メジロ家の使用人やってます。あ、彼女募集中です。   作:shch

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7.彼ピッピ

 

 

 

 

 

 

 

「ヒュー!!パマちんかっけぇー!!フォー!!」

 

「今回のナンパけっこーしつこかったね、追っ払ってくれてありがとうございます、パーマーさん」

 

「マジそれね!一回断られたら諦めろっつの…まあそれはそれとしてパーマーはありがと!!」

 

 

 

……とそんな風に三人の派手なウマ娘たちに囲まれながら口々に賞賛の声を掛けられているのはこのウマ娘。

 

 

 

「ま、まあね…あはは…」

 

 

 

照れたような表情でそう言って頬を掻くメジロ家のご令嬢の一人『メジロパーマー』である。

 

そんなパーマーに三人のウマ娘はズイと顔を寄せて再度口を開く。

 

「…んでんで~『さっきの話』……マジのマジなのパーマー??」

 

そう言いながら興味津々な様子でパーマーに詰め寄るのはパーマーの最近できたギャル友達の一人『トーセンジョーダン』だ。

 

「……さっきの話??な、なんのことかなあ~」

 

「とぼけないでくださいよパーマーさん、さっきナンパ撃退する時バッチリ言ってたじゃないですか」

 

ジョーダンの言葉にとぼけるパーマーにそう言って詰め寄るのは同じくギャル友達が一人『ゴールドシチー』。

 

「ね?言ってましたよね?ヘリオスさん?」

 

そしてそんなシチーが話を振ったのはパーマーのズッ友であるウマ娘『ダイタクヘリオス』。

 

話を振られたダイタクヘリオスがテンション高めで口を開く

 

 

「おうおう!!バッチリ聞いちゃったぜ~!!パマちんってさ~……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()いたんだ!!スゴー!!ウェーイ!!」

 

 

 

(め、面倒なことになった…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしてもスゲーねパーマー!カレシなんて私はまだできたこともねーから素直にそんけーだわ」

 

「ね、大人の女って感じだよね、しかもカレシとのエピソード話してるときのパーマーさん顔赤くてめっちゃ可愛かった~」

 

「パマちんかっけぇー!!流石ウチのズッ友~!!!」

 

……とまあそんな風に再び羨望の眼差しを一斉に受けるパーマー。

 

「う、うん…ありがとね」

 

(…皆で街歩いてたらナンパされて…しつこかったからソイツらにカレシいるって嘘ついて…「どうせ噓でしょ」って言われたから適当に学とのエピソード話してたら皆にも勘違いされた…しかもなんか学をカレシとして話してたら途中から気持ちよくなっちゃって嘘って言うタイミング見失ったし)

 

そんな頭を悩ませているパーマーとは対照的に他の三人は興味津々と言った様子でパーマーに詰め寄る。

 

ウマ娘と言っても皆年頃の女の子、友人の色恋沙汰など放ってはおかないだろう。

 

「ぜってーアレ嘘じゃないよね!?だってあんな女の子の顔するパーマー初めて見たもん!」

 

「ね、マジびっくりした~」

 

もう完全にパーマーの虚言は真実ということになってしまっているこの状況。

 

(…さ、最悪だ…せっかく皆と仲良くなれてきてたのに…噓ついたってバレて嫌われたくない!!…とりあえずこの話題を終わらせないと…)

 

そう考えたパーマーがワイワイと恋愛話に盛り上がる三人に向けて口を開く。

 

「まあまあ!皆!もう私のことは良いからさ!予定通りショッピング行こうよ!…ねっ??」

 

 

だがしかし…

 

 

「…いやいや…こんな重大なコト発覚しちゃったんだから予定変更っしょ??」

 

「パマちんの彼ピに会いたいー!!!」

 

「こんなん徹底的に深堀るしかないっしょ!?」

 

パーマーの思惑も虚しくどうやら今日は徹底的にこの話題について話す様子だ。

 

 

「ま、マジか~……」

 

 

(……や、ヤバすぎる……助けて学~!!)

