Bloody Arriver   作:Ziz555

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 祝!!!!守月スズミ別衣装!!!!

 うおおおおお!!!祭りじゃぁぁぁぁぁ!!!!

 というトチ狂ったテンションだけで書き上げた、スズミ(マジカル)実装記念回です。
 時系列とかあんまり気にしないでください。


少女は魔法にかけられて

 

 トリニティ郊外の廃教会に、一組の少年と少女がいた。

 黒い髪の少年は、罰当たりにも教壇の上に腰を掛けており、そんな彼と向き合うようにして椅子に座る白銀の髪の少女は、困った様子で肩を縮こませていた。

 

「魔法少女になるゥ?」

 

 少年の疑問は、最もだった。

 

 少年の名前は“タカツキ”。過去に“トリニティの吸血鬼”と呼ばれていた、特殊な体質の持ち主であり、シャーレの指導により生徒として信頼を勝ち得た経緯を持つ、トリニティ自警団のメンバーである。

 

「はい……。その、紆余曲折ありまして……。なんというか、流れで……」

 

 少女は、眉をハの字にして視線をそらした。

 

 少女の名前は“守月スズミ”。“トリニティの走る閃光弾”の異名を持つ、自警団に所属する生徒であり、“タカツキ”を最初に保護した張本人でもある。

 

「魔法少女ショーのキャストになる事になったって言うのか?イヤ、一体どんな流れがあったらそーなるんだよ」

「何と言いますか、その……説明しがたいというか……」

「お前なァ……」

 

 少女の様子に、少年は呆れたように肩を落とす。

 

 スズミは端的に言うと“押しに弱い”側面があった。

 

 自警団としての信条や、彼女の中にある絶対的な“芯”がブレることは決して無いのだが。反面、それが関与しない日常的な事柄においては極端に“流されやすい”性格をしている。

 実際問題。ミカやアツコに押し切られてショッピングに行く際は毎度のように着せ替え人形にさせられているし、そもそもタカツキとスズミの出会いも――。

 

「まあ、それはいいか」

 

 タカツキは感傷に浸りそうになる考えを、首を振って振り払うと、改めて目の前に座るスズミへと視線を向けた。

 

「まあ、いいんじゃねェか?たまには普段と違う経験すンのも、悪くねェだろ」

「そんな他人事な……」

「お前が“そういう事”に疎すぎンだよ」

 

 困り果てた様子のスズミを見つつも、タカツキはビッっと人差し指で彼女を指し示す。

 

「いいじゃねェか。“魔法少女”。女の子らしくって」

「タカツキ、知ってるんですか?」

「俺の夢を忘れたのか?」

 

 タカツキの言葉に一度首をひねったスズミは、すぐに「ああ」と声を上げた。

 

「驚きました。てっきり、戦隊とか仮面の戦士とか、そういうモノが専門かと」

「“正義の味方(ヒーロー)”に違いはねェよ」

「ふふっ……。そうですね」

「なンだよ」

「いいえ。別に?」

 

 不服そうに唇をとがらせるタカツキを見て、スズミは頬をゆるませる。

 

「むしろ都合がいいのかもしれません」

「都合?なんのだ」

「頼みがあるんです」

 

 スズミの言葉に、タカツキは静かに首を傾げた。

 

「ヒーローショーの練習。付き合ってくれませんか?」

「練習?俺が?」

「はい。タカツキが適任かと思いまして」

「なンでだよ」

「だって――」

 

 スズミは、満面の笑みを浮かべる。

 

「――得意でしょう?“バケモノ”の演技」

 

 タカツキは、目を大きく見開いてから……静かに視線を逸らす。

 

 そして。

 

「……そォかよ」

 

 不服そうに、けれど、どこか緩んだ雰囲気で不満を漏すのだった。

 

 

 


 

 

 

「ど、どう……でしょうか?」

「…………」

 

 廃教会に、一人の魔法少女が現れた。

 

 純白の衣装に、可愛らしいピンク色の装飾が取り付けられており、至る所にフリフリとした飾りが取り付けられたソレは、紛うことなき“魔法少女”の姿だ。

 両手に持つ杖も、女児向けの玩具を思わせる意匠で作られており、戦闘には一切向かない。けれど、だからこそ漂わせる“非現実”感は、より一層その衣装の完成度を引き上げていた。

 

