純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

73 / 122
道教勢力の目覚め

霍青娥が去った後、白蓮、寅丸、諏伯の三人は赤蛮奇の頭をじっと見つめていました。周囲は静まり返り、彼らの心配が募ります。

 

「ほっといたら起きますかねこれ?」

 

寅丸が真剣な表情で尋ねます。

 

「何もされてないなら起きると思いますけど、、、」と諏伯。

 

その瞬間、赤蛮奇の頭が目を覚まし、大きく見開き、焦りをもって叫びました。

 

「やめてくれ!私は食べ物じゃないぞ!」

 

白蓮は彼を落ち着かせようと、優しい声で言います。

 

「落ち着いて下さい。今は安全ですよ。」

 

赤蛮奇の頭は周囲を見回し、心配そうに尋ねます。

 

「あの青髪の女は?」

 

諏伯がゆっくりと説明します。

 

「君を置いてどこかに去っていきましたよ。」

 

赤蛮奇の頭は安堵の表情を浮かべ、

 

「そうか、助かった。一緒にいたキョンシーが私を食べようとして気を失ってしまった。」

 

と話しました。

 

寅丸は興味津々で質問します。

 

「キョンシーですか?私たちは見てないですけど。」

 

赤蛮奇の頭はほっとした様子で、

 

「いないならいいんだ。助けていただき感謝する。」

 

そして、

 

「諏伯と君達二人は?」

 

白蓮は少し考えた後、

 

「記憶は共有してないんでしたっけ?」と答えます。

 

赤蛮奇の頭は頷きながら話します。

 

「一度体にセットすれば共有されるんだが、それまではできないな。そういえば、本体は?」

 

寅丸は自信を持って答えます。

 

「地上でお待ちしていますよ。この道を帰ればすぐです。」

 

赤蛮奇の頭はすぐにでも戻りたい様子です。

 

「そうか。私はすぐにでも戻りたいが、君たちはまだ用事はあるのか?」

 

諏伯は慎重に言葉を選びます。

 

「ここまで来るのに封印を解いたみたいなので、何があるのか確かめに……」

 

寅丸は提案します。

 

「私が連れて帰りましょうか?」

 

しかし、赤蛮奇の頭は首を振って、

 

「いや、それならいい。ひとりで帰るよ。今回の件は礼を言う。」

 

そう言うと、赤蛮奇の頭はふわりと浮かび上がり、地上へ向かって歩き始めました。

 

背中を見送りながら、一行は再び封印の先に何が待つのかを探るために足を進めます。

 

 

 

 

 

 

 先に進むと、烏帽子を被った少女、物部布都がそこには立っていました。

 

布都は気づくなり、こちらに駆け寄ります。

 

「おー。もう迎えが来るとはな。関心関心。褒めて遣わすぞ。」

 

諏伯が尋ねます。

 

「すいません、会ったことありましたか?」

 

布都は自分のことを理解されていない様子で答えます。

 

「我を知らぬでここまで来たのか?いやしょうがないか。我は所詮太子様の腰巾着。物部布都、これからも更に研鑽致す!」

 

寅丸は興味を持ちつ尋ねます。

 

「人間のようですが」

 

諏伯も思い出しながら言います。

 

「物部……物部……。子どもの頃に聞いたことがあるな。豪族の?」

 

布都は誇りを持って答えます。

 

「滅んだ一族の方が有名なのか?我はその物部一族の者である。知らぬのなら教えてやろう、若人。」

 

白蓮は少し苦笑しながら言います。

 

「勝手に話してくれて助かりますね。」

 

布都は続けます。

 

「我は道教を信仰し、屠自古、太子様と共に尸解仙となるべく眠りにつき、今や復活したわけだ! 今は眠りについてからどのくらい経つ?」

 

諏伯が答えます。

 

「え~と。私が生まれる60年くらい前が蘇我氏と物部氏の争いだったから」

 