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「……~♪」

 

それはもう広い広い、メジロ家別邸の庭園。

 

その真ん中に真っ白なテーブル、テーブル上に置かれたティーセットとちょっとした洋菓子、そしてティーカップに注がれた明るい橙色の透き通った紅茶を啜りながら鼻歌を歌っているのはこの男。

 

「ふぃー…平日の掃除終わりのじいやの淹れた紅茶は美味しいなぁ…」

 

お馴染みメジロ家専属使用人の『九重 学』である。

 

学はのほほんとした表情でどこまでも青い空を見つめながら再び口を開く。

 

「お嬢様たちも今日は皆寮だし…平和だなあ」

 

今日は平日の放課後、学の仕えるお嬢様たちが屋敷に戻ってくるのは基本的には休日や祝日であり、今日のような平日は寮で過ごしているのだ。

 

だが、そんな日でも学に仕事が無いわけではない、庭と屋敷の掃除から花壇の手入れ、お嬢様たちの衣類の管理など仕事は様々…だがそれでも。

 

(仕える人がいないってだけで気が楽になるなぁ)

 

お嬢様たちのために常々気を張っている学にとってはこんな日も必要なのである。

 

「休憩時間くらいだらけてもいいよね~」

 

そう言いながら洋菓子を口に運んで幸せそうな顔で咀嚼する学、なんとものどかで平和な時間が流れる。

 

しかし…こんなこともある。

 

pipi!!pipi!!pipi!!

 

学の仕事用のスマホが音を立てながら震える。

 

「電話?………はい、こちら学ございます」

 

平日の平和な時間…それを奪うのは…

 

「…おおパーマー?何?至急来て欲しいって??今休憩中…関係無い!?………あっ…勝手に切りやがった…」

 

電話を終えた…いや終わらされた学はゆっくりと椅子から立ち上がり口を開く。

 

学の平穏を切り裂くのは…そう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ…行きますか…」

 

お嬢様たちからの緊急呼び出しである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!こっちこっちー!!」

 

街の喧騒の中、そう言いながら大きく手を振っているのは今回学を呼び出した『メジロパーマー』。

 

そんなパーマーに学はテンション低めな様子で歩み寄り、口を開く。

 

「……なんだよパーマー?…急に呼び出して…しかも私服で来いってどういうことだ??」

 

そう言った学の着ているのはパーマーの指示通りいつもの燕尾服ではなく、私服である。

 

パーマーは言いつけ通り私服で来た学にうんうんと満足げに頷くと、学に顔を寄せて小声で囁いた。

 

「…学…急に呼んでマジごめん」

 

パーマーがそう囁くと学もその真似して口元をパーマーの耳元に寄せて囁く。

 

「…まあいいよ別に…一応パーマーもご主人様だし…んでなんの用だ…??」

 

「……とりま後ろ見て」

 

学にパーマーは右手で自らの背後をジェスチャーで見ろと促した。

 

「…??」

 

学は首を傾げながらパーマーの後ろに目を向ける。

 

そこには…

 

「お、おいパーマー…?あれこの前言ってたダイタクヘリオスさんじゃないか…??それに他にもなんかいっぱいいるんだけど…??」

 

学の視線の先には、この前パーマーにズッ友だと紹介してもらった『ダイタクヘリオス』、そしてその近くには派手な金髪のウマ娘とクルクルの大きなツインテールのウマ娘の三人がいる。

 

(……ギャルだ…でも全員かわいい)

 

率直な感想が学の頭に浮かぶ。

 

そして何やらその三人は学とパーマーの方を見て、ボソボソと何かを話し合っている様だ。

 

「……ふむ……なるほど…つまり()()()()()()だなパーマー?」

 

そんなウマ娘たちの様子を確認した学は少し思考をして、どこか納得したような表情を浮かべながらパーマーにそう言う。

 

「流石学だね…話さなくてもわかるんだ」

 

自信満々で何かを理解した様子の学にパーマーは感心したようにそう言った。

 

すると学はそんなパーマーの右肩にポンと手を置いて口を開く。

 

「ああ…もちろん」

 

そして学は嬉しそうな顔で言葉を続ける。

 

「ナイスだパーマー、やっと俺に女の子を紹介する気になったんだな」

 

「いや違うから!」

 

「ええ違うの!?」

 

パーマーの強い否定の言葉に驚きの声を上げる学。

 

「…はあ…全く…このバカ執事は…」

 

そんな学の様子にパーマーは一つため息を着くと、再度口を開く。

 

「まあ良いや…学?…とにかく今から私と学の2人でアイツらのとこ行くから…ちょっと着いてきて」

 

「…いや着いて行って俺が何すんだよ」

 

