純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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正体不明の大妖怪との出会い

諏伯は阿礼から渡された本を読みながら、妖怪ぬえの元へと向かっていった。

 

「都に現れては人を驚かす大妖怪。姿形は見る人によって変わるが、その大半は酷く恐ろしい妖怪の形をしている。陰陽師が幾人か挑むも本体を捉えられず敗走。」諏伯はぬえについての記述を確認しつ、慎重に進んだ。

 

ぬえに近づくと、諏伯は神力を用いて自らの身体を浮かせながら接近した。

 

「ん?こっちに向かってくる人間が?陰陽師かしら?」ぬえは不思議そうに注意を向けた。

 

諏伯は優しく諭すように言った。「こら、人を驚かすのは止めなさい。」

 

ぬえは少しムッとしながら、「何よ。別に喰らっているわけじゃないんだからいいじゃない。」と返した。

 

しかし、諏伯は続けた。「驚くだけでも人間の生活には大きな影響が出ているんですよ。」

 

ぬえはあまり気にする様子もなく、「そんなこと言われても私は妖怪だから止めないわ!」と言い放った。

 

諏伯は少し困った顔をしながらも詰め続け、「仕方ありませんね。実力で返って貰いましょうか。」と静かに決意を固めた。

 

それに対し、ぬえは自信満々に言い返した。「貴方、私のこと知らないの?正体不明の大妖怪、封獣ぬえ様よ?ただの陰陽師が勝てると思わないことね。」

 

 諏伯とぬえは互いに構え、戦闘態勢に入った。

 

ぬえは鋭い目つきでトライデントを構え、ゆっくりとした動きでこちらに攻撃を仕掛けてきた。しかし、諏伯は即座に木の棒でその攻撃を払い避けた。

 

「防いだ?まさか…」とぬえは驚くが、その驚きを振り払うかのように再度トライデントを突き出す。しかし、再び諏伯に払われてしまった。

 

「ねぇ、あなた。」ぬえは興味を持ったように口を開いた。

 

「なんですか?」と諏伯は応じた。

 

「私のこと、どう見えている?」とぬえは不思議そうに尋ねた。

 

諏伯は正直に答えようとする。「どうと言っても、左右に赤と青の二種類の翼を持ち、黒髪に赤い目、そしてスカートが見えそうな姿を…」

 

「それ以上言うな!変態!」と、いきなりぬえは勢いよくトライデントを突き出してきた。

 

諏伯はすんでのところでその攻撃を避けながら、ぬえは続けざまに、「何故かしらないけど、ガッツリ本体が見えてるのね。」と嘆くように言った。

 

「確か周りの人は恐ろしい妖怪に見えているようで…」と諏伯は補足するように伝えた。

 

 「その恐ろしい妖怪に見えてるのが普通なのよ!」とぬえは訴える。

 

ぬえは少し距離をとってから「これならどう?」と言い、妖力を使って自分の姿を模した者を生成した。

 

彼女は鼻高々に、「分身よ!どれが本体か分かるかしら!」と挑戦的に諏伯に問いかけたが、諏伯は迷うことなく本体を指差した。

 

ぬえはしばらく驚いた表情を浮かべた後、少し戸惑いながら「…ちょっと作戦タイム」と言って考え込む。そして何かを思いついたのか、再び諏伯を見て「今日のところは帰ってやるわ!来週覚えておきなさいよ!」と宣言し、その場を去っていった。

 

その背中を見送る諏伯は、どこか憎めない存在であることを感じつ、次の出会いに備えて心を引き締めた。京の町が一時的に平和を取り戻し、周囲の人々の不安は少し和らいだようにも見えた。ぬえとの次の対峙がどのようなものになるかを思い描きながら、諏伯は静かにその場を後にした。

 

 諏伯は阿礼の家に戻ると、阿礼は尊敬の目をこちらに向けた。

 

「見事に封獣ぬえを追い返していましたね!」と、阿礼は興奮気味に言った。

 

「能力が効かなかったようですね。それに、普通に戦っていたら勝てたか分からないですよ。」と諏伯は謙虚に答えた。

 

阿礼は興味深々で、「それでは、ぬえはどんな正体だったのかなど、いくつか質問させてください!」と質問攻めしてきた。諏伯はそうした質問に真摯に応じながら、ぬえのことや今回の出来事の詳細を話した。

 

「でも、来週またぬえが来るということを伝えますね。」と彼は付け加えた。

 

 阿礼「それなら来週もお願いします!家には泊めますから!」

 

こうして、阿礼の家で共に時間を過ごしながら、諏伯と阿礼は次の週に向けて寝食を共にすることになった。新たな出会いと挑戦が待ち受けていることをお互いに感じ、静かに期待を膨らませていた。

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