ありふれない転生純血騎士は異世界最強   作:ただの紅茶好き

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第五話 純血騎士、決闘をする

 1時間後

 

「二人とも時間だ。では二人ともこの決闘に勝った際に何を望む。まずはバート、お前からだ」

 

「俺が望むことは2つ。一つは檜山達からハジメへの謝罪。もう一つは光輝、俺への干渉を必要最低限にしてくれ。こちらの問題はこちらで解決するからな」

 

「了解した。次は光輝、お前が望むことはなんだ」

 

「俺が望むことはただ一つ! バート、お前からの檜山達への謝罪だ!」

 

「了解した、ではこれより自身への強化をかけ終わるまで待つ。準備が終わったら合図をくれ」

 

「「分かりました」」

 

(さてと準備を始めるか)

 

 覚悟を決めたバートはまず自身の装備を確認する。装備は訓練用の槍。戦技『切腹』をつけた訓練用ナイフ。タリスマンは血の君主の歓喜、双頭亀のタリスマン、全ての坩堝のタリスマン、両刃のタリスマン。霊薬は吸血の割れ雫、連棘の割れ雫。バフ祈祷は血盟祈祷君主への誓いを使う。

 

 バートはまず効果時間の長い君主への誓いを発動。即座に霊薬を飲み、〆に切腹を行う。

 

 バートが準備完了の合図を出すと同時に光輝の準備完了の合図が出た。

 

「それでは、始め!!」

 

 合図と同時に仕掛けたのはバート。バフをかなり盛った状態で放たれる槍の一撃は轟音と共に光輝に叩き込まれた。しかしそれをただで受ける光輝ではなくその一撃を受け流し反撃に転じようと試みるがバートの放つ槍の連撃がそれを許さない。

 

(マズい! バートの一撃を受け流すのが精一杯だ!! クソッしかも時々かなり重い一撃が仕込まれてるせいで受け流すにも限界がある!! ここは一か八か!!)

 

 光輝がバートの死角に高速で移動し一撃を叩き込もうとするがバートが光輝の攻撃を槍で受け流し即座に光輝の攻撃が届かない場所に移り一撃を叩き込む。その一撃が光輝の鳩尾に叩き込まれた。

 しかし光輝はそれを耐え後方に離脱する。

 

(マズいな……霊薬のせいでこっちもダメージが溜まり始めてきた……仕方ない。アレをするか)

 

 後方に離脱した光輝に追撃するために突撃するバート。それを迎撃するために武器を構える。両者の武器が轟音と共にぶつかる。しばらく鍔迫り合いをしているとバートが仕掛ける。バートが自身の槍諸共光輝の剣を上空に打ち上げる。

 

「何!?」

 

「貰った!!」

 

 上空に打ち上げられた剣に目を取られた光輝。バートその隙を見逃さず一撃を撃ち込む。

 

 かつて偽りとはいえ同じ神人に仕えた同士の技。落葉のダンの武術、落葉格闘。

 

 上空に飛び上がり蹴りを光輝に叩き込む。それと同時に武器が落ちてくる。不意の一撃を叩き込まれた光輝はどうやら立っているのもやっとといった様子だ。

 

「光輝、もう降参しろ。これ以上やっても結果は同じだ」

 

「諦められるわけないだろ!! 俺は……俺は負けられないんだ!!」

 

「そうか……」

 

 剣を手に取る光輝。合対するバートは槍を手に取らずその拳を構える。周囲の者たちは気づいている。次の一撃で勝敗が決すると。両者同時に仕掛ける。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 光輝が吠える。この一撃の己の全てをぶつけると言わんばかりの気迫を感じる。

 

 バートが拳を打ち出す。同時に光輝の剣が振り下ろされる。その直後両者の武器が衝突する。

 

 ピキリ。その音が鳴ると同時に光輝の剣が砕け散る。その直後光輝にバートの拳が叩き込まれた。

 

「俺は……まだ……まけて……」

 

 そう言いながら意識を失い倒れ込む光輝。

 

「誇れ光輝。お前の最後の一撃は俺に届いたぞ」

 

 倒れ込む光輝を支えるように手を伸ばすバート。そのバートの拳からは僅かに血が流れていた。

 

「そこまで! この決闘の勝者はバートだ!!」

 

「すみませんメルド団長。光輝を医務室に連れて行きます」

 

「すまんバート。それは本来なら俺の仕事なんだろうがこの決闘の後始末もある。頼んだぞ」

 