「良いからとにかくアイツらのとこ行ったら私に合わせて…お願い!私のこれからのメンツがかかってっから!」

 

そう言いながら学に掌を合わせるパーマー。

 

「いやパーマーがそこまで言うならいいけど……でも合わせろって言っても何をすればいいのか…」

 

学がそう言ったその時。

 

「おーい!パーマー!?ソイツがそうなの~!?」

 

三人の内の一人のウマ娘が学とパーマーの二人に向けて少し遠くから声をかけてきた。

 

それを聞いたパーマーは焦った様子で口を開く。

 

「そーそー!!今そっち行くから!!」

 

3人に大きな声でそう言ったパーマーは学の方を見て再び口を開く。

 

「説明してる時間もう無いっぽいから!とにかく私に合わせて!後でなんでもしてあげるから!」

 

「今なんでもっていtt「良いから!」

 

そう言うと強引に学の手を引いてパーマーは足早に歩みを進めていく。

 

コツコツコツコツ…

 

…やがてパーマーの友人たちであろう三人のウマ娘たちの前までたどり着く。

 

そして向かい合う三人のギャルウマ娘と学とパーマーの二人。

 

(……どんな状況……てかパーマーに合わせる?どういうことだろうか?)

 

学がそんなことを考えていたその時パーマーが動く。

 

「……ってことで連れてきました!私の彼ピのがっくんです!!」

 

パーマーはそう言いながら学の右腕にガバッ!っと勢い良く飛びついた。

 

(ああ…そういう感じか…)

 

「……うっす!パマちんの彼ピのがっくんでーす!!」

 

パーマーの突然の行動でこの場の流れとノリを全て把握した学。

 

「よろしくおねしゃーす!!」

 

いつもよりも数段高い声で高らかにそう宣言すると、パーマーに飛びつかれた右手をパーマーの腰に回して自分の方に抱き寄せ、空いている左手で三人に向けてピースサインを突き出す。

 

だがその時……

 

「ひゃんっ……!!」

 

急に学に腰に手を回されたパーマーは思わず声を上げて顔を真っ赤に染めてしまう。

 

「…………」

 

「…………」

 

パーマーの声に他の四人の声がとまり、沈黙が周囲に流れる。

 

「………いや照れすぎじゃね?」

 

沈黙を破ったのはトーセンジョーダン、だが沈黙を破ったといっても隣にいるシチーにそう耳打ちをしただけだ。

 

「…………うん、ちょい怪しいかも」

 

ジョーダンの耳打ちにシチーも小声で同調する。

 

だがその両者の内緒話は静寂のおかげて学の耳にしっかりととどいた。

 

学は左手を上げて口を開く。

 

「ちょ、ちょっとタンマ!」

 

学はそう言うとパーマーの手を引いて三人からすこし距離を取ってしゃがみ込み、パーマーの耳元に口を寄せる。

 

「……おい…せっかく一芝居打ってやったのになんだあれは?変な声をだすんじゃない、早速怪しまれてるじゃないか」

 

「ごめん…でも流石にちょっと恥ずかしくてさ…」

 

学の言葉にしおらしく謝罪をするパーマー。

 

(自分から飛びかかってきたのになんだコイツ?)

 

とそんなことを考えながらも、学は再度口を開く。

 

「はあ…どうせパーマーのことだ、なんかの弾みで彼ピがいますとか嘘ついちゃったんだろ?」

 

「…はい」

 

「んで、どうせその嘘がバレたらあの友達たちに嫌われるとか考えてるんだろ?」

 

「え!…そ、そうだけどよくわかるね」

 

「何年一緒にいると思ってるんだ…パーマーのことならなんでも分かるんだ俺は」

 

「へへ……」

 

「何で照れてんだよ」

 

なぜか学の発言に嬉しそうに照れるパーマーを呆れたような表情で眺める学。

 

だが、学はすぐに真剣な表情に戻って口を開く。

 

「…パーマー、カレシの振りは全力でやってやる、パーマーは俺のご主人様で、ご主人様の不安をできる限り払拭するのが執事の役目だから…でも…これだけは言っておく…」

 

「なにさ?」

 

「あの子らは…それだけの嘘でパーマーを嫌いになんかならないと思うんだ俺」

 

「…それくらいアタシだって分かってるよ…でも不安なんだ……めんどくさいよねアタシ……ごめんね、こんな茶番に付き合わせちゃって…迷惑だったら帰っても良いからさ」

 