 それを纏う少女の顔は紅潮しており、透き通るように白い彼女の肌によって、一段と赤く見える。それは、彼女の感じている羞恥をありありと物語っていた。

 

「……タカツキ?」

 

 そんな少女の姿に言葉を失ったまま、口をぽかんと開けて固まったままのタカツキの視線は――悲しいかな、男の性には逆らえずにいた。

 

 魔法少女の衣装。しかし、スズミの着ているそれは――肩と首元に一切の布がなく、背な顔を大きく開けるようなデザインをしており――正面も、胸元から首にかけて一切隠すもののない、無防備な物であった。

 

 ――慎ましやかだが。そこには、確かに――谷があった。

 

「タカツキ……?」

「えっ……ん、あ、あぁ……」

 

 微妙に視線の合わないタカツキの目を覗き込むようにして、スズミが屈み込むと――それ以上は良くないと、タカツキの視線はスズミの真紅の瞳に向けられた。

 

「その……どう、でしょうか?」

 

 スズミは再び、タカツキに感想を求める。……衣装を見せて、求める言葉など、一つに決まっているのだが。

 

「あー…………」

 

 見つめられるタカツキの頬も、いつの間にかわずかに赤く染まっていた。どうして、と言うのは――スズミは考えないようにした。

 

 そして、長い長い思案の末、ようやくタカツキの口から応えが出された。

 

「…………出しすぎ、じゃねぇか?」

「……ッ!?……どこ見てるんですか!!!!」

 

 今回の先制攻撃は、魔法少女からだった。

 

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

「ゲギャーッ!ギャギャギャギャッッ!!現れたなァ!!テェルミィットォ……ホワイトォ!!貴ィ様の命運もォ、ここで尽きるゥ!!」

「タカツキ、やり過ぎ。やり過ぎです。子供が泣きます」

「……ン。そうかァ……?」

 

 ヒーローショーの為の演技練習を始めたスズミとタカツキだったが……、すでに仕切り直しはこれで五回目となっていた。

 というのも、何度やってもタカツキがの演技が極端であり、練習をしようにも練習になるのか怪しいレベルの怪演をしてしまうので、集中出来ないスズミが指摘を繰り返しているからである。

 

「タカツキの中の“悪役”のイメージってどうなってるんですか……」

「そりゃお前……見るだけで吐き気と寒気のするような“悪”だろ」

「それは“悪”というより“害”です」

「チッ……。ムズいな、演技」

「なんで私より苦労してるんですか……」

 

 神妙な顔で腕を組み考え込むタカツキを見て、スズミは思わず大きくため息をつく。

 

「もう……。そうしたら、台詞だけそれっぽくして、後は普段通りでお願いします」

「……それで練習になんのか?」

「台詞を練習するだけでも意味はあります。……ほら、位置に付いてください。行きますよ」

「りょーかい」

 

 すこししょげた様子で立ち位置に戻るタカツキの背中を見たスズミは、クスリと笑みをこぼす。普段から口が悪い癖に、こういう時は素直で子供っぽいところがあるのが、タカツキと言う少年なのだ。

 立ち位置に戻った彼を見て、スズミは一つ深呼吸をさる。

 

「見つけました!“トリニティの吸血鬼”!!あなたの悪事は……この私、テルミット・ホワイトが許しません!」

 

 最初は恥ずかしさの勝っていた台詞も、いつの間にかスルスルと出るようになっていた。何度も失敗をするタカツキを見たことで、いつの間にかスズミの緊張は完全に解けていたのだ。

 

「(……ほーん。“トリニティの吸血鬼”と来たか)」

 

 加えて、“トリニティの吸血鬼”などという台詞は、本来の言い回しではない。おそらく、タカツキがやりやすいようにと咄嗟にスズミなりの配慮をした結果なのだろう。

 その言葉を聞いたタカツキは、スズミの気遣いに気づき――。

 

「……クククッ。誰かと思えば、またお前か。テルミット・ホワイト」

「えっ」

「なんだ。私と貴様の仲だろう?これで相見えるのも五度目を越える。そう身構えるなよ」

 

 それまでとは違う。いや、これまでのタカツキが一度たりとも見せたことの無い様な素振りに、スズミは一瞬呆気にとられてしまう。

 呆けているスズミに対し、タカツキは饒舌になった口のまま“役”を続けた。

 

「どうした。臆したか、それとも――」

 

