豊聡耳は鋭い眼光で諏伯との距離を一気に詰めると、力強く刀を振り下ろした。一度は諏伯の体を包む加護により防がれ、豊聡耳は驚きの表情を見せる。
「これは…加護、扱える人間がいたのか。だが、この程度なら…。」と、豊聡耳は気を取り直し、再び諏伯へと刀を突き出す。
「加護『七星』」と彼女が告げると、その刀はまばゆい輝きを放ち、諏伯の加護を貫いて鮮やかな出血をさせた。
「この七星剣も加護を得ています。効果ありと見ました。」と、豊聡耳は自信に満ちた声で続ける。
諏伯は反撃として豊聡耳を掴もうと手を伸ばすが、彼女は即座に刀を手放して素早く距離を取った。
「その血の量。そして刀は刺ささったま。これ以上は死にますよ、降参なさい。私の勝ちです。」と、冷静に指摘する豊聡耳。
しかし、諏伯は不敵な笑みを浮かべ、「武器をわざわざ渡してくれて感謝しますよ。」と挑発する。
豊聡耳は眉をひそめ、「その傷でどう戦うというのです?」と疑念を投げかける。その直後、諏伯の身体は蓬莱の薬の力によって見る間に回復していく。
豊聡耳はその光景を信じられないという様子で見つめ、「致命傷のはず…」と呟く。
「蓬莱の薬を飲みましてね。死にたくても死ねないんですよ。」と諏伯は余裕を見せながら言い、肩に刺さったまの豊聡耳の刀をそっと触れる。
「私を傷つけられるこの刀が無くなれば…」と言った後、諏伯は静かに「与えたもう加護『破壊』」と呟く。
瞬間、豊聡耳の目の前で、彼女の信頼の刀は粉々に破壊される。思わず黙り込む豊聡耳。彼女の表情からは驚きと失意の交じった感情が見て取れる。
刀を粉々に破壊した瞬間、戦場に鋭い声が響いた。布都が戦闘の最中にもかかわらず大声で叫ぶ。
「貴様!!!何を壊したか分かっているのか!太子様の大事な剣を!それはお主の生涯賃金では払いきれぬ価値があるんだぞ!」
その言葉を聞いた諏伯の顔は青ざめ、状況の深刻さを理解せざるを得なかった。
布都は怒りを露わに、続けて叫ぶ。「弁償をせよ弁償!!」
しかし、その隣で戦っていた寅丸が鋭く反論する。「こちらに攻撃を仕掛けて何を言ってる!」
このやり取りを少し離れた位置から見守っていた屠自古と白蓮は、言い争いが激しくなるのを見かねて静観していたが、豊聡耳がついに口を開いた。
「黙りなさい、布都!」豊聡耳の声が鋭く響くと、場は一瞬で静まり返った。
布都は身をすくめ、「ヒエッ!ご、ごめんなさい太子様。」と恐縮して頭を下げる。
その視線を諏伯に向け直し、豊聡耳は冷静に問いかけた。「諏伯と申しましたね。加護は神に準ずる者が与えるもの、それを今行使した…。何者ですか貴方は?」
この問いには静かな威圧感があった。
「神霊と神の母を持ち、蓬莱の薬を飲んだ者です。最も力の使い方は友達に教わりましたが。」
豊聡耳はその答えに頷き、冷静な表情を浮かべる。「そう…、そうなのですか。通りで加護を扱える訳ですね。」
続いて、彼女は神と仏教の存在について言及した。「その神が仏教に組みし我らを滅しに来るとは。"天運此処に尽きる"という者ですね。」
すると、白蓮が穏やかに介入。「あの~それは誤解なんですが。」
屠自古もすぐに続く。「はっ?お前ら仏教の一派だろ?」
白蓮は丁寧に弁解した。「それはそうなんですが、知り合いが青髪の仙人によって封印に閉じ込められ、それを助けにここに来ただけです。」
布都が驚きをもって言う。「なんと!我らが目的ではないのか?」
白蓮は説明を続ける。「一応知り合いを助けるために封印を解く必要があって、ついでに調査もしていたんです。」
屠自古は為す術なくため息をつく。「しくじったな。殲滅しに来たのかと思った。」
寅丸が冷静に言った。「そんな物騒なことする訳ないですよ。」
豊聡耳は皆に呼びかけながら、「青娥さんが仕組んだのか、戦闘の必要はなかったみたいですね。止めましょう。久しぶりに光を浴びたい。」と締めくる。
こうして戦闘は終わり、皆は笑いながら、地上への帰路についた。
地上に戻ると正座させられ頭を殴られた跡がある妹紅、影狼、赤蛮奇らがおり霊夢が怒りの表情を見せてこちらを見ていた。
「やっと出てきた。私に攻撃した覚悟はできてるんでしょうね?」霊夢の声が低く響く。
諏伯は苦笑しながらも抵抗せず、静かにそのゲンコツを受けて気絶した。
こうして、赤蛮奇の誘拐事件と道教勢力の復活は、静かに幕を閉じたのだった。