そう言って苦笑いをするパーマー。

 

(ああ、いつものめんどくさいモード入っちゃったよパマさんが…)

 

そんなパーマーを見た学は口角を上げながら口を開く。

 

「迷惑?そんな訳無いじゃん?パーマーの彼氏役とかめっちゃ面白そうだ」

 

「面白い?なんで?めんどくさいだけでしょ?」

 

「面白いに決まってるだろ?だって合法的に可愛い女の子とイチャイチャできてさっきみたいに体を抱き寄せてパーマーのその柔らかい体を…「ちょっ、ちょっと!?さっきそんなこと考えてたの!?このスケベ執事!!」

 

顔を真っ赤にしながら慌てて学の言葉を遮ぎって学の胸をポカポカと叩いてくるパーマー。

 

そんなパーマーを見ながら学はニヤリと笑う。

 

(まあめんどくさいモードよりこっちのがいいよね…胸叩くのは痛いからやめてほしいけど)

 

「全くアンタって人は本当に…」

 

ぶつくさとなにかを呟くパーマーの頭に学はポンと手を置いて言う。

 

「まぁそんな感じで俺は俺で楽しくやってるからさ、それに俺は日頃から完璧執事を演じてるんだ、パーマーの彼氏役くらいかるーくこなしてやるよ、かるーくな」

 

学はそう言うと立ち上がって、ギャルウマ娘たちの方に視線を向け、次に不安そうな表情のパーマーを見下ろす。

 

そしていたずらっぽい表情で笑いながら口を開く。

 

「だからさ、楽しんでいこうぜ……な?ハニー??」

 

学がそう言うと、そんな学の言葉にパーマーがクスリと笑う。  

 

(ずるいなぁ…学は…)

 

そして、笑顔で口を開いた。

 

「…だね!学!」

 

 

 

「…いやそこはダーリンでしょ」

 

 

学がそうツッコミながらも、再び2人並んで3人のギャル達の元へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んで、アンタがパーマーさんのカレシ??」

 

「どーも、彼ピのがっくん改めて学です」

 

とりあえず近くの喫茶店に入った5人はテーブル席にて向かい合って座っていた。

 

「ウェーイ!!パマちんの彼ピくんウェーイ!!」

 

そう言いながらテンション高めで学の肩をバンバンと叩くヘリオスとその横で少しの疑いの視線を学に送るシチーとジョーダン。

 

そしてそんなシチーが口を開く。

 

「2人はいつから付き合ってるんです?」

 

「え、えーと…」

 

「半年以上前からだよ、確か中学校の卒業式でパーマーが告白してきたんだ、いや~あの時は嬉しかったなあ」

 

シチーの質問に言葉を濁すパーマーとは対照的にスラスラと嘘をつく学。

 

(…何その妙に現実味のある設定!?しかもアタシからコクったことになってるし!!)

 

「へえ…そうなんだ」

 

動揺を見せずに具体的なことを言う学にシチーは疑いの視線を緩めて興味深げに呟く。

 

「じゃあじゃあ…彼ピくんはパーマーのどこが好きなの~??」

 

シチーの次に口を開いたのはジョーダンで、ニヤニヤしながら茶化すようにそう聞いてくる。

 

「全部…まあ強いて言うならこのちょこんと垂れてる白い前髪が実は大好きだ」

 

学はジョーダンの問いに即答すると、隣に座るパーマーの前髪を指さした。

 

「なっ、何言ってんの!?…(学!?アタシの前髪が好きって……絶対ふざけてるだろコイツ〜…!!)」

 

「おお即答かよ彼ピくん!いいね~愛感じるね~!!」

 

ジョーダンはパーマーの好きなところを全部と即答した学に満足げな顔で頷きながらそう返す。

 

「パーマーさんは?パーマーさんはカレシくんのどこが好きですか?」

 

「えっ…アタシ??」

 

突然シチーに話を振られたパーマーは少し焦った様子でそう言った。

 

そんなパーマーにシチーは言葉を続ける。

 

「うん、だってさっきカレシさんがパーマーさんの好きなとこ言ったんだから次はパーマーさんの番でしょ??」

 

シチーはそう言うとパーマーに向けて首を傾げる。

 

「あっ……えっと……」

 

「何々パーマー~??カレシくんは言ってくれたのに恥ずかしがってんの~??」

 

