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プロローグ
「また、まな板ごと切ったな!?一体何枚叩き切れば気が済むんだよ!?」
「何でだろうなぁ?毎回こうなるんだよなぁ」
銀髪の背の低い少年に怒られながら、黒髪の少年はため息をつく。黒髪の少年が銀髪の少年の家に行き、最近覚えた料理を銀髪の少年とその祖母に食べさせる為に包丁で食材を切り、調理に移るのだが、ただ一点問題がある。それは、その気が無いのに食材ごとまな板を切ってしまうことがある事である。まな板で収まればいいが、酷い時には机ごと切ったこともある。
「まぁ、もっと慎重にするよ。桃ももうすぐ帰ってくるんだろ?折角だし全員で食えるようにしたいしさ。お婆さんの飯がアレって言ってるわけじゃないんですよ!」
「気にしてないから、作らんさ。私も楽しみにしてるからなぁ」
祖母はそう柔和な笑顔を浮かべながらに言う。それを見た黒髪の少年は
「てことだ、座って待ってろ冬獅郎」
銀髪の少年に座って待つように言う。冬獅郎は呆れたように黒髪の少年に言う。
「たく、机とかまな板は食べれないんだから調理するなよこのへっぽこ料理人」
その言葉を聞いた黒髪の少年の手は止まり冬獅郎の方を見る。
「あぁん!?もういっぺっん言ってみろチビ獅郎!」
「チビって言いがやがったな!大差ねぇだろ!」
背丈に大きな差がない二人が額を合わせていがみ合う。祖母はそれを微笑ましく見守るのみである。そんな中……。
「二人とも何してるの!!シュウくん!シロちゃん!」
「げっ、もう帰ってきたのか」
「桃、もう買い出し終わったのか」
黒髪の少年と同じ、ほんの少し低いくらいの身長の少女が買い物籠を持ちながら二人に呆れながら間に入り止める。二人は顔を背けながらに離れる。そしてまな板が真っ二つに切られている惨状を見て事の経緯を知った少女は黒髪の少年の肩を掴み
「もう!シュウくん!また、まな板も一緒に切ったの!?」
「……わざとじゃねぇよ」
少し凹みながら言う少年に何ともいえない気持ちになり肩から手を離す。
「そりゃ、分かる……けど。今度は気をつけてよシュウくん」
「ああ」
二人のやり取りを見ていた冬獅郎は欠伸をしながら少女に
「相変わらず
と言う。少女は少し顔を赤くして狼狽えながら答える。
「そ、そんな事ないよ!」
柊晴と呼ばれた少年は気を取り直して調理を行っていたので話が耳に入ってくる事は無かった。
「ほら、できたぞ」
出されたのは根菜の味噌汁に焼き魚、そしてご飯にほうれん草のおひたしである。
「それではいただきます!」
「いただだきます」
「おう、おかわりもあるから食えよ。特に冬獅郎、食わねぇと大きくならねぇぞ」
「お前とそんなに変わらねぇだろ!」
「明らかに違ぇだろ!!」
二人がまた言い合いを始める。それを
「いい加減にしなよ!子どもみたいな言い合いは!」
桃が二人をピシャリと黙らせる。二人は小さくなり食べ始める。桃はため息を着きながらも
「もう、二人とも仕方ないなぁ。ほら、おかわりは入れてあげるから。そんなにへこまないで」
二人の器に味噌汁とご飯を入れて微笑んで渡す。二人も少し笑いながら楽しい食事の時間を過ごす。そんな中
「死神になるだぁ!?」
「……」
柊晴は驚き声を上げ、冬獅郎は興味無さげにしている。しかし聞き耳は立てていた。
「うん!試験は1ヶ月後なの!」
「お、おう……。マジか……よくやるなぁ」
柊晴は驚きながらも不安な気持ちなっていた。だが、
「危険な仕事だろうけど、無茶だけはするなよ?」
「まだ真央霊術院に受かってもないのに気が早いよ!」
心配が先行して無茶をしないように伝えるしかなった。その後は三人で協力して洗い物をして、柊晴は一人帰路に着く。
「本気で死神になる気なんだよな?」
桃こと雛森桃は死神になるべく真央霊術院の試験を受けに行くと言う話を柊晴と冬獅郎に話をする。二人は内心心配していた。だが、二人とも死神には興味が無く自らはなろうとは考えては居なかった。
「危険だろうな……。どうして態々そんな危険な仕事に就きたがるかね」
少し理解出来ないと呟き歩き続け、根城としている集落のハズレの小屋に入り横になる。目を瞑り眠りに入る。
そして夢を見る。何度も斬り合う夢。刀身が赤い刀を持ち、立ちはだかるモノを斬り伏せんと襲いかかってくる謎の剣士からの攻撃を躱したり、隙を見て自分も切りかかる。防ごうと思い打ち合えば
「っ!分かってんのに何してんだ!?」
持つ刀の刀身はあっさりと斬り落とされる。打ち合うなんて愚行と言わんばかりにたった一度触れただけで斬り落としたのだ。それを何度も何度も夢で体験している柊晴は悪態を着く。
「なんなんだよ……!ここ数年毎晩出て来やがって!!巫山戯んなよ!!!」
折られた刀でも斬りかかる。防御される瞬間に刀の軌道を変えて斬りかかるが、受け流されて
「く……そ!」
斜めから胴体を斬られる。真っ二つに斬られて倒れる。
「うわあああ!?」
夢から覚めて飛び起きる。夢で斬られた胸を触り、傷を確かめる。勿論、夢の中での出来事なので傷もなく、痛みも無い。ただ、真に迫った迫力と緊張、痛み。柊晴は疲れたように大きく息を吐く。
「くそ、喉が渇いたな……これじゃあ寝られねぇ」
そう呟き、桶から水を湯呑みに入れ飲む。渇いた喉を水で潤したその時、何か直感めいたものだが、嫌な気配を感じ取る。気配は小屋からはどちらかと言えば近い。
「何だ?この感覚と気配は……!」
柊晴は小屋を出てその気配のする方に向かう。ただ、何かに導かれるように。駆け抜けた末に異質な気配の正体の元へとたどり着く。森の開けた場所。そこでは、黒い和服に刀を持った人物と化け物が戦っていた。
「死神と……何だ?あの化け物……!」
黒い和服の人物が化け物に切りかかるが腕を払われて弾かれ、柊晴の元まで吹っ飛んでくる。
「おい!大丈夫かあんた!」
柊晴は死神を抱き起こしながらに言う。死神は驚いた表情を浮かべて、次の瞬間には
「逃げろ……!なんでこんな所に子どもがいるか分からないが、ここは俺が何とかする!お前が逃げる時間は稼いで見せる!虚は俺が食い止めるから急げ!」
そう言うと、雄叫びを上げながら再び虚に立ち向かっていく。
「あっ!おい!」
止める間もなく死神は虚と戦う。だが、形勢は不利。死神一人では手に負えるレベルの虚では無かった。
「あのままじゃアイツ……!!」
「負ける……かぁぁ!ぬおおあああ!!?」
虚の腕が死神を捉える。死神は再度吹っ飛ばされて、柊晴の隣の木に叩きつけらて、死神は意識を失い手から刀が落ちる。
「お、おい!何が食い止めるだ!逃げてても追いつかれるほどの時間しか稼げてねぇじゃねぇか!」
悪態を着きながらも、刀を拾い上げて虚と対峙する。逃げる事は出来ない。背を向けて逃げても死ぬのは2人。最悪の場合は桃や冬獅郎も襲われるかもしれないということだ。そうなると柊晴のとるべき行動はただ一つ。
「たく……刀なんざ、夢でしか振り回したことねぇけど……抗わない理由にはならねぇな!」
戦う為に刀を強く握り、死神を守るように立つ。虚も柊晴を認識し飛び掛ろうとする。それよりも早くに柊晴は動き出す。先ずは死神から離れて虚を誘導する。虚は柊晴に狙いを定めて襲いかかる。
