斬れない物は無い、故に全てを断ち斬る   作:皐月の王

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えー、体調が戻ったので投稿します!
不定期なのでここからまた開く場合もありますが投稿は続けますのでお待ちしていただければ幸いです。


二人の隊長との一幕

「改めて、三番隊隊長就任おめでとうございます」

 

「ありがとうやで。まさか君にまで祝って貰えるとはね」

 

「一応面識はありますし……。一応お世話になった人ではありますし」

 

「一応ってそないに言われると傷つくわぁ」

 

三番隊隊長に就任した市丸と十三番隊で三席の柊晴は飲みに来ていた。理由は就任祝いである。しかし、普段から飲みに行くほど仲が良いのかと言われればそうでもなかった。

 

市丸が五番隊の副隊長の時には書類を届けに来た時には頭に腕が置かれたり、甘いもので餌付けと称して背丈で弄られたり、それに対して怒って追いかける柊晴と逃げる市丸と言う構図というのは度々五番隊でも見られる話だった。

 

「よく言いますよ、そんな態とらしい反応」

 

冷めた目で柊晴が市丸を市丸は態とらしく降参のポーズをして食事を続ける。

 

「でも、こうして話しながらご飯食べれるんは嬉しいんやで?一応、君が真央霊術院に居た時から知ってるし、度々一緒に遊んだやんか」

 

「俺がアンタに遊ばれただけですけどね」

 

「そうやったか?」

 

忘れたわ。と笑う市丸に溜息を着く。そして思い出したように市丸が言う。

 

「そうや、君、真央霊術院を1年で卒業したやん?始解も会得して」

 

「まぁ、そうですね」

 

「そろそろ卍解とか習得しててもおかしくないと思うんやけど。どうなん?」

 

市丸の言葉を聞きながらも食べる手を止めることはなく飲み込んで、一息ついてから答える。

 

「卍解にそう簡単に到れる訳無いでしょ。隊長になったアンタならそれがわかると思うんだけどな」

 

「……それもそうか」

 

意味ありげにニヤリと笑う市丸を見ながらも柊晴は特に何も言わない。しかし、ふと気になった様に言葉に出す。

 

「そう言えば、市丸隊長はなんで死神になったんですか?」

 

「どうしたん?藪から棒に」

 

心底不思議そうに首を傾げながらに聞く。柊晴は食べながらに疑問を投げかける。

 

「だって、市丸隊長、護廷どうのこうの何てイメージこれっぽちも感じなかったので」

 

悪びれも無く言う姿に思わず笑ってしまう市丸。そして、逆に質問を返す。

 

「そういう柊晴君はどうなん?仕事は熱心やし、この間も前任の三席を助けたという話やん。柊晴君はどういった理由で死神になったん?」

 

市丸から逆に質問が帰ってくると思わなかった柊晴は少し驚く。しかし、質問にはあっさりと答える。

 

「守りたい奴が居るから……です」

 

なんて無い風に答える柊晴。そしてそれを聞いた市丸は

 

「は?」

 

豆鉄砲を貰ったように反応が出来なかった。普段の柊晴からそんな言葉が出るとは思ってもみなかったからである。

 

「護廷の掟とかよりも守りたい奴が死神なると言うから死神になりましたよ。それが?」

 

「護廷の掟よりって……一応僕隊長やで?隊長の前でそんな事言う?」

 

茶化すように言う市丸に柊晴は言う。柊晴は真剣な表情で言う。

 

「俺が守りたいモノを何も守れない程度の掟なら……斬り伏せます」

 

それを聞いた市丸は少し口角を吊り上げながらに言う。

 

「……へぇ、やっぱり面白いな君」

 

「で、次は市丸隊長の番ですよ?どうして死神を目指したんですか?人に答えさせて言わないとか無いですよね?」

 

目を細めながらに言う柊晴に忘れてたと思いながら市丸は手を叩き

 

「忘れてもた」

 