言いよどむパーマーにジョーダンが茶化すようにそう言う。

 

「そうだよハニー…彼ピくんである俺の好きなとこを教えてくれよ」

 

そしてジョーダンに続いてニヤニヤしながらパーマーにそう言う学、この男は完全にこの状況を楽しんでいるのである。

 

(……コイツには後でヘッドロックをしよう)

 

「言っちゃいなよパマちん!!彼ピくんにかませー!!」

 

学に続いて、ヘリオスもパーマーに向けてそう言った。

 

そして、パーマー以外の4人の期待の視線がパーマーな集まる。

 

(うわ〜…これ言わなきゃいけない雰囲気じゃん…まあ…でも学の好きなとこくらい適当に言えるっしょ…小学校からずっと一緒だったんだし)

 

4人の視線が集まる中、パーマーはそんな事を考えながら口を開く。

 

「学の好きなところ……えーと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず私の趣味に楽しそうに付き合ってくれるところでしょ?…あとはアタシがメンブレした時も何も言わずにそれとなく支えてくれるところ…悩み事があったらなんだかんだ言ってすぐに相談に乗ってくれるところ…いつもめっちゃ丁寧に勉強を教えてくれるところ…普通に顔がイケてるところ…私がめんどくさい事言っても笑いながら接してくれるところ…仕事ができるところ…燕尾服がとてつもなく似合ってるところ…あと隣にいてくれるとすごく落ち着くところ……それとあとは……」

 

 

「「「「……」」」」

 

 

止まる事の無いパーマーの語りに周囲の4人は呆気に取られたような表情で沈黙してしまう。

 

「…それと、髪を乾かすのがすごく上手なところと……あれ?みんな?なんで黙ってんの?」

 

「……」

 

「……」

 

パーマーがやっと周囲の異変に気が付き、語りを止めて、4人の顔を見回す。

 

そしてそんな中、沈黙を破ったのは、やはりジョーダンだった。

 

「……いや…好きすぎじゃね!?聞いてるこっちがハズいわ!」

 

ジョーダンが恥ずかしそうに顔を赤らめながらそう言った。

 

それを皮切りになにやらギャルウマ娘たちは皆頬をポッと赤く染め、頬を両手で包んだウブな反応をしながら口を開く。

 

「…これが恋…すごいね…私もいつかそんな人に会えるかな…」

 

頬を染めながらそう言って目線を下げるシチー。

 

「ラブュラビュ乙女すぎるっしょ〜!!パマちん…!!」

 

笑いながらパーマーにそう言ってくるヘリオス。

 

「え?あ、あはは…(気付いたらめっちゃガチっぽいこと言っちゃってた…ハズすぎる〜!!!)」

 

(てか私変な事言ってなかったよね!?ヤバすぎるよ〜!!)

 

自らの発言を思い返したパーマーはこちらも恥ずかしそうにギュンと顔を真っ赤に染めて思わず下を向いてしまう。

 

(あ…でも…学はどんな顔してるんだろ…普段はこんなこと言わないし……もしかして照れてたり…)

 

そう思い立ったパーマーは隣に座る学にチラリと目線を送る。

 

すると…

 

「…あ、ありがとな…パーマー…うん、なんかその色々と言ってもらって嬉しいよ…うん…」

 

そこには引き攣った笑顔でそう言いながらパーマーから目を逸らす執事の姿。

 

心なしか隙間なく隣に座っていたハズなのに少し後ずさってパーマーから距離をとっている様にも見える。

 

(コイツ…!!)

 

そんなパーマーの発言に引き気味の学を見たパーマーは怒りの表情で口を開く。

 

「なんで!!()()()のアンタが!引いてんだっ!!」

 

「いででで!!脇腹をつねるなぁ!!」

 

パーマーが怒りながら学の脇腹をつねったことで学は悲鳴をあげる。

 

「…え?」

 

そしてその時…パーマーの怒りによってこぼれ出た発言を聞いたシチーが口を開く。

 

「…ちょっと待って、パーマーさん…今()()()って言った??」

 

「「…あ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……な?別に嫌われなかっただろ?噓ついたってバレてもさ」

 

「うん」

 

学とパーマーはそんな事を言いながら2人並んで歩く。

 

あの後…パーマーの彼氏役を学が騙っていたとシチー達にバレた後、2人はシチーにちょっとだけ怒られた。

 