 メルド団長に説明をして光輝を医務室に連れて行くバート。

 

 ──────────────────

 

 医務室にて

 

「ここは……医務室? 一体誰が……」

 

 意識が回復した光輝が周囲を見回す

 

「お、起きたか光輝。大丈夫か? どこか痛まないか?」

 

 光輝が起きたことに気づいたバートが声をかける。

 

「バート……あぁ、俺は負けたんだな」

 

「別にそんな卑下することもないぞ。特に最後の一撃は凄かったぞ」

 

「そうか……そう言ってもらえて助かる」

 

「あとバート……」

 

「ん? どうした?」

 

「悪かった。俺が意地張ってお前に迷惑かけて」

 

「……意外だな。お前から謝罪をするなんて」

 

「決闘をしてて気づいたんだ。お前の力は本物だって。しかもそれはこの世界に来て得たような物ではない。血が滲む様な努力の末に得たものだって」

 

「そうか。光輝、お前はもう少し周りを見れればきっと多くのものにとっての正しい正義を見つけられる。いつか正義の味方になったお前を見してくれよ。じゃあ決闘の約束に従ってここでお別れだ」

 

「あぁ、じゃあなバート」

 

 この決闘はこの先の光輝を大きく変えることが出来たのかもしれない。大丈夫。もし光輝の辿る道が変わらなくとも何か意味があったと言える結論を光輝は得たのだから。

 

 ──────────────────

 

 その後は色々あった。バート立ち会いの元檜山達のハジメへの謝罪やらメルド団長と共に決闘の後片付けをしたり。明日はオルクス大迷宮に挑むとメルド団長から伝えられたり。雫と龍太郎にあの武術(落葉格闘)を教えてくれと頼まれたり。まぁとにかく色々あった。

 

 その日の夜

 

 夜風に当たりたくなったバートが外に出るとハジメの部屋に入っていく香織の姿を見つけたが無視して訓練場のあたりまで向かった。

 

 訓練場で夜風に当たっていると後ろから声をかけられた。

 

「あらバート君じゃない。どうしたの?」

 

「あぁ、八重樫さん。ただ何となく夜風に当たりたくなっただけだよ。八重樫さんは?」

 

「私も同じ。何だか今日は色々濃かったからね。それに疲れちゃったしね」

 

 しばらく沈黙が続いた。

 

「ねぇ、バート君。もし明日のオルクス大迷宮で香織に何かあったら守ってあげて。何だか胸騒ぎがするの」

 

「……わかった。でも八重樫さん。自分の身の事も大事にした方がいいよ」

 

「え?ちょっと一体どういう」

 

 雫がその言葉の続きを言おうとしたときにはもうバートは姿を消していた。

 

 その後自身の部屋で一人つぶやくバート

 

「オルクス大迷宮……何だか妙な胸騒ぎがするな……」

 

 その胸騒ぎを胸に秘めながら瞳を閉じる。

 

 ────────────────

 

 とある空間

 

「おい!!あのガキの匂いがする奴は一体どうなっている!!」

 

「現在はハイリヒ王国の王宮のとある一室で就寝をしている様子です。明日にはオルクス大迷宮に向かうとのこと」

 

「そうか……なるべく早く死んでくれ……私の計画にはアイツは邪魔なのだ!!」

 

 その邪悪な声は響き続ける。

 

 ─────────────────

 

 黒き空間

 

「はぁ……バート君も無茶するなぁ……」

 

「まぁアイツを殺してくれるなら何でもいいけどね」

 

「それにしても次はオルクス大迷宮かぁ……一体何を起こしてくれるのかなぁ」

 

「あー楽しみだなぁ!!」

 

 その邪悪な幼き声は響き続ける。一人の人間(オモチャ)を見つめながら。

 




誤字脱字等があれば報告していただけると嬉しいです。

バートが使ったオリジナル祈祷
血盟祈祷 君主への誓い
純血騎士バートが使った祈祷。黄金樹を信じることの出来ない彼が作り出した祈祷。その誓いに意味はないのかもしれない。だがその誓いがバートを支えていたのだ

バートが落葉格闘を使える理由
褪せ人が来る前にダンと手合わせをしてダンが教えてくれたが。武器なしで使えるのはバートが武器なしでも使えるように練習しまくったから。

雫の前から姿を消した方法。
雫が目を離している好きに身隠しのヴェールを用いて姿を消して高速で移動しただけ。身隠しのヴェールは褪せ人が要らないからと言って譲ってくれた。
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