そう答えて勘定しに行く。柊晴はその言葉に面食らいながら正気に戻ると急いで追いかけて

 

「人に聞いといて忘れたはないだろ!アンタ!!」

 

市丸の背に叫びつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の流魂街の人気ない地域にて

 

「ははっ!!たまんねぇなぁ!!柊晴!!」

 

「こっちはたまったもんじゃないですよ!!」

 

十一番隊隊長、更木剣八は十三番隊三席の御厨柊晴を捕まえ手合わせを行っていた。

 

哀れにも十一番隊に用事があった柊晴は更木に捕まり手合わせをすることになったのだ。

 

「お前が、一角の話していた御厨柊晴か」

 

「え?あっ、はい!十三番隊に所属してます、御厨柊晴、三席です!」

 

「俺は十一番隊隊長、更木剣八!そう言えばお前強いらしいな!!俺と戦え!!斬魄刀あるんだろ?」

 

いきなりの事に柊晴は驚きながらに言う。

 

「た、戦えって!?斬魄刀でやるつもりですか!?大怪我するじゃないですか!?」

 

「強い奴相手に木刀なんて緊張感のねぇものでやってやれるか!!」

 

「でも隊長、斬魄刀を瀞霊廷内で抜いたらダメですよ」

 

「ああん?そうだな……じゃあ、流魂街の誰もいない所でやり合えば良いだろ」

 

トントン拍子に事が進むので柊晴が止めに入ろうとする。

 

「ちょ、ちょっとま……」

 

「隊長命令だ、これで文句はねぇだろ……お前は俺に命令されて仕方なくやり合った問題はねぇだろ」

 

静止は呆気なく無意味に終わり今に至る。最初こそ嫌がっていたが、隊長命令という形で押し切られ、斬魄刀での手合わせが行われる事となった。

 

柊晴は更木の剣を紙一重で避け切りつけるが更木は怯むことなく斬魄刀を突き出す。

 

「くっ!」

 

それが頬を掠め、赤い一筋の傷をつける。鋭い痛みが走るが、怯んでいる余裕なんてない。重く、速い剣が次々と襲いかかってくる。野生の如く荒々しい剣が柊晴を襲う。力と体格は圧倒的に不利であり、鍔迫り合いなんて起こることなく押し飛ばされる。

 

「いっ……!」

 

「休んでるヒマなんてねぇぞ!」

 

体勢を立て直した時には更木の斬魄刀が眼前に迫る。それを斬魄刀で咄嗟に受け止める。振り下ろしを止めるため足に力を入れるが、地面がひび割れるほどの衝撃を叩き込まれる。斬魄刀同士が音を立てながら更木が楽しそうに叫ぶ。

 

「どうした!?そんなもんじゃねぇだろ!お前の強さは!!」

 

「言ってくれますね……更木隊長!!」

 

更木は野生の如き荒々しい剣を振る。柊晴も独学や実践の方が多いためどちらかと言えば、更木と似たタイプにはなる。しかし、戦闘方法までが似ている訳では無い。

 

柊晴は更木の斬魄刀を受け流し、空いた左拳を握りがら空きの顎にアッパーを入れる。

 

「ぬぅ!?」

 

更木は思わず怯み後退る。その一瞬の隙をつき、右手から左手に斬魄刀を持ち替え、そのまま片手で横凪に更木を切りつける。胴体に横一文字に傷が入り出血する。

 

「生憎と俺は何でもありの性分でね……!っ!?」

 

その一閃に怯んだと思われた更木だが、既に斬りかかりに来ており、柊晴の横凪の後隙に左斜め上から斬撃を叩き込む。柊晴は咄嗟に後ろに飛ぶ事で刃先で切られる形となり、致命傷だけは辛うじて避ける。

 

「良い反応じゃねぇか!もっと愉しめ!!出せるものを出し切って見せろ!!殺す気の全力で!!」

 

そして二人は切り合う。

 

「剣ちゃん楽しそう!」

 