布都は驚いた様子で言います。

 

「なんぞ?100年も経っておらぬのか?以外に早いものであるな。」

 

諏伯は少し照れながら答えます。

 

「いや、私の年齢が……」

 

布都は笑いながら締めくります。

 

「よいよい。大して変わらぬ。我が復活したということは、屠自古と太子様もすぐに眠りから覚めるだろう。いざ、向かおうぞ!」

 

そう言うと、布都は諏伯たちを招き、歩き出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 布都の案内のもと先に進むと、次第に薄暗い霧の中に少女の亡霊の姿が浮かび上がった。彼女は幽玄な光を放ちながら、ゆっくりとこちらに近づいてきた。

 

蘇我屠自古の姿だった。彼女は霧の中から現れた瞬間、憂いを帯びた目でこちらを見る。

 

布都はその少女に気づき、やさしく声をかける。

 

「屠自古お主も復活できたようだの」

 

屠自古はぴんと耳を立て、少し怒りを含んだ声で返した。

 

「お前私に言うことがあるだろ」

 

布都は、少し戸惑いながらも、冷静に言葉を続ける。

 

「後ろの人たちか。この人たちは我らの復活を祝ってくれた人たちじゃ」

 

すると屠自古は不信感を募らせ、こちらを睨みながら命じる。

 

「違う、足を見ろ。足を」

 

布都は首をかしげながらも、その言葉に答える。

 

「足か。我の足は何もないが……屠自古、お主の足がないではないか」

 

屠自古は首を横に振り、ため息をついた。

 

「私の壺がなすり替えられていたんだよ。お前だろ」

 

布都は何かを思い出すように目を細めて答える。

 

「はて……昔のことゆえ、よく覚えておらぬな」

 

屠自古は少し気を緩めて、見えない脚に触れながら言った。

 

「まあいい、もう歩かなくていいしな。そうだ、お前、なんで仏教の人間と一緒に歩いておるのだ?」

 

布都は周囲の仲間たちを見渡しながら答える。

 

「仏教?何を仰る。そんなわけなかろう」

 

白蓮がその場に割って入り、疑問を投げかける。

 

「仏教に何か思い入れでもありますか」

 

布都は微笑みながら答えた。

 

「かつて我らが尸解仙となる前、道教と仏教で激しく争っておったのだ」

 

屠自古は彼女たちを鋭い目つきで見つめながら言った。

 

「敵に情報を渡すなよ」

 

布都は少しだけ真剣な声で返す。

 

「屠自古、何を言うておる。復活を祝ってくれている人たちだ」

 

屠自古は鋭く、しかし少し疑念を浮かべながら指摘する。

 

「そこの金髪に黒が混ざった女が持っているのはなんだ」

 

布都は寅丸の方を見て、答えた。

 

「知っているに決まっておろう。錫杖だ、錫杖」

 

屠自古は観察しながらも呟く。

 

「知ってるならいいよな。錫杖は修行僧が持つものだ。そうだよな嬢ちゃん」

 

寅丸は小さく頷き、答えた。

 

「はい。私は修行僧ですが、、、」

 

屠自古は冷静に問いかける。

 

「布都、なぜこいつらが歓迎してくれたと思っている」

 

布都は少し照れながらも答えた。

 

「そ、それは我が復活した直後に来てくれたから」

 

屠自古は疑い深く目を細めてつぶやいた。

 

「復活したばかりを狙って仏教が道教を潰しにきたのじゃないのか」

 

布都は首をかしげながら考え込み、結論を述べる。

 

「考えておらなんだ。騙したな、お主ら」

 

寅丸は警戒心を見せながら声をかける。

 

「待ってください、攻撃の意思は」

 

布都は怒りに任せて叫ぶ

 

「問答無用"弾幕"」

 

寅丸らが仏教の一派であるも気づいた布都は攻撃を仕掛けてくる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。