でも、怒られた内容は嘘をついたからではなく『ちょっと嘘をついたくらいでウチらがパーマーの事を嫌うとパーマーが思っていたこと』について怒っていた「そんなわけないでしょ」と。

 

ヘリオスは「騙されたぁー!!」って笑ってたし、ジョーダンは「そんなことだろうと思った」と呆れ顔で笑っていた。

 

学が口を開く。

 

「…パーマーは良い友達を持ったな、俺安心したよ」

 

「心配してたの?」

 

「中学の時は周りに気を遣ってばっかりだっただろ?だからずっと高校では気のおける良い友達がパーマーに出来たら良いなって思ってたんだ」

 

「余計なお世話だよ学、アタシのパパじゃないんだから…」

 

学の発言にやれやれと言った様子で肩をすくめるパーマー。

 

「……」

 

だが、そんなパーマーがそこからしばらく無言で歩くと、再び口を開く。

 

「……でもありがとね…色々気にかけてくれて」

 

パーマーはそう言って学に笑いかけた。

 

そんな、西日に照らされるパーマーの綺麗な笑顔を見た学は口を開く。

 

「…あ、当たり前だろ?俺は執事なんだから」

 

パーマーに対し、顔を逸らしながらぶっきらぼうにそう答える学。

 

「ふふっ…照れてる?」

 

「照れてない」

 

それを見たパーマーは学を揶揄う様にそう言うが、もう学の表情はいつものものに戻りパーマーの発言をキッパリと否定していた。

 

そして、学は続けて口を開く。

 

「…にしてもパーマー、良かったのか?あの子らと一緒に寮に戻らなくて?」

 

そんな学の問いかけにパーマーは答える。

 

「うん、なんだか今は学と歩きたい気分だったから、このままメジロのお屋敷まで一緒に帰るよ」

 

「まぁパーマーがそう言うなら別にいいか」

 

2人はそんなやりとりを繰り広げながら、メジロ家別邸への帰路を歩く。

 

そんな中、次に口を開いたのはパーマーだった。

 

「そー言えばヘリオス達と別れる前、なんかシチーに一瞬呼び出されてなかった?あの時何言われてたの?」

 

パーマーが学にそう問いかける。

 

パーマーの言う通り、喫茶店でヘリオス達と別れる直前、学はシチーに「ちょっと面貸して」と言われて少しの時間2人きりで話していた。

 

パーマーはその内容が気になる様だ。

 

「…別にしょうもないことだから、パーマーは気にしなくて良いよ」

 

「なにそれそんなわけ無いじゃん、気になるんだけど」

 

「だから気にすんなってば、アレだよアレ「学くんカッコいいので連絡先交換してください」って言われたんだよ」

 

「シチーがそんなこと言うわけ無いじゃん!それは学の願望でしょ!?」

 

シチーとのやりとりを有耶無耶にしながらパーマーとわちゃわちゃと言葉を交わす学。

 

(でも本当にあのやりとりはなんだったんだろうな…)

 

そんな中、学は先程のシチーとのやりとりを思い返していた。

 

『パーマーさんのこと、これからもよろしくね、泣かせたら怒るから』

 

学がシチーから言われたのは、この一言だけ。

 

(…俺たちは恋人同士じゃないって分かってたのに、なんであんな事を言ってきたんだろう?…もしかしたら俺たちの仲の良さを見て、今後恋人同士になるとでも思ったんだろうか…)

 

学はそんな事を考えながら、隣でシチーと俺とのやりとりを引き出そうとごちゃごちゃ言っているパーマーに目線を移す。

 

(中学の時も、俺とパーマーをやたら恋人同士にしたがる奴らがいたけど…そんなことあるわけ無いのにな…)

 

学が口を開く。

 

「パーマー様?詮索もほどほどにして、もうすぐお屋敷に着きますよ?」

 

「あっ、ほんとだ…って学?なんで敬語になるのさ?」

 

「屋敷が近いので、メジロの人間が近くにいるかもしれません、私がパーマー様にあんな言葉遣いをするのは、パーマー様と完全に2人きりの時だけですので」

 

学がカッチリした言葉遣いでそう言うと、パーマーは若干寂しそうな顔を見せるも、すぐに元の表情に戻り口を開く。

 

「まぁ…そうだよね…」

 

そうやって苦笑いするパーマー。

 

