を出していました。
「どうしてそんなため息をついているの?」とわかさぎ姫が優しく尋ねます。
諏伯は湖のほとりで出会ったわかさぎ姫に自分の状況を説明します。「人魚?まあいいか。なんか家族からは祝われているんだけど、周りからはちょっと避けられてるんだ」と諏伯が不思議に思っています。
「何か心当たりは?」とわかさぎ姫が尋ねます。
「誰も教えてくれなくて」と諏伯は答えます。
「そうねぇ、、、私は湖から出られないから。人里のことなら影狼なら知ってると思うんだけど」とわかさぎ姫は提案します。
「影狼?狼の?」と諏伯が確認します。
「そう。知り合い?」とわかさぎ姫が尋ねます。
「だいぶ前に竹林で迷っていた所を案内してもらいましたね」と諏伯が答えます。
「狼なのに人助けなんて影狼らしいわね。そろそろ来ると思うんだけど、、、」とわかさぎ姫は周囲を見渡します。
遠くから走ってくる影狼と歩いてくる赤蛮奇の様子が見えます。
「姫~。遊びに来たよ!」と影狼が声をかけます。
「毎日会ってるだろうに走らなくてもいいだろ」と言う赤蛮奇。
「友達と話すのが楽しいからね!赤蛮奇だってそうだろ?」と影狼が返します。
「まあ、そうなんだが」と赤蛮奇。
「影狼と蛮奇ちゃん。いい所に。この人の相談に乗ってあげて」とわかさぎ姫が頼みます。
「この人?」と影狼と赤蛮奇が諏伯を見て、
「え~と、この度はおめでとうございます?」と口を揃えます。
「待って、なんでみんなそんな反応をするんですか」と諏伯が問いかけます。
「え~と。記憶喪失でもしたの?」と影狼が不思議がります。
「そんな反応される心当たりがない」と諏伯は答えます。
「え~とな。確か焼き芋を包むために今日は新聞を買ったから、載ってると思うんだけどな」と影狼が言います。
「影狼、焼き芋を包むのに新聞を買うのはお前位なもんだぞ」と赤蛮奇が突っ込みます。
「いいじゃん。ほら!姫のと赤蛮奇のもあるよ!諏伯の分はないけど私と半分こしよっか!」と影狼が提案します。
4人は焼き芋を食べながら、新聞を広げて確認を始めます。
文々。新聞
祝!守矢神社の一人息子に次世代への光
新聞記者である私こと射命丸文は、永遠亭の取材中に驚くべき情報をウサギから入手しました。それはなんと、輝夜姫と守矢神社の一人息子である諏伯さんがお付き合いしているというものです!
かつて竹取物語では姫とそれを月人から守る従者の関係だったお二人が、千年の時を経て再会し、恋愛関係に至ったといいます。
今回の取材に応えてくれたウサギのT'Iさんによると、最近姫が太ってきたように感じるとのこと。これはもしや、二人の愛の結晶が実り、子どもができたということかもしれません。
以上、文々。新聞
諏伯は新聞を持って驚愕します。「なんですかこれ!」と声を上げます。
赤蛮奇が落ち着いて説明します。「だから皆、おめでとうと言ってるんじゃないか。」
わかさぎ姫は苦笑しながら、「あら」と呟きます。
影狼は冗談交じりに言います。「若いっていいわよね。」
諏伯は焦った様子で言います。「待て待て、子どもなんて作ってないし、手すら握ってない。捏造です!」
わかさぎ姫が提案します。「影狼に恋愛手順について教えてもらう?」
影狼はにやりと笑い、「清い関係ねぇ。」と返します。
赤蛮奇が仲裁に入ります。「待て、2人とも、本人は捏造だと言ってるだろ。話を聞こう。」
諏伯は少し落ち着きを取り戻し、自分の言葉を続けます。「本当に何もしてないし、あの新聞は嘘ばかりだ。」