 ニヤリ、と。男の口が三日月を象る。

 

「――見惚れたか?」

 

 鋭い牙を覗かせて、妖しく笑うその顔に、スズミは思わず息を呑んだ。

 そんな表情のタカツキは――見たことがない。

 

 クツクツと笑い声をこぼしたタカツキに、いつの間に放心していたスズミは気を取り直すと、杖を両手で構えて“台詞”を続ける。

 

「そ、そんなわけ……!」

「ほう。その気の強さ、やはりお前はいい。手ずから我が虜にしてやろう」

「わ、私は負けません!貴方には絶対屈しません!!」

 

 思わず口をついて出た言葉は、ある種の“お約束”じみたものとなってしまっていたのだが、タカツキの豹変っぷりに取り乱したままのスズミは、己のミスに気付くことなく武器を構える。

 

 そんな彼女の姿を見て、タカツキは。

 

「……興が乗った」

「へっ?」

 

 一歩。強く床を蹴り、スズミの下へ跳躍する。強く蹴られた板が大きく軋みながら、ダンッ!と音を響かせた。

 

「えっ!?えっ、えい!!」

 

 何か起きたのか、スズミはわけも分からぬままに咄嗟に武器を振るう。

 だが、その杖は所詮は偽物。魔法少女の衣装というのも、ただの造り物な訳で、振るったところで何かが起こる訳もない。

 

 当然、何に阻まれるということもなく、タカツキはスズミの元へと辿り着く。

 

「近っ――」

 

 目と鼻の先、彼の吐息が、さらされた首元に感じる程の距離。

 いつもと違う彼の気配に、スズミは僅かに気圧された。

 

「拒むなよ」

 

 無意識に引こうとした身体を、力強い彼の左腕で押さえ込まれ、抱き込まれるような姿勢になる。

 

「ひゃん……ッ!?」

「ずいぶん可愛い声を出す」

 

 大きく露出した背中に、彼のその手が直に触れる。

 普段は服に守られた、触られることのない身体の部位を触れられる感覚に、思わず妙な声を出す。

 

「俺に触れられる事が何を示すか。わかるだろ?」

「ちょっと……まっ、待って……!」

「いいや、待たない」

 

 男の手が、するりと彼女の背中をなでると、その身体がビクリと大きく震えた。

 それと同時に、タカツキは“本来の力”を行使する。

 

「タカツキ……そ、それは……」

「嫌なら振りほどけばいい」

 

 優しく彼女の背筋をなぞりながら、タカツキは“ほんの僅かに”彼女の神秘を奪い去る。ほんの少しずつ、じんわりと、ゆっくりと。嬲るように、舐め回すように。

 

 優しく背中を支えるだけのその手は、確かにその気になれば振りほどける程に力は抜けていた。

 本気を出せば一瞬で気絶させられる程の力を持っているのに、手の平で擽るように、男は少女を弄ぶ。

 

「こ、これ以上は――」

 

 少女は、上擦った声と、潤んだ瞳で男を見上げた。

 何かを欲しがるようなそんな仕草に、男は――。

 

「気にするな。……どうせここには、誰も来ない」

 

 空いた右手を少女の顎に添え――――

 

 

 


 

 

 

「……なあ、悪かったって」

「…………」

 

 しょぼくれた男が一人。少女の背中に語りかける。

 

「俺もやりすぎたと思ってる。あれじゃ練習にならなかった。すまん」

「……」

「抑えが効かなかったのは、その……いや、本当に悪かったって。謝る。すまん」

 

 しきりに謝る男の声を、それでも少女は無視し続ける。

 

「今度なんでもしてやるから、機嫌直してくれよ……な?」

「……はぁ。貴方と言う人は、本当に」

 

 深く頭を下げる男に、ようやく少女は呆れを返して振り返る。

 

「次やる時は、ちゃんと先に言ってくださいね」

「はい…………はぃ?」

「2度は言いませんからね」

 

 彼女の衣装が造り物でも――少女の魔法は、存外嘘でもなかったようだ。





 イベントが今からたのしみでしょーがありません。作者はスズミ推しです。
 タカツキくんもなんか盛り上がっちゃったみたいですけど、まあスズミの衣装を見せられたら仕方ないんじゃないですかね……カワイイネ……スズミ……ワラッテテクレ……。

 とりあえずスズミが幸せそうに笑ってくれる事を願います。本当に、心から。
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