そんなパーマーを学は見つめながら…考える。

 

 

 

 

 

 

(…俺たちは所詮…主人と従者…俺とパーマーがどれだけ仲が良くても…パーマーがどれだけ魅力的な女の子でも…そんな関係になることは…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(絶対に無いのだから…)

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンコン…

 

「ん?…誰だろ…こんな時間に…」

 

時刻はもう夜の10時を過ぎたところ、業務も終わり自室でくつろいでいた学だったがそんな時、扉をノックする音が学の部屋に響いた。

 

学はその場から立ち上がり、ノック音の主を確認するために扉を開けに行く。

 

ガチャ…

 

学が扉を開けるとそこにいたのは…

 

「学、すまないねこんな時間に…」

 

執事長こと、学の父親代わりのじいやだった。

 

「じいや?俺の部屋に来るなんて珍しいね、どうしたのさ?」

 

学がそう聞くと、じいやはゆっくりと口を開く。

 

「いや…明日の事なんだが…学は明日確かお休みでしたよね?」

 

「ああそうだけど」

 

じいやの問いに学は素直にそう答える。

 

学の言う通り、明日は数ヶ月以来の休日のお休みの日である。

 

そんな学にじいやは言葉を続ける。

 

「明日は何か予定があるのかい?」

 

じいやが学にそう聞くと、学は心底楽しそうな表情になって答える。

 

「…実はねじいや…これはまだ誰にも言って無いんだけど…明日はお出かけをするんだ、しかもあのルドルフさんと」

 

「なんと!そんな大事な用事が入っていたとは…」

 

「誰にも言わないでねじいや…俺凄く楽しみにしてたんだから」

 

学がそう言うと、じいやは少し難しい顔で口を開く。

 

「誓って誰にも言いませんよ学…にしてもそうですか、そのような用事があっては流石に明日は無理ですね…それではこの話はもう終わりです」

 

じいやはそう言うと踵を返して学の部屋から立ち去ろうとする。

 

学はそんなじいやに慌てて声をかける。

 

「ちょ、ちょっと待ってよじいや!明日なにか大事なことでもあるの?」

 

「いえ…何もありません、学は何も気にせず、明日のお出かけを楽しんで来てください……それではおやすみ学…」

 

ガチャ…

 

じいやはそう言うと、学が引き止める暇もなく部屋から去って行ってしまった。

 

ポツンと一人部屋に残された学は呟く。

 

「……なんだってんだ??」

 

学はそう呟きながらしばらく考え事をしていたが、どれだけ考えても、じいやの真意は分からなかった。

 

学は再び口を開く。

 

「………いや、じいやもああ言ってたし気にしないでおこう……明日に備えて早く寝なきゃね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…学の部屋の外…

 

「…あれだけ楽しそうにしている学を無理矢理出勤させるのは流石に酷でしょう…明日は学抜きで『あの方』をお迎えしないといけませんね…」

 

じいやはそう呟きながら屋敷の長い廊下を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…メジロ家別邸。

 

 

屋敷にいるほぼ全ての使用人達がメジロ家の庭園へと集まり、ある人物の到着を待っていた。

 

その時…

 

高級感の溢れる黒塗りのリムジンがメジロ家の屋敷の前に止まる。

 

ザッ…

 

そしてその後部座席から1人のウマ娘がメジロ家へと降り立った。

 

緩やかに曲線を描き、美しく輝くその黒髪と長い睫毛の下にあるそのアメジストの様な瞳は力強く正面を見据える。

 

その立ち姿は彼女に「魔性の青鹿毛」たる異名が付けられたという事実を納得させるにあまりにも十分…それほどまでに彼女はただ美しかった。

 

メジロ家の執事長がそんな彼女に声をかける。

 

「お戻りになりましたか…『ラモーヌ様』」

 

執事長がそう声をかけるとラモーヌと呼ばれたウマ娘はその足を止めて、執事長に向けて口を開く。

 

「ええ、久しいですわね…じいや」

 

「はい、お元気そうで何よりでございます」

 

執事長がラモーヌにそう答えると、ラモーヌは自身の迎えに出揃った多くの使用人たちの方に目を向ける。

 

「……」

 

無言で数秒、使用人たちを眺めていたラモーヌだったが、目線を再び執事長の元に戻し、ゆっくりと口を開く。

 

「それでじいや……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…学はどこにいるのかしら?」

 

 







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