布都は自身の放った弾幕が寅丸に向かって一直線に飛び、閃光のように光を放った。しかし、その瞬間を見逃さず、諏伯がすかさず叫ぶ。
「寅丸をよくも!弾幕!」
疾風のように布都へと向かって放たれた弾幕は、しかし途中で遮られた。地面から突如現れた雷が、空中を舞う弾をかき消したのだ。
諏伯が驚きと疑念の声を上げる。「地中に雷?」
屠自古が静かに答える。「悪いが、やられるつもりはないんでな。」
彼女の手には、今や誰もが感じ取れる雷の力が集まり、そのま放たれた。諏伯は即座に土の壁を展開する。
「土壁!」
だがその壁は、まるで存在しないかのように雷によって消し飛ばされる。諏伯は直撃を受けながらも、体勢を立て直そうとしていた。
屠自古は諏伯に向かって声をかける。「土を操作してるのか。残念ながら私とは相性が悪いようだな。雷は土を通すんだ。」
無傷で立ち続けているものの、諏伯の体は震え、手もわずかに痙攣している。しかし、その震える手で何か考えを巡らせているようだった。
屠自古はさらなる追撃を考えながら、諏伯の気力を確かめる。「倒れないか。しかし、雷により筋肉の痙攣は有効なようだな。」
一方、布都に攻撃を受けた寅丸は、その身に隠していた宝塔を引き出していた。その姿に気づいた白蓮が、急いで制止する。
「この!宝と、、、」
「止めなさい!寅丸。地中で宝塔を使うとここが崩壊しますよ。」
諏伯が不安を漏らす。「しかし、能力的に相性が、、、」
白蓮は静かに決心を固めながら告げる。「私がやります。お二人は下がっていて下さい。」
白蓮は一歩前に出て、精神を集中させた。彼女の決意が場の雰囲気を変えていく。
屠自古はこの隙を狙おうと考える。「(先に攻撃する方が賢明か)」
まっすぐに狙いを定めた雷撃を白蓮に向かって放った。しかし、次の瞬間、白蓮の姿はすでに消えていた。高速で移動し、屠自古に接近して一撃を加える。
屠自古は衝撃を受けながら驚く。「グハッ!雷で捉えきれないだと!」
布都は屠自古の状況を見て心配し声をかける。「屠自古!大丈夫かお主。」
屠自古は体を支えながら応じる。「大丈夫だ。だがこの速度と拳、私達じゃどうもできん。」
緊張感が漂う中、白蓮は静かに立ち続けていた。
戦いのただ中、響き渡る足音が空間を支配すると、すべての者がその音の出所に視線を向けた。そして、その姿を目にした布都が歓声を上げる。
「太子様!太子様じゃ!」
布都と屠自古はその人物に駆け寄る。現れたのは豊聡耳神子であり、その威厳ある姿が場の雰囲気を一変させた。
白蓮は状況を把握しようと静かに言葉を漏らす。「3人目、、、。」
豊聡耳が冷静に現状を問いかける。「ふむ、目覚めた時から戦闘音がしていましたがどういう状況ですか?」
布都がすぐに答える。「太子様!こ奴ら仏教の一派でありますぞ!」
屠自古も不満を込めて言葉を継ぐ。「復活のタイミングで来るなんて道教を滅しに来たとしか思えん。」
豊聡耳は少し微笑みながら答える。「神霊廟がよもや突き止められるとは参りましたね。しかし、仏教の一派ですか。」
続けて、彼は少し冗談めかして言う。「復活しても追いかけられるとは私の人気はやはり天井知らずのようだ。」
その様子を見ていた諏伯は、白蓮にそっと近寄って囁く。「この人、有名な人なの?」
白蓮は驚いたように答える。「豊聡耳、、、?」
その呟きを聞いた豊聡耳が、軽やかに応えた。「仏教の一派なのに私を知らないとは。十七条の憲法に聞き覚えは?」
諏伯が慎重に問いかける。「十七条の憲法……太子様って聖徳太子の事?」
豊聡耳が静かに頷きながら答える。「後世ではそちらの名前で通っていましたか。いかにもその聖徳太子で間違いありません。」
布都が興奮気味に叫ぶ。「流石は我らの太子様、百年後でも名は轟いておりますな!!」
豊聡耳が少し困ったように答える。「布都?百年とは?」
布都が説明を続ける。「我らが眠っていた期間です。そこの諏伯なる人物が生まれる60年くらい前が我々のいた時代らしいと申していたので。」
屠自古が推測する。「20そこいらの見た目だから大体百年って事か。」
諏伯は少し誇らしげに言う。「いや、私は1300年ぐらい生きてるんですけど。」
布都が諏伯を指差し、怒りを込めて叫ぶ。「嘘を申すな嘘を!我ら尸解仙でもあるまいに、その見た目で1300歳などあり得ぬ!」
白蓮と豊聡耳がそれを聞いて静かに話す。「布都、落ち着きなさい。1300年……尸解仙になる期間としては百年よりずっと現実味がある。」
屠自古も冷静に言う。「太子、どちらにせよ今は確認方法などない。」
豊聡耳は、決意を秘めた様子で言う。「手っ取り早く確かめさせて貰いましょうか。」
そう言うと、彼は耳当てを外し、刀を静かに構えた。全員が緊張感を高め、次の瞬間に備えて姿勢を正す。これから彼は、その真偽を明らかにしようとしていた。
諏伯が冷静に続ける。「聖、雷の女とは相性が悪いのでお願いしても。」
白蓮が穏やかに答える。「ええ、構いません。」
寅丸が次の言動を示す。「なら私はあの風水使いを」
その時、豊聡耳がすぐに動き出した。まるで待ち構えていたかのように、こちらに向かって猛然と走ってきた。
諏伯は素早く地面を隆起させ、土の槍を下から突き出させる。だが、豊聡耳は素早く回避した。
「その体勢からは避けられない。"土弾"」
豊聡耳は、その飛来する数々の土弾を見極め、一瞬の判断で必要な分だけ剣を振るい、的確に自分に当たるであろう弾丸のみを切り落とした。刀の一閃が空を裂くたびに、土弾は粉々に砕け散った。
「的確で正確、故に捌きやすい。」と豊聡耳は淡々と言い、諏伯の技を評しつも彼女自身の技量を誇るように次の瞬間に備えた。
その間にも豊聡耳は無駄のない動きで諏伯との距離を詰めつ、彼の攻撃パターンを見極め始めていた。