純狐の息子は二度目の生で母を追う   作:四国の探索人

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次回はちょっと長めです。その関係で今回は短めです。


宴会準備2

諏伯は永遠亭を訪れた。

中に入ると、鈴仙が薬瓶を抱えて忙しそうに立ち働いていた。

 

「諏伯? あなたがケガの予定はないと思いますが……何かあったんですか?」

 

「ちょっと訳ありで、永遠亭で宴会をしたいんです。永琳か輝夜はいますか?」

 

「了解です。――あ、今ちょうど妹紅さんも来てますよ。たぶんいつもの部屋に」

 

案内され、輝夜の部屋に入ると、永琳、輝夜、そして妹紅が卓を囲んでいた。

 

「兄さん?」妹紅が目を丸くする。

 

「妹紅、どっか悪いの?」

 

永琳が代わりに答えた。

「ただの二日酔いよ。飲みすぎて気持ち悪いからって、ここに転がり込んできただけ」

 

「……なるほど。守矢に戻った時も酔いつぶれてましたからね」

 

「いいじゃないかよ」妹紅がぶっきらぼうに言う。「で、兄さんは何しに?」

 

輝夜が扇を軽く仰ぎながら割り込んだ。

「私との関係、どうするか決めたのかしら?」

 

「なんだ輝夜。お前まだ“恋人ごっこ”を続けるつもりか」妹紅が睨む。

 

諏伯は姿勢を正し、短く答えた。

「恋人ができました。もう“ごっこ”は必要なさそうです」

 

「……あら、それはおめでとう」輝夜は含み笑いを浮かべる。

 

「えぇぇー! 相手は? 誰?」妹紅が食いついた。

 

「ぬえです」

 

「ぬえか……」妹紅は額をかき、息をつく。

 

「随分おとなしいじゃない、もこたん」輝夜が茶化すように笑う。

 

「昔、兄さんを助けてくれた恩があるからな。……何処の馬の骨か分からん相手よりは納得できる」

 

「でも残念ね。私と付き合うと思っていたのに」

 

「はっ! お前の性格で兄さんが釣れるわけないだろ!」

 

「泣き虫のあなたよりマシよ、“もこたん”」

 

「なんだとぉ!」

 

「はいはい」永琳が制止の声をかける。「せっかくのおめでたい報告なんだから、喧嘩は後にしてちょうだい」

 

それから諏伯に目を向け、落ち着いた声で言う。

「正体不明の大妖怪。その存在を大々的にするのは危険だから、秘匿性のあるこの永遠亭で宴会をしたい――そういうことね」

 

「……さすが永琳。何も説明していませんが、その通りです」

 

「構わないわ。この前は鈴仙が迷惑をかけたみたいだし、その埋め合わせも兼ねてね」

 

その後暫く白蓮と神奈子、諏訪子は戦闘の後に永遠亭へと向かった。

 

 

 

時を同じくして、命蓮寺では――。

境内に姿を現した早苗を囲んで、一同が耳を傾けていた。

 

「……という訳なんですが」

 

「おーっ!」寅丸がぱっと顔を輝かせる。

「兄上にもついにお相手が見つかりましたか!」

 

白蓮は穏やかに微笑んだ。

「あらあら。ぬえが珍しく早く布団に潜っていたのは、そういう理由だったのですね」

 

「ええっ、そうなの?」と一輪が目を丸くする。

「ぬえ、言ってくれたらよかったのに」

 

村紗もニヤリと笑う。

「そうだよ。私らだってねぇ? ちょっと茶化すくらいで済ませてあげるのに」

 

「で、どうなの? キスはしたのか、キスは!」一輪が畳み掛ける。

 

「ううーっ……だから言いたくなかったのよ、あんたたちには!」

顔を真っ赤にしたぬえが、袖で耳を隠すようにしてうずくまった。

「こんなお祝いなんて、別にいいのに……」

 

ナズーリンは呆れたように尻尾を揺らしながら、けれどどこか優しげに言った。

「まあまあ。なにはともあれ“おめでとう”というやつだね。……あの考えなしに宝塔を作った子どもが、ずいぶんと大きくなったものだ」

 

「ふふ」白蓮は立ち上がる。

「さあさ、そうと決まれば永遠亭へ赴かなくてはなりませんね。みなさん、先に行きなさい」

 

「聖は?」村紗が首をかしげる。

 

「私は……」白蓮は柔らかな声で言った。

「ほら、里で異教を広めている方々を説得してから参ります」

 

「ひとりで勝てると思わないことですね!」早苗がぐっと拳を握る。

 

白蓮はクスリと笑って首を振った。

「ええ、心得ています。あなたたちは先に」

 

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