進め!立体機動   作:puuti146

1 / 5
第一話

 その日人類は思い出した……。奴らに支配されていた恐怖を……。鳥籠の中に囚われていた屈辱を……。

 レンガ造りの高い家が連なって建てられ、その周りは50mの頑丈な壁がそびえ立つ街――という設定の仮想現実空間。巨人の襲撃により、支配された街を取り戻せ、という任務を実行する4人の兵士が、壁上で街を見下ろしていた……。『立体機動装置』と言う名の兵器を身につけて……。

 仮想現実空間内に開始の鐘が鳴り響くと同時に、4人の兵士達は50mの壁から飛び降りた! 風に体当たりしながら、手に握りしめている操作装置のトリガーに指をかけ、奥へ押しこむ。 物が破裂するような音を立てて、アンカーがハヤブサのように飛んで行く。ガゴン! という轟音と共に、アンカーが家の壁奥深くへと突き刺さる。背中にある装置の本体からガスを噴射し、体勢を整えながら、推進力を付けて飛行する。 アンカーを刺した場所より先に行くと、腰を勢い良く回し、アンカーを抜き取る。そして、次の目標を探し、またアンカーを突き刺す。

 

「右方15m級接近! 蓮太郎行け!」

 

 蓮太郎は、突き刺したアンカーを抜き取る! 右アンカーを別の場所に刺し直して、進行方向を右側に変える。巨人の目の前まで機動し、巨人の額に両アンカーを刺し込み、巨人の頭上を弧を描くようにうなじに回りこむ! 回りながらアンカーを抜き取り、うなじにアンカーを刺し直して、蓮太郎は横回転斬りの体勢をとる!

 

「豚みてぇな顔した野郎共……最後に生き残るのはお前らじゃねぇ……。俺達、立体機動部《リヴァイ班》だ!」

 

 

 

 とある学校の放課後……。

 チャイムが鳴り響く中、一人の青年が学校の敷地内にある、プレハブの引き戸に手を掛け、その戸を開ける。

 

「失礼します。仮入部申請をした《颯太》です」

 

 僕の名前は颯太。ごく平凡で普通な高校に不思議な部活があると聞き、この高校に入学した。 そして、不思議な部活というのは本当に存在していた。

 その名も、『立体機動部』。 かの有名な『進撃◯巨人』をモチーフにした新しいバーチャルゲームだそうだ。

 バーチャルシステムを使ったこのゲームは日本、やがては海外へ広がり、人気を集めている。

 

「君が颯太君か。僕の名前は《仁》。この立体機動部の部長を務めている」

 

 とてもガタイのいい男性が迎えてくれた。リーダーシップが取れると言える人だ。

 名前は決して医療ドラマが元ネタではない。よくある名前なのだ。

 原作でいうとエルヴィン・スミスみたいな人だ。残念ながら右腕あるし、金髪でもないし、小野大輔でもない。

 

「一応部員紹介をしておこう。あそこの偉そうにしていて、目が細い人が《蓮太郎》だ」

「……よう、新入り」

 

 蓮太郎と呼ばれた人は、身長が他の部員と比べて低めだ。髪型は短髪で、一言でいうならタ◯ちゃん。口調がキツイのは元々だろう。

 原作でいうとリヴァイ兵長と言えるかもしれない。潔癖症ではないみたいだが。

 

「あそこにいる、見た感じ陽気そうで元気な人が《向日葵》だ」

「やっほー! 君が新入りクン? よろしくね!」

 

 新幹線並の勢いで走ってきた。向日葵という名だそうだ。体中から元気オーラを出している人、元気をもらわなくても元気玉が出そう。

 原作でいうと、性格はハンジ・ゾエ、顔はペトラ・ラルといった感じである。だが、陽気すぎるし元気すぎる。原作よりひどいかも知れない……。

 

「向日葵の隣でいじくられていたのが《莉那》だ。学校の美人ランキング(男子生徒作)で1位に上がるほどの超絶美女だ。この学校の男子全員が一回は悩殺されている」

「よろしくね、颯太君」

 

 莉那と呼ばれた人は、仁先輩が言ったとおり、超絶美女である。笑顔はキラキラと宝石の様に輝いていて、見ただけで悩殺されそう。

 原作でいうなら、クリスタ・レンズみたいな人だ。性格はクリスタ以外にペトラも混ざっている気がする。

 

「さて、自己紹介も終わりだ。次の課題へ移るぞ。君が立体機動に適正かを調べるぞ」

 

 そう言うと、仁先輩は部室の隅に置いてある、装置の前に僕を案内した。

 立方体の形に、ステンレス製の柱で骨組みされ、2本のワイヤーが垂れている。

 

「原作を見ていたら分かるだろう。このベルトを付けてあれにぶら下がるんだ」

「……新入り、一つ余談だ。莉那を目的として、この部活に来た奴らが全員ココで落ちた。お前は違うと思うが」

 

 蓮太郎先輩の言うとおりらしい。向日葵先輩が腹を抱えて転げ回り、莉那先輩はクスクスと苦笑している。

 仁先輩からベルトを受け取り、僕はベルトを付ける。装置の中央に立ち、ワイヤーをベルトに繋げた。

 蓮太郎先輩がハンドルに手をかけ、ワイヤーを巻き上げる。徐々に自分の体が浮き上がっていく。僕は全神経を腰に集中させた。

 

「新入りクン……。あんた凄すぎだよ!」

 

 向日葵先輩がウサギの様に飛び跳ねている。ただバランスを取っているだけなんだが、第三者から見ると、普通の人よりバランスが取れているようだ。

 

「莉那、どうやら颯太君は君よりバランス力が高いようだ。揺れ方が一定だ」

「す……すごいよ! 莉那よりバランスいいとか人間じゃないよ!」

 

 褒め言葉として受け止めていいのか? 先輩方を見る限り、どうやら、僕はこの試験に文句なしの合格のようだ。

 

「莉那目的の豚共とかけ離れてるな。仁、文句なしだな?」

「ああ、もちろんだ。颯太君、本入部を今ここでするか?」

「……はい。立体機動部に入部します!」

「あとで私が新入りクンの入部届、生徒会に出しておくね!」

「私よりすごい人きちゃったな~。颯太君、莉那は負けないからね!」

 

 僕はベルトを外し、装置から降りた時に、下校時刻のチャイムが鳴り響いた。

 

「おっと、本来なら今日立体機動装置を付けるまでが予定だったが、明日に回そう。明日、サボるなよ」

 

 片付けは先輩方がやるとの事。僕は部室を後にして、下校準備をした。出る前にお辞儀をし、下校を開始した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。