「柊晴の奴隊長と渡り合ってやがる……!俺とやった時は全力じゃなかったということか?」

 

「どうだろね、でも分かるのは隊長と互角以上に渡り合っているということだけだよ」

 

二人の戦いを見守るのは、草鹿、斑目、綾瀬川の3名である。

 

ここから更木の猛攻がもう一段階激しくなる。しかし、斬截と相対している時は違い、斬魄刀で受けることも、受け流すことも可能であり、尚且つ、回避に専念し続けた戦闘を行ってきた柊晴にはまだ捌ける猛攻である。

 

しかし、受け止める、受け流しを行うという事は身体に相応の負担を強いることでもある。常人ではそれは無いが、柊晴に関しては戦闘スタイル故に、慣れていないのである。それ故に、疲弊はするし、目に見えないダメージが蓄積されていく。それでも今まで感じたことの無い感覚に、思わず

 

「はぁ……ッハハ!」

 

「はっ!良いじゃねぇか柊晴!!」

 

「柊晴の奴笑ってやがる!」

 

「みくりんも楽しそう!!」

 

「隊長と戦って笑っているなんて……彼、十一番隊の方が合ってるじゃない?」

 

柊晴は笑っていた。自分でもどうかと考えるが、今まで別の意味で味わったことの無いヒリつき、痛み。強敵との戦い。思わず楽しんでいたのだ。

 

「切って切られて……これが本当の切り合いか……!!痛いし、血は出て頭がくらってするけど……自分でもおかしいと思うけど……今この瞬間が楽しくて仕方ねぇな!!」

 

手数、与えている斬撃は柊晴の方が多いが、一撃の威力や隊長として培った感覚、更に戦いに対する本能は更木が勝っている。だが、その本能と感覚を凌駕する一点が柊晴にある。

 

「行きますよ!!」

 

瞬歩で更木の懐に飛び込む。更木は反応して斬り掛かるがその斬撃は空を切る。

 

「何?」

 

紙一重で身体を捻りすれ違いざまに更木の身体を切りつける。浅い傷だが、それでも次の攻撃を仕掛ける。更木も迎え打つが寸前の所で滑り込む様に躱されて切りつけられる。

 

「ぬぅ!?」

 

今度は更木から斬り掛かるが寸前で避けられ深い斬撃が肩に入る。

 

当たれば即死のやり取りを何千回も繰り返してきた柊晴は自ずと回避に重点を置いた戦い方が身についていた。しかし、木刀での鍛錬を行うようになり即死は無くなり、受け流しの技量が上がった代わりに回避は極端には行わなくなっていた。しかし、更木との戦いで本来の戦い方が体躯を活かした敏捷と身軽さを活かした戦い方を思い出していた。

 

更木は

 

「面白ぇ、お前との戦い面白ぇな!!この高揚感いつ以来だぁ!お前なら全力で戦っても良さそうだ!!!」

 

そういうと更木は眼帯を外す。その直後溢れんばかりに霊圧が迸り、跳ね上がる。さっきまでのがお遊びと言って差し支え無い程の霊圧である。

 

「お前も出せよ!!全力を!!!」

 

更木に言われて柊晴も構えて言葉を紡ぐ。

 

「一切断ち斬れ!斬截!」

 

始解する。赤い刀身を更木に向けて構える。それと同時に抑えている霊圧を解放する。

 

「なんて言う霊圧だ!あの野郎、隊長と同じように霊圧を抑えてやがったのか!?」

 

斑目が言うのを聞きながらも目の前の相手に心を踊らせている更木は

 

「ハッハッハ!!!良いぞ!!行くぞ!柊晴!!」

 

「行きますよ!!更木隊長!!」

 

互いに走り、互いを切り伏せんと己の全力をぶつける。結果を言えば引き分けに終わる。二人仲良く四番隊のお世話になり、柊晴と更木は浮竹や卯ノ花、他の隊長に怒られたのは言うまでもない。柊晴は桃にも怒られたのは言うまでも無い話である。




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