「っ!」
鋭い爪で突き刺そうと襲ってくるのを横に飛んで避ける。迫り来る連続攻撃を何とか紙一重で避ける。連続攻撃を華麗とは程遠い避け方で間一髪で避けていく。
「ぬあ!あっぶねぇな!」
相手を見て慎重に避け続ける。が避けるのが間に合わない一撃が迫る。咄嗟に刀で受け流しながら対応する。腕を掠めて着物が切れ血が出る。焼けるようような痛みが走るがそれ以上に
「う、受け流せるのか!?そうか!アイツじゃねぇんだ。受けたら終わりなんて理不尽じゃねぇ!」
何かを掴んでいた。強ばっていた体から無駄な力は抜け、落ち着いた状態で対峙する。虚は柊晴の命を奪わんと再度、腕を振り上げて襲いかかるが届くことは無かった。
「よく見たら遅せぇよ!化け物!!」
飛び出した柊晴に腕をあっさりと切り落とされる。柊晴は慣れた様子で虚の攻撃を全て避けて、振り下ろされた腕を伝い走り上を取り、
「これで終わりだ、この野郎!!」
そのまま縦に切り裂き虚を仕留める。塵となって消えた虚を見ながら一息つく。
「ふぅ、何とかなるもんだな。……今回はあの夢のおかげか?」
刀を見ながら呟き、気絶している死神の下まで歩む。死神は以前として気絶している状態だった。
「まだ伸びているのかよ?いや、そんなに時間が経って無いから当然か」
観察しながらそう言った瞬間。二人の死神が現場に辿り着く。一人はツンツン頭の黒髪の死神、もう一人は白髪に黒い服の上に白い羽織を来た死神である。ツンツン頭の死神が柊晴に声をかける。
「あ、おい!この辺で虚……化け物見たいなの見なかったか!」
柊晴に分かりやすいように化け物と言いその死神は柊晴に聞く。
「あ?アレが虚だったのか……。その化け物なら俺が倒したぞ。ま、アイツに比べたら大した事無かったけどな!」
柊晴は毎晩夢で自身を切り刻んでくる人物と比べてそう言う。それを聞いた二人は二人は顔色を変えて柊晴に詰め寄る。
「何!?それは本当かい!?怪我とか無いかい!?」
「無茶しやがって!痛ぇとことか無いか!?」
「かすり傷程度だよ!と言うかちけぇし、誰だよお前ら!!」
柊晴は離れて言う。警戒はしていないが名前も何も知らない人物たちに近づかれたらいい気はしない。そんな事を言われた二人は顔を見合せて名前を名乗る。
「俺は十三番隊副隊長、志波海燕だ!よろしくな!」
「俺は十三番隊隊長、浮竹十四郎だ。礼を言わせて欲しい、部下を助けてくれて、虚を倒してくれて。もっと我々が早く到着していれば君に怪我をさせることは無かった」
二人が頭を下げる。それ以前に柊晴は慌てながらに
「隊長と副隊長だぁ!?いやいや、遅れたことは気にするなよ!」
そう言うが、浮竹は納得することは無い。
「しかし、現に俺達が遅れたから……君を危険に晒したのは事実だ。俺達にできる範囲でなにかさせて欲しい」
そこまで言われるが柊晴は特に困っていることは無かった。だが、ふと思った。
「それじゃあ、俺も死神になりてぇんだけど。守りてぇ奴が死神になるって真央霊術院に行くらしいから……勉強とか戦い方教えてくれよ」
その言葉を聞いた二人は頷き
「ああ!そういう事なら俺が鍛えてやるよ!」
「ああ、俺も協力……ゴホゴホ!?」
「ああ!?隊長無理はしないでください!!それで、名前聞いてなかったな。お前名前は?」
浮竹を介抱しながらも海燕は尋ねる。名前を聞かれた柊晴は名乗る。
「俺の名前は
咳き込む浮竹を見て不安を感じながらも柊晴の死神としての道が切り開かれた。運命は大きく